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公開番号2025179272
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-12-10
出願番号2022159856
出願日2022-10-03
発明の名称水性分散液、及び水性分散液を用いた積層体の製造方法
出願人AGC株式会社
代理人個人,個人
主分類C08L 27/18 20060101AFI20251203BHJP(有機高分子化合物;その製造または化学的加工;それに基づく組成物)
要約【課題】耐熱性、電気特性(低線膨張係数、低誘電率、低誘電正接及び低伝送損失)等の物性に優れ、その膜厚や組成の均一性に優れレーザー加工性に優れる成形物を形成できる、取扱い性に優れ、また長期保管後の再分散性に優れる、テトラフルオロエチレン系ポリマーを含む水系組成物を提供する。
【解決手段】テトラフルオロエチレン系ポリマーの粒子と、ポリアミック酸と、水溶性ポリオールと、水と、を含み、前記テトラフルオロエチレン系ポリマーの粒子の含有量が30質量%以上である、水系組成物。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
テトラフルオロエチレン系ポリマーの粒子と、ポリアミック酸と、水溶性ポリオールと、水と、を含み、前記テトラフルオロエチレン系ポリマーの粒子の含有量が30質量%以上である、水系組成物。
続きを表示(約 870 文字)【請求項2】
前記テトラフルオロエチレン系ポリマーが熱溶融性であり、酸素含有極性基を含有するテトラフルオロエチレン系ポリマーである、請求項1に記載の水系組成物。
【請求項3】
前記テトラフルオロエチレン系ポリマーの粒子の平均粒子径が1μm以上10μm未満である、請求項1に記載の水系組成物。
【請求項4】
前記ポリアミック酸が水溶性である、請求項1に記載の水系組成物。
【請求項5】
前記ポリアミック酸が、テトラカルボン酸又はテトラカルボン酸無水物と、25℃の水に対する溶解性が50g/L以上のジアミンとの反応生成物である、請求項4に記載の水系組成物。
【請求項6】
前記25℃の水に対する溶解性が50g/L以上のジアミンが、ダイマージアミンである、請求項5に記載の水系組成物。
【請求項7】
前記水溶性ポリオールが、ビニルアルコール系高分子及びセルロースエーテルからなる群から選択されるポリマーである、請求項1に記載の水系組成物。
【請求項8】
前記水溶性ポリオールが、親水部位として水酸基及びポリオキシアルキレン構造を、疎水部位としてポリジメチルシロキサン構造を有する、ポリオキシアルキレン変性ジメチルシロキサンである、請求項1に記載の水系組成物。
【請求項9】
前記水溶性ポリオールとして、ビニルアルコール系高分子及びセルロースエーテルからなる群から選択されるポリマー、及び、親水部位として水酸基及びポリオキシアルキレン構造を、疎水部位としてポリジメチルシロキサン構造を有する、ポリオキシアルキレン変性ジメチルシロキサンを用いる、請求項1に記載の水系組成物。
【請求項10】
前記テトラフルオロエチレン系ポリマーの粒子及び前記ポリアミック酸の合計量に対する、前記テトラフルオロエチレン系ポリマーの粒子の含有量が80質量%超である、請求項1に記載の水系組成物。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、テトラフルオロエチレン系ポリマーの粒子を含む水性分散液、及び該水性分散液を用いた積層体の製造方法に関する。
続きを表示(約 4,400 文字)【背景技術】
【0002】
近年、通信機器における高速化、高周波化に対応するため、通信機器のプリント基板の絶縁層材料として低誘電率かつ低誘電正接であるテトラフルオロエチレン系ポリマーが注目されている。かかるポリマーを含む絶縁層を形成する材料として、テトラフルオロエチレン系ポリマーの粒子を含む分散液が知られている。
一般に、テトラフルオロエチレン系ポリマーの粒子を含む水性分散液は、それを使用する際に要する設備の汎用性や、塗工等の対象となる基材の選択性が高い反面、その液物性は不充分である場合が多く、液物性の改良が検討されている。特許文献1には、テトラフルオロエチレン系ポリマーの粒子及び水性ポリイミド前駆体を含む水性組成物が開示され、銅張積層板用途等に適用可能とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
