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公開番号2025152625
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-10-10
出願番号2024054602
出願日2024-03-28
発明の名称コンプレッションリング
出願人TPR株式会社
代理人弁理士法人秀和特許事務所
主分類F16J 9/20 20060101AFI20251002BHJP(機械要素または単位;機械または装置の効果的機能を生じ維持するための一般的手段)
要約【課題】内燃機関において、燃料による潤滑油の希釈を抑制可能な技術を提供する。
【解決手段】コンプレッションリングの外周面は、コンプレッションリングにおいて最大径となる頂部を含み内燃機関のシリンダ壁面を摺動する外周摺動面と、コンプレッションリングの軸方向両端面のうち内燃機関における燃焼室側の面である上面と外周摺動面とを接続する接続面と、を有し、コンプレッションリングの周方向に直交する断面において、コンプレッションリングの軸方向における該コンプレッションリングの幅をh1とし、頂部をP0とし、外周摺動面と前記接続面との接続点をP2とし、上面の外周縁をP3とし、頂部P0と接続点P2と外周縁P3とをそれぞれ直線で結び囲まれた領域の面積をS1としたとき、0.013≦S1/h1≦0.034である。
【選択図】図2
特許請求の範囲【請求項1】
内燃機関のピストンに組み付けられるコンプレッションリングであって、
前記コンプレッションリングの外周面は、前記コンプレッションリングにおいて最大径となる頂部を含み前記内燃機関のシリンダ壁面を摺動する外周摺動面と、前記コンプレッションリングの軸方向両端面のうち前記内燃機関における燃焼室側の面である上面と前記外周摺動面とを接続する接続面と、を有し、
前記コンプレッションリングの周方向に直交する断面において、
前記コンプレッションリングの軸方向における該コンプレッションリングの幅をh1とし、
前記頂部をP0とし、
前記外周摺動面と前記接続面との接続点をP2とし、
前記上面の外周縁をP3とし、
頂部P0と接続点P2と外周縁P3とをそれぞれ直線で結び囲まれた領域の面積をS1としたとき、
0.013≦S1/h1≦0.034である、
コンプレッションリング。
続きを表示(約 1,500 文字)【請求項2】
前記コンプレッションリングの周方向に直交する断面において、
前記軸方向における前記外周摺動面の幅をh2とし、
接続点P2を通り前記コンプレッションリングの径方向に延伸する仮想直線をLhとし、
頂部P0を通り前記軸方向に延伸する仮想直線L8と仮想直線Lhとの交点をP20とし、
頂部P0と外周縁P3とを通る仮想直線L3と仮想直線Lhとの交点をP23とし、
頂部P0と交点P20と交点P23とをそれぞれ直線で結び囲まれた領域の面積をS2としたとき、
0.011≦S2/h2≦0.033である、
請求項1に記載のコンプレッションリング。
【請求項3】
前記コンプレッションリングの周方向に直交する断面において、
頂部P0よりも前記コンプレッションリングの径方向において2.5μm内側に位置し且つ前記軸方向に延伸する仮想直線L7と前記外周摺動面とが交わる2点のうち、燃焼室側の交点をP1とし、
交点P1と接続点P2と外周縁P3とをそれぞれ直線で結び囲まれた領域の面積をS3としたとき、
0≦S3/h1≦0.011である、
請求項1又は2に記載のコンプレッションリング。
【請求項4】
前記コンプレッションリングの周方向に直交する断面において、
頂部P0よりも前記コンプレッションリングの径方向において2.5μm内側に位置し且つ前記軸方向に延伸する仮想直線L7と前記外周摺動面とが交わる2点のうち、燃焼室側の交点をP1とし、
交点P1と接続点P2とを通る仮想直線L1と仮想直線L7とがなす角度をθ1とし、
交点P1と外周縁P3とを通る仮想直線L2と仮想直線L7とがなす角度をθ2とし、
交点P1と接続点P2と外周縁P3とをそれぞれ直線で結び囲まれた領域の面積をS3としたとき、
0≦S3/h1/(θ1+θ2)≦0.0009である、
請求項1又は2に記載のコンプレッションリング。
【請求項5】
前記コンプレッションリングの周方向に直交する断面において、
前記軸方向における前記外周摺動面の幅をh2とし、
頂部P0よりも前記コンプレッションリングの径方向において2.5μm内側に位置し且つ前記軸方向に延伸する仮想直線L7と前記外周摺動面とが交わる2点のうち、燃焼室側の交点をP1とし、
頂部P0と交点P1との軸方向における距離をB2とし、
接続点P2を通り前記コンプレッションリングの径方向に延伸する仮想直線をLhとし、
交点P1と外周縁P3とを通る仮想直線L2と仮想直線Lhとの交点をP22とし、
交点P1と接続点P2と交点P22とをそれぞれ直線で結び囲まれた領域の面積をS4としたとき、
