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公開番号2025129899
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-09-05
出願番号2024026864
出願日2024-02-26
発明の名称回収可能なシールド掘進機と、回収可能なシールド掘進機を用いたトンネル施工方法
出願人大成建設株式会社
代理人個人,個人
主分類E21D 9/06 20060101AFI20250829BHJP(地中もしくは岩石の削孔;採鉱)
要約【課題】トンネルの途中位置に複数の別途のトンネルをシールド掘進機を再利用しながら接続するに当たり、工期が長くなることを抑制でき、施工コストの縮減を図ることのできる、回収可能なシールド掘進機と、これを用いたトンネル施工方法を提供する。
【解決手段】発進部10から到達部20まで延びるトンネル30を施工した後、その一部を再利用する回収可能なシールド掘進機40であり、回収ユニット50と外殻60を有し、回収ユニット50は、内殻51とカッターヘッド52と駆動部55及びシールドジャッキ57とを備え、外殻60は内殻51を包囲し、内殻51に対して着脱自在に取り付けられ、外殻60の後方には複数のトンネル函体70からなるトンネル函体群70Aが接続されて推進されるようになっており、発進部10から反力を取る推力伝達部材80が、トンネル函体群70Aの内側に配設されてシールドジャッキ57まで延びている。
【選択図】図2
特許請求の範囲【請求項1】
発進部から発進し、地中において到達部まで延びるトンネルを施工した後、その一部を再利用するべく回収可能である、回収可能なシールド掘進機であって、
回収ユニットと外殻とを有し、
前記回収ユニットは、
内殻と、該内殻の掘進方向前方にあるカッターヘッドと、該内殻の内部にある該カッターヘッドを駆動する駆動部及びシールドジャッキとを備え、
前記外殻は、前記内殻を包囲し、該内殻に対して着脱自在に取り付けられており、
前記外殻の掘進方向後方には、複数のトンネル函体からなるトンネル函体群が接続されて推進されるようになっており、
前記発進部から反力を取る推力伝達部材が、前記トンネル函体群の内側に配設されて前記シールドジャッキまで延びており、
前記シールドジャッキが前記推力伝達部材に反力を取って掘進することにより前記到達部に到達し、前記外殻と前記トンネル函体群とからなるトンネルが施工された後、該外殻から前記内殻が取り外されて前記回収ユニットが回収自在とされることを特徴とする、回収可能なシールド掘進機。
続きを表示(約 1,600 文字)【請求項2】
前記推力伝達部材は、スキンプレートを備えていない鋼製セグメントにより形成され、
前記シールド掘進機の掘進に応じて、前記鋼製セグメントが継ぎ足されて長くなることを特徴とする、請求項1に記載の回収可能なシールド掘進機。
【請求項3】
前記カッターヘッドが、内側部と、該内側部の周囲にある外周部とを備え、該内側部と該外周部が着脱自在とされており、
前記外周部の外周面は、前記シールド掘進機の掘進時に前記外殻の外面と面一もしくは該外殻の外面よりも側方の地山側に張り出しており、
前記回収ユニットには、前記外周部が含まれないことを特徴とする、請求項1又は2に記載の回収可能なシールド掘進機。
【請求項4】
前記カッターヘッドが、内側部と、該内側部の周囲にある外周部とを備え、
前記外周部は、前記内側部の内部からその径方向に伸縮自在とされており、
前記外周部は、前記シールド掘進機の掘進時には前記内側部から伸張して、その外面を前記外殻の外面と面一もしくは該外殻の外面よりも側方の地山側に張り出し、前記回収ユニットの回収時には前記内側部に収容されることを特徴とする、請求項1又は2に記載の回収可能なシールド掘進機。
【請求項5】
前記内殻には第1充填孔が設けられ、前記外殻には第2充填孔が設けられ、前記トンネル函体には第3充填孔が設けられており、
前記第1充填孔と前記第2充填孔を介して、及び/又は、前記第3充填孔を介して、前記外殻の周囲、及び/又は、前記トンネル函体の周囲に対して、掘進中は滑材を注入し、掘進完了後は裏込め材が充填されるようになっていることを特徴とする、請求項1又は2に記載の回収可能なシールド掘進機。
【請求項6】
