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公開番号2025172219
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-11-20
出願番号2025156576,2024575004
出願日2025-09-19,2024-02-01
発明の名称窒化珪素質焼結体、ベアリング用転動体、窒化珪素質素球、及びベアリング
出願人AGC株式会社,株式会社燃焼合成
代理人弁理士法人太陽国際特許事務所
主分類C04B 35/596 20060101AFI20251113BHJP(セメント;コンクリート;人造石;セラミックス;耐火物)
要約【課題】加工性が良好な窒化珪素質焼結体、窒化珪素質素球、及びベアリング用転動体、並びにこれを用いるベアリングを提供する。
【解決手段】Mg、Ca及びYからなる群より選択される少なくとも1種の金属Mの総含有率が0.2~8.0質量%、Alの含有率が4.0~12.0質量%、Oの含有率が4.0~12.0質量%であり、破壊靭性値が5.0~10.0MPa・m1/2である、窒化珪素質焼結体。
【選択図】図2
特許請求の範囲【請求項1】
Mg、Ca及びYからなる群より選択される少なくとも1種の金属Mの総含有率が0.2~8.0質量%、Alの含有率が4.0~12.0質量%、Oの含有率が4.0~12.0質量%であり、破壊靭性値が5.0~10.0MPa・m
1/2
である、窒化珪素質焼結体。
続きを表示(約 820 文字)【請求項2】
母相と粒界相とを有し、前記粒界相における前記金属Mの総含有率が、2.0~40.0質量%である、請求項1に記載の窒化珪素質焼結体。
【請求項3】
前記母相における前記金属Mの総含有率が、2.0~10質量%である、請求項2に記載の窒化珪素質焼結体。
【請求項4】
前記金属MがCaである、請求項1又は2に記載の窒化珪素質焼結体。
【請求項5】
固溶体状のSiAlONである、請求項1又は2に記載の窒化珪素質焼結体。
【請求項6】
ラマン分光スペクトルにおいて、177~197cm
-1
におけるピーク強度の最小値に対する、170~190cm
-1
におけるピーク強度の最大値の比が、1.0~3.0である、請求項1又は2に記載の窒化珪素質焼結体。
【請求項7】
ラマン分光スペクトルにおいて、185~210cm
-1
にあるβ相に帰属するピークが、187~199cm
-1
の間に存在する、請求項1又は2に記載の窒化珪素質焼結体。
【請求項8】
熱伝導率が5~15W/(m・K)である、請求項1又は2に記載の窒化珪素質焼結体。
【請求項9】
密度が、3.10~3.20g/cm

である、請求項1又は2に記載の窒化珪素質焼結体。
【請求項10】
X線回折スペクトルにおけるα相(210)、α相(201)、β相(101)、及びβ相(120)に相当するそれぞれのピークの高さから求める、(β(101)+β(120))/(α(210)+α(201)+β(101)+β(120))×100で表されるβ相の割合が、5~100%である、請求項1又は2に記載の窒化珪素質焼結体。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、窒化珪素質焼結体、ベアリング用転動体、窒化珪素質素球、及びベアリングに関する。
続きを表示(約 3,800 文字)【背景技術】
【0002】
窒化珪素焼結体は、機械的強度及び耐摩耗性に優れるため、耐摩耗性部材、ガスタービン翼、エンジン部品などに用いられている。なかでも高い耐摩耗性が要求されるベアリング部材に用いる窒化珪素焼結体としては、例えば、原料としての窒化珪素にY



、Al



等を焼結助剤として添加して焼成し、粒界相を生成させて、焼結体の緻密化及び高強度化を図っている。このように緻密な焼結体を得るには、Y



などの希土類元素を含む焼結助剤を使用している。
【0003】
また、焼結助剤としてAlNを添加して、SiAlONと呼ばれる窒化珪素の固溶体を形成させ耐摩耗性を高めることも行われている。しかしながら、AlNは耐水性が低いため、この方法では水ではなく有機溶媒を用いてスラリーを調製し造粒することから、コストが高くなり、SiAlONの生成量も少ない。
【0004】
そこで、燃焼合成法により合成されたβSiAlONを原料として用い、これを焼結させることが提案されている。例えば、特許文献1には、燃焼合成法により合成されたβSiAlON粉末に焼結助剤として酸化アルミニウム及び酸化イットリウムを添加して一段焼結処理してなり、最大ポアサイズ、接触面積率、及び結晶粒子の平均粒径を特定の範囲とする窒化ケイ素質焼結体が開示されている。得られる窒化ケイ素質焼結体は、結晶粒径が小さくて破壊の基点となる欠陥が殆ど存在せず、一段の加熱処理で製造されると特許文献1に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
特開2009-12985号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、先行文献1に記載の窒化ケイ素質焼結体は、破壊靭性が低く、これは、βSiAlON粉末を用いるため液相焼結時にα相からβ相に転移するとき母相同士の絡み合い構造が少ないためと考えられる。
窒化珪素質焼結体は、電気自動車など適用分野が拡大しており、特にベアリング用転動体向けは、素球から精密球に加工する際の加工代の低減が求められている。そこで、本開示の一実施形態では、欠陥の少ない窒化珪素質焼結体、及びベアリング用転動体、並びにこれを用いるベアリングの提供を目的とする。本開示の他の一実施形態では、加工性が良好な窒化珪素質焼結体、窒化珪素質素球、及びベアリング用転動体、並びにこれを用いるベアリングの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を達成するための具体的手段は以下の通りである。
<1> Mg、Ca及びYからなる群より選択される少なくとも1種の金属Mの総含有率が0.2~8.0質量%、Alの含有率が4.0~12.0質量%、Oの含有率が4.0~12.0質量%であり、破壊靭性値が5.0~10.0MPa・m
1/2
である、窒化珪素質焼結体。
<2> 母相と粒界相とを有し、前記粒界相における前記金属Mの総含有率が、2.0~40.0質量%である、<1>に記載の窒化珪素質焼結体。
<3> 前記母相における前記金属Mの総含有率が、2.0~10質量%である、<2>に記載の窒化珪素質焼結体。
<4> 前記金属MがCaである、<1>~<3>のいずれか1つに記載の窒化珪素質焼結体。
<5> 固溶体状のSiAlONである、<1>~<4>のいずれか1つに記載の窒化珪素質焼結体。
<6> ラマン分光スペクトルにおいて、177~197cm
-1
におけるピーク強度の最小値に対する、170~190cm
-1
におけるピーク強度の最大値の比が、1~2.5である、<1>~<5>のいずれか1つに記載の窒化珪素質焼結体。
<7> ラマン分光スペクトルにおいて、185~210cm
-1
にあるβ相に帰属するピークが、187~199cm
-1
の間に存在する、<1>~<6>のいずれか1つに記載の窒化珪素質焼結体。
<8> 熱伝導率が5~15W/(m・K)である、<1>~<7>のいずれか1つに記載の窒化珪素質焼結体。
<9> 密度が、3.10~3.20g/cm

