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公開番号2025103916
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-07-09
出願番号2023221643
出願日2023-12-27
発明の名称地盤調査装置及び地盤調査方法
出願人基礎地盤コンサルタンツ株式会社
代理人個人,個人
主分類E02D 1/04 20060101AFI20250702BHJP(水工;基礎;土砂の移送)
要約【課題】標準貫入試験後の上げ下げ作業を削減することで、動的コーン貫入試験に準じる作業効率で、高品質な標準貫入試験のN値を得られる地盤調査装置及び地盤調査方法を提供する。
【解決手段】下端部に地盤掘削具を有し、上端部に接続部を有する地盤掘削用鋼管と、その内部を略垂直方向に移動可能なボーリングロッドと、その下端部に、地盤掘削用鋼管の接続部と着脱可能な被接続部を設け、その下端部に水抜き孔と地盤貫入用のシューを備えるSPTサンプラーと、ボーリングマシンとで構成され、前記接続部と被接続部が接続状態の時は、水抜き孔が地盤掘削用鋼管により閉塞乃至半閉塞状態となり、SPTサンプラーへ送水して、内部に残留している地盤試料を水圧で押し出し、前記接続部と被接続部が非接続状態の時は、水抜き孔が開放状態となり、ボーリングロッド、被接続部及びSPTサンプラーが地盤掘削用鋼管の内部を移動可能となる、地盤調査装置。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
下端部に地盤掘削具を有し、上端部に接続部を有する地盤掘削用鋼管と、前記地盤掘削用鋼管の内部を略垂直方向に移動可能なボーリングロッドと、前記ボーリングロッドの下端部に設けられ、前記地盤掘削用鋼管の前記上端部の接続部と着脱可能な筒状の被接続部と、前記被接続部の下端部に設けられているとともに水抜き孔を有し、下端部に地盤貫入用のシューを備える逆止弁の無いSPTサンプラーと、前記ボーリングロッドに接続されたボーリングマシンとで構成され、前記上端部の接続部と前記筒状の被接続部を接続状態とした場合には、前記水抜き孔が前記地盤掘削用鋼管の内周壁により閉塞乃至半閉塞状態となり、前記ボーリングロッドを通じて前記SPTサンプラーへ送水することで、前記SPTサンプラー内周壁に残留している地盤試料を水圧で押し出すことができ、一方、前記上端部の接続部と前記筒状の被接続部を非接続状態とした場合には、前記水抜き孔が開放状態となるとともに、前記ボーリングロッド、前記筒状の被接続部及び前記SPTサンプラーが前記地盤掘削用鋼管5の内部を略垂直方向に移動可能できる、地盤調査装置。
続きを表示(約 770 文字)【請求項2】
前記地盤掘削用鋼管の内周壁面には、環状の付着物除去手段を更に備え、前記SPTサンプラーを前記地盤掘削用鋼管の内で上下方向に摺動させることにより、前記SPTサンプラーの外周面に付着した付着物を除去できることを特徴とする請求項1に記載の地盤調査装置。
【請求項3】
前記地盤掘削用鋼管には、前記地盤掘削用鋼管の前記接続部と前記SPTサンプラーの筒状被接続部を接続した場合には前記地盤掘削用鋼管内の削孔水が排出されず、前記接続部と前記被接続部の接続を解いた場合には前記地盤掘削用鋼管内の削孔水を管外へ排出可能となる排水孔を有し、前記地盤掘削用鋼管内の前記SPTサンプラーによって標準貫入試験を実施する際に前記SPTサンプラーの前記水抜き孔から吐出される掘削水と同量の削孔水を前記排水孔から前記地盤掘削用鋼管外へ排水することで前記SPTサンプラーが水圧の影響を受けることなく標準貫入試験を行うことができる請求項2に記載の地盤調査装置。
【請求項4】
調査対象地盤の位置までボーリング孔を削孔するボーリング孔削孔工程と、前記ボーリング孔削孔工程の後、SPTサンプラーを調査対象地盤に貫入してN値を算出する標準貫入試験工程と、前記標準貫入試験工程後、前記SPTサンプラー内に残留している地盤試料を水圧によって前記SPTサンプラー外へ排出し、前記SPTサンプラーを前記標準貫入試験工程前の状態へ戻すリセット工程とを、前記地盤調査装置を地上に回収することなく、ボーリング孔内で循環的に繰り返して実施する地盤調査方法。
【請求項5】
前記リセット工程では、環状の付着物除去手段により前記SPTサンプラーの外周面に付着した付着物も除去することを特徴とする請求項4に記載の地盤調査方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、土木構造物の設計や建築物基礎の設計パラメーターの一つであるN値を取得するための標準貫入試験を、作業の効率化、かつ高品質化する地盤調査装置及び地盤調査方法に関する。
続きを表示(約 2,600 文字)【背景技術】
【0002】
「標準貫入試験」とは、土木構造物や建築基礎の設計に用いるパラメーターのひとつであるN値を得るための試験方法を言う。元となる調査手法は1902年にアメリカで開発され、1948年に標準貫入試験方法として整理された。日本には1951年に導入され、その後、1961年にはJIS A 1219として規格化された。標準貫入試験で得られるN値は、現在、日本の土木構造物の設計に広く用いられており、地質調査においては地盤の緩さや締まり具合を判断するだけでなく、様々な物性値を推定するために最も重要なパラメーターとなっている。
【0003】
