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公開番号2025142740
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-10-01
出願番号2024042261
出願日2024-03-18
発明の名称燃料電池システム
出願人大阪瓦斯株式会社
代理人弁理士法人R&C
主分類H01M 8/04664 20160101AFI20250924BHJP(基本的電気素子)
要約【課題】燃焼部での爆発的な着火の発生をできるだけ抑制できる燃料電池システムを提供する。
【解決手段】燃料電池システムであって、燃焼部9で高濃度の可燃性成分への着火が発生したこと、及び、燃焼部9で高濃度の可燃性成分への着火の可能性が高くなっている状態の少なくとも一方を検出する特定着火検出部25を備え、動作制御部21は、セルスタック7の起動時にアノード4に第1ガスを供給し且つカソード6に第2ガスを供給している間に着火器20を着火作動させる着火処理を行った後、特定着火検出部25によって燃焼部9で高濃度の可燃性成分への着火が発生したこと、及び、燃焼部9で高濃度の可燃性成分への着火の可能性が高くなっている状態の少なくとも一方が検出された場合、アノード4への第1ガスの供給を停止させる第1ガス停止処理を行う。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項１】
アノード及びカソードを有する燃料電池セルが複数設けられたセルスタックと、前記アノードに炭化水素又は水素を含む第１ガスを供給する第１ガス供給部と、前記カソードに酸素を含む第２ガスを供給する第２ガス供給部と、前記アノード及び前記カソードから排出されたオフガスが供給され、当該オフガスに含まれる可燃性成分を燃焼させる燃焼部と、前記燃焼部の内部で前記可燃性成分への着火を行う着火器と、動作制御部とを備える燃料電池システムであって、
前記燃焼部で高濃度の前記可燃性成分への着火が発生したこと、及び、前記燃焼部で高濃度の前記可燃性成分への着火の可能性が高くなっている状態の少なくとも一方を検出する特定着火検出部を備え、
前記動作制御部は、前記セルスタックの起動時に前記アノードに前記第１ガスを供給し且つ前記カソードに前記第２ガスを供給している間に前記着火器を着火作動させる着火処理を行った後、前記特定着火検出部によって前記燃焼部で高濃度の前記可燃性成分への着火が発生したこと、及び、前記燃焼部で高濃度の前記可燃性成分への着火の可能性が高くなっている状態の少なくとも一方が検出された場合、前記アノードへの前記第１ガスの供給を停止させる第１ガス停止処理を行うように構成されている燃料電池システム。
続きを表示（約 1,300 文字）【請求項２】
前記燃焼部の内部の温度を測定する燃焼部温度測定器を備え、
前記動作制御部は、前記着火処理を行った後、前記燃焼部温度測定器で測定する前記燃焼部の内部の温度が所定の温度変化傾向を示さない場合、前記アノードに前記第１ガスを供給し且つ前記カソードに前記第２ガスを供給している間に前記着火器を着火作動させる前記着火処理を再度行う請求項１に記載の燃料電池システム。
【請求項３】
前記特定着火検出部は、前記燃焼部の内部に存在する前記可燃性成分の濃度を測定する濃度測定器を有し、
前記濃度測定器が測定する前記可燃性成分の濃度が所定の第１閾値以上である場合、前記燃焼部で高濃度の前記可燃性成分への着火の可能性が高くなったと判定される請求項１又は２に記載の燃料電池システム。
【請求項４】
前記動作制御部は、前記第１ガス停止処理を行った後、前記カソードに前記第２ガスを供給し続けている間に前記濃度測定器が測定する前記可燃性成分の濃度が前記第１閾値未満になった場合、前記アノードに前記第１ガスを供給し且つ前記カソードに前記第２ガスを供給している間に前記着火器を着火作動させる前記着火処理を行う請求項３に記載の燃料電池システム。
【請求項５】
前記特定着火検出部は、前記燃焼部の内部の圧力を測定する圧力測定器を有し、
前記圧力測定器が測定する前記燃焼部の内部の圧力が所定の第２閾値以上になること及び前記燃焼部の内部の圧力の所定期間内の変化幅が第３閾値以上になることの少なくとも一方を含む異常圧力条件が満たされる場合、前記燃焼部で高濃度の前記可燃性成分への着火が発生したと判定される請求項１又は２に記載の燃料電池システム。
【請求項６】
前記動作制御部は、前記第１ガス停止処理を行った後、前記カソードに前記第２ガスを供給し続けている間に前記異常圧力条件が満たされなくなった場合、前記アノードに前記第１ガスを供給し且つ前記カソードに前記第２ガスを供給している間に前記着火器を着火作動させる前記着火処理を行う請求項５に記載の燃料電池システム。
【請求項７】
前記燃焼部の内部の温度を測定する燃焼部温度測定器を備え、
前記動作制御部は、前記着火処理を行った後、前記燃焼部温度測定器で測定する前記燃焼部の内部の温度が所定の温度変化傾向を示す場合、
前記アノードに供給する前記第１ガスの単位時間当たりの流量及び前記カソードに供給する前記第２ガスの単位時間当たりの流量を増加させる流量増加処理を行う請求項１又は２に記載の燃料電池システム。
【請求項８】
前記動作制御部は、前記流量増加処理において、前記アノードに供給する前記第１ガスの単位時間当たりの流量及び前記カソードに供給する前記第２ガスの単位時間当たりの流量の比率を所定値に維持した状態で、前記アノードに供給する前記第１ガスの流量及び前記カソードに供給する前記第２ガスの流量を増加させる請求項７に記載の燃料電池システム。

発明の詳細な説明【技術分野】
【０００１】
本発明は、燃料電池システムに関する。