特開2016-020488号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
テトラフルオロエチレン系ポリマーの粒子は水中での分散性が低い。テトラフルオロエチレン系ポリマーの物性をより発現させるべく、特許文献1の水性組成物においてテトラフルオロエチレン系ポリマーの粒子の含有量を増やしたり、水性ポリイミド前駆体に対するテトラフルオロエチレン系ポリマーの粒子の含有比率を高めた場合、その液物性が低下し、特に長期保存後の再分散性が著しく低下してしまうことを、本発明者は知見した。すなわち、経時に伴い液中に組成ムラが生じやすく、それから形成されるポリマー層等の成形物の膜厚や組成が不均一となりやすいという課題がある。
【0005】
本発明者らは、テトラフルオロエチレン系ポリマーとポリアミック酸と特定成分と水とを含む組成物は、テトラフルオロエチレン系ポリマーの粒子の含有量を増やしても取扱いやすく、長期保管後の再分散性にも優れることを知見した。また、かかる組成物から形成されるポリマー層等の成形物は、テトラフルオロエチレン系ポリマーに基づく耐熱性、電気特性(低線膨張係数、低誘電率、低誘電正接及び低伝送損失)等の物性に優れ、膜厚や成形物内の組成の均一性に優れレーザー加工性に優れることを見出し、本発明に至った。
本発明の目的は、耐熱性、電気特性(低線膨張係数、低誘電率、低誘電正接及び低伝送損失)等の物性に優れ、その膜厚や組成の均一性に優れレーザー加工性に優れる成形物を形成できる、取扱い性に優れ、また長期保管後の再分散性に優れる水系組成物の提供である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、下記の態様を有する。
[1] テトラフルオロエチレン系ポリマーの粒子と、ポリアミック酸と、水溶性ポリオールと、水と、を含み、前記テトラフルオロエチレン系ポリマーの粒子の含有量が30質量%以上である、水系組成物。
[2] 前記テトラフルオロエチレン系ポリマーが熱溶融性であり、酸素含有極性基を含有するテトラフルオロエチレン系ポリマーである、[1]の水系組成物。
[3] 前記テトラフルオロエチレン系ポリマーの粒子の平均粒子径が1μm以上10μm未満である、[1]又は[2]の水系組成物。
[4] 前記ポリアミック酸が水溶性である、[1]~[3]のいずれかの水系組成物。
[5] 前記ポリアミック酸が、テトラカルボン酸又はテトラカルボン酸無水物と、25℃の水に対する溶解性が50g/L以上のジアミンとの反応生成物である、[4]の水系組成物。
[6] 前記25℃の水に対する溶解性が50g/L以上のジアミンが、ダイマージアミンである、[5]の水系組成物。
[7] 前記水溶性ポリオールが、ビニルアルコール系高分子及びセルロースエーテルからなる群から選択されるポリマーである、[1]~[6]のいずれかの水系組成物。
[8] 前記水溶性ポリオールが、親水部位として水酸基及びポリオキシアルキレン構造を、疎水部位としてポリジメチルシロキサン構造を有する、ポリオキシアルキレン変性ジメチルシロキサンである、[1]~[6]のいずれかの水系組成物。
[9] 前記水溶性ポリオールとして、ビニルアルコール系高分子及びセルロースエーテルからなる群から選択されるポリマー、及び、親水部位として水酸基及びポリオキシアルキレン構造を、疎水部位としてポリジメチルシロキサン構造を有する、ポリオキシアルキレン変性ジメチルシロキサンを用いる、[1]~[6]のいずれかの水系組成物。
[10] 前記テトラフルオロエチレン系ポリマーの粒子及び前記ポリアミック酸の合計量に対する、前記テトラフルオロエチレン系ポリマーの粒子の含有量が80質量%超である、[1]~[9]のいずれかの水系組成物。
[11] 前記水溶性ポリオールの含有量が、前記テトラフルオロエチレン系ポリマーの粒子に対して1~15質量%である、[1]~[10]のいずれかの水系組成物。
[12] 粘度が10~10000mPa・sである、[1]~[11]のいずれかの水系組成物。
[13] [1]~[12]のいずれかの水系組成物を基材の表面に配置し加熱して、前記テトラフルオロエチレン系ポリマーを含むポリマー層を形成し、前記基材で構成される基材層と前記ポリマー層とをこの順で有する積層体を得る、積層体の製造方法。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、取扱い性に優れ、また長期保管後の再分散性に優れる水系組成物が提供できる。かかる水系組成物からは、テトラフルオロエチレン系ポリマーに基づく耐熱性、電気特性(低線膨張係数、低誘電率、低誘電正接及び低伝送損失)等の物性に優れ、その膜厚や成形物内の組成の均一性に優れレーザー加工性に優れる、塗膜(ポリマー層)等の成形物を形成できる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下の用語は、以下の意味を有する。
