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公開番号2025136373
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-09-19
出願番号2024034896
出願日2024-03-07
発明の名称リン酸マグネシウムアンモニウムの晶析方法および装置
出願人水ing株式会社
代理人個人,個人,個人,個人
主分類C02F 11/00 20060101AFI20250911BHJP(水,廃水,下水または汚泥の処理)
要約【課題】有機性排水又は汚泥に含まれるリンをMAPとして回収する際に、晶析反応槽に投入する汚泥の性状変化を迅速に把握して、汚泥中のリン酸イオン濃度に適する量のマグネシウム塩を供給して、処理汚泥中Mg濃度を低減し、MAP回収率を向上させるMAP晶析方法及び装置を提供する。
【解決手段】MAP晶析反応槽に導入する汚泥中のリン酸イオン濃度を所定時間間隔でその場でマグネシウムイオン選択性電極を用いて定量分析し、定量分析したリン酸イオン濃度に基づいて、マグネシウム塩の添加量を制御することを特徴とするMAP晶析方法。汚泥およびマグネシウム塩を混合してMAPを生成するMAP晶析反応部と、汚泥中のリン酸イオン濃度を定量分析するリン酸イオン定量分析部と、リン酸イオン定量分析結果に基づいてマグネシウム塩の添加量を制御するマグネシウム塩添加制御機構とを具備するMAP晶析装置。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
汚泥およびマグネシウム塩を混合してMAPを生成するMAP晶析反応部と、汚泥中のリン酸イオン濃度を定量分析するリン酸イオン定量分析部と、リン酸イオン定量分析結果に基づいてマグネシウム塩の添加量を制御するマグネシウム塩添加制御機構とを具備し、
MAP晶析反応部は、MAP晶析反応槽と、MAP晶析反応槽に汚泥を供給する汚泥供給ラインと、MAP晶析反応槽にマグネシウム塩を供給するマグネシウム塩供給ラインと、マグネシウム塩貯槽と、を含み、
リン酸イオン定量分析部は、マグネシウムイオン選択性電極が設けられている反応槽と、反応槽に汚泥を導入する分析用汚泥導入ラインと、反応槽にマグネシウム塩を添加する分析用マグネシウム塩添加ラインと、を含み、
リン酸イオン定量分析部の分析用汚泥導入ラインはMAP晶析反応槽への汚泥供給ラインと連接し、MAP晶析反応槽またはリン酸イオン定量分析部へと汚泥の導入先を切り換える経路切り替え手段が汚泥供給ラインに設けられており、
リン酸イオン定量分析部の分析用マグネシウム塩添加ラインは、MAP晶析反応槽へのマグネシウム塩供給ラインと連接し、MAP晶析反応槽またはリン酸イオン定量分析部へとマグネシウム塩の導入先を切り換える経路切り替え手段がマグネシウム塩供給ラインに設けられており、
マグネシウム塩添加制御機構は、リン酸イオン定量分析部からの定量分析結果に基づいてMAP晶析反応槽へのマグネシウム塩添加量を決定する演算部と、マグネシウム塩貯槽からのマグネシウム塩添加の制御信号を発出する制御部と、マグネシウム塩供給ラインに設けられているマグネシウム塩供給量調整手段と、を含むことを特徴とする、MAP晶析反応装置。
続きを表示(約 2,000 文字)【請求項2】
前記リン酸イオン定量分析部の分析用汚泥導入ラインには、前記反応槽に導入する前の汚泥を固液分離する固液分離装置が設けられていることを特徴とする請求項1に記載のMAP晶析反応装置。
【請求項3】
MAP晶析反応槽に導入する汚泥中のリン酸イオン濃度を所定時間間隔でその場でマグネシウムイオン選択性電極を用いて定量分析し、定量分析したリン酸イオン濃度に基づいて、マグネシウム塩の添加量を制御することを特徴とするMAP晶析方法。
【請求項4】
前記マグネシウムイオン選択性電極を用いる汚泥中のリン酸イオン濃度の定量分析は、
マグネシウムイオン選択性電極を有する反応槽に汚泥を所定量で導入し、
反応槽内の汚泥にマグネシウム塩を添加し、マグネシウムイオン選択性電極によるマグネシウムイオンの検出を監視して、
リン酸イオンと反応したマグネシウムイオン量に基づいて汚泥中のリン酸イオン濃度を式1により算出することを特徴とする、請求項3に記載のMAP晶析方法。
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【請求項5】
前記マグネシウムイオン選択性電極を用いる汚泥中のリン酸イオン濃度の定量分析は、
マグネシウムイオン選択性電極を有する反応槽に汚泥を所定量A0(L)で導入し、
反応槽内の汚泥に、所定濃度M(mg/L)のマグネシウム塩を所定量ずつ添加し、マグネシウムイオン選択性電極によるマグネシウムイオンの検出を監視して、不溶化反応の終点を把握し、
