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公開番号
2025128365
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2025-09-02
出願番号
2025101941,2022024452
出願日
2025-06-18,2014-05-15
発明の名称
中枢神経系へのアデノ随伴ウイルスを介した遺伝子導入
出願人
リージェンツ オブ ザ ユニバーシティ オブ ミネソタ
,
リジェネクスバイオ インコーポレイテッド
代理人
個人
,
個人
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個人
,
個人
,
個人
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個人
,
個人
,
個人
,
個人
主分類
A61K
35/76 20150101AFI20250826BHJP(医学または獣医学;衛生学)
要約
【課題】中枢神経系の疾患に関連する1つまたは複数の症状の防止、阻害、または処置を、それを必要とする哺乳動物において行うための方法の提供。
【解決手段】哺乳動物における発現が中枢神経系の疾患に関連する1つまたは複数の症状を防止、阻害または処置する遺伝子産物をコードするオープンリーディングフレームを含む有効量の組換えアデノ随伴ウイルス(rAAV)ベクターを含む組成物を、前記哺乳動物に髄腔内投与する工程を含み、前記rAAVがAAV-2ではないか、または前記哺乳動物に浸透促進薬が髄腔内投与される、方法。
【選択図】図15
特許請求の範囲
【請求項1】
中枢神経系の疾患に関連する1つまたは複数の症状の防止、阻害、または処置を、それを必要とする哺乳動物において行うための方法であって、前記方法が、前記哺乳動物における発現が前記1つまたは複数の症状を防止、阻害または処置する遺伝子産物をコードするオープンリーディングフレームを含む有効量の組換えアデノ随伴ウイルス(rAAV)ベクターを含む組成物を、前記哺乳動物に髄腔内投与する工程を含み、前記rAAVがAAV-2ではないか、または前記哺乳動物に浸透促進薬が髄腔内投与される、方法。
続きを表示(約 1,300 文字)
【請求項2】
中枢神経系の疾患に関連する1つまたは複数の症状の防止、阻害、または処置を、それを必要とする哺乳動物において行うための方法であって、前記方法が、前記哺乳動物における発現が前記1つまたは複数の症状を防止、阻害または処置する遺伝子産物をコードするオープンリーディングフレームを含む有効量の組換えアデノ随伴ウイルス(rAAV)ベクターを含む組成物を、前記哺乳動物に脳室内投与する工程を含み、前記rAAVがAAV-8ではないか、または前記哺乳動物が成体である、方法。
【請求項3】
中枢神経系の疾患に関連する1つまたは複数の症状の防止、阻害、または処置を、それを必要とする哺乳動物において行うための方法であって、前記哺乳動物における発現が前記1つまたは複数の症状を防止、阻害または処置する遺伝子産物をコードするオープンリーディングフレームを含む有効量のrAAVベクターを含む組成物と、有効量の浸透促進薬とを、前記哺乳動物に血管内投与する工程を含む、方法。
【請求項4】
組成物が浸透促進薬を含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
浸透促進薬が、マンニトール、グリココール酸ナトリウム、タウロコール酸ナトリウム、デオキシコール酸ナトリウム、サリチル酸ナトリウム、カプリル酸ナトリウム、カプリン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレン-9-ラウリルエーテル(polyoxyethylene-9-laurel ether)、またはEDTAを含む、請求項1または4に記載の方法。
【請求項6】
中枢神経系の疾患に関連する1つまたは複数の症状の防止、阻害、または処置を、それを必要とする哺乳動物において行うための方法であって、前記哺乳動物における発現が前記1つまたは複数の症状を防止、阻害または処置する遺伝子産物をコードするオープンリーディングフレームを含む有効量のrAAVベクターを含む組成物と、免疫抑制薬とを、前記哺乳動物に投与する工程を含む、方法。
【請求項7】
免疫抑制薬がシクロホスファミドを含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
