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公開番号2025087112
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-06-10
出願番号2023201537
出願日2023-11-29
発明の名称ポリプロピレン樹脂組成物および無機物質粉末含有繊維
出願人日本ポリプロ株式会社
代理人清流国際弁理士法人,個人,個人
主分類C08L 23/10 20060101AFI20250603BHJP(有機高分子化合物;その製造または化学的加工;それに基づく組成物)
要約【課題】無機物質粉末を高充填しながらも、優れた紡糸性故に製造が容易で、機械特性を始めとする品質が均一且つ十分なポリプロピレン樹脂組成物を提供する。
【解決手段】熱可塑性樹脂と無機物質粉末とを質量比70:30～99.9:0.1の割合で含有するポリプロピレン樹脂組成物、およびそれを含む無機物質粉末含有繊維。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項１】
ポリプロピレン樹脂と無機物質粉末とを質量比７０：３０～９９．９：０．１の割合で含有するポリプロピレン樹脂組成物。
続きを表示（約 740 文字）【請求項２】
前記無機物質粉末が、レーザー回折法により測定される平均粒子径が１μｍ以上１０μｍ以下のシリカである請求項１に記載のポリプロピレン樹脂組成物。
【請求項３】
前記シリカが、ＢＥＴ比表面積が３０ｍ
２
／ｇ以上７００ｍ
２
／ｇ以下、かさ密度が０．０２ｇ／ｍｌ以上０．５ｇ／ｍｌ以下、細孔容積が０．３ｍｌ／ｇ以上３ｍｌ／ｇ以下、吸油量が５０ｍｌ／１００ｇ以上５００ｍｌ／１００ｇ以下である請求項２に記載のポリプロピレン樹脂組成物。
【請求項４】
前記ポリプロピレン樹脂が、プロピレン単独重合体、プロピレン－エチレン共重合体、及びプロピレン－ブテン－エチレン共重合体から選ばれる少なくとも一種の樹脂である請求項１～３の何れかに記載のポリプロピレン樹脂組成物。
【請求項５】
前記ポリプロピレン樹脂が、メルトフローレート（ＭＦＲ）が１ｇ／１０分以上４０ｇ／１０分以下である請求項１～３の何れかに記載のポリプロピレン樹脂組成物。
【請求項６】
請求項１～３の何れかに記載のポリプロピレン樹脂組成物を含む無機物質粉末マスターバッチ。
【請求項７】
ポリプロピレン系樹脂と請求項６に記載の無機物質粉末マスターバッチとを含有するポリプロピレン系樹脂組成物。
【請求項８】
請求項１～３の何れかに記載のポリプロピレン樹脂組成物または請求項７に記載のポリプロピレン系樹脂組成物を含む無機物質粉末含有繊維。
【請求項９】
請求項８に記載の無機物質粉末含有繊維を用いたロープ、織物、カーペット、人工芝、またはコンクリート補強用繊維。

発明の詳細な説明【技術分野】
【０００１】
本発明は、ポリプロピレン樹脂組成物および無機物質粉末含有繊維に関する。
続きを表示（約 2,400 文字）【背景技術】
【０００２】
従来より、溶融紡糸により製造された繊維が、医療用資材、衛生材料、フィルター、建材、土木用資材、被覆材、セパレータ、吸収性物品、包装資材、担持用資材、バッキング資材、衣料を始めとする生活物資等として広く用いられている。
【０００３】
しかしながら、環境保護の観点から、溶融紡糸繊維に用いられる熱可塑性樹脂の消費量を低減することが昨今の課題とされている。このような点から、無機物質粉末を熱可塑性樹脂中に高充填してなる無機物質粉末高配合熱可塑性樹脂組成物が提唱され、シート等への実用化が提案されている（例えば、特許文献１等参照）。
【０００４】
熱可塑性樹脂に無機物質粉末を高配合すると、繊維の着色性や高い白色度、親水性又は疎水性、分離機能、触媒機能等、配合する無機物質粉末の特性に応じた種々の物性を繊維に付与することができる。例えば繊維の剛性を高めつつ、柔らかな触感を付すことができる。そのため、無機物質粉末を高充填した熱可塑性樹脂を溶融紡糸したスパンボンド不織布が提案されている（例えば、特許文献２等参照）。しかしながら、このような無機物質粉末を高充填した熱可塑性樹脂を溶融紡糸繊維にしようとすると、紡糸工程において無機物質と熱可塑性樹脂との界面で断糸が起こる懸念があり、製造工程においては紡糸速度を上げられない、あるいは安定生産できないという欠点を有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【０００５】
