特許ウォッチ

公開番号2025080233
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-05-23
出願番号2024196405
出願日2024-11-11
発明の名称鉱物充填ポリアミド成形コンパウンド
出願人エムズ-ヒェミー・アクチェンゲゼルシャフト
代理人個人,個人,個人,個人
主分類C08L 77/00 20060101AFI20250516BHJP(有機高分子化合物;その製造または化学的加工;それに基づく組成物)
要約【課題】自動車部門だけでなく、エレクトロニクス部門の製造のために好適な機械的特性を有し、同時に深い黒色の印象も与える鉱物充填熱可塑性ポリアミド成形コンパウンドを提供する。
【解決手段】A 20～89.9重量%の少なくとも1種のポリアミドと、
B 100重量%のBに対してそれぞれ、45～70重量%の(隠微)晶質ケイ酸B1と、5～15重量%の非晶質ケイ酸B2と、20～40重量%の焼成カオリン(B3)との混合物からなり、成分Bが、100%のBに対して5～20重量%の酸化アルミニウム含有量および80～95重量%の酸化ケイ素含有量を有する、10～55重量%の鉱物充填剤と、
C 0～15重量%のガラスおよび/または炭素繊維と、
D 0.1～5.0重量%の黒色着色剤と、
E 0～5.0重量%の添加剤と
からなる、鉱物充填熱可塑性ポリアミド成形コンパウンドである。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項１】
熱可塑性ポリアミド成形コンパウンドであって、
Ａ２０～８９．９重量％の少なくとも１種のポリアミドと、
Ｂ１０～５５重量％の鉱物充填剤であって、１００重量％のＢに対してそれぞれ、４５～７０重量％の隠微晶質ケイ酸Ｂ１と、５～１５重量％の非晶質ケイ酸Ｂ２と、２０～４０重量％の焼成カオリンＢ３との混合物からなり、前記成分Ｂが、１００％のＢに対して５～２０重量％の酸化アルミニウム含有量および８０～９５重量％の酸化ケイ素含有量を有する、鉱物充填剤と、
Ｃ０～１５重量％のガラス繊維および／または炭素繊維と、
Ｄ０．１～５．０重量％の黒色着色剤と、
Ｅ０～５．０重量％の添加剤と
からなり、
Ａ～Ｅの合計が、前記熱可塑性ポリアミド成形コンパウンドの１００％であり、
前記熱可塑性ポリアミド成形コンパウンドが、ＤＩＮＥＮＩＳＯ１１６６４－４：２０２０に従ってＣＩＥＬＡＢ色空間において寸法６０×６０×２ｍｍのプレート上で決定され、光沢も測定される場合は最大３０、光沢も測定されない場合は最大１２である色の明度Ｌ
＊
を有する、
熱可塑性ポリアミド成形コンパウンド。
続きを表示（約 2,300 文字）【請求項２】
成分Ａが、成分Ａ～Ｅに対して２８～８４．９重量％、好ましくは５０～７９．８重量％の範囲の割合で存在することを特徴とする、請求項１に記載の熱可塑性ポリアミド成形コンパウンド。
【請求項３】
成分Ａが、
Ａ１２０～１００重量％、好ましくは４０～８５重量％の、脂肪族ジカルボン酸および脂肪族ジアミンをベースとする少なくとも１種の脂肪族半結晶性ポリアミド、ならびに／またはジカルボン酸およびジアミンをベースとする少なくとも１種の部分芳香族半結晶性ポリアミドと、
Ａ２０～８０重量％、好ましくは１５～６０重量％の少なくとも１種の非晶質ポリアミドと
からなり、
成分Ａ１およびＡ２の重量％の合計が、成分Ａの１００重量％になる
ことを特徴とする、請求項１または２に記載の熱可塑性ポリアミド成形コンパウンド。
【請求項４】
前記成分Ａ１のポリアミドが、ＰＡ６、４６、５６、６６、６６／ＢＡＣ６、６６／６、６９、６１０、６１２、６１４、６１６、６１８、８１０、１０１０、１０１２、１２１２、１１、１２、６／１２、６６／６／６１０からなる群から選択され、６６、６６／ＢＡＣ６、および６１０が好ましく、ＢＡＣが１，３－ＢＡＣに等しい６６／ＢＡＣ６が特に好ましい、半結晶性脂肪族ポリアミドであり、
