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公開番号2025176682
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-12-04
出願番号2025060713
出願日2025-04-01
発明の名称テレフタル酸と1,4-ブタンジオールの組成物とそれを用いたポリブチレンテレフタレートの製造方法
出願人三菱ケミカル株式会社
代理人個人,個人
主分類C08G 63/78 20060101AFI20251127BHJP(有機高分子化合物;その製造または化学的加工;それに基づく組成物)
要約【課題】テレフタル酸と1,4-ブタンジオールを含む組成物であって、この組成物を用いてエステル化反応によりポリブチレンテレフタレートを製造する際、エステル化反応槽内の発泡を抑制することができ、かつ優れた反応性でエステル化反応を行うことができる組成物と、この組成物を用いたポリブチレンテレフタレートの製造方法を提供する。
【解決手段】テレフタル酸と1,4-ブタンジオールを含む組成物であって、該テレフタル酸は、クリプトン吸着法で測定したBET比表面積が1,000cm2/g以上、3,500cm2/g以下であり、かつASTM D1921-06に準拠して篩法で測定し、ISO 9276-2:2014に準拠して計算して求めた平均粒径D50が30μm以上、300μm以下の粒子の形態であることを特徴とする組成物。この組成物を使用するポリブチレンテレフタレートの製造方法。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
テレフタル酸と1,4-ブタンジオールを含む組成物であって、
該テレフタル酸は、クリプトン吸着法で測定したBET比表面積が1,000cm