免疫抑制薬が、グルココルチコイド、アルキル化剤を含む細胞分裂阻害剤、代謝拮抗物質、細胞傷害性抗生物質、抗体、またはイムノフィリンに対して活性な作用物質を含む、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
免疫抑制薬が、ナイトロジェンマスタード、ニトロソウレア、白金化合物、メトトレキサート、アザチオプリン、メルカプトプリン、フルオロウラシル、ダクチノマイシン、アントラサイクリン、マイトマイシンC、ブレオマイシン、ミトラマイシン、IL-2受容体(CD25)またはCD3に対する抗体、抗IL-2抗体、シクロスポリン、タクロリムス、シロリムス、IFN-β、IFN-γ、オピオイド、またはTNF-α(腫瘍壊死因子アルファ)結合剤を含む、請求項7または8に記載の方法。
【請求項10】
rAAVと免疫抑制薬とが同時投与されるか、または免疫抑制薬がrAAVの後に投与される、請求項6~9のいずれか一項に記載の方法。
(【請求項11】以降は省略されています)
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、2013年5月15日に出願された米国特許出願第61/823,757号の出願日の恩典を主張し、その開示は参照により本明細書に組み入れられる。
続きを表示(約 5,300 文字)
【0002】
政府の権利に関する陳述
本発明は、米国国立衛生研究所によって交付されたHD032652およびDK094538の下に、政府の支援を受けて為された。米国政府は本発明に一定の権利を有する。
【背景技術】
【0003】
背景
ムコ多糖症(MPS)は、グリコサミノグリカン(GAG)異化の乱れが引き起こす11の蓄積症の一群であり、リソソームにおけるGAGの蓄積をまねく(Muenzer, 2004、Munoz-Rojas et al., 2008)。さまざまな重症度の所見には、臓器肥大、骨格異形成、心閉塞および肺閉塞、ならびに神経機能低下が含まれる。イズロニダーゼ(IDUA)欠損症であるMPS Iの場合、重症度は、軽度(シェイエ症候群)から中等度(ハーラー・シェイエ)、さらには重度(ハーラー症候群)に及び、後者は神経学的不全と15歳までの死亡をもたらす(Muenzer, 2004、Munoz-Rojas et al., 2008)。MPSの治療法は大部分が対症療法であった。しかし、MPS疾患のなかには、ハーラー症候群を含めて、同種異系造血幹細胞移植(HSCT)が効力を呈したものもある(Krivit, 2004、Orchard et al., 2007、Peters et al., 2003)。加えて、酵素補充療法(ERT)が利用可能になりつつあるMPS疾患も、次第に増えている(Brady, 2006)。一般に、HSCTとERTは蓄積物質の除去と末梢状態の改善をもたらすが、いくつかの問題は処置後も残存する(骨格、心臓、角膜混濁)。これらの細胞療法および酵素療法における最も大きな問題は、神経所見の対処における有効性である。というのも、末梢に投与された酵素は血液脳関門を透過せず、HSCTは一部のMPSに有益であることは見いだされているが、全てのMPSに有益なわけではないからである。
【0004】
MPS Iは、細胞療法および分子療法の開発に関して最も大規模に研究されたMPS疾患の1つである。同種異系HSCTの有効性は、おそらく、欠けている酵素がドナー由来細胞から放出され、次に宿主細胞によって取り込まれ、リソソームに輸送されて、リソソーム代謝に寄与するという、代謝的交差補正(metabolic cross-correction)の結果であるだろう(Fratantoni et al., 1968)。続いて、肝臓や脾臓などの末梢臓器において、GAG蓄積物質の除去が観察され、心肺閉塞の緩和および角膜混濁の改善が起こる(Orchard et al., 2007)。とりわけ重要なのは、MPS疾患における神経学的所見の出現に対する同種異系幹細胞移植の効果である。これに関連して、同種異系幹細胞を生着させた個体が移植を受けていない患者と比較して改善された転帰を迎えることは、いくつかのMPS疾患について証拠がある(Bjoraker et al., 2006、Krivit, 2004、Orchard et al., 2007、Peters et al., 2003)。同種異系造血幹細胞移植の神経学的利益を説明する中心的仮説は、中枢神経系へのドナー由来造血細胞(おそらくミクログリア)の透過(Hess et al., 2004、Unger et al., 1993)であり、生着した細胞はそこで欠けている酵素を発現し、酵素はその地点からCNS組織中に拡散して、蓄積物質の除去に関与する。したがってCNS組織に提供される酵素のレベルは、脳内に生着するドナー由来細胞から発現され放出される量に限定される。そのような生着はMPS Iにとって大変有益であるものの、それでもなおレシピエントは、標準を下回るIQと神経認知能力障害を呈し続ける(Ziegler and Shapiro, 2007)。