標準貫入試験の概要としては、ボーリング孔底に下ろしたSPTサンプラーから地上に繋がるボーリングロッドにアンビルを取り付け、さらにアンビル上側にガイド用ロッドを接続する。質量63.5kgで中空形状のハンマーにガイド用ロッドを貫通させた状態で、アンビル上面から76cmの落下高さから自由落下させてアンビルを打撃し、その打撃エネルギーによってボーリングロッド先端に接続されているSPTサンプラーを地盤に貫入させる。孔底から15cm深さまでの貫入は「予備打ち」とされ、予備打ち後に行う30cmの打撃貫入を「本打ち」として整理する。本打ちでは、SPTサンプラーを30cm貫入させるための打撃回数をN値として記録するものである。
【0004】
標準貫入試験は、SPTサンプラーを地盤から引き抜く際に生じる負圧でサンプラー貫入先端以深の地盤を乱してしまう問題があるため、通常は標準貫入試験実施直下の地盤では同試験を実施せず、試験後にSPTサンプラーを地上まで引き上げて回収した後に地盤掘削用鋼管をボーリングロッドの先端に接続してボーリング孔底まで降ろし、孔底から1m掘り下げた後、地盤掘削用鋼管を地上に引き上げて回収し、再びSPTサンプラーボーリングロッドの先端に接続した後に孔底まで降ろして標準貫入試験行う。このため、原則として標準貫入試験は1mに1回実施する。
【0005】
標準貫入試験が日本に取り入れられた当時、未固結地盤材料はコアリングでの試料採取が困難であったため、地質調査では地盤掘削用鋼管によるボーリング掘孔と送水によって地盤材料をスラリー状にして地上に排出する方法が一般的であった。しかし、現代では未固結地盤であってもコアリングによって地盤試料を採取することが可能となり、標準貫入試験孔とは別孔でコアリングやサンプリングを実施することや、単一孔で標準貫入試験とコアリングを交互に実施することも一般的に行われている。ただし、単一孔で標準貫入試験とコアリングを交互に行う場合、コアリングで地盤掘削用鋼管を引き上げる際に生じる負圧によって孔底以深の地盤を乱してしまう問題については深く議論されずに放置されている状況である。
【0006】
標準貫入試験に用いるSPTサンプラーはN値を得る目的とは別に、地盤試料を採取する機能があるため“サンプラー”と呼称されている。標準貫入試験での15cm+30cmの打撃貫入によって、SPTサンプラー内に取り込まれた地盤試料を落下させないようにするため、SPTサンプラーのコネクターヘッド部に逆止弁が内蔵されており、SPTサンプラーを引き上げる際にはSPTサンプラー内に負圧が作用して、取り込まれた地盤試料が落下しにくい構造になっている。国外のSPTサンプラーでは、逆止弁に加えて試料脱落防止用のバケット型キャッチャーが内蔵された製品も普及している。なお、現代のコアリング技術は、SPTサンプラーによる地盤材料採取と同等以上の品質で未固結地盤試料を採取できるほどに発展している。
【0007】
標準貫入試験を併用した地質調査では、標準貫入試験と削孔とを繰り返す度に、SPTサンプラーや地盤掘削用鋼管等のツールスの上げ下げが2往復生じることになるが、その作業の手間を省略するために、特許文献1乃至特許文献3等のようにSPTサンプラーを内蔵した地盤掘削用鋼管が開発され、近年ではSPTサンプラーを地盤掘削用鋼管に内蔵させるためのカップリングが数社から販売されている。このようなSPTサンプラーを内蔵した地盤掘削用鋼管を用いることで、従来1mの掘進で2往復であったツールスの上げ下げを1往復にすることが可能となった。
【0008】
SPTサンプラーを内蔵した地盤掘削用鋼管は作業効率を高めるだけでなく、地盤掘削用鋼管を引き上げることなく標準貫入試験を実施できることから、地盤掘削用鋼管の引き上げ時に孔底で負圧を発生させて孔底以深の地盤を乱してしまう問題を回避する手段としても有効である。また、通常であれば孔底に掘削屑や孔壁から崩れ落ちた土砂が堆積した状態で標準貫入試験を行うこともあるが、掘孔後に地盤掘削用鋼管を引き上げずに続けて標準貫入試験を実施することで、掘削屑を取り込む問題も解決できる利点や、地盤掘削用鋼管がボーリング孔内でのボーリングロッドの鉛直性を補助するためのセントラライザーとしての役割を兼ねるなど、標準貫入試験の品質を向上させる効果も期待される。
【0009】
一方、SPTサンプラー内蔵地盤掘削用鋼管は作業効率や品質面での長所がある反面、不適切な使用方法によって試料が詰まった状態での誤試験が行われ、不正確なN値を得るなどの低品質化の原因となることも指摘されており、表だって普及していない状況にある。
【0010】
2011年の東日本大震災以降、様々な土木構造物の耐震性能調査が行われているが、河川堤防のように延長の長い調査対象については、標準貫入試験を併用したボーリング調査地点を補間するために標準貫入試験より簡便で作業効率の良いJIS A 1230 動的コーン貫入試験が用いられることがある。動的コーン貫入試験は、地盤試料を採取せず、ボーリング孔削孔も必要ないことから標準貫入試験に比べて効率に優れた調査方法である。ただし、動的コーン貫入試験で得られるNd値は打撃エネルギーが標準貫入試験と異なることや、ロッドと地盤との間で生じる摩擦の影響を補正する必要があるなど、標準貫入試験で得られるN値と完全互換は得られないため参考値の扱いを受けることが多い。
(【0011】以降は省略されています)

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