0≦(S4/h2)×(B2/h2)≦0.0013である、
請求項1又は2に記載のコンプレッションリング。
【請求項6】
前記コンプレッションリングの周方向に直交する断面において、
頂部P0と接続点P2との軸方向における距離をB1としたとき、
0.1≦ B1/h1≦0.4である、
請求項1又は2に記載のコンプレッションリング。
【請求項7】
前記コンプレッションリングの外周面には、PVD処理被膜、DLC被膜、クロムめっき被膜、及び窒化処理層のうち少なくとも何れか1つを含む硬質層が形成されている、
請求項1又は2に記載のコンプレッションリング。
【請求項8】
前記内燃機関は、圧縮着火機関である、
請求項1又は2に記載のコンプレッションリング。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、内燃機関のピストンに組み付けられるコンプレッションリングに関する。
続きを表示(約 3,900 文字)【背景技術】
【0002】
一般的な自動車に搭載される内燃機関においては、コンプレッションリング(圧力リング)とオイルリングとを含むピストンリングをピストンに個別に形成されたリング溝にそれぞれ装着したピストンユニットが用いられる。ピストンの軸方向において、コンプレッションリングが燃焼室側に設けられ、オイルリングがクランク室側に設けられ、これらがシリンダの内壁面を摺動することで、ピストンリングはその能力を発揮する。このうち、コンプレッションリングは、気密を保持することで燃焼室側からクランク室側への燃焼ガスの流出(ブローバイ)を抑制するガスシール機能や、オイルリングが掻き落とし切れなかった余分な潤滑油(エンジンオイル)を掻き落とすことでオイル上がりを抑制するオイルシール機能を有する。
【0003】
内燃機関に用いられるピストンリングには、高い摺動性能が要求される。一方、近年では内燃機関の燃料として、バイオマス由来の、いわゆるバイオ燃料が普及してきた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
特許第5872678号
特開2015-059502
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、バイオ燃料は従来の燃料と異なる特性を有するため、これを内燃機関に用いた場合、潤滑油が燃料により希釈されるという新たな問題が生じることがある。例えば、特許文献1で述べられているように、バイオ燃料の中でもバイオディーゼル燃料 は
、普通のディーゼル燃料と比較して沸点範囲が高くかつ狭く、そしてその分子構造に起因して、燃料噴射弁から噴射される液滴のサイズが大きい。バイオディーゼル燃料の物理的特性が、クランク室内の潤滑油の燃料による希釈を招き、また、エンジン摩耗の可能性を増大させる。燃料混合物のうち軽油分が揮発し排気流へと流れていく間、ピストンはシリンダの底部に位置し、沸点範囲がより高くかつより狭く、液滴のサイズがより大きいメチルエステル留分は液体の状態に保たれ、シリンダの内壁面に存在し、ピストンが上昇すると、ピストンリングが掻き上げられなかったバイオディーゼル燃料はクランク室の中に流入する。一旦クランク室の中に入り込んだら、バイオディーゼル燃料は軽油のようには揮発しない。クランク室の中の熱がバイオディーゼル燃料に加わることにより、潤滑油とバイオディーゼル燃料の混合物の酸化が起こるおそれがあり、その結果、有機酸によってエンジンが摩耗するおそれがある。シリンダの内壁面を摺動するピストンリングにおいても例外でなく、特にオイルリングの外周摺動面の摩耗が増大する虞がある。このような要因により、バイオ燃料を使用する内燃機関においては、例えば、特許文献2に例示されるように摺動面に窒化物層を施すような摩耗対策を講じたピストンリングであっても、耐摩耗性が不十分となることがあった。また、バイオ燃料以外にも、例えば軽油を燃料として使用するディーゼルエンジンにおいても、燃料による潤滑油の希釈が問題となることがある。
【0006】
本発明は、上述の問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、内燃機関において、潤滑油が燃料により希釈されることを抑制可能な技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明に係る接続構造は、以下の構成を採用した。即ち、本発明の要旨は、以下の通りである。
〔1〕
内燃機関のピストンに組み付けられるコンプレッションリングであって、
前記コンプレッションリングの外周面は、前記コンプレッションリングにおいて最大径となる頂部を含み前記内燃機関のシリンダ壁面を摺動する外周摺動面と、前記コンプレッションリングの軸方向両端面のうち前記内燃機関における燃焼室側の面である上面と前記外周摺動面とを接続する接続面と、を有し、