/g以上、3,500cm

/g以下であり、かつASTM D1921-06に準拠して篩法で測定し、ISO 9276-2:2014に準拠して計算して求めた平均粒径D
50
が30μm以上、300μm以下の粒子の形態であることを特徴とする組成物。
続きを表示(約 340 文字)【請求項2】
前記1,4-ブタンジオールが糖の直接醗酵により製造された1,4-ブタンジオール、バイオマス資源を用いて製造されたコハク酸又はコハク酸誘導体を水素還元することにより製造された1,4-ブタンジオール、及び1,4-ブタンジオールを原料に使用するポリエステルの解重合により製造された1,4-ブタンジオールのいずれかを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記テレフタル酸が、ポリエステルのケミカルリサイクルで製造されたテレフタル酸、及びバイオマス資源を用いて製造されたテレフタル酸のいずれかを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1項に記載の組成物を使用するポリブチレンテレフタレートの製造方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、テレフタル酸(以下「TPA」と略記することがある)と1,4-ブタンジオール(以下「BDO」と略記することがある)を含む組成物に関する。本発明はまた、この組成物を用いたエステル化反応時の発泡抑制に優れ、かつエステル化反応性に優れたポリブチレンテレフタレート(以下「PBT」と略記することがある)の製造方法に関する。
続きを表示(約 2,400 文字)【背景技術】
【0002】
ジカルボン酸成分の主成分としてテレフタル酸(TPA)を用い、ジオール成分の主成分として1,4-ブタンジオール(BDO)を用いたポリブチレンテレフタレート(PBT)は、優れた機械特性、耐熱性、成形性及びリサイクル性を有し、機械強度も高く耐薬品性にも優れていることから、自動車や電気・電子機器のコネクター、リレー及びスイッチなどの工業用成形品の材料として広く使用されている。PBTは、更には、フィルム、シート、繊維(フィラメント)などにも広く利用されており、これに伴い、高品質で生産性に優れたPBTとその製造方法が求められている。
【0003】
PBTの製造方法は、ジカルボン酸成分としてジメチルテレフタレートを原料とするエステル交換法と、テレフタル酸を原料とする直接重合法とに大別される。
エステル交換法は、反応の副生物として発生するメタノール(沸点65℃)とテトラヒドロフラン(以下「THF」と略記することがある)(沸点66℃)の沸点が近いために、回収後の蒸留分離が困難であるという欠点を有している。
【0004】
一方、直接重合法は、メタノールの発生もなく、原料原単位もエステル交換法に比べて良好なことから、注目されつつある。
直接重合法においては、テレフタル酸を主成分とするジカルボン酸と1,4-ブタンジオールを主成分とするジオールとのエステル化反応で生成する水と、BDOから副生するテトラヒドロフラン(以下「THF」と略記することがある)とを系外へ留出させながら反応を進行させる。この反応において、エステル化反応槽内に連続的に供給される粒子状のテレフタル酸が沸騰石のような挙動を発現し、水とTHFが沸騰する状況において、激しく発泡する。
この発泡が激しい場合には、エステル化反応槽の液面を下げる必要があり、液面を上げて槽内滞留時間を長くする運転、即ち、生産量を上げる運転を行うことができない。あるいは、発泡により反応生成物であるオリゴマーを移送するポンプがキャビテーションを起こして吐出能力が低下し、所定量の移送ができないなどの不具合が発生し、著しい場合には連続的な生産が継続できなくなる。
【0005】
更に、直接重合法によるポリブチレンテレフタレートの製造に際しては、テレフタル酸は溶融せずにBDOと固液の状態でエステル化反応が進行する。即ち、ポリブチレンテレフタレート製造のエステル化反応は、固液反応であるため、反応速度は一般的に遅く、更なる改善技術が求められている。
反応温度を上げることでエステル化反応の反応速度を上げることができるが、この場合には、BDOのTHF化反応が同時に進行することとなり、THFの生成量が多く、現実的ではない。
【0006】
このようなことから、直接重合法によるPBTの製造においては、エステル化反応時の発泡抑制とエステル化反応の反応性を高める技術の開発が望まれている。
【0007】
なお、特許文献1及び特許文献2には、テレフタル酸の比表面積と粒径の記載があるもののエステル化反応時の発泡抑制やエステル化反応性に関する記載はない。
また、特許文献1及び特許文献2に記載の比表面積と粒径は、いずれも本発明の範囲外である。
【0008】
前述の通り、PBTの製造方法のうち、直接重合法では、PBTは、テレフタル酸を主成分として含むジカルボン酸成分と、BDOを主成分として含むジオール成分とを用いて製造される。
BDOの製造方法については、近年、従来の石油などの化石燃料を原料とする(本発明においては、「石化由来」と称す。)BDOの製造方法以外にも、バイオマス資源を原料とするバイオマス資源由来(本発明においては、「バイオマス由来」と称す。)のBDOの製造方法も開発されている。例えば、糖の発酵法により得たコハク酸を水添してBDOを得る方法(例えば、特許文献3)や、糖などのバイオマス資源を発酵して直接BDOを得る方法(例えば、特許文献4)が知られている。また、ケミカルリサイクル法によりポリブチレンテレフタレートを解重合して製造したケミカルリサイクルBDOも提案されている(例えば、特許文献5)。
【0009】
また、テレフタル酸についても、近年、従来の石油などの化石燃料を原料とする石化由来テレフタル酸の製造方法以外にも、バイオマス資源を原料として、バイオマス由来テレフタル酸を製造する方法も開発されている。例えば、再生可能な炭素源からイソブタノールを取得し、イソブタノールの脱水二量化によるパラキシレンの酸化によりテレフタル酸を取得する方法が提案されている(例えば、特許文献6)。また、ケミカルリサイクル法によりポリエチレンテレフタレートを解重合して製造したテレフタル酸ジメチルを製造する方法も提案されており(例えば、特許文献5,7)、製造されたケミカルリサイクルテレフタル酸ジメチルを加水分解することでケミカルリサイクルテレフタル酸を製造することができる。
【0010】
しかし、従来法では、バイオマス由来1,4-ブタンジオールやケミカルリサイクル1,4-ブタンジオール、或いはバイオマス由来テレフタル酸やケミカルリサイクル由来テレフタル酸をスラリーとして使用することや、バイオマス由来1,4-ブタンジオールやケミカルリサイクル1,4-ブタンジオール、或いはバイオマス由来テレフタル酸やケミカルリサイクルテレフタル酸を用いた原料スラリーを用いてポリブチレンテレフタレートを製造する際の当該原料スラリーにおける課題に関する検討はなされていない。
(【0011】以降は省略されています)

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