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公開番号
2025075218
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2025-05-15
出願番号
2023186224
出願日
2023-10-31
発明の名称
潤滑油基油
出願人
出光興産株式会社
代理人
個人
,
個人
,
個人
,
個人
,
個人
,
個人
主分類
C10M
171/00 20060101AFI20250508BHJP(石油,ガスまたはコークス工業;一酸化炭素を含有する工業ガス;燃料;潤滑剤;でい炭)
要約
【課題】電動車両に搭載される機器の冷却するために好適な物性を有する潤滑油組成物を提供すること。
【解決手段】下記要件(I)~(III)を満たす、電動車両に搭載される機器の冷却に用いられる、潤滑油基油。
・要件(I):ガスクロマトグラフを用いて測定された平均炭素数(Cav)が19.0以下である。
・要件(II):NMR装置を用いて測定された
1
H-NMRスペクトルにおいてCH
3
基に由来のピークの積分強度S2に対する、CH基及びCH
2
基に由来のピークの積分強度S1との比[S1/S2]であるCH基及びCH
2
基の合計積分強度比(nonCH
3
)が1.75以上である。
・要件(III):平均炭素数(Cav)、合計積分強度比(nonCH
3
)及び平均分岐数(avB)から算出されるパラフィン率が0.885以上である。
【選択図】なし
特許請求の範囲
【請求項1】
下記要件(I)~(III)を満たす、電動車両に搭載される機器の冷却に用いられる、潤滑油基油。
・要件(I):ガスクロマトグラフを用いて測定された平均炭素数(Cav)が19.0以下である。
・要件(II):NMR装置を用いて測定された
1
H-NMRスペクトルにおいてCH
3
基に由来のピークの積分強度S2に対する、CH基及びCH
2
基に由来のピークの積分強度S1との比[S1/S2]であるCH基及びCH
2
基の合計積分強度比(nonCH
3
)が1.75以上である。
・要件(III):下記式(i)から算出されるパラフィン率が0.885以上である。
式(i):パラフィン率=[nonCH
3
×3×(avB+2)+3×(avB+2)]/[2×Cav+2]
前記式(i)中、
nonCH
3
は、前記CH基及びCH
2
基の合計積分強度比である。
Cavは、前記平均炭素数である。
avBは、平均分岐数を示し、NMR装置を用いて測定された
13
C-NMRスペクトルにおける、化学シフト5.0~60.0ppmの範囲の積分強度の合計(a)に対する、末端CH
3
基に由来する化学シフト5.0~20.0ppm及び22.45~22.80ppmの範囲の積分強度の合計(b)の割合[(b)/(a)]の値から、下記式(ii)に基づいて算出した値である。
式(ii):avB=Cav×[(b)/(a)]-2
続きを表示(約 700 文字)
【請求項2】
前記式(i)中のavBが、1.00以上1.65以下である、請求項1に記載の潤滑油基油。
【請求項3】
前記合計積分強度比(nonCH
3
)が、2.20未満である、請求項1又は2に記載の潤滑油基油。
【請求項4】
前記潤滑油基油が、ボトム油及び石油由来のワックスを含む原料油(α)を精製処理して得られた基油である、請求項1~3のいずれか一項に記載の潤滑油基油。
【請求項5】
前記原料油(α)中のボトム油とワックスとの含有量比〔ボトム油/ワックス〕は、質量比で、5/95超40/60未満である、請求項4に記載の潤滑油基油。
【請求項6】
前記精製処理が、水素化異性化脱ろう処理を少なくとも含む、請求項4又は5に記載の潤滑油基油。
【請求項7】
前記潤滑油基油の40℃における動粘度が、1.00mm
2
/s以上5.00mm
2
/s以下である、請求項1~6のいずれか一項に記載の潤滑油基油。
【請求項8】
前記潤滑油基油の15℃における密度が、0.750g/cm
3
以上である、請求項1~7のいずれか一項に記載の潤滑油基油。
【請求項9】
前記潤滑油基油の引火点が100℃以上である、請求項1~8のいずれか一項に記載の潤滑油基油。
【請求項10】
前記潤滑油基油の流動点が-50.0℃以下である、請求項1~9のいずれか一項に記載の潤滑油基油。
(【請求項11】以降は省略されています)
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、潤滑油基油、及び当該潤滑油基油を含む潤滑油組成物に関する。
続きを表示(約 4,500 文字)
【背景技術】
【0002】
近年、地球環境保護の観点から二酸化炭素削減が強く求められている。例えば、自動車の分野でも省燃費技術の開発に力が注がれており、燃費および環境性能に優れた自動車であるハイブリッド車や電気自動車の普及が進められている。ハイブリッド車や電気自動車は電動モーターや発電機、インバーター、バッテリーなどを備え、電動モーターの力を利用して走行する。
【0003】
このような電動車両に搭載された各種機器は高温になると効率の低下や破損をまねくため、冷却が必要である。電動車両に搭載された、電動モーター、発電機、及びバッテリー等の機器の冷却には、主に既存のオートマチックトランスミッションフルード(以下、ATF)や連続可変トランスミッションフルード(以下、CVTF)などの潤滑油が使用されている。また、ハイブリッド車や電気自動車では歯