である、<1>~<8>のいずれか1つに記載の窒化珪素質焼結体。
<10> X線回折スペクトルにおけるα相(210)、α相(201)、β相(101)、及びβ相(120)に相当するそれぞれのピークの高さから求める、(β(101)+β(120))/(α(210)+α(201)+β(101)+β(120))×100で表されるβ相の割合が、5~100%である、<1>~<9>のいずれか1つに記載の窒化珪素質焼結体。
<11> 前記窒化珪素質焼結体の断面の単位面積5mm×5mmの領域について光学顕微鏡により10~200倍の明視野で観察したときに、長径が10μm以上のポアが確認されない、<1>~<10>のいずれか1つに記載の窒化珪素質焼結体。
<12> 前記窒化珪素質焼結体の断面の単位面積5mm×5mmの領域について光学顕微鏡により10~200倍の暗視野で観察したときに、長径が25μm以上のスノーフレークが確認されない、<1>~<11>のいずれか1つに記載の窒化珪素質焼結体。
<13> 前記窒化珪素質焼結体の断面において焼結体表面から内側に250μm以内の領域を光学顕微鏡により10~200倍の暗視野で観察したときに、長径が50μm以上のスノーフレークが確認されない、<1>~<12>のいずれか1つに記載の窒化珪素質焼結体。
<14> 耐摩耗性部材用である、<1>~<13>のいずれか1つに記載の窒化珪素質焼結体。
<15> <1>~<14>のいずれか1つに記載の窒化珪素質焼結体から構成され、直径の最大値と最小値との差が100μm以下で、帯状の凸部高さが50μm以下の球体である窒化珪素質素球。
<16> <1>~<14>のいずれか1つに記載の窒化珪素質焼結体の鏡面加工物で構成される、ベアリング用転動体。
<17> <16>に記載のベアリング用転動体を備えるベアリング。
<18> 電気自動車用である、<17>に記載のベアリング。
【発明の効果】
【0008】
本開示の一実施形態によれば、欠陥の少ない窒化珪素質焼結体、窒化珪素質素球、及びベアリング用転動体、並びにこれを用いるベアリングが提供される。本開示の他の一実施形態によれば、加工性が良好な窒化珪素質焼結体、窒化珪素質素球、及びベアリング用転動体、並びにこれを用いるベアリングが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
原料組成物を球状に金型成形した場合の、凸部を有する成形物の概略図である。
(A)は例2の球体の窒化珪素質焼結体断面、(B)は例6の球体の窒化珪素質焼結体断面であり、それぞれ鏡面加工してから球体の表面近傍の断面を10倍の光学顕微鏡で観察した像(暗視野)である。
(A)は例2の窒化珪素質焼結体の断面、(B)は例6の窒化珪素質焼結体の断面であり、それぞれ鏡面加工してから25000倍の走査型電子顕微鏡で観察した像である。
例2の窒化珪素質焼結体のXRD測定スペクトルである。
(A)は例2、(B)は例6の窒化珪素質焼結体のラマン分光スペクトルである。
例6、例11、例15、例18、及び例26の窒化珪素質焼結体のラマン分光スペクトルである。
カロテストを説明する図である。
スラスト転動試験装置の概略図である。
スラスト転動試験後の例15及び例28の窒化珪素質焼結体の表面をレーザー顕微鏡で観察した像である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本開示に係る実施形態について詳細に説明する。但し、本開示は以下の実施形態に限定されるものではない。
本開示において数値範囲を示す「~」とは、その前後に記載された数値を下限値及び上限値として含む意味で使用される。特段の定めがない限り、以下本開示において「~」は、同様の意味で使用される。
本開示中に段階的に記載されている数値範囲において、一つの数値範囲で記載された上限値又は下限値は、他の段階的な記載の数値範囲の上限値又は下限値に置き換えてもよい。また、本開示中に記載されている数値範囲において、その数値範囲の上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。
本開示において図面を参照して実施形態を説明する場合、当該実施形態の構成は図面に示された構成に限定されない。また、各図における部材の大きさは概念的なものであり、部材間の大きさの相対的な関係はこれに限定されない。
(【0011】以降は省略されています)

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