ならびに／またはＰＡ６Ｔ／６Ｉ、６Ｔ／６６、６Ｔ／６Ｉ／６６、６Ｔ／６１０、６Ｔ／６１２、６Ｔ／６１４、６Ｔ／６１６、９Ｔ、９ＭＴ（Ｍ＝２－メチルオクタン－１，８－ジアミン）、１０Ｔ、１１Ｔ、１０Ｔ／６Ｔ、１１Ｔ／６Ｔ、１２Ｔ、１０Ｔ／６Ｔ、１１／１０Ｔ、１２／１０Ｔ、１１／９Ｔ、１２／９Ｔ、１０Ｔ／１０１０、１０Ｔ／６１２からなる群から選択され、ジカルボン酸の総含有量に対するテレフタル酸の割合が、好ましくは５０ｍｏｌ％超、特に好ましくは５５ｍｏｌ％超である、半結晶性部分芳香族ポリアミドであり、
ならびに／または少なくとも１７０℃、好ましくは１７５～３４０℃の範囲、もしくは脂肪族の場合には好ましくは１７５～２６５℃の範囲の融点を有する半結晶性ポリアミドである
ことを特徴とする、請求項１から３のいずれか１項に記載の熱可塑性ポリアミド成形コンパウンド。
【請求項５】
前記成分Ａ２のポリアミドが、
前記非晶質ポリアミドの１２／ＭＡＣＭＴ、ＭＡＣＭ１０、ＭＡＣＭ１２、ＭＡＣＭ１４、ＭＡＣＭ１６、ＭＡＣＭ１８、ＭＡＣＭＩ／１２、ＰＡＣＭ１０、ＰＡＣＭ１２、ＰＡＣＭ１４、ＰＡＣＭ１６、ＰＡＣＭ１８、ＰＡＣＭＩ／１２、ＴＭＤＣ１０、ＴＭＤＣ１２、ＴＭＤＣ１６、ＴＭＤＣ１８、ＭＡＣＭＴ／ＭＡＣＭＩ／１２、ＰＡＣＭＴ／ＰＡＣＭＩ／１２、もしくはそれらの混合物からなる群から選択され、
および／または前記非晶質ポリアミドのＭＸＤＩ、ＭＸＤＩ／６Ｉ、ＭＸＤ６／ＭＸＤＩ、６Ｉ、６／６Ｉ、６Ｔ／６Ｉ、１０Ｔ／１０Ｉ、３－６Ｔ（３－６＝２，２，４－もしくは２，４，４－トリメチルヘキサンジアミン）、もしくはそれらの混合物からなる群から選択され、前記６Ｔ／６Ｉもしくは１０Ｔ／１０Ｉ系が、５０ｍｏｌ％未満の６Ｔもしくは１０Ｔ単位の割合を有し、６Ｔ：６Ｉもしくは１０Ｔ／１０Ｉの組成範囲２０：８０～４５：５５、特に２５：７５～４０：６０が好ましく、
および／または９０℃超、特に好ましくは１１０℃超、特に好ましくは１２０℃超のガラス転移温度（Ｔｇ）を有する非晶質ポリアミドである
ことを特徴とする、請求項１から４のいずれか１項に記載の熱可塑性ポリアミド成形コンパウンド。
【請求項６】
成分Ｂが、成分Ａ～Ｅに対して１５～５０重量％の範囲、好ましくは２０～４５重量％の範囲の割合で存在することを特徴とする、請求項１から５のいずれか１項に記載の熱可塑性ポリアミド成形コンパウンド。
【請求項７】
成分Ｂが、シラン化合物、好ましくはトリアルコキシシラン、ジアルコキシシラン、エポキシシラン、ビニルシラン、（メタ）アクリロキシシラン、アミノシラン、およびメルカプトシランで表面処理されていることを特徴とする、請求項１から６のいずれか１項に記載の熱可塑性ポリアミド成形コンパウンド。
【請求項８】
成分Ｂが、第一級および／または第二級アミノシラン、特に好ましくは第二級アミノシランで表面被覆されており、前記第一級および／または第二級アミノシランの量が、成分Ｂに対して０．０１～２．０重量％であることを特徴とする、請求項１から７のいずれか１項に記載の熱可塑性ポリアミド成形コンパウンド。
【請求項９】
成分Ｃがガラス繊維であることを特徴とする、請求項１から８のいずれか１項に記載の熱可塑性ポリアミド成形コンパウンド。
【請求項１０】
成分Ｄが、成分Ａ～Ｅに対して、０．１～３．０重量％の範囲、好ましくは０．１～２．０重量％の範囲の割合で存在し、
ならびに／または成分Ｄが、カーボンブラック、グラファイト、グラフェン、ニグロシン、黒色顔料、黒色染料、もしくは補色顔料および／もしくは染料の組合せ、もしくはこれらの着色剤の１種もしくは複数の混合物からなる群から選択される
ことを特徴とする、請求項１から９のいずれか１項に記載の熱可塑性ポリアミド成形コンパウンド。
（【請求項１１】以降は省略されています）
発明の詳細な説明【技術分野】
【０００１】
本発明は、熱可塑性鉱物充填ポリアミド成形コンパウンドおよびそれから製造される特に深い黒色の印象を有する成形品に関する。本発明はまた、黒色鉱物充填ポリアミド成形コンパウンドにおける特定の鉱物充填剤、詳細には結晶性ケイ酸と非晶質ケイ酸と焼成カオリンとの混合物からなる鉱物充填剤の使用であって、深い黒色の印象を改善するための使用に関する。
続きを表示（約 1,800 文字）【背景技術】
【０００２】
