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公開番号2025146401
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-10-03
出願番号2024047151
出願日2024-03-22
発明の名称ゼオライト、ゼオライト膜複合体、ゼオライトの製造方法及びゼオライト膜複合体を用いる液体もしくは気体を分離する方法
出願人三菱ケミカル株式会社
代理人個人,個人
主分類C01B 39/36 20060101AFI20250926BHJP(無機化学)
要約【課題】透過性の高いゼオライト膜が得られるゼオライト及び該ゼオライトの製造方法、さらには該ゼオライトからなる膜が形成されたゼオライト膜複合体を提供すること。
【解決手段】表面から50nmの深さにフッ素原子を0.02at%以上0.3at%以下含有するゼオライトである。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
表面から50nmの深さにフッ素原子を0.02at%以上0.3at%以下含有するゼオライト。
続きを表示(約 680 文字)【請求項2】
ケイ素原子とアルミニウム原子の比(Si/Al

)が、表面から200nmの深さにおいてSA1と表され、表面から2000nmの深さにおいてSA2と表される場合に、下記式(a)で示される変化率が1.0%以上80.0%以下である、ゼオライト。
((SA1-SA2)/SA1)×100・・・(a)
【請求項3】
フーリエ変換赤外分光法による測定において、Si-O-AlOHとbridging Si(OH)Alの規格化面積強度の合計が24.2未満である、ゼオライト。
【請求項4】
無機多孔質支持体上に請求項1~3のいずれか1項に記載のゼオライトからなる膜が形成された、ゼオライト膜複合体。
【請求項5】
アルミナ源、シリカ源を含む水熱合成用原料混合物にフッ素化合物を添加するゼオライトの製造方法であって、水熱合成用原料混合物のフッ素原子とケイ素原子のモル比(F/Si)を0.001以上0.06未満とすることを特徴とする、ゼオライトの製造方法。
【請求項6】
前記フッ素化合物がフッ化ナトリウムである、請求項5に記載のゼオライトの製造方法。
【請求項7】
請求項4に記載のゼオライト膜複合体を用いる、液体もしくは気体を分離する方法。
【請求項8】
請求項4に記載のゼオライト膜複合体を用いる、窒素とアンモニアを分離する方法。
【請求項9】
請求項4に記載のゼオライト膜複合体を用いる、水素とメタノールを分離する方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、ゼオライト、ゼオライト膜複合体、ゼオライトの製造方法及びゼオライト膜複合体を用いる液体もしくは気体を分離する方法に関する。
続きを表示(約 3,200 文字)【背景技術】
【0002】
ゼオライトの製造において、狙った構造のゼオライトを再現性良く合成するのは、主要な構成元素がアルミニウムとケイ素のみとわずか2つしかないにもかかわらず255種類を超えるおびただしい数の構造があることから容易ではない。
すなわち、一般的な無機物であれば、構成元素を目的とする組成どおり用意し、合成すれば概ね狙った物質を合成できるが、狙った構造のゼオライトと等しい比率でアルミナ源及びシリカ源を仕込んだとしても所望の構造のゼオライトを得ることは困難であった。
【0003】
これを解決するために、ゼオライト合成の初期の段階、いわゆる核生成段階において、その構造を決める手法が研究された。具体的には、構造規定材(SDA;Structure-directing Agent)や種結晶が有効であり、核生成段階においてこれらの構造を元に結晶成長が始まり、所望の構造のゼオライトを合成することを可能とした。
上記の手法によって所望の構造のゼオライトを再現良く製造できるようになった為、ゼオライトはその特徴を生かし、吸着材や合成触媒として工業化された。さらに構造に由来する細孔を生かし、ゼオライトを膜状に合成することで、分離膜としても扱われるようになった。
【0004】
ゼオライト膜は、結晶構造に由来する細孔を有している無機膜である。この細孔は、結晶構造に由来するため数オングストロームと非常に小さいながらも細孔径が揃っていることが特徴である。これによりゼオライト膜はガス等の比較的小さな物質の分離を行うことができる。
分離膜としては高分子膜が一般的である。これに対し、ゼオライト膜は高分子膜と比較して耐熱性・耐酸性・耐薬品性が高く過酷な条件において用いることができるという利点がある。したがって、アンモニア合成やMeOH合成等の高温・高圧の反応場においてゼオライト膜による分離を行うことで、見かけ上の転化率を改善するといった試みも行われている。
これらの用途が広がるにつれて、ゼオライト膜の特性改善、特に重要な透過性の改善が求められるようになった。
【0005】
例えば、特許文献1及び2には、アルミナ源、シリカ源、およびフッ素化合物を含み、構造規定剤を含まない水熱合成用原料混合物を熟成させた後、種結晶を有する支持体を前記水熱合成用原料混合物に挿入し水熱合成するZSM-5型ゼオライト膜の製造方法であって、前記水熱合成用原料混合物の仕込み組成が、Si/Alモル比が5以上30以下であり、F/Siモル比が0.5以上2.0以下であるZSM-5型ゼオライト膜の製造方法が開示されている。
特許文献1及び2に開示される発明によれば、ZSM-5型ゼオライトが有する高い耐酸性を保持しながら、親水性および水選択透過性を有し、高品質なZSM-5型ゼオライト膜を、構造規定剤を使用することなく、焼成処理を行わずに製造することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
特開2006-247599号公報
特開2010-131600号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、ゼオライトの特性とりわけゼオライト膜の透過性を改善することである。ゼオライト膜の透過は、ゼオライトの構造内の細孔をガスが通過することで発現している。これを改善することはすなわちゼオライトの構造を精密制御することであり、この制御によってガスを通りやすくすることである。
そこで、本発明は、透過性の高いゼオライト膜を構成するゼオライト及び該ゼオライトの製造方法、さらには該ゼオライトからなる膜が形成されたゼオライト膜複合体を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を達成する為に、ゼオライトの研究においてあまり着目されていなかった合成の中期から後期の結晶成長に注目した。ゼオライト膜の研究は、これまでその構造の決定因子や膜状に形成する手法について主に行われてきた。構造決定因子については上述した通りであり、ゼオライトの研究は合成の初期段階とりわけ核生成に着目して行われてきた。
しかしながら、SDAや種結晶を用いることで合成の初期の構造を決定づけたとしても、合成の中期から後期における結晶成長の過程で構造が乱れ本来あるべきではない水酸基等が導入されたり、ダングリングボンドや欠陥が生じたりする可能性が十分にある。さらにゼオライトの構造は前述のとおり255種類以上もあることより別の構造に変化してしまうことや構造が乱れアモルファス(非晶質)に至ってしまうこともある。
【0009】
従来の技術としては、上述のように、水熱合成用原料混合物にF原子等のハロゲン化合物を添加することによって親水性の高いZSM-5型ゼオライト膜を合成する手法が報告されている。これによるとハロゲン元素がシリカ元素とほぼ等量程度と多量に必要としている。水熱合成用原料混合物全体に効果を及ぼすために必要とされる量であると考えられる。
一方で本発明においては、F原子等のハロゲン化合物は、結晶成長の末端に作用すればよく、極少量で十分な効果が得られることを見出した。さらに本発明における適当量よりF原子等のハロゲン化合物が過剰であると、シリカ元素とほぼ等量までに至らずより少ない量であっても、結晶性に悪影響を及ぼすことが確認されている。このことより、本発明のゼオライトは従来技術とは全く異なる原理によって得られていると考えられる。
【0010】
すなわち、本発明は以下の構成による。
[1]表面から50nmの深さにフッ素原子を0.02at%以上0.3at%以下含有するゼオライト。
[2]ケイ素原子とアルミニウム原子の比(Si/Al

