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公開番号2025152889
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-10-10
出願番号2024055062
出願日2024-03-28
発明の名称ポリエチレン微多孔膜、及び、医療用デバイス
出願人帝人株式会社
代理人弁理士法人太陽国際特許事務所
主分類C08J 9/00 20060101AFI20251002BHJP(有機高分子化合物;その製造または化学的加工;それに基づく組成物)
要約【課題】作業性に優れ、縫合のような手段によって固定された箇所での液体の漏れが抑制されるポリエチレン微多孔膜の提供。
【解決手段】ポリエチレン微多孔膜は、ポリエチレンを含むものであって、前記ポリエチレン微多孔膜の縦方向(MD)における縫合保持強度(SMD)が1.5N以上であり、前記ポリエチレン微多孔膜の横方向(TD)における縫合保持強度(STD)が1.5N以上であり、前記縫合保持強度(STD)の前記縫合保持強度(SMD)に対する比(STD/SMD)が、0.8~1.2であるものである。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
ポリエチレンを含むポリエチレン微多孔膜であって、
前記ポリエチレン微多孔膜の縦方向(MD)における縫合保持強度(S
MD
)が1.5N以上であり、
前記ポリエチレン微多孔膜の横方向(TD)における縫合保持強度(S
TD
)が1.5N以上であり、
前記縫合保持強度(S
TD
)の前記縫合保持強度(S
MD
)に対する比(S
TD
/S
MD
)が、0.8~1.2であるポリエチレン微多孔膜。
続きを表示(約 430 文字)【請求項2】
前記ポリエチレン微多孔膜の空隙率をε(%)とし、前記ポリエチレン微多孔膜の膜厚をt(μm)としたときに、下記式(A)で表されるパラメータAが、60を超える請求項1に記載のポリエチレン微多孔膜。
A=(2-ε/50)
1.5
×t 式(A)
【請求項3】
重量平均分子量が300万~600万の超高分子量ポリエチレンの前記ポリエチレンに占める割合が、50質量%以下である請求項1に記載のポリエチレン微多孔膜。
【請求項4】
前記ポリエチレン微多孔膜の空隙率ε(%)が、35%~90%である請求項1に記載のポリエチレン微多孔膜。
【請求項5】
前記ポリエチレン微多孔膜の膜厚t(μm)が、40μm~300μmである請求項1に記載のポリエチレン微多孔膜。
【請求項6】
請求項1~請求項5のいずれか1項に記載のポリエチレン微多孔膜を含む医療用デバイス。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本開示は、ポリエチレン微多孔膜、及び、医療用デバイスに関する。
続きを表示(約 2,700 文字)【背景技術】
【0002】
医療分野において延伸ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)多孔膜は化学的な安定性、生体に対する無毒性、非分解性、抗血栓性などの特性を有しているため、生体内組織に直接触れる用途に最適な材料として知られている。また、延伸PTFE多孔膜は、様々な生体内の組織形状に合わせてその形状を柔軟に変化させることができるため、シート状や管状などの構造を有する多孔質体として、パッチ材や人工血管、カテーテル、人工軟骨代替材料などの医療用高分子材料として使用されている。例えば、特許文献1には、生体内埋植材料に用いられる二軸延伸PTFE多孔質膜が開示されている。
【0003】
ところで、近年、欧州PFAS規制に伴い少なくとも1つの完全にフッ素化されたメチル又はメチレン炭素原子(H/Cl/Br/I原子が結合していない)を含むフッ素化物質」が制限の対象となっている。埋め込み型医療機器(メッシュ、創傷治療製品、チューブ、カテーテルを除く)及び医療機器のチューブとカテーテルの用途・製品は猶予期間(13.5年)が設けられているものの報告対象となっており、早期代替製品での置き換えが望まれる。
【0004】
ポリオレフィン多孔膜、特に超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)多孔膜は、医療用デバイスの構成要素として生物医学的用途を含むさまざまなライフサイエンス用途に使用されうる(例えば、特許文献2参照)。このようなポリエチレン多孔膜は、透過性、機械的強度及び可撓性、生体適合性、並びに生物学的安定性を有することから、例えば血管グラフト、ステントカバー又はカテーテルバルーンのような血管用途などにおいて体内組織又は体液と接触する医療用途で使用するのに適した構成要素にもなりうる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