その一部を回収可能なシールド掘進機を発進部から発進させ、地中において到達部まで延びるトンネルを施工した後、その一部を再利用するべく回収する、回収可能なシールド掘進機を用いたトンネル施工方法であって、
前記回収可能なシールド掘進機は、回収ユニットと外殻とを有し、
前記回収ユニットは、
内殻と、該内殻の掘進方向前方にあるカッターヘッドと、該内殻の内部にある該カッターヘッドを駆動する駆動部及びシールドジャッキとを備え、
前記外殻は、前記内殻を包囲し、該内殻に対して着脱自在に取り付けられており、
前記発進部から前記シールド掘進機を発進させ、前記外殻の掘進方向後方において、トンネル函体を順次接続し、かつ、前記発進部から反力を取る推力伝達部材を該トンネル函体の内側に配設して順次接続し、前記シールドジャッキが前記推力伝達部材に反力を取って掘進し、前記シールド掘進機を到達部に到達させることにより、複数の該トンネル函体からなるトンネル函体群と前記外殻とにより形成されるトンネルを施工した後、該外殻から前記内殻を取り外して前記回収ユニットを回収することを特徴とする、回収可能なシールド掘進機を用いたトンネル施工方法。
【請求項7】
回収された前記回収ユニットに対して、新規の外殻を装着して新規のシールド掘進機を形成し、該新規のシールド掘進機を利用して別途のトンネルを施工することを特徴とする、請求項6に記載の回収可能なシールド掘進機を用いたトンネル施工方法。
【請求項8】
発進部が中間立坑であり、到達部が本管であるシールドトンネルであり、
前記中間立坑において前記トンネル函体を組み立て、
前記中間立坑の内部にある反力架台に前記推力伝達部材が反力を取り、
前記回収ユニットの回収の際は、施工された前記トンネルの下方にレールを敷設し、レールに沿って該回収ユニットを前記中間立坑に搬送して回収することを特徴とする、請求項6又は7に記載の回収可能なシールド掘進機を用いたトンネル施工方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、回収可能なシールド掘進機と、回収可能なシールド掘進機を用いたトンネル施工方法に関する。
続きを表示(約 2,900 文字)【背景技術】
【0002】
昨今の都市部の地下空間を利用した共同溝や上下水道、雨水貯留管等の管渠の築造施工においては、地上交通の阻害防止や沿道住民への影響を最小限とするべく、大深度で長距離のシールド工法による施工が一般的となっている。
そのため、施工延長の長いシールドトンネル(本管)では、施工中の当該本管の中間部で地上からの枝管を本管に接続することを可能とするべく、本管の途中位置の近傍に中間立坑を施工し、中間立坑から本管へ通じる枝管を施工して双方を接続する施工が行われることがあり、延長の長い本管の側方には複数の中間立坑が施工され、各中間立坑からの枝管を本管に繋ぐ施工が複数回実施される場合が多い。
また、大深度での上記本管と中間立坑からの枝管を接続する施工では、高水圧下での施工となることが一般的であることから、地山の崩落や地下水の噴出がないように、密閉型のシールド工法や推進工法が一般に採用される。
施工方法は、シールド掘進機や推進機を中間立坑の下方にて組み立て、中間立坑の下方から掘進を開始し、シールド掘進機等を本管に到達させて一次覆工を施工した後、本管の内部および中間立坑側からシールド掘進機の内部にある各種機器(カッターヘッド、カッターヘッドを回転させる駆動部、シールドジャッキ、エレクタ装置等)を撤去し、一次覆工の内側に二次覆工を行うことによって枝管が施工され、枝管を介して本管と中間立坑の構築部の接続施工が完了することになる。
【0003】
上記する施工方法によれば、複数の枝管による複数の接続施工がある場合に、シールド掘進機や推進機を複数製作することによるコストアップが大きな課題となる。
また、撤去した機器を転用する方法を採用する場合は、撤去する期間と工場にて本体に組付けて再利用し、新たなシールド掘進機等を製作する期間の双方を考慮すると、工期の遅延が新たな課題となる。
本管と中間立坑の構築部を繋ぐ枝管の延長はせいぜい20m程度であることが一般的であるため、シールド掘進機等の掘進に要する時間はそれほど長くならないことに鑑みると、シールド掘進機等の掘進に要する時間に比べて、シールド掘進機の組み立てや掘進の準備、本管への到達後の解体等に要する時間が長くなり、工期の全体に占めるシールド掘進機等の解体や再生に要する割合が多くなる。
【0004】