特開２０１３－０１０９３１号公報
特開２０２１－１１００７３号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【０００６】
例えば特許文献２では無機物質粉末を約５０質量％以上含有する繊維から構成されるスパンボンド不織布について言及しているものの、その溶融紡糸繊維の成形速度と糸切れ、断糸の関連性については記載されていない。特許文献２の記載から溶融紡糸繊維を得ようとしても、紡糸性は実用に耐え得ないものになると推定される。無機物質粉末含有量から熱可塑性樹脂消費量を低減すると共に、成形性を兼ね備え実用に耐え得ることができ、環境問題の解決に貢献する無機物質粉末含有繊維が求められている。
【０００７】
本発明の目的は、上記問題点に鑑み、無機物質粉末を充填しながらも、紡糸性に優れたポリプロピレン樹脂組成物を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【０００８】
本発明者は、上記課題を解決する為に鋭意研究を重ねた結果、ポリプロピレン樹脂に特定の無機物質粉末を配合することにより、環境問題の解決にも貢献し得るポリプロピレン繊維が工業的規模で安定的に得られることを見いだし、本発明を完成させた。具体的に、本発明は以下を提供する。
【０００９】
（１）ポリプロピレン樹脂と無機物質粉末とを質量比７０：３０～９９．９：０．１の割合で含有するポリプロピレン樹脂組成物。
（２）前記無機物質粉末が、レーザー回折法により測定される平均粒子径が１μｍ以上１０μｍ以下のシリカである（１）に記載のポリプロピレン樹脂組成物。
（３）前記シリカが、ＢＥＴ比表面積が、３０ｍ
２
／ｇ以上７００ｍ
２
／ｇ以下であり、かさ密度が０．０２ｇ／ｍｌ以上０．５ｇ／ｍｌ以下、細孔容積が０．３ｍｌ／ｇ以上３ｍｌ／ｇ以下、吸油量が５０ｍｌ／１００ｇ以上５００ｍｌ／１００ｇ以下である（２）に記載のポリプロピレン樹脂組成物。
（４）前記ポリプロピレン樹脂が、プロピレン単独重合体、プロピレン－エチレン共重合体、及びプロピレン－ブテン－エチレン共重合体から選ばれる少なくとも一種の樹脂である（１）～（３）の何れかに記載のポリプロピレン樹脂組成物。
（５）前記ポリプロピレン樹脂が、メルトフローレート（ＭＦＲ）１ｇ／１０分以上４０ｇ／１０分以下である（１）～（４）の何れかに記載のポリプロピレン樹脂組成物。
（６）（１）～（５）の何れかに記載のポリプロピレン樹脂組成物を含む無機物質粉末マスターバッチ。
（７）ポリプロピレン系樹脂と（６）に記載の無機物質粉末マスターバッチとを含有するポリプロピレン系樹脂組成物。
（８）（１）～（５）の何れかに記載のポリプロピレン樹脂組成物または（７）に記載のポリプロピレン系樹脂組成物を含む無機物質粉末含有繊維。
（９）（８）に記載の無機物質粉末含有繊維を用いたロープ、織物、カーペット、人工芝、またはコンクリート補強用繊維。
【発明の効果】
【００１０】
本発明によれば、無機物質粉末を充填しながらも、優れた紡糸性を有する故に製造が容易で、機械特性を始めとする品質が均一且つ十分なポリプロピレン樹脂組成物が提供される。本発明に従いポリプロピレン樹脂と無機物質粉末とを質量比７０：３０～９９．９：０．１の割合で含有されるポリプロピレン樹脂組成物は、紡糸性に優れるので、無機物質粉末含有繊維を容易に製造できる。また、無機物質粉末が均一に分散されており、高速成形時にも無機物質粉末等の凝集部を起点として繊維が破断することがない。本発明のポリプロピレン樹脂組成物はまた、無機物質粉末を多量に含有しているので、熱可塑性樹脂の消費量を低減することができ、環境問題の解決にも貢献し得る。また、得られたポリプロピレン系樹脂組成物を含む無機物質粉末含有繊維は、高い強度を有するので、ロープ、織物、カーペット、人工芝、コンクリート補強用繊維等の用途に極めて好適なものである。
【発明を実施するための形態】
（【００１１】以降は省略されています）

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