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公開番号2025116685
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-08-08
出願番号2024011249
出願日2024-01-29
発明の名称MAX相化合物の製造方法
出願人学校法人 関西大学
代理人弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
主分類C01B 32/90 20170101AFI20250801BHJP(無機化学)
要約【課題】安価に、かつ、短時間で歩留まりよくMAX相化合物を製造する。
【解決手段】原料物質を含む混合物を加圧し、固形物を得る加圧工程と、前記固形物を誘導加熱することにより、自己伝播高温加熱合成反応(SHS反応)を発生させ、MAX相化合物を得る加熱工程と、を備え、前記加圧工程の後、または、前記加圧工程と同時に、前記固形物に、SHS反応の起点を少なくとも1つ形成する処理工程を有する、MAX相化合物の製造方法。
【選択図】図4
特許請求の範囲【請求項1】
一般式M
n+1
AX

(式中、Mは前周期遷移金属、AはAl、Si、P、S、Ga、Ge、As、Cd、In、Sn、TlおよびPbからなる群から選択され、XはCまたはNであり、nは1、2または3である)を有するMAX相化合物の製造方法であって、
前記MAX相化合物の原料物質を含む混合物を加圧し、固形物を得る加圧工程と、
前記固形物を誘導加熱することにより、自己伝播高温加熱合成反応(SHS反応)を発生させ、MAX相化合物を得る加熱工程と、を備え、
前記加圧工程の後、または、前記加圧工程と同時に、前記固形物に、SHS反応の起点を少なくとも1つ形成する処理工程を有する、MAX相化合物の製造方法。
続きを表示(約 420 文字)【請求項2】
前記処理工程が、前記固形物が有する面の少なくとも1つに、凸部および/または凹部を形成する工程である、請求項1に記載のMAX相化合物の製造方法。
【請求項3】
前記処理工程が、前記固形物が有する面の二次元形状の少なくとも1つを、上下対称および/または左右対称ではない形状とする工程である、請求項1に記載のMAX相化合物の製造方法。
【請求項4】
前記処理工程が、前記固形物が有する面の少なくとも1つと、他の面との間に貫通孔を形成する工程である、請求項1に記載のMAX相化合物の製造方法。
【請求項5】
前記処理工程が、前記固形物に、形状が尖っている箇所を形成する工程である、請求項1に記載のMAX相化合物の製造方法。
【請求項6】
前記処理工程が、前記固形物に、局所的に密度が高い箇所を形成する工程である、請求項1に記載のMAX相化合物の製造方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、MAX相化合物の製造方法に関する。
続きを表示(約 1,600 文字)【背景技術】
【0002】
近年、MXene(マキシン)と呼称される新規な材料の開発が進められている。前記MXeneは、層状の遷移金属炭化物(または窒化物もしくは炭化窒化物)であり、一般に組成式M
n+1




で表される二次元ナノシートの総称である。前記組成式中、Mは遷移金属(V、Ti、Mo、Taなど)、Xは炭素または窒素、T

は表面官能基(O、OH、F、Clなど)であり、n=1~3である。前記MXeneは、大きな比表面積、高い導電率および親水性官能基を持つことなどの特性から、エネルギー貯蔵材料、電極材料、電磁波シールド材料、センサー材料などの種々の用途への応用が期待されている。例えば、前記MXeneを電極材料とすることにより、層間にリチウムイオンを多数包含させることが可能となり、大容量の全固体電池を製造することが可能である。
【0003】
前記MXeneは、MAX相化合物からAで表される元素を取り除くことによって生成される。前記MAX相化合物は、一般式M
n+1
AX

で表される。前記一般式中、Aはアルミニウムおよびケイ素などの13族または14族元素であり、M、Xおよびnは、前記組成式中のM、Xおよびnと同一である。
【0004】
ここで、前記MAX相化合物の製造方法として、焼成炉による焼成、および、放電プラズマ焼結法(SPS法:Spark Plasma Sintering)による焼結を利用する製造方法などが開発されている。例えば、特許文献1には、SPS法を利用する方法である、以下の(a)~(d)の工程を少なくとも含む方法が開示されている。
(a)原料の粉末を混合する工程、
(b)前記工程で混合した粉末を、前記中空チャンバーに収容された絶縁セラミック材料製閉鎖容器に入れる工程、
(c)放電プラズマ焼結操作を行う工程、
(d)MAX相化合物のペレットを得る工程。
【0005】
しかしながら、焼成炉による焼成は、間接加熱であり、焼成に時間がかかるという問題があった。また、特許文献1に記載された方法は、焼成炉による焼成よりも短時間での焼成が可能であるが、大掛かりな装置を必要とする。さらに、当該方法は、短時間と言っても数十分の焼成時間を必要とする。
【0006】
一方、焼成時間が短い方法として、例えば、特許文献2には、MAX相化合物の前駆体材料(原料)を、パルス高温物理場に置き、迅速に昇温加熱して焼成し、MAX相化合物を製造する方法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
特開2023-54753号公報
中国公開特許公報第116495735号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献2に記載の方法では歩留まりよくMAX相化合物が得られない場合があり、歩留まりに改善の余地があった。
【0009】
そこで、本発明の一態様は、安価に、かつ、短時間で歩留まりよくMAX相化合物を製造することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本発明者らは、誘導加熱法による加熱と、自己伝播高温加熱合成反応(以下、「SHS反応」とも称する)とを利用することにより、安価に、かつ、短時間で歩留まりよくMAX相化合物を製造することができることを発見した。また、本発明者らは、加熱対象として、SHS反応の起点となる箇所を形成する処理を施した固形物を誘導加熱に供することによって、SHS反応を効率的に誘発することができることを発見し、本発明に想到した。
(【0011】以降は省略されています)

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