TOP特許意匠商標
特許ウォッチ Twitter
公開番号2025102403
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-07-08
出願番号2023219833
出願日2023-12-26
発明の名称ガン免疫療法においてIDO1阻害剤と併用する薬剤を選択する方法、及びIDO1阻害剤と併用する薬剤とを含むガン免疫療法用組成物
出願人静岡県公立大学法人
代理人個人,個人,個人,個人,個人,個人,個人,個人
主分類A61K 45/06 20060101AFI20250701BHJP(医学または獣医学;衛生学)
要約【課題】ガン免疫療法において、IDO1阻害剤を単剤で使用するよりも、むしろ、IDO1阻害剤を含む、複合がん免疫療法の観点から適切な併用薬の同定が急務となっており、IDO1阻害剤と併用する他の薬剤を効率的に選択する方法を提供する。
【解決手段】マウスIdo1遺伝子導入マウス大腸ガン細胞株に由来する腫瘍細胞をトランスクリプトーム解析することにより、ガン免疫療法においてIDO1阻害剤と併用する薬剤を選択する方法。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
マウスIdo1遺伝子導入マウス大腸ガン細胞株に由来する腫瘍細胞をトランスクリプトーム解析することにより、ガン免疫療法においてIDO1阻害剤と併用する薬剤を選択する方法。
続きを表示(約 390 文字)【請求項2】
トランスクリプトーム解析することにより、マウスIdo1遺伝子導入マウス大腸ガン細胞株に由来する腫瘍細胞における発現量とマウスIdo1遺伝子非導入マウス大腸ガン細胞株に由来する腫瘍細胞における発現量との比較を行うことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
発現量が、シクロオキシゲナーゼ2(COX-2)の発現量である、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
IDO1阻害剤と、請求項1に記載の方法により選択された薬剤とを含むガン免疫療法用組成物。
【請求項5】
対象が哺乳動物である、請求項4に記載のガン免疫療法用組成物。
【請求項6】
対象がヒトである、請求項5に記載のガン免疫療法用組成物。
【請求項7】
対象がイヌである、請求項5に記載のガン免疫療法用組成物。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、ガン免疫療法においてIDO1阻害剤と併用する薬剤を選択する方法に関し、また、IDO1阻害剤と、ガン免疫療法においてIDO1阻害剤と併用する薬剤を選択する方法により選択された薬剤とを含むガン免疫療法用組成物に関する。
続きを表示(約 3,200 文字)【背景技術】
【0002】
ガンの治療法として、ガン細胞の免疫逃避機構に対抗して、免疫の力を利用してガン細胞を攻撃することでガンを治療するガン免疫療法が、免疫チェックポイント阻害剤を使用する方法などを含めて、種々開発されている。こうしたガン免疫療法の開発にあって、トリプトファン(Trp)の代謝産物であるキヌレニン(Kyn)は、ガン免疫寛容などの哺乳動物の免疫応答の重要な調節因子であり、インドールアミン-2、3-ジオキシゲナーゼ1(IDO1)は、Kyn経路の最初の律速段階を調節する主要な酵素の一つであることから、ガン免疫療法における抗ガン剤の新たな標的として注目されている。
【0003】
これまでに腫瘍微小環境では免疫系を抑制し、ガンの進行を促進する複数のメカニズムが知られているが、中でも腫瘍微小環境におけるKyn経路の活性化は、免疫寛容の重要なメカニズムであり、ガンの進行を促進することが知られている。Kynは、芳香族炭化水素受容体(aryl hydrocarbon receptor:AhR)の内因性リガンドとして作用し、AhRを活性化する。AhRは樹状細胞(dendritic cell:DC)、マクロファージ、NK細胞、自然リンパ球、細胞障害性T細胞(cytotoxic T lymphocyte:CTL)、17型ヘルパーT細胞、22型ヘルパーT細胞を抑制し、制御性T細胞(regulatory T cell:Treg)や骨髄由来抑制細胞(myeloid-derivedsuppressor cell:MDSC)などの免疫抑制系細胞を活性化する。すなわち、Kynは、AhRの活性化を介して、NK細胞やエフェクターCD4