特開2005-314593号公報
特許第7343104号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
生体内埋植材料の分野では、縫合糸による縫着時に、どの方向でも糸に対する引裂強度が強いことが求められる。また、パッチ材では、膜面での物性が均質であることが要求されている。
特に生物医学的用途又は外科用途の場合、金属クランプ又は縫い付け(又は縫合)のような手段によって所定の位置又は別の構成要素に対して生体内埋植材料を固定する必要がある。クランプで固定された箇所又は縫合糸による縫い付けから生じる孔(針孔)は、応力集中を受ける部分及び/又は小さい欠陥となり、機械的負荷の下において多孔膜の引裂き及び早期破損を促進又は誘発し得る。使用中の多孔膜の引裂き及び早期破損を克服するために、縫合糸保持強度を改善することが非常に重要である。
しかしながら、特許文献2に記載のポリオレフィン多孔膜では、フィルム内の細孔がエラストマーにより部分的に充填されており、当該充填箇所の強度は高いものの、充填箇所以外の箇所で縫合を行った場合、十分な強度を得ることができない。そのため、多孔膜における強度の高くない箇所から引裂き及び早期破損が促進又は誘発され、多孔膜の破損部や針孔からの液体の漏れの発生を十分に防止できないことがある。
また、エラストマーの充填箇所と充填箇所以外の箇所との間で樹脂密度が異なるため、特許文献2に記載のポリオレフィン多孔膜は、異方的な強度を示す傾向にある。そのため、特許文献2に記載のポリオレフィン多孔膜を所望の形状に切り取るときの切り取りやすさにムラが生じやすく、必ずしも作業性に優れるポリオレフィン多孔膜と言えるものではなかった。
本開示は上記従来の事情に鑑みてなされたものであり、作業性に優れ、縫合のような手段によって固定された箇所での液体の漏れが抑制されるポリエチレン微多孔膜及びこれを用いた医療用デバイスを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を達成するための具体的手段は以下の通りである。
<1> ポリエチレンを含むポリエチレン微多孔膜であって、
前記ポリエチレン微多孔膜の縦方向(MD)における縫合保持強度(S
MD
)が1.5N以上であり、
前記ポリエチレン微多孔膜の横方向(TD)における縫合保持強度(S
TD
)が1.5N以上であり、
前記縫合保持強度(S
TD
)の前記縫合保持強度(S
MD
)に対する比(S
TD
/S
MD
)が、0.8~1.2であるポリエチレン微多孔膜。
<2> 前記ポリエチレン微多孔膜の空隙率をε(%)とし、前記ポリエチレン微多孔膜の膜厚をt(μm)としたときに、下記式(A)で表されるパラメータAが、60を超える<1>に記載のポリエチレン微多孔膜。
A=(2-ε/50)
1.5
×t 式(A)
<3> 重量平均分子量が300万~600万の超高分子量ポリエチレンの前記ポリエチレンに占める割合が、50質量%以下である<1>又は<2>に記載のポリエチレン微多孔膜。
<4> 前記ポリエチレン微多孔膜の空隙率ε(%)が、35%~90%である<1>~<3>のいずれか1項に記載のポリエチレン微多孔膜。
<5> 前記ポリエチレン微多孔膜の膜厚t(μm)が、40μm~300μmである<1>~<4>のいずれか1項に記載のポリエチレン微多孔膜。
<6> <1>~<5>のいずれか1項に記載のポリエチレン微多孔膜を含む医療用デバイス。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、作業性に優れ、縫合のような手段によって固定された箇所での液体の漏れが抑制されるポリエチレン微多孔膜及びこれを用いた医療用デバイスを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
実施例の縫合糸保持強度の測定方法を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本開示の実施形態について詳細に説明する。但し、本開示は以下の実施形態に限定されるものではない。以下の実施形態において、その構成要素(要素ステップ等も含む)は、特に明示した場合を除き、必須ではない。数値及びその範囲についても同様であり、本開示を制限するものではない。
(【0011】以降は省略されています)

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