続きを表示（約 2,400 文字）【背景技術】
【０００２】
特許文献１（特開２００８－１３５２６８号公報）には、アノード及びカソードを有する燃料電池セル（４ａ）が複数設けられたセルスタック（４）と、アノードに炭化水素又は水素を含む第１ガスを供給する第１ガス供給部（ガスポンプ２）と、カソードに空気を供給する第２ガス供給部（空気ブロア５）と、アノード及びカソードから排出されたオフガスが供給され、当該オフガスに含まれる可燃性成分を燃焼させる燃焼部（燃焼領域Ｆ）と、燃焼部の内部で可燃性成分への着火を行う着火器（着火ヒータ７）とを備える燃料電池システムが記載されている。この燃料電池システムでは、着火器による着火動作を行った後、所定の着火判定時間以内に着火と判定できなければ未着火と判定して、再度、着火器による着火動作が行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【０００３】
特開２００８－１３５２６８号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【０００４】
特許文献１に記載されているような従来の燃料電池システムでは、燃焼部での可燃性成分への着火が確認できなければ、着火器による着火動作が繰り返し行われることになる。また、燃焼部での可燃性成分への着火を行えない期間が長くなると、燃焼部に滞留する可燃性成分の濃度が高くなる。そして、その状態で着火器による着火動作が行われると、燃焼部に滞留した高濃度の可燃性成分の爆発的な燃焼が発生する可能性がある。
【０００５】
このような爆発的な燃焼が燃焼部で発生すると、燃焼部及び燃焼部に繋がるガスの経路での急激な圧力変動や振動が引き起こされる。そして、燃焼部及び燃焼部に繋がるガスの経路や燃焼部と接続されているセルスタックなどが破損する可能性がある。
【０００６】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、燃焼部での爆発的な着火の発生をできるだけ抑制できる燃料電池システムを提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【０００７】
上記目的を達成するための本発明に係る燃料電池システムの特徴構成は、アノード及びカソードを有する燃料電池セルが複数設けられたセルスタックと、前記アノードに炭化水素又は水素を含む第１ガスを供給する第１ガス供給部と、前記カソードに酸素を含む第２ガスを供給する第２ガス供給部と、前記アノード及び前記カソードから排出されたオフガスが供給され、当該オフガスに含まれる可燃性成分を燃焼させる燃焼部と、前記燃焼部の内部で前記可燃性成分への着火を行う着火器と、動作制御部とを備える燃料電池システムであって、
前記燃焼部で高濃度の前記可燃性成分への着火が発生したこと、及び、前記燃焼部で高濃度の前記可燃性成分への着火の可能性が高くなっている状態の少なくとも一方を検出する特定着火検出部を備え、
前記動作制御部は、前記セルスタックの起動時に前記アノードに前記第１ガスを供給し且つ前記カソードに前記第２ガスを供給している間に前記着火器を着火作動させる着火処理を行った後、前記特定着火検出部によって前記燃焼部で高濃度の前記可燃性成分への着火が発生したこと、及び、前記燃焼部で高濃度の前記可燃性成分への着火の可能性が高くなっている状態の少なくとも一方が検出された場合、前記アノードへの前記第１ガスの供給を停止させる第１ガス停止処理を行うように構成されている点にある。
【０００８】
上記特徴構成によれば、オフガスには、アノードから排出される炭化水素又は水素が含まれ、その炭化水素又は水素が可燃性成分として燃焼部で燃焼される。そして、動作制御部は、着火処理を行った後、特定着火検出部によって燃焼部で高濃度の可燃性成分への着火が発生したこと、及び、燃焼部で高濃度の可燃性成分への着火の可能性が高くなっている状態の少なくとも一方が検出された場合、アノードへの第１ガス（即ち、炭化水素又は水素）の供給を停止させる第１ガス停止処理を行う。つまり、第１ガス停止処理を行った後は、カソードから排出される酸素を含むオフガスにより、アノードの下流側の燃焼部での可燃性成分の濃度を次第に低くすることができる。その結果、その後に着火処理が行われたとしても、燃焼部での爆発的な着火の発生を抑制できる。
従って、燃焼部での爆発的な着火の発生をできるだけ抑制できる燃料電池システムを提供できる。
【０００９】
本発明に係る燃料電池システムの別の特徴構成は、前記燃焼部の内部の温度を測定する燃焼部温度測定器を備え、
前記動作制御部は、前記着火処理を行った後、前記燃焼部温度測定器で測定する前記燃焼部の内部の温度が所定の温度変化傾向を示さない場合、前記アノードに前記第１ガスを供給し且つ前記カソードに前記第２ガスを供給している間に前記着火器を着火作動させる前記着火処理を再度行う点にある。
【００１０】
着火処理が行われて可燃性成分の燃焼が正常に開始された場合、燃焼部の内部の温度は所定の速度で上昇する等の温度変化傾向を示すが、そのよう温度変化傾向を示さない場合は、燃焼部での失火が発生している等、可燃性成分の燃焼が正常に開始されていない可能性が高い。
そこで本特徴構成では、動作制御部は、着火処理を行った後、燃焼部の内部の温度が所定の温度変化傾向を示さない場合、アノードに第１ガスを供給し且つカソードに第２ガスを供給している間に着火器を着火作動させる着火処理を再度行う。その結果、燃焼部での可燃性成分の燃焼を開始させることができる。
（【００１１】以降は省略されています）

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