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公開番号2024028074
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-03-01
出願番号2022168711
出願日2022-10-20
発明の名称近傍界電磁波吸収体
出願人個人,個人
代理人個人,個人
主分類H05K 9/00 20060101AFI20240222BHJP(他に分類されない電気技術)
要約【課題】 1 GHz未満乃至数GHzと広範な周波数範囲において高い伝導ノイズ吸収能及び放射ノイズ吸収能を有するだけでなく、放射ノイズが極大化する周波数が実質的にないためにグランドを接続することなく使用でき、かつ製品間にノイズ吸収能のバラツキが小さい近傍界電磁波吸収体を提供する。
【解決手段】 少なくとも1層のプラスチックフィルムと、2層の線状痕付き金属薄膜とを有し、前記線状痕付き金属薄膜の各々には金属薄膜に実質的に平行な多数の断続的な線状痕が不規則な幅及び間隔で複数方向に形成されており、一方の線状痕付き金属薄膜が150~500Ω/□の表面抵抗率を有し、他方の線状痕付き金属薄膜が10~100Ω/□の表面抵抗率を有することを特徴とする近傍界電磁波吸収体。
【選択図】図9(a)
特許請求の範囲【請求項1】
少なくとも1層のプラスチックフィルムと、2層の線状痕付き金属薄膜とを有し、前記線状痕付き金属薄膜の各々には金属薄膜に実質的に平行な多数の断続的な線状痕が不規則な幅及び間隔で複数方向に形成されており、一方の線状痕付き金属薄膜が150~500Ω/□の表面抵抗率を有し、他方の線状痕付き金属薄膜が10~100Ω/□の表面抵抗率を有することを特徴とする近傍界電磁波吸収体。
続きを表示(約 770 文字)【請求項2】
請求項1に記載の近傍界電磁波吸収体において、片面に線状痕付き金属薄膜を有する一対のプラスチックフィルムが接着されていることを特徴とする近傍界電磁波吸収体。
【請求項3】
請求項2に記載の近傍界電磁波吸収体において、前記線状痕付き金属薄膜同士が接着されていることを特徴とする近傍界電磁波吸収体。
【請求項4】
請求項1に記載の近傍界電磁波吸収体において、1枚のプラスチックフィルムと、前記プラスチックフィルムの両面に設けられた2層の線状痕付き金属薄膜とからなることを特徴とする近傍界電磁波吸収体。
【請求項5】
請求項1に記載の近傍界電磁波吸収体において、両金属薄膜の厚さが20~100 nmであることを特徴とする近傍界電磁波吸収体。
【請求項6】
請求項1に記載の近傍界電磁波吸収体において、両金属薄膜に形成された線状痕が二方向に配向しており、その交差角が30~90°であることを特徴とする近傍界電磁波吸収体。
【請求項7】
請求項1に記載の近傍界電磁波吸収体において、前記線状痕付き金属薄膜の一方の光透過率が2.5~4%であり、他方の光透過率が1~2.3%であることを特徴とする近傍界電磁波吸収体。
【請求項8】
請求項1に記載の近傍界電磁波吸収体において、両金属薄膜がアルミニウムからなることを特徴とする近傍界電磁波吸収体。
【請求項9】
請求項1~8のいずれかに記載の近傍界電磁波吸収体において、両金属薄膜に形成された線状痕の幅は0.1~100μmの範囲内にあって、平均2~50μmであり、前記線状痕の間隔は0.1~500μmの範囲内にあって、平均10~100μmであることを特徴とする近傍界電磁波吸収体。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、1 GHz未満乃至数GHzと広範な周波数範囲において高い伝導ノイズ吸収能及び放射ノイズ吸収能を有するだけでなく、放射ノイズが極大化する周波数が実質的にないためにグランドを接続することなく使用でき、かつ製品間にノイズ吸収能のバラツキが小さい近傍界電磁波吸収体に関する。
続きを表示(約 3,400 文字)【背景技術】
【0002】
