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公開番号2025130824
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-09-09
出願番号2024028145
出願日2024-02-28
発明の名称触媒及びその製造方法、触媒前駆体及びその製造方法、並びに光反射防止材及びその製造方法
出願人国立大学法人信州大学
代理人個人,個人,個人,個人,個人
主分類B01J 23/75 20060101AFI20250902BHJP(物理的または化学的方法または装置一般)
要約【課題】触媒及びその製造方法、触媒前駆体及びその製造方法、並びに光反射防止材及びその製造方法を提供する。
【解決手段】ケイ素含有無機材料からなる担体と、前記担体の表面の少なくとも一部を被覆するフィロケイ酸塩と、で形成されたフィロケイ酸塩被覆体を含む、触媒前駆体であり、前記フィロケイ酸塩を構成する金属イオンが、ニッケル、コバルト、及び鉄から選択される1種以上のイオンである「触媒前駆体」。前記触媒前駆体を還元してなる「触媒」。ケイ素含有無機材料からなる担体と、前記担体の表面の少なくとも一部を被覆するフィロケイ酸塩と、で形成されたフィロケイ酸塩被覆体を含む、光反射防止材であり、前記フィロケイ酸塩を構成する金属イオンが、リチウムイオンと、さらにニッケル、コバルト、銅、亜鉛、及び鉄から選択される1種以上のイオンである「光反射防止材」。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
ケイ素含有無機材料からなる担体と、前記担体の表面の少なくとも一部を被覆するフィロケイ酸塩と、で形成されたフィロケイ酸塩被覆体を含む、触媒前駆体であり、
前記フィロケイ酸塩を構成する金属イオンが、ニッケル、コバルト、及び鉄から選択される1種以上のイオンである、触媒前駆体。
続きを表示(約 970 文字)【請求項2】
ケイ素含有無機材料からなる担体と、前記担体の表面の少なくとも一部を被覆するフィロケイ酸塩と、で形成されたフィロケイ酸塩被覆体を含む、触媒であり、
前記フィロケイ酸塩を構成する金属イオンが、ニッケル、コバルト、及び鉄から選択される1種以上のイオンであり、前記金属イオンが還元され、金属となっている、触媒。
【請求項3】
請求項1に記載の触媒前駆体を製造する方法であって、
ニッケル塩と、コバルト塩、水と、尿素と、ケイ素含有無機材料からなる担体と、を含む反応液で水熱反応を起こし、前記担体の表面の少なくとも一部がフィロケイ酸塩で被覆された触媒前駆体を得る工程を有し、
前記反応液に配合する各成分の割合が、前記担体の1.000モルに対して、ニッケルのモル比が0.001~0.700であり、コバルトのモル比が0.001~0.700である、触媒前駆体の製造方法。
【請求項4】
請求項2に記載の触媒を製造する方法であって、
請求項3の製造方法により触媒前駆体を得る工程と、
前記触媒前駆体を不活性ガス及び水素ガス雰囲気下で加熱することにより、前記触媒前駆体に含まれる前記金属イオンが還元されて金属となった触媒を得る工程と、を有する、
触媒の製造方法。
【請求項5】
ケイ素含有無機材料からなる担体と、前記担体の表面の少なくとも一部を被覆するフィロケイ酸塩と、で形成されたフィロケイ酸塩被覆体を含む、光反射防止材であり、
前記フィロケイ酸塩を構成する金属イオンが、リチウムイオンと、さらにニッケル、コバルト、銅、亜鉛、及び鉄から選択される1種以上のイオンである、光反射防止材。
【請求項6】
前記担体がシリコン粒子である、請求項5に記載の光反射防止材。
【請求項7】
請求項5に記載の光反射防止材を製造する方法であって、
金属塩と、水と、尿素と、ケイ素含有無機材料からなる担体と、を含む反応液で水熱反応を起こし、前記担体の表面の少なくとも一部をフィロケイ酸塩で被覆する工程を有し、
前記反応液を60~150℃で加熱することにより前記水熱反応を起こす、
光反射防止材の製造方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、フィロケイ酸塩を用いた、触媒及びその製造方法、触媒前駆体及びその製造方法、並びに光反射防止材及びその製造方法に関する。