【0005】
代謝的交差補正という現象は、いくつかのリソソーム蓄積症、特にMPS Iに対する、ERTの有効性の説明にもなる(Brady, 2006)。しかし、CNSに効果的に到達するには、その特定のリソソーム蓄積症(LSD)において欠けている酵素が血液脳関門(BBB)を透過する必要があることから、リソソーム蓄積症(LSD)の神経学的所見に対する酵素療法の有効性は観察されていない(Brady, 2006)。酵素は、ほとんどの場合、大きすぎ、また一般に荷電しすぎているので、BBBを効果的に横切ることができない。このことが、侵襲的髄腔内酵素投与の研究を喚起し(Dickson et al., 2007)、侵襲的髄腔内酵素投与については、MPS Iのイヌモデルにおいて有効性が実証され(Kakkis et al., 2004)、MPS Iに関するヒト臨床治験が始まっている(Pastores, 2008、Munoz-Rojas et al., 2008)。酵素療法の主な欠点として、その費用が多大であること(年間200,000ドル超)と、組換えタンパク質の反復注入が必要であることが挙げられる。髄腔内IDUA投与の現在の臨床治験は、3ヶ月に1回しか酵素を注射しない計画になっているので、この投与レジメンの有効性は不確かなままである。
【発明の概要】
【0006】
中枢神経系(CNS)の疾患に関連する1つまたは複数の症状の防止、阻害、および/または処置を、それを必要とする哺乳動物において行うための方法を記載する。本方法では、処置を必要とする哺乳動物のCNSに、遺伝子産物、例えば治療用遺伝子産物をコードするオープンリーディングフレームを含む有効量の組換えアデノ随伴ウイルス(rAAV)ベクターを含む組成物を送達する。rAAVベクターがコードしうるターゲット遺伝子産物としては、アルファ-L-イズロニダーゼ、イズロン酸-2-スルファターゼ、ヘパラン硫酸スルファターゼ、N-アセチル-アルファ-D-グルコサミニダーゼ、ベータ-ヘキソサミニダーゼ、アルファ-ガラクトシダーゼ、ベータガラクトシダーゼ、ベータ-グルクロニダーゼ、またはグルコセレブロシダーゼが挙げられるが、それらに限定されるわけではない。本明細書に開示する方法で防止、阻害または処置することができる疾患としては、ムコ多糖症I型障害、ムコ多糖症II型障害、またはムコ多糖症VII型障害が挙げられるが、それらに限定されるわけではない。AAVベクターは、それがCNS/脳に送達されること、および導入遺伝子が対象のCNS/脳にうまく形質導入されることを保証するために、さまざまな方法で投与することができる。CNS/脳への送達経路としては、髄腔内投与、頭蓋内投与、例えば脳室内投与または側脳室投与、鼻腔内投与、血管内投与、および実質内投与が挙げられるが、それらに限定されるわけではない。
【0007】
一態様において、本方法では、遺伝子をコードするオープンリーディングフレームを含む有効量のrAAV-9ベクターを含む組成物を、処置を必要とする成体哺乳動物のCNSに送達する。一態様において、本方法では、IDUAをコードするオープンリーディングフレームを含む有効量のrAAV-9ベクターを含む組成物を、処置を必要とする成体哺乳動物のCNSに送達する。これらの方法は、AAV-9ベクターが成体対象の脳/CNSに治療用導入遺伝子を効率よく形質導入して、酵素レベルを野生型のレベルまで回復させることができるという発見に一部基づいている(図15、下記参照)。成体マウスにおけるAAV-9の脈管内(intravascular)送達では広範な直接的神経ターゲティングが達成されないことを実証した以前の研究(Foust et al., 2009参照)や、成体IDUA欠損マウスのCNSへのAAV8-IDUAの直接注射では十分な導入遺伝子発現が得られなかったことを示す追加データ(図18)を考慮すると、AAV-9を使って達成された結果は意外である。原理証明として、本明細書に記載する実施例では、リソソーム酵素であるアルファ-L-イズロニダーゼ(IDUA)の欠損が引き起こす遺伝性代謝障害であるMPS1の処置に関する前臨床モデルを使用する。驚くべきことに、これらの実施例は、免疫適格性成体IDUA欠損マウスのCNSへのAAV9-IDUAの直接注射が、野生型成体マウスにおけるIDUA酵素の発現および活性と同じかそれを上回るIDUA酵素の発現および活性をもたらしたことを実証している(図15、下記参照)。