以上のことから、発進部と到達部を繋ぐ複数のトンネルを再利用可能なシールド掘進機を用いて施工するに当たり、工期が長くなることを抑制でき、施工コストの縮減を図ることのできる、回収可能なシールド掘進機と、これを用いたトンネル施工方法が望まれる。
【0005】
ここで、特許文献1には、回収可能なカッター駆動ユニットを有するシールド掘進機が提案されている。このシールド掘進機は、回転カッターと、センターシャフトと、隔壁と、駆動源からの駆動力をセンターシャフトに伝達する駆動ユニットとを備えたシールド掘進機である。
センターシャフトは、回転カッターを備えるとともに隔壁に回転可能に設けられるカッター側センターシャフトと、駆動ユニットに回転可能に設けられる駆動側センターシャフトとを備え、カッター側センターシャフトと駆動側センターシャフトは着脱自在に嵌合接続されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
特開2018-16969号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に記載のシールド掘進機によれば、到達立坑や地盤改良を不要としてセンターシャフトを回収できるとしている。しかしながら、センターシャフトの回収に留まるものであり、シールド掘進機を構成するカッターヘッドや鋼殻、シールドジャッキ等の様々な構成部材を回収する手段を開示するものでない。
また、特許文献1に記載されるシールド掘進機をはじめとして、従来一般のシールド工法に適用されるシールド掘進機を再利用する場合に、複数のシールドジャッキは、シールド掘進機の後方で複数のセグメントを組み付けて形成されたセグメントリングに対して反力を取って掘進できるように、セグメントリングのセグメント継手面に正対する位置に複数のシールドジャッキが配設されており、セグメントリングと各シールドジャッキは相互に干渉することから各シールドジャッキの解体は必須であると同時に、各シールドジャッキの解体の際はシールドジャッキを1本ずつ解体することを要し、解体に多大な時間を要することになる。
【0008】
本発明は、発進部と到達部を繋ぐ複数のトンネルを再利用可能なシールド掘進機を用いて施工するに当たり、工期が長くなることを抑制でき、施工コストの縮減を図ることのできる、回収可能なシールド掘進機と、これを用いたトンネル施工方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記目的を達成すべく、本発明による回収可能なシールド掘進機の一態様は、
発進部から発進し、地中において到達部まで延びるトンネルを施工した後、その一部を再利用するべく回収可能である、回収可能なシールド掘進機であって、
回収ユニットと外殻とを有し、
前記回収ユニットは、
内殻と、該内殻の掘進方向前方にあるカッターヘッドと、該内殻の内部にある該カッターヘッドを駆動する駆動部及びシールドジャッキとを備え、
前記外殻は、前記内殻を包囲し、該内殻に対して着脱自在に取り付けられており、
前記外殻の掘進方向後方には、複数のトンネル函体からなるトンネル函体群が接続されて推進されるようになっており、
前記発進部から反力を取る推力伝達部材が、前記トンネル函体群の内側に配設されて前記シールドジャッキまで延びており、
前記シールドジャッキが前記推力伝達部材に反力を取って掘進することにより前記到達部に到達し、前記外殻と前記トンネル函体群とからなるトンネルが施工された後、該外殻から前記内殻が取り外されて前記回収ユニットが回収自在とされることを特徴とする。
【0010】
本態様によれば、回収可能なシールド掘進機が回収ユニットと外殻を有し、回収ユニットが、内殻と、内殻の掘進方向前方にあるカッターヘッドと、内殻の内部にあるカッターヘッドを駆動する駆動部及びシールドジャッキを含んでいることにより、シールド掘進機の多くの構成要素を一体に回収して再利用することができ、新規のシールド掘進機の製作(シールド掘進機の再生)においては回収された回収ユニットの外周に新規の外殻を取り付けることで足りるため、新規のシールド掘進機の製作に要する時間が短くなり、シールド掘進機を再利用して複数のトンネルを施工する際の全体の工期が長くなることが抑制され、施工コストの減縮を図ることができる。
(【0011】以降は省略されています)

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