続きを表示(約 3,600 文字)【背景技術】
【0002】
従来、シリカの表面でフィロケイ酸塩(層状ケイ酸塩)を結晶成長させ、シリカの表面を改質する方法が開示されている(特許文献1)。フィロケイ酸塩の層間には陽イオンが存在し、これを金属イオンや陽イオン性界面活性剤と交換して取り込むことができる。この性質を利用し、例えば長鎖アルキル基を有する陽イオン性界面活性剤を取り込ませ、本来的には親水性であったシリカ粒子の表面を疎水化することが提案されている。疎水化したシリカ粒子の用途としては、例えば種々の樹脂材料や化粧品組成物に分散させるフィラー用途がある。フィロケイ酸塩は他の多様な用途への展開が期待されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
特許第6029052号公報
【非特許文献】
【0004】
Z. Bian, S. Kawi, Journal of CO2 Utilization, 18, 345-352 (2017).
Z. Wu, et al., ACS Catal. 9, 2693-2700 (2019).
Segeun Jang. et al., ACS Appl. Mater. Interfaces 2017, 9, 44038-44044.
Seungmuk Ji, et al., ACS Appl. Mater. Interfaces 2013, 5, 10731-10737.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明者らが開示するフィロケイ酸塩の用途の一例として、フィロケイ酸塩に触媒金属を担持させた触媒が挙げられる。
近年、気候変動対策に向けたクリーンなエネルギー源として水素が注目されており、その水素の製造において用いられるメタン等の天然ガスの水蒸気改質反応(SRM)は、世界中の水素製造量の48%を占めている主要な反応である。この反応には、担体の表面に約1~数10nmのニッケルナノ粒子を担持させたニッケル触媒が使われることが多い。基本的にはニッケル粒子径が小さい方が、触媒反応の活性点である金属粒子表面が多く露出するため、活性が高いとされている。
ニッケル触媒は安価で高活性を示す一方で、活性が低下しやすいという問題がある。活性が低下する原因として、高温環境で金属が凝集することによって活性点である金属表面が減少するシンタリングや、副反応によって炭素が析出して金属表面を覆うことで活性点が減少することなどが挙げられる。
この問題の改善法として、ナノ粒子のNi-Co合金化が提案されており(非特許文献1)、コバルトを添加することよるニッケルの電子状態の変化も報告されている(非特許文献2)。しかし、必ずしも満足できる解決には至っていない。
【0006】
また、本発明者らが開示するフィロケイ酸塩の用途の一例として、フィロケイ酸塩が形成するナノサイズの微細構造を光反射防止材と利用することが挙げられる。
従来の光反射防止材は、ナノサイズの微細構造としてモスアイ構造(Moth-eye構造)を利用している。モスアイ構造は表面から底面へ向けて連続的に屈折率が変化しているので、表面から入射した光を反射せずに底面へ屈折させて誘導し、吸収することができる。
基板表面にモスアイ構造を形成する方法は、トップダウン方式(例えば非特許文献3)とボトムアップ方式(例えば非特許文献4)とに大別される。いずれの方式も、平らな基板の表面にモスアイ構造を形成する方法であり、不定形な担体粒子の表面に微細構造を形成することは検討されていない。
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、フィロケイ酸塩を用いた、触媒及びその製造方法、触媒前駆体及びその製造方法、並びに光反射防止材及びその製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
[1] ケイ素含有無機材料からなる担体と、前記担体の表面の少なくとも一部を被覆するフィロケイ酸塩と、で形成されたフィロケイ酸塩被覆体を含む、触媒前駆体であり、前記フィロケイ酸塩を構成する金属イオンが、ニッケル、コバルト、及び鉄から選択される1種以上のイオンである、触媒前駆体。