「平均粒子径(D50)」は、レーザー回折・散乱法によって求められる、粒子又はフィラーの体積基準累積50%径である。すなわち、レーザー回折・散乱法によって粒度分布を測定し、粒子の集団の全体積を100%として累積カーブを求め、その累積カーブ上で累積体積が50%となる点の粒子径である。
粒子又はフィラーのD50は、粒子を水中に分散させ、レーザー回折・散乱式の粒度分布測定装置(堀場製作所社製、LA-920測定器)を用いたレーザー回折・散乱法により分析して求められる。
「平均粒子径(D90)」は、D50と同様にして求められる、粒子の体積基準累積90%径である。
粒子又はフィラーの比表面積は、ガス吸着(定容法)BET多点法で粒子を測定し算出される値であり、NOVA4200e(Quantachrome Instruments社製)を使用して求められる。
「溶融温度」は、示差走査熱量測定(DSC)法で測定したポリマーの融解ピークの最大値に対応する温度である。
「ガラス転移点(Tg)」は、動的粘弾性測定(DMA)法でポリマーを分析して測定される値である。
「粘度」は、B型粘度計を用いて、25℃で回転数が30rpmの条件下で分散液を測定して求められる。測定を3回繰り返し、3回分の測定値の平均値とする。
「チキソ比」とは、分散液の、回転数が30rpmの条件で測定される粘度η

を、回転数が60rpmの条件で測定される粘度η

で除して算出される値である。それぞれの粘度の測定は、3回繰り返し、3回分の測定値の平均値とする。
溶媒又は溶液の「表面張力」は、表面張力計を用い、25℃にてウィルヘルミー法で測定した値である。
ポリマーにおける「単位」とは、モノマーの重合により形成された前記モノマーに基づく原子団を意味する。単位は、重合反応によって直接形成された単位であってもよく、ポリマーを処理することによって前記単位の一部が別の構造に変換された単位であってもよい。以下、モノマーaに基づく単位を、単に「モノマーa単位」とも記す。
【0009】
本発明の水系組成物(以下、「本組成物」とも記す。)は、テトラフルオロエチレン系ポリマー(以下、「Fポリマー」とも記す。)の粒子(以下、「F粒子」とも記す。)と、ポリアミック酸と、水溶性ポリオールと、水と、を含み、F粒子の含有量が30質量%以上である。
本組成物は取扱い性に優れ、また長期保管後の再分散性に優れる。そのため、本組成物から形成される塗膜(ポリマー層)等の成形物は、その膜厚や成形物内の組成の均一性に優れレーザー加工性に優れ、テトラフルオロエチレン系ポリマーに基づく耐熱性、電気特性(低線膨張係数、低誘電率、低誘電正接及び低伝送損失)等の物性に優れる。
本組成物が取扱い性に優れ、また長期保管後の再分散性に優れる理由は必ずしも明確ではないが、以下の様に考えられる。
【0010】
特許文献1のような水性分散液において、F粒子と水性ポリイミド前駆体(ポリアミック酸)との間には相互作用が生じており、凝集が抑制された状態にあると考えられる。しかしながら、かかる状態は、経時により、また、水性分散液中のF粒子の含有割合や、F粒子と水性ポリイミド前駆体との存在比によっても変化しやすい。また、F粒子の含有割合が高い場合は、F粒子の焼成物(加工物)を形成するに際し、F粒子の流動性が阻害されやすく、F粒子のパッキング状態が不良になり、成形物の物性を低下させやすい。
本組成物においては、水溶性ポリオールがF粒子及びポリアミック酸の両者と相互作用し、F粒子及びポリアミック酸の緩やかな相互作用を維持していると考えられる。そのため、本組成物は取扱いやすく、またF粒子の含有量が高い場合も凝集が抑制され、長期保存後の再分散が容易であると考えられる。したがって、塗工後の塗膜形成において、その膜厚や組成の均一性、レーザー加工性にも優れ、本組成物から形成されるポリマー層等の成形物中の物性を向上できたと考えられる。
かかる作用機構は、本組成物を構成するF粒子が、熱溶融性であり酸素含有極性基を有するFポリマーからなる粒子である場合に、より顕著となりやすい。
(【0011】以降は省略されています)

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