各種の通信機器や電子機器において電子部品から放出された電磁波ノイズによる誤動作等を防止するために、種々の電磁波吸収体が実用化されている。このような状況下で、本発明者は、特許第4685977号(特許文献1)により、プラスチックフィルムと、その少なくとも一面に設けた単層又は多層の金属薄膜とを有し、前記金属薄膜に多数の実質的に平行で断続的な線状痕が不規則な幅及び間隔で複数方向に形成されていることを特徴とする電磁波吸収能の異方性が低減された線状痕付き金属薄膜-プラスチック複合フィルムを提案した。特許文献1は、複数枚の線状痕付き金属薄膜-プラスチック複合フィルムを直接又は誘電体層を介して積層すると、電磁波吸収能が向上すると記載している。しかし、特許文献1には線状痕の加工程度が異なる(従って、表面抵抗率が異なる)複数枚の線状痕付き金属薄膜-プラスチック複合フィルムを積層することについて、全く言及していない。
【0003】
同じ表面抵抗率をターゲットにして製造された異なるロットの金属薄膜-プラスチック複合フィルムを積層して近傍界電磁波吸収体を作製した場合、広範な周波数範囲にわたって良好な放射ノイズ吸収能を発揮できないものがあることが分った。これは、(a) 線状痕付き金属薄膜-プラスチック複合フィルムにおける金属薄膜が非常に薄いだけでなく、(b) 線状痕も非常に微細であるために、実際の製造条件に大きなバラツキが生じ、その結果ロット間で製品の性能のバラツキが大きくなるためであると推測される。
【0004】
特許第5203295号(特許文献2)は、プラスチックフィルムと、その少なくとも一面に設けた磁性金属薄膜とを有する磁性複合フィルム、及びプラスチックフィルムと、その少なくとも一面に設けた非磁性金属薄膜とを有する非磁性複合フィルムを積層してなり、前記磁性金属薄膜及び前記非磁性金属薄膜の少なくとも一方に、多数の実質的に平行で断続的な線状痕が不規則な長さ、幅及び間隔で少なくとも一方向に形成されており、前記線状痕は1~100μmの平均幅及び1~100μmの平均間隔を有し、前記線状痕の90%以上が0.1~1,000μmの範囲内の幅を有することを特徴とする電磁波吸収フィルムを開示している。特許文献2は、磁性金属薄膜の表面抵抗を1~377Ω/□とし、非磁性金属薄膜の表面抵抗を377~10,000Ω/□とした電磁波吸収フィルムは、近傍界における電磁波ノイズの吸収性に優れていると記載している。
【0005】
しかし、特許文献2の電磁波ノイズの吸収はいわゆる伝導ノイズの吸収であり、放射ノイズに関しては1 GHz未満乃至数GHzと広範な周波数範囲において極大化する周波数が存在することが分った。鋭意研究の結果、線状痕を形成した磁性複合フィルムの表面抵抗1~377Ω/□と線状痕を形成した非磁性複合フィルムの表面抵抗377~10,000Ω/□とのバランスが悪いために、広範な周波数範囲にわたって放射ノイズの極大化を防止することができないことが分った。具体的には、実施例1では線状痕を形成した磁性複合フィルムの表面抵抗は30Ω/□であるが、線状痕を形成した非磁性複合フィルムの表面抵抗は6,000Ω/□と大き過ぎた。そのため、この電磁波吸収フィルムを実用化する場合、極大化したノイズの放射を防止するために、グランド(GND)を接続する必要がある。
【0006】
WO 2012/090586号(特許文献3)は、プラスチックフィルムの一方の面に金属薄膜を形成してなる複数枚の電磁波吸収フィルムを接着してなる近傍界電磁波吸収体であって、少なくとも一枚の電磁波吸収フィルムの金属薄膜は磁性金属の薄膜層を有するだけでなく、少なくとも一枚の電磁波吸収フィルムの金属薄膜に不規則な幅及び間隔で実質的に平行な多数の断続的な線状痕が複数方向に形成されていることを特徴とする近傍界電磁波吸収体を開示している。特許文献3は、各電磁波吸収フィルムの金属薄膜が線状痕の形成後に50~1500Ω/□の範囲内の表面抵抗を有すると記載している。この近傍界電磁波吸収体も1 GHz未満乃至数GHzと広範な周波数範囲の伝導ノイズ吸収能に優れている。しかし、放射ノイズに関しては、極大化する周波数が存在することが分った。従って、特許文献2と同様に、この近傍界電磁波吸収体を実用化する場合、極大化したノイズの放射を防止するために、グランド(GND)を接続する必要がある。