)が、表面から200nmの深さにおいてSA1と表され、表面から2000nmの深さにおいてSA2と表される場合に、下記式(a)で示される変化率が1.0%以上80.0%以下である、ゼオライト。
((SA1-SA2)/SA1)×100・・・(a)
[3]フーリエ変換赤外分光法による測定において、Si-O-AlOHとbridging Si(OH)Alの規格化面積強度の合計が24.2未満であるゼオライト。
[4]無機多孔質支持体上に上記[1]~[3]のいずれかに記載のゼオライトからなる膜が形成された、ゼオライト膜複合体。
[5]アルミナ源、シリカ源を含む水熱合成用原料混合物にフッ素化合物を添加するゼオライトの製造方法であって、水熱合成用原料混合物のフッ素原子とケイ素原子のモル比(F/Si)を0.001以上0.06未満とすることを特徴とする、ゼオライトの製造方法。
[6]前記フッ素化合物がフッ化ナトリウムである、上記[5]に記載のゼオライトの製造方法。
[7]上記[5]又は[6]に記載の製造方法により得られるゼオライトからなる膜が形成された、ゼオライト膜複合体。
[8]上記[4]又は[7]に記載のゼオライト膜複合体を用いる、液体もしくは気体を分離する方法。
[9]上記[4]又は[7]に記載のゼオライト膜複合体を用いる、窒素とアンモニアを分離する方法。
[10]上記[4]又は[7]に記載のゼオライト膜複合体を用いる、水素とメタノールを分離する方法。
【発明の効果】
(【0011】以降は省略されています)

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