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公開番号2025148617
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-10-07
出願番号2025128018,2024103012
出願日2025-07-31,2017-10-16
発明の名称経口摂取用コリンエステル含有組成物
出願人国立大学法人信州大学
代理人弁理士法人葛和国際特許事務所
主分類A23L 33/105 20160101AFI20250930BHJP(食品または食料品;他のクラスに包含されないそれらの処理)
要約【課題】 本発明の課題は、アセチルコリンなどのコリンエステルを有効成分としながら、ヒトが簡易に経口摂取でき、血圧降下作用および/または抗ストレス作用を有する組成物を提供することである。
【解決手段】本発明の課題は、アセチルコリンなどのコリンエステルを、ヒトが簡易に経口摂取でき、血圧降下作用および血管拡張作用を有する新規な経口摂取用組成物を提供すること、そのために有用な供給源となる食品を提供することにある。
【選択図】 図2
特許請求の範囲【請求項1】
コリンエステルを有効成分とする血圧降下作用および/または抗ストレス作用を有する組成物であって、コリンエステル含量が5μg~50mgであり、経口摂取用である、前記組成物。
続きを表示(約 650 文字)【請求項2】
食品組成物である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
血圧降下用および/または抗ストレス用の医薬組成物である、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
コリンエステルが、食用植物由来である、請求項1~3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
食用植物の凍結乾燥粉末および/または熱風乾燥粉末からなる、請求項1~4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
20メッシュの篩を通過できる凍結乾燥粉末および/または熱風乾燥粉末からなる、請求項5に記載の組成物。
【請求項7】
食用植物をエタノールまたは含水エタノールで抽出してなる抽出物である、請求項1~4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
食用植物が、ナス科ナス属ナス種(Solanum melongena)の果実および/またはイネ科タケ亜科タケ連(Poaceae, Bambusoideae, Bambuseae)の若芽である、請求項4~7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
コリンエステルが、アセチルコリン、ブチリルコリンおよびプロピオニルコリンからなる群から選択される1種または2種以上を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
コリンエステルが、ラクトイルコリンを含まない、請求項9に記載の組成物。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、コリンと有機酸がエステル結合した化合物であるコリンエステルを有効成分とする血圧降下作用および/または抗ストレス作用を有する組成物およびその製造方法に関する。
続きを表示(約 5,300 文字)【背景技術】
【0002】
コリンエステルの中で、アセチルコリンは哺乳類の神経伝達物質として生命活動に不可欠な物質であることが知られている。また、1929年に、ウマの脾臓からヒスタミンとは異なる血圧降下物質が単離され、その活性物質がアセチルコリンであることが化学的に同定された(非特許文献1)。さらに、麦角の血圧降下物質がアセチルコリンであることが解明され、菌類がアセチルコリンを産生することが確認されている(非特許文献2)。アセチルコリンは、食用植物、食用菌類、ローヤルゼリー、牛乳等に含まれており、枯草菌、酵母にもアセチルコリンが存在し、食用植物では、ナスおよびタケノコのアセチルコリン含量が高いことが報告されている(非特許文献3~7)。
【0003】
また、アセチルコリンの他、複数のコリンエステル類も発見されている。
アセチル基より1つ炭素鎖が長いプロピオニル基を有するプロピオニルコリンは、1953年に牛の脾臓から発見されている(非特許文献8、9)。その後、牡牛の精液中、ヨーロッパザリガニ、アメリカカブトガニ、ヨーロッパザルガイ、オオノガイ、ムラサキイガイ、ホンドブガイ、リンゴマイマイ中の血リンパと平滑筋中、シビレエイの電気発生組織培養中の他、ヘンヨウボク、緑豆、オオバコ、ポプラ、シラカバ中などに、プロピオニルコリン産生が確認されている(非特許文献10~13)。
【0004】
また、ブチリルコリンについては、1954年に脳抽出物から発見され(非特許文献14)、節足動物、軟体動物中に、アセチルコリン、プロピオニルコリンと共に存在することが示されている(非特許文献11)。
さらに、プロピオニルコリン、ブチリルコリン以外にも軟体動物から、いくつかのコリンエステル類が確認されている。たとえば、ウロカノイルコリンがアクキガイの一種から、ββ-ジメチルアクロイルコリン(セネシオイルコリン)がレイシガイの一種から、アクロイルコリンがエゾバイの一種から、イミダゾールプロピオニルコリンがレイシガイの一種から構造決定されている(非特許文献15~18)。
【0005】
本発明者は、発酵キョウバク(ソバ植物体の乳酸発酵物)に含まれる血圧降下作用および血管拡張作用活性成分について研究し、少なくともアセチルコリンとプロピオニルコリンを含む、複数のコリンエステルを主体とした第4級アルキルアンモニウム化合物を含有する抽出組成物を提供し、また精製したアセチルコリン、プロピオニルコリン、ブチリルコリンを高血圧自然発症ラット(SHR)に単回経口投与した場合に血圧降下作用を示すことを明らかにした(特許文献1、2)。一方で、アセチルコリン塩化物を有効成分とする医薬のインタビューフォーム(非特許文献19)に、「アセチルコリンは経口投与すると消化管で分解され、ほとんど吸収されないので、注射剤とした」と記載されているように、これまでコリンエステルのヒトへの適用は注射剤によるもので経口摂取により作用させることについての検討はなされていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
国際公開第2015/147251号
特開2015-189745号公報
特開平06-065068号公報
【非特許文献】
【0007】
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【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明者は、ヒトにおいてコリンエステルの経口摂取による利用が可能になれば、身体への負担がなく、安全かつ簡易に血圧降下等を実現できることになるにもかかわらず、ヒトにアセチルコリンを経口で適切に投与する技術および該技術に適切な供給源がいまだ見出されていないことに着目し、これらを明らかにすることが重要であると考えた。
したがって本発明の課題は、アセチルコリンなどのコリンエステルを有効成分としながら、ヒトが簡易に経口摂取でき、血圧降下作用および血管拡張作用を有する新規な経口摂取用組成物を提供すること、そのために有用な供給源となる食品を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねる中で、これまでのアセチルコリンはヒトへの経口投与はできないとの定説にもかかわらず、驚くべきことに、コリンエステルが経口投与によって血圧降下作用および血管拡張作用を示すための適正な用量が存在すること、さらにかかる用量で抗ストレス作用を奏することを見出し、またそのためのコリンエステルを効率よく供給するための原料としての適切な食用植物を発見し、さらに研究を進めた結果、本発明を完成するに至った。
【0010】
したがって本発明は、以下に関する。
[1] コリンエステルを有効成分とする血圧降下作用および/または抗ストレス作用を有する組成物であって、コリンエステル含量が5μg~50mgであり、経口摂取用である、前記組成物。
[2] 食品組成物である、前記[1]に記載の組成物。
[3] 血圧降下用および/または抗ストレス用の医薬組成物である、前記[1]に記載の組成物。
(【0011】以降は省略されています)

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