T細胞、CTLの増殖や機能を抑制し、TregやMDSCを活性化することで免疫を抑制すると考えられている。
【0004】
また、腫瘍微小環境におけるIDO1の過剰発現によるトリプトファンの枯渇により、アミノ酸の欠乏を感知するセンサーであるGCN2(general control non-derepressible2)の活性化や細胞内シグナル伝達に関与するmTOR(mammalian target of rapamycin)の抑制を介してT細胞の増殖や分化の抑制、アネルギーが誘発されることも報告されている。
さらに、TGF-βによりIDO1を発現したDCでは、ナイーブCD4

T細胞をTregへ誘導し、免疫抑制に働くことが報告されている。これらの知見より、IDO1をはじめとするKyn経路に関係する分子は腫瘍環境における免疫抑制に大きく関与していると考えられ、ガン免疫療法の新たな標的として注目されている。
【0005】
これまでに、さまざまな阻害様式のIDO1阻害剤が見出されており、IDO1の競合阻害剤であるepacadostat、navoximod、indoximod、BMS986205、非競合阻害剤であるPF-06840003など、複数のIDO1阻害剤が臨床試験に供されているが、IDO1阻害剤は単独の薬剤として承認に至っていない。さらに、悪性黒色腫に対するepacadostatと抗PD-1抗体であるキイトルーダとの併用療法の臨床開発試験では、第3相試験においてキイトルーダ単剤と比較して病勢進行または死亡のリスクに対する有効性に統計学的有意な差が確認されなかったとして、臨床試験が中止となったことから、IDO1阻害剤と他の薬剤との併用試験についても、十分な開発が進んでいるとはいいがたい状況にある。例えば、特許文献1の請求項91には、適応免疫応答の活性化因子としての小分子が、IDO1阻害剤を含めて多数列挙されているが、IDO1阻害剤と併用する他の薬剤についての記載はなく、特許文献2には、クロメン化合物とIDO1インヒビターとの併用は記載されているものの、クロメン化合物を含むことを特徴とする併用薬が記載されているだけであって、IDO1インヒビターと併用する他の薬剤についての記載はない。
【0006】
さらに、腫瘍によっては、ヒト以外の哺乳動物における腫瘍とヒトにおける腫瘍とが臨床的にも、病理学的にも、分子生物学的にも類似していることから、ガン免疫療法は、ヒトに限られることなく、イヌなどのヒト以外の哺乳動物に対しても適用が期待されている。すでに、欧米においては、獣医療分野でのガン免疫療法の臨床応用が進み、抗PD-1阻害抗体薬(Gilvetmab)が上市されており、我が国においても臨床試験が進められていることから、今後、ヒトに対するのと同様にイヌなどの哺乳動物に対しても、ガン免疫療法がガン治療の柱の一つとなるものと期待されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
特開2023-78198号公報
特表2019-501224号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ガン免疫療法におけるTrp代謝(Kyn経路)の重要性は否定されてはいないことから、IDO1阻害剤を単剤として使用するよりも、むしろ、IDO1阻害剤を含む併用薬が複合がん免疫療法の観点からはより有効ではないかと考えられ、併用薬に用いられる薬剤の選択が急務となっている。IDO1阻害剤と併用する他の薬剤については、前記のとおり、例えば特許文献1の請求項91に列挙された多数の小分子が候補となり得るとしても、IDO1阻害剤と併用する他の薬剤を多数の候補の中から、短時間にかつ効率的に、しかも確度高く、選択する方法が求められていた。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者は、マウスIdo1遺伝子を組み込んだレトロウイルス発現ベクターを作製し、かかるレトロウイルス発現ベクターを含むウイルス溶液を使用してマウス大腸ガン細胞株CT26細胞にトランスフェクションし、マウスIdo1遺伝子を導入した安定発現株(CT26-IDO1)を取得し、BALB/cマウスにCT26-IDO1を皮下移植する技術を確立した。本発明は、マウスIdo1遺伝子導入マウス大腸ガン細胞株としてのCT26-IDO1のマウス移植モデルにおける腫瘍細胞について、トランスクリプトーム解析を実施することにより、野生型との比較において、特異的な発現量の変化を見出すことで、IDO1阻害剤と併用する薬剤を効率的に選択する方法を見出したことに基づくものである。
【0010】
すなわち、本発明は、以下に示す事項により、特定されるものである。
(1)マウスIdo1遺伝子導入マウス大腸ガン細胞株に由来する腫瘍細胞をトランスクリプトーム解析することにより、ガン免疫療法においてIDO1阻害剤と併用する薬剤を選択する方法。
(2)トランスクリプトーム解析することにより、マウスIdo1遺伝子導入マウス大腸ガン細胞株に由来する腫瘍細胞における発現量とマウスIdo1遺伝子非導入マウス大腸ガン細胞株に由来する腫瘍細胞における発現量との比較を行うことを特徴とする、上記(1)に記載の方法。
(3)発現量が、シクロオキシゲナーゼ2(COX-2)の発現量である、上記(2)に記載の方法。
(4)IDO1阻害剤と、上記(1)に記載の方法により選択された薬剤とを含むガン免疫療法用組成物。
(5)対象が哺乳動物である、上記(4)に記載のガン免疫療法用組成物。
(6)対象がヒトである、上記(5)に記載のガン免疫療法用組成物。
(7)対象がイヌである、上記(5)に記載のガン免疫療法用組成物。
【発明の効果】
(【0011】以降は省略されています)