[2] ケイ素含有無機材料からなる担体と、前記担体の表面の少なくとも一部を被覆するフィロケイ酸塩と、で形成されたフィロケイ酸塩被覆体を含む、触媒であり、前記フィロケイ酸塩を構成する金属イオンが、ニッケル、コバルト、及び鉄から選択される1種以上のイオンであり、前記金属イオンが還元され、金属となっている、触媒。
[3] [1]に記載の触媒前駆体を製造する方法であって、ニッケル塩と、コバルト塩、水と、尿素と、ケイ素含有無機材料からなる担体と、を含む反応液で水熱反応を起こし、前記担体の表面の少なくとも一部がフィロケイ酸塩で被覆された触媒前駆体を得る工程を有し、前記反応液に配合する各成分の割合が、前記担体の1.000モルに対して、ニッケルのモル比が0.001~0.700であり、コバルトのモル比が0.001~0.700である、触媒前駆体の製造方法。
[4] [2]に記載の触媒を製造する方法であって、[3]の製造方法により触媒前駆体を得る工程と、前記触媒前駆体を不活性ガス及び水素ガス雰囲気下で加熱することにより、前記触媒前駆体に含まれる前記金属イオンが還元されて金属となった触媒を得る工程と、を有する、触媒の製造方法。
[5] ケイ素含有無機材料からなる担体と、前記担体の表面の少なくとも一部を被覆するフィロケイ酸塩と、で形成されたフィロケイ酸塩被覆体を含む、光反射防止材であり、
前記フィロケイ酸塩を構成する金属イオンが、リチウムイオンと、さらにニッケル、コバルト、銅、亜鉛、及び鉄から選択される1種以上のイオンである、光反射防止材。
[6] 前記担体がシリコン粒子である、[5]に記載の光反射防止材。
[7] [5]に記載の光反射防止材を製造する方法であって、金属塩と、水と、尿素と、ケイ素含有無機材料からなる担体と、を含む反応液で水熱反応を起こし、前記担体の表面の少なくとも一部をフィロケイ酸塩で被覆する工程を有し、前記反応液を60~150℃で加熱することにより前記水熱反応を起こす、光反射防止材の製造方法。
【発明の効果】
【0009】
本発明の触媒及び触媒前駆体並びにこれらの製造方法は、例えば天然ガスの水蒸気改質による水素ガスの製造に利用することができる。
本発明の光反射防止材及びその製造方法によれば、新たな光学特性を備えた光反射防止材を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
実施例で作製した触媒前駆体のXRDパターンである。
実施例で作製した触媒によるメタンガスの水蒸気改質反応で生じた水素ガスの経時変化を示すグラフである。
実施例で作製した触媒のTEM像を触媒試験前後で比較した図である。
実施例で作製した触媒及び触媒前駆体のXRDパターンを比較した図である。
ヘクトライトの層構造を示す模式図である。
試験例A1~A5で作製したZnシリケートのXRDパターンである。
試験例A1~A5で作製したZnシリケートの黒色度(L

)の測定結果である。
試験例A1で作製したZnシリケートの可視光領域の拡散反射スペクトルの測定結果である。
試験例A1で作製したZnシリケートのSEM像である。
試験例A5で作製したZnシリケートの陽イオン界面活性剤の吸着前後のXRDパターンを比較した図である。
比較試験例a1で作製した試料のSEM像である。
試験例B1~B4で作製したCoシリケートの黒色度(L

)の測定結果である。
試験例B1~B4で作製したCoシリケートの可視光領域の拡散反射スペクトルの測定結果である。
試験例C1~C4で作製したNiシリケートの黒色度(L

)の測定結果である。
試験例C1~C4で作製したNiシリケートの可視光領域の拡散反射スペクトルの測定結果である。
試験例C4で作製したZnシリケートのSEM像である。
参考試験で作製したMgシリケートの黒色度(L

)と、他の試験例で作製した試料の黒色度とを比較した図である。
【発明を実施するための形態】
(【0011】以降は省略されています)

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