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公開番号2023150441
公報種別公開特許公報(A)
公開日2023-10-16
出願番号2022059549
出願日2022-03-31
発明の名称コネクタ用端子材
出願人三菱マテリアル株式会社
代理人個人
主分類C25D 7/00 20060101AFI20231005BHJP(電気分解または電気泳動方法;そのための装置)
要約【課題】銅錫合金層及び錫層を有するコネクタ用端子材の耐熱剥離性をさらに向上させる。
【解決手段】銅又は銅合金からなる基材2の上に、銅錫合金層3、錫又は錫合金からなる錫層4がこの順に積層されてなるコネクタ用端子材1であり、錫層4の表面を観察面としたEBSD測定において、単位面積あたりの最終凝固線の長さが50mm/mm2以下であり、錫層は平均厚みが0.2μm以上1.7μm以下であり、銅錫合金層の平均厚みが0.1μm以上1.5μm以下であるとよい。
【選択図】 図2
特許請求の範囲【請求項1】
銅又は銅合金からなる基材の上に、銅錫合金層、錫又は錫合金からなる錫層がこの順に積層されてなるコネクタ用端子材であり、前記錫層の表面を観察面としたEBSD測定において、単位面積あたりの最終凝固線の長さが50mm/mm

以下であることを特徴とするコネクタ用端子材。
続きを表示(約 360 文字)【請求項2】
前記錫層は平均厚みが0.2μm以上1.7μm以下であることを特徴とする請求項1に記載のコネクタ用端子材。
【請求項3】
前記銅錫合金層の平均厚みが0.1μm以上1.5μm以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載のコネクタ用端子材。
【請求項4】
前記銅錫合金層の一部が前記錫層の表面に露出しており、該錫層の表面における前記銅錫合金層の露出面積率が50%以下であることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載のコネクタ用端子材。
【請求項5】
前記基材と前記銅錫合金層との間に平均厚みが0.05μm以上3.0μm以下のニッケル又はニッケル合金からなるニッケル層を有することを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載のコネクタ用端子材。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車や民生機器等の電気配線の接続に使用される有用な皮膜が設けられたコネクタ用端子材に関する。
続きを表示(約 2,100 文字)【背景技術】
【0002】
従来、自動車等の電気配線の接続に用いられるコネクタが知られている。この車載用コネクタ(車載用端子)には、メス端子に設けられた接触部が、メス端子内に挿入されたオス端子に所定の接触圧を有して接触することで、電気的に接続されるように設計された端子対を備えるものが用いられている。このようなコネクタ(端子)として、銅又は銅合金からなる基材の上に銅(Cu)めっき及び錫(Sn)めっきを施した後にリフロー処理することにより、表層の錫層の下層に銅錫(Cu-Sn)合金層が形成された端子材が広く用いられている。
【0003】
近年、例えば自動車においては急速に電動化・電装化が進行し、大電流化や電装機器の高集積化に伴い、通電発熱と発熱時の放熱能力の不足により端子温度が上昇し、より過酷な高温環境下での使用においてめっき膜の電気的接続信頼性が懸念されている。そこで、基材の上にニッケル又はニッケル合金層を形成し、その上に銅錫合金層としてCu

Sn

を形成したものがあるが、更なる耐熱性向上のニーズがある。
【0004】
例えば、特許文献1では、Cu又はCu合金からなる基材の表面に、Ni層、Cu-Sn合金層(Cu-Sn金属間化合物層)からなる中間層、Sn又はSn合金からなる表面層がこの順で形成された端子材が開示されている。この場合、Ni層が基材上にエピタキシャル成長しており、Ni層の平均結晶粒径を1μm以上、Ni層の厚さを0.1~1.0μm、かつ中間層の厚さを0.2~1.0μm、表面層の厚さを0.5~2.0μmとすることで、Cu又はCu合金からなる下地基材に対するバリア性を高め、Cuの拡散をより確実に防止して耐熱性を向上させ、高温環境下でも安定した接触抵抗を維持することができるSnめっき材が得られている。しかし、Ni層の存在を前提としているため、コスト的にNi層を導入できない場合には、耐熱性を向上させることはできない。またNi層のエピタキシャル成長のためには母材の前処理が必要となるため、耐熱性を向上させることができる母材が限定される問題があった。
【0005】
特許文献2には、Cu系基材の表面に複数のめっき層を有し、その表層部分を構成する平均厚さ0.05~1.5μmのSn又はSn合金からなるSn系めっき層の上に、硬度が10~20Hvで平均厚さが0.05~0.5μmに形成したSn-Ag被覆層が形成された端子材が開示されている。また、Sn-Ag被覆層は、Sn粒子とAg

Sn粒子とを含み、Sn粒子の平均粒径が1~10μmで、Ag

Sn粒子の平均粒径が10~100nmであると記載されている。しかし、Sn-Ag被覆層がさらに必要となるので、コスト増を招く。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
特開2014-122403号公報
特開2010-280946号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、銅錫合金層及び錫層を有するコネクタ用端子材の耐熱剥離性をさらに向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のコネクタ用端子材は、銅又は銅合金からなる基材の上に、銅錫合金層、錫又は錫合金からなる錫層がこの順に積層されてなるコネクタ用端子材であり、前記錫層の表面を観察面としたEBSD測定において、単位面積あたりの最終凝固線の長さが50mm/mm

以下である。
【0009】
このコネクタ用端子材は、表面が錫層からなるため、錫層本来の良好な電気特性を有している。そして、この錫層表面の単位面積あたりの最終凝固線の長さを50mm/mm

以下としたことにより、高温時の皮膜の剥離や割れを防止して、耐熱剥離性を向上させることができる。
単位面積あたりの最終凝固線の長さを50mm/mm

以下としたのは、単位面積あたりの長さが50mm/mm

を超えると、割れの起点となり得る最終凝固線が多くなることから、皮膜の剥離を抑制できなくなるからである。単位面積あたりの最終凝固線の長さは、望ましくは25mm/mm

以下、より望ましくは10mm/mm

以下、さらに好ましくは5mm/mm

以下である。
そして、このように下地層としてニッケル層を有しない場合にも優れた耐熱性を有する端子材とすることができる。
【0010】
本発明のコネクタ用端子材において、前記錫層は平均厚みが0.2μm以上1.7μm以下であるとよい。
(【0011】以降は省略されています)

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