不溶化反応の終点までのマグネシウム塩の添加量A(L)およびマグネシウム塩の濃度M(mg/L)から求められるリン酸イオンと反応したマグネシウムイオン量[M(mg/L)×A(L)]に基づき、汚泥中のリン酸イオン濃度(mg-P/L)を下記式2により算出することを特徴とする、請求項3に記載のMAP晶析方法。
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【請求項6】
前記マグネシウムイオン選択性電極を用いる汚泥中のリン酸イオン濃度の定量分析は、
マグネシウムイオン選択性電極を有する反応槽に汚泥を所定量A0(L)で導入し、
反応槽内の汚泥に、所定量A1(L)のマグネシウム塩を添加し、マグネシウムイオン選択性電極によるマグネシウムイオンの濃度を測定し、マグネシウムイオン濃度が変動しなくなる点における溶解性カチオン濃度M1(mg/L)を把握し、
添加したマグネシウムイオン量M(mg/L)×A1(L)と、マグネシウムイオン濃度が変動しなくなる点におけるマグネシウムイオン量M1(mg/L)×A0(L)との差から求められるマグネシウム塩の消費量に基づき、汚泥中のリン酸イオン濃度を下記式3により算出することを特徴とする、請求項3に記載のMAP晶析方法。
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【請求項7】
前記定量分析した汚泥中のリン酸イオン濃度に基づくマグネシウム塩の添加量の制御は、
(1)MAP晶析反応槽内の汚泥中のMg/Pの比率が一定になるようにマグネシウム塩の添加量を制御する態様、
(2)MAP晶析反応槽からの流出物中のマグネシウムイオン濃度が一定になるようにマグネシウム塩の添加量を制御する態様、または
(3)MAP晶析反応槽からの流出物中のリン酸イオン濃度が一定になるようにマグネシウム塩の添加量を制御する態様
のいずれかで行われることを特徴とする請求項3に記載のMAP晶析方法。
【請求項8】
前記定量分析した汚泥中のリン酸イオン濃度に基づくマグネシウム塩の添加量の制御は、前記MAP晶析反応槽内の汚泥中のMg/Pの比率が0.8以上1.2以下となるようにマグネシウム塩の添加量を制御するにより行われることを特徴とする、請求項3に記載のMAP晶析方法。
【請求項9】
前記定量分析した汚泥中のリン酸イオン濃度に基づくマグネシウム塩の添加量の制御は、MAP晶析反応槽からの流出物中のマグネシウムイオン濃度が60mg/L以下となるようにマグネシウム塩の添加量を制御することにより行われることを特徴とする、請求項3に記載のMAP晶析方法。
【請求項10】
前記定量分析した汚泥中のリン酸イオン濃度に基づくマグネシウム塩の添加量の制御は、MAP晶析反応槽からの流出物中のリン酸イオン濃度が10mg/L以上40mg/L以下となるようにマグネシウム塩の添加量を制御することにより行われることを特徴とする、請求項3に記載のMAP晶析方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、リン酸マグネシウムアンモニウムの晶析方法および装置に関し、特に無機性排水、有機性排水、無機汚泥、または有機汚泥などに含まれるリン酸イオン濃度に基づいて薬品添加量を制御するリン酸マグネシウムアンモニウムの晶析方法および装置に関する。
続きを表示(約 2,700 文字)【背景技術】
【0002】
近年の世界的なリン資源の枯渇に伴い、下水、排水、し尿等からのリン回収に再注目が集まっている。例えば、下水処理では生物学的リン除去法が広く用いられている。生物学的リン除去法は、ポリリン酸蓄積細菌(PAOs)と呼ばれる微生物の働きを活用し、反応タンク内において下水中からPAOsの体内にリンを取り込ませ、余剰汚泥として水処理系から引き抜くことで、下水中からリンを除去する。しかしながら、PAOsは、その後の消化槽等で体内に取り込んだリンを放出してしまう。また、汚泥中のタンパク質等の分解に伴い、アンモニアが多く発生することから、消化汚泥中にはリンとアンモニアが豊富に含まれる。そのため、多くの処理場では、リン、アンモニア、マグネシウムとから生成されるリン酸マグネシウムアンモニウム(MAP)を晶析させる方法が採用されている。
【0003】
リンやアンモニアを含む汚泥に対してマグネシウムを含む薬品を添加し適切なpHに調整することで、汚泥中に含まれるリンをMAP結晶として除去及び回収する技術が開発されている。例えば、特開2004-941号公報(特許文献1)には、し尿や浄化槽汚泥の脱水脱離液、汚泥の消化液、化学工業排水などの高濃度の有機物、リン及び窒素を含有する廃水から、リンをMAP結晶として回収する方法として、嫌気性処理工程と、有機性廃水又は汚泥中のリン及び窒素をリン酸マグネシウムアンモニウムの形態で系外に取り出す工程とを有する有機性廃水又は汚泥の処理方法において、該嫌気性処理工程内又はその前段において当該プロセスにより回収しようとするリン酸マグネシウムアンモニウムの目標回収量に応じてマグネシウム源を添加する工程を有し、該嫌気性処理工程で発生するリン酸マグネシウムアンモニウムの結晶を分離する工程を有し、該リン酸マグネシウムアンモニウム回収後汚泥の一部を汚泥脱水工程に導き、かつ該リン酸マグネシウムアンモニウム回収後汚泥の残りを該嫌気性処理工程に戻すことを特徴とする有機性廃水又は汚泥の処理方法が記載されている。