前記コンプレッションリングの周方向に直交する断面において、
前記コンプレッションリングの軸方向における該コンプレッションリングの幅をh1とし、
前記頂部をP0とし、
前記外周摺動面と前記接続面との接続点をP2とし、
前記上面の外周縁をP3とし、
頂部P0と接続点P2と外周縁P3とをそれぞれ直線で結び囲まれた領域の面積をS1としたとき、
0.013≦S1/h1≦0.034
である、
コンプレッションリング。
〔2〕
前記コンプレッションリングの周方向に直交する断面において、
前記軸方向における前記外周摺動面の幅をh2とし、
接続点P2を通り前記コンプレッションリングの径方向に延伸する仮想直線をLhとし、
頂部P0を通り前記軸方向に延伸する仮想直線L8と仮想直線Lhとの交点をP20とし、
頂部P0と外周縁P3とを通る仮想直線L3と仮想直線Lhとの交点をP23とし、
頂部P0と交点P20と交点P23とをそれぞれ直線で結び囲まれた領域の面積をS2としたとき、
0.011≦S2/h2≦0.033
である、
〔1〕に記載のコンプレッションリング。
〔3〕
前記コンプレッションリングの周方向に直交する断面において、
頂部P0よりも前記コンプレッションリングの径方向において2.5μm内側に位置し且つ前記軸方向に延伸する仮想直線L7と前記外周摺動面とが交わる2点のうち、燃焼室側の交点をP1とし、
交点P1と接続点P2と外周縁P3とをそれぞれ直線で結び囲まれた領域の面積をS3としたとき、
0≦S3/h1≦0.011
である、
〔1〕又は〔2〕に記載のコンプレッションリング。
〔4〕
前記コンプレッションリングの周方向に直交する断面において、
頂部P0よりも前記コンプレッションリングの径方向において2.5μm内側に位置し且つ前記軸方向に延伸する仮想直線L7と前記外周摺動面とが交わる2点のうち、燃焼室側の交点をP1とし、
交点P1と接続点P2とを通る仮想直線L1と仮想直線L7とがなす角度をθ1とし

交点P1と外周縁P3とを通る仮想直線L2と仮想直線L7とがなす角度をθ2とし、
交点P1と接続点P2と外周縁P3とをそれぞれ直線で結び囲まれた領域の面積をS3としたとき、
0≦S3/h1/(θ1+θ2)≦0.0009である、
〔1〕から〔3〕の何れかに記載のコンプレッションリング。
〔5〕
前記コンプレッションリングの周方向に直交する断面において、
前記軸方向における前記外周摺動面の幅をh2とし、
頂部P0よりも前記コンプレッションリングの径方向において2.5μm内側に位置し且つ前記軸方向に延伸する仮想直線L7と前記外周摺動面とが交わる2点のうち、燃焼室側の交点をP1とし、
頂部P0と交点P1との軸方向における距離をB2とし、
接続点P2を通り前記コンプレッションリングの径方向に延伸する仮想直線をLhとし、
交点P1と外周縁P3とを通る仮想直線L2と仮想直線Lhとの交点をP22とし、
交点P1と接続点P2と交点P22とをそれぞれ直線で結び囲まれた領域の面積をS4としたとき、
0≦(S4/h2)×(B2/h2)≦0.0013
である、
〔1〕から〔4〕の何れかに記載のコンプレッションリング。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、内燃機関において、燃料による潤滑油の希釈を抑制可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
実施形態に係るピストン構造を備える内燃機関の部分断面図である。
実施形態に係るトップリングの外周面付近の断面拡大図である。
実施形態に係るトップリングの断面の一部の輪郭線を示す図である。
第1領域~第4領域を説明するためのトップリングの断面拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の一態様は、バイオ燃料を使用する内燃機関のピストンに組み付けられる、コンプレッションリングである。バイオ燃料とは、生物(植物又は動物)由来の燃料であり、生物資源(バイオマス)を原料とする。本発明に係るバイオ燃料は、特に限定されないが、例えば、植物性油脂や動物性油脂をメチルエステル化して得られるバイオディーゼル燃料等が挙げられる。また、内燃機関の用途は特に限定されないが、本発明に係るコンプレ
ッションリングは、例えば自動車用エンジンに対して好適に用いることができる。本発明の適用対象となる内燃機関は、ディーゼルエンジンに例示される圧縮着火機関であってもよい。また、内燃機関には、純粋なバイオ燃料、或いはバイオ燃料と化石燃料との混合燃料を用いることができる。また、内燃機関は、燃料としてバイオ燃料を使用するエンジンには限定されず、例えば、燃料として軽油を使用するディーゼルエンジンであってもよい。
(【0011】以降は省略されています)

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