熱可塑性ポリアミド材料は、その良好な機械的特性、耐薬品性、優れた加工性、低比重などの理由から、多くの分野、特に自動車部門だけでなく、エレクトロニクス部門、例えば可搬機器の筐体用の構造部材の製造のための役割を確立した。
【０００３】
黒色成形コンパウンドは多くの用途で必要とされる。ガラス繊維が充填されたポリアミド成形コンパウンドでは十分に深い黒色の印象が得られうるが、鉱物充填ポリアミド成形コンパウンドは濃い灰色の外観を有する傾向がある。ここに本発明が必要となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【０００４】
ＷＯ２０１８０６９０５５
ＷＯ２０１６／２０２３５９
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【０００５】
したがって、本発明の目的は、前述の用途に好適な機械的特性を有するが、同時に深い黒色の印象も与える鉱物充填熱可塑性ポリアミド成形コンパウンドを提供することである。
【０００６】
特に、本発明の目的は、ＤＩＮＥＮＩＳＯ１１６６４－４：２０２０に従ってＣＩＥＬＡＢ色空間において寸法６０×６０×２ｍｍのプレート上で決定される明度Ｌ
＊
が、光沢も測定される場合は最大３０、光沢も測定されない場合は最大１２の色の明度Ｌ
＊
である、鉱物充填ポリアミド成形コンパウンドを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【０００７】
この課題は、特許請求の範囲の主題によって、特に請求項１に記載の本発明に従って改質された熱可塑性ポリアミド成形コンパウンド、請求項１５に記載の成形品、ならびに請求項１６に記載の、ポリアミド成形コンパウンドにおける、深い黒色の印象を改善するための鉱物充填剤の使用であって、鉱物充填剤が１００重量％の（Ｂ）に対してそれぞれ、４５～７０重量％の（隠微）晶質ケイ酸（(krypto) kristalliner Kieselsaure）（(crypto) crystalline silicic acid）（Ｂ１）と、５～１５重量％の非晶質ケイ酸（Ｂ２）と、２０～４０重量％の焼成カオリン（Ｂ３）との混合物からなり、成分（Ｂ）が、１００％の（Ｂ）に対してそれぞれ５～２０重量％の酸化アルミニウム含有量および８０～９５重量％の酸化ケイ素含有量を有する、使用によって解決される。
【発明を実施するための形態】
【０００８】
したがって、本発明の核心は最終的には、熱可塑性黒色ポリアミドマトリックス中の他の鉱物充填剤の代替としての鉱物充填剤の使用であって、鉱物充填剤が１００重量％の（Ｂ）に対してそれぞれ、４５～７０重量％の（隠微）晶質ケイ酸（Ｂ１）と、５～１５重量％の非晶質ケイ酸（Ｂ２）と、２０～４０重量％の焼成カオリン（Ｂ３）との混合物からなり、成分（Ｂ）が、１００％の（Ｂ）に対してそれぞれ５～２０重量％の酸化アルミニウム含有量および８０～９５重量％の酸化ケイ素含有量を有する、使用により、深い黒色の印象が極めて著しく改善される結果となることが意外にも見出されたことである。これは、好ましい機械的特性をいずれも失うことなく達成される。
【０００９】
（隠微）晶質ケイ酸と非晶質ケイ酸と焼成カオリンとの混合物からなる充填剤がポリアミド材料に混和されうることは、他の分野から一般に公知であるが、これは、深い黒色の印象の改善に関連するものではなく、本明細書に記載の特定のポリアミド成形コンパウンドに関連するものでもない。
【００１０】
特に、先行技術に関する以下の文献が参照されるべきである。
ＷＯ２０１８０６９０５５は、メラミン化合物に加えて、実質的に（隠微）晶質のケイ酸と非晶質ケイ酸と焼成カオリンとの混合物から構成された鉱物充填剤を含有する難燃性熱可塑性ポリアミド成形コンパウンドを開示する。成形コンパウンドは、良好な機械的特性および良好な難燃性を有するべきである。特に、鉱物充填剤の添加は、グローワイヤ試験中の後燃え時間が可能な限り最も短くなる難燃性を可能にすべきである。成形コンパウンドは、明るい色で特によく着色されうることも強調される。
（【００１１】以降は省略されています）

関連特許