【0004】
特許文献1に示される方法は汚泥中に溶存態イオンとして存在しているリンだけではなく、消化槽等で自然発生したMAP等も回収することができる点で有用である。しかしながら、特許文献1は、いわば消化槽そのものをMAP晶析反応槽に見立ててMg供給量やMAP種晶量の管理を行う方式である。そのため、通常30日程度の滞留時間を有する数千m
3
の大容量となる消化槽内で、投入マグネシウム源を迅速に分散させ、MAP種晶を均一に流動させるための攪拌動力が大きくなる。有機性廃水又は汚泥からMAPを効率良く回収する方法としては、MAPを回収するための小型の晶析反応槽を別途設ける方法が有効な方法と考えられる。しかしながら、種々の要因により晶析反応槽内に投入される有機性廃水又汚泥の性状は変動するため、投入汚泥の性状変化に応じた晶析反応の反応条件の追従が難しい。
【0005】
また、MAP晶析反応において、マグネシウム添加量が少なすぎるとリン酸イオンが残留し、逆にマグネシウム添加量が多すぎると過飽和度が適正範囲より上昇し、回収不能の微細な晶析物が大量に発生する。よって、MAP晶析反応に対して不足又は過剰のマグネシウム添加では、結果的にMAP回収量の低下が懸念される。
【0006】
MAP晶析反応を最適化するため、晶析反応槽内の晶析反応液を定期的に採取し、晶析反応液中のリンの濃度を測定し、適量のマグネシウムを添加することが望ましい。リン酸イオンの公定法は、工場排水試験方法に規定されているモリブデン青(アスコルビン酸還元)吸光光度法(JIS K 0102-2016)に基づく。モリブデン青吸光光度法では、定量範囲が低濃度であるため、検水の前処理として汚泥分離、限外ろ過、希釈が必要になり、操作が煩雑で、頻繁に実施することは困難である。また、リンを含む有機性廃水又は汚泥は、比較的粘度が高く泥状であることが多く、濃度測定のための手間と時間がかかる。さらに、濃度測定結果が得られる頃には、有機性廃水又は汚泥に更なる性状変化が生じている場合もある。また、消化汚泥からのリン回収処理、及びその後段処理としての汚泥脱水処理は一般的に24時間連続処理として行われている場合が多いが、特に夜間における手分析による汚泥成分分析の手間と汚泥性状変化の追随操作を行うことは特に困難であった。したがって、このような方法では、晶析反応槽の運転条件を、投入汚泥の性状変化に迅速に対応させることは難しく、MAPの生産効率を十分に向上できない場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
特開2004-941号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従来、汚泥中のリン酸イオン濃度の測定は公定法により行われているため、定量分析の前処理が煩雑で頻繁に測定することができず、変動する汚泥性状に適合する量のマグネシウムの添加が困難であった。マグネシウムの添加量が少なすぎると処理汚泥中にリン酸イオンが残留して、MAP回収率が低下する。マグネシウムの添加量が多すぎると過飽和度が上昇して、回収不能の小さな析出物が大量に発生し、MAP回収率が低下する。さらに過剰量のマグネシウムは処理汚泥中に残留し、MAP晶析反応槽以外の処理施設の配管や槽において析出して、壁面に付着してスケールとなり、閉塞などの問題を生じさせる。
【0009】
本発明は、有機性排水又は汚泥に含まれるリンをリン酸マグネシウムアンモニウム(MAP)として回収するMAP回収方法において、晶析反応槽に投入する汚泥の性状変化を迅速に把握して、汚泥中のリン酸イオン濃度に適する量のマグネシウム塩を供給して、スケール発生を抑制して、MAP回収率を向上させる方法及び装置を提供することを目的とする。
【0010】
より具体的には、本発明は、リン酸マグネシウムアンモニウムの晶析方法において、晶析反応槽内の汚泥中のリン酸イオン濃度を簡易に高頻度で測定し、当該リン酸イオン濃度に基づいて晶析反応槽に投入するマグネシウム添加量を制御するリン酸マグネシウムアンモニウムの晶析方法および装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
(【0011】以降は省略されています)

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