【0008】
本発明のさらなる態様において、実施例は、免疫抑制または免疫寛容化を誘導するための併用療法、または免疫不全動物の処置によって、さらに高レベルのIDUA酵素の発現および活性を達成できることも、実証している。一態様では、酵素活性を中和する免疫応答を促進する遺伝子型を持つ患者(例えばBarbier et al., 2013)を、IDUAなどの遺伝子産物をコードするオープンリーディングフレームを含むrAAVベクターに加えて、免疫抑制薬で処置する。
【0009】
新生児IDUA
-/-
マウスは免疫適格ではない。しかし、IDUA発現AAV-8を新生児IDUA
-/-
マウスに投与するとIDUA発現が起こり(Wolf et al., 2011)、その動物をIDUAに対して寛容化する。本明細書に記載するとおり、中枢神経系へのAAVの直接注入による成体(免疫適格)マウスへのAAVを介した遺伝子導入の適用可能性が、さまざまな投与経路を使って示された。例えば、免疫適格であるか、免疫不全(NODSCID/IDUA-/-)であるか、シクロホスファミド(CP)で免疫抑制されているか、または週に1回のヒトイズロニダーゼタンパク質(Aldurazyme)の注射を出生時から開始することによって免疫寛容化されているかのいずれかである成体IDUA欠損マウスの側脳室への直接注射によって、AAV-IDUA血清型9が投与された。CP免疫抑制動物には、鼻腔内注入、髄腔内注射、および血管内注入によっても、血液脳関門を破壊するためのマンニトールと共に、およびマンニトールなしで、AAV9-IDUAを投与した。ベクター投与の8週間後に動物を屠殺し、脳を回収し、IDUA酵素活性、組織グリコサミノグリカンおよびIDUAベクター配列を正常対照マウスおよび罹患対照マウスと比較して評価するために、顕微解剖した。これらの研究の結果は、例えばCNSにおいて、より高レベルのタンパク質送達および/または酵素活性が達成されるように、AAVベクターをCNSに直接投与するための数多くの経路を使用できることを示している。加えて、脳は免疫特権部位であるが、免疫抑制薬の投与または免疫寛容化によって、AAV投与後の脳に見いだされる活性が増加しうる。1回の投与あたりの発現レベルが高くかつ/または侵襲性の低い投与経路の方が、患者にとって臨床的に好ましい。
【0010】
したがって本発明は、哺乳動物のCNSにおいて発現した場合に治療効果を有する遺伝子産物をコードする組換えAAV(rAAV)ベクターの使用を包含する。一態様において、前記哺乳動物は、CNSの疾患または障害(神経学的疾患)を有する免疫適格哺乳動物である。本明細書にいう「免疫適格」哺乳動物とは、先天免疫と母親から例えば妊娠中にまたは授乳によって得られる免疫とを有する新生児とは対照的に、抗原刺激へのばく露後に、ポリクローナル刺激に応答して起こるTh1機能またはIFN-γ生産のアップレギュレーションによって、細胞性免疫応答と体液性免疫応答がどちらも引き出される年齢の哺乳動物をいう。免疫不全疾患を持たない成体哺乳動物は免疫適格哺乳動物の一例である。例えば、免疫適格性のヒトは典型的には少なくとも1、2、3、4、5または6ヶ月齢であり、免疫不全疾患を持たない成人が含まれる。一態様では、AAVが髄腔内に投与される。一態様では、AAVが頭蓋内(例えば脳室内)に投与される。一態様では、AAVが、浸透促進薬と共に、または浸透促進薬なしで、鼻腔内に投与される。一態様では、AAVが、浸透促進薬と共に、または浸透促進薬なしで、血管内に、例えば頚動脈投与によって投与される。一態様では、AAVを投与される哺乳動物が免疫不全であるか、または例えば免疫寛容化も免疫抑制も受けずにAAVを投与される対応哺乳動物と比較して、より高レベルな治療用タンパク質発現が誘導されるように、免疫寛容化または免疫抑制を受ける。一態様では、免疫抑制を誘導するために免疫抑制剤が投与される。一態様では、AAVを投与される哺乳動物が免疫寛容化も免疫抑制も受けない(例えばAAVのみの投与によって治療効果が得られる)。
(【0011】以降は省略されています)
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