【0007】
特許第5559668号(特許文献4)は、電磁波反射体の前に複数枚の電磁波吸収フィルムを誘電体を介して積層してなる電磁波吸収体であって、各電磁波吸収フィルムはプラスチックフィルムの一方の面に導電体層を形成してなり、各電磁波吸収フィルムの導電体層は100~1000Ω/□の範囲内の表面抵抗を有し、最前の電磁波吸収フィルムの導電体層の表面抵抗はその次の電磁波吸収フィルムの導電体層の表面抵抗より100Ω/□以上大きく、(a) 前記電磁波吸収フィルムが2枚の場合、第一の電磁波吸収フィルムと第二の電磁波吸収フィルムとの間隔と、前記第二の電磁波吸収フィルムと前記電磁波反射体との間隔との比が100:30~80:70であり、(b) 前記電磁波吸収フィルムが3枚以上の場合、第一の電磁波吸収フィルムと第二の電磁波吸収フィルムとの間隔と、前記第二の電磁波吸収フィルムと第三の電磁波吸収フィルムとの間隔との比が100:30~80:70であり、前記電磁波吸収フィルムのプラスチックフィルム側に不規則な幅及び間隔で実質的に平行な多数の断続的な線状痕が複数方向に形成されており、前記線状痕の幅は90%以上が0.1~100μmの範囲内にあって、平均1~50μmであり、前記線状痕の間隔は0.1~200μmの範囲内にあって、平均1~100μmであることを特徴とする電磁波吸収体を開示している。特許文献4は、最前の電磁波吸収フィルムの導電体層の表面抵抗がその次の電磁波吸収フィルムの導電体層の表面抵抗より100Ω/□以上大きいので、単に同じ表面抵抗の複数枚の電磁波吸収フィルムを積層した場合と比較して著しく高い電磁波吸収能を有するだけでなく、電磁波吸収能の異方性が低下すると記載している。しかし、この電磁波吸収体は電磁波反射体(アルミニウム板)の前に複数枚の電磁波吸収フィルムを誘電体を介して積層した構造を有するので、ETC,FRID等の用途に適するが、電子部品等に貼付する近傍界電磁波吸収体として利用することができない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
特許第4685977号公報
特許第5203295号公報
WO 2012/090586号公報
特許第5559668号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従って本発明の目的は、1 GHz未満乃至数GHzと広範な周波数範囲において高い伝導ノイズ吸収能及び放射ノイズ吸収能も有し、かつ放射ノイズが極大化する周波数が実質的にないためにグランドを接続することなく使用でき、かつ製品間にノイズ吸収能のバラツキが小さい近傍界電磁波吸収体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的に鑑み鋭意研究の結果、本発明者は、実質的に平行な多数の断続的な線状痕が不規則な幅及び間隔で複数方向に形成されている2層の金属薄膜を有する近傍界電磁波吸収体において、一方の線状痕付き金属薄膜の表面抵抗率を150~500Ω/□と比較的大きくし、他方の線状痕付き金属薄膜の表面抵抗率を10~100Ω/□と比較的小さくすると、1 GHz未満乃至数GHzと広範な周波数範囲において高い伝導ノイズ吸収能及び放射ノイズ吸収能を有するだけでなく、放射ノイズが極大化する周波数が実質的にないためにグランドを接続することなく使用でき、かつ製品間にノイズ吸収能のバラツキが小さくなるために、優れたノイズ吸収能、特に優れた放射ノイズ吸収能を安定的に得ることができることを発見し、本発明に想到した。
(【0011】以降は省略されています)

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