この特許をJ-PlatPatで参照する

関連特許

静岡県公立大学法人
TRPV4活性化剤
3か月前
静岡県公立大学法人
チロシンフェノールリアーゼ阻害剤
3日前
ナガセヴィータ株式会社
吸入用粉末剤
3か月前
日研フード株式会社
認知機能の低下予防又は改善作用を有する温州みかんエキスとその製造方法
3か月前
静岡県公立大学法人
ガン免疫療法においてIDO1阻害剤と併用する薬剤を選択する方法、及びIDO1阻害剤と併用する薬剤とを含むガン免疫療法用組成物
24日前
株式会社テクノスルガ・ラボ
プロバイオティクス又はプレバイオティクスのスクリーニング方法及びそれに用いるスクリーニング用培地
2か月前
個人
健康器具
5か月前
個人
鼾防止用具
5か月前
個人
短下肢装具
10日前
個人
歯茎みが品
6か月前
個人
塗り薬塗り具
7か月前
個人
脈波測定方法
5か月前
個人
洗井間専家。
4か月前
個人
導電香
6か月前
個人
脈波測定方法
5か月前
個人
白内障治療法
4か月前
個人
嚥下鍛錬装置
25日前
個人
前腕誘導装置
14日前
個人
マッサージ機
5か月前
個人
収納容器
7か月前
個人
クリップ
6か月前
個人
ホバーアイロン
3か月前
個人
歯の修復用材料
1か月前
個人
矯正椅子
2か月前
個人
片足歩行支援具
6か月前
個人
バッグ式オムツ
1か月前
個人
健康器具
7か月前
個人
シャンプー
3か月前
個人
陣痛緩和具
25日前
三生医薬株式会社
錠剤
4か月前
個人
眼科診療車
6か月前
個人
車椅子持ち上げ器
4か月前
個人
哺乳瓶冷まし容器
8日前
個人
歯の保護用シール
2か月前
個人
口内洗浄具
5か月前
個人
除菌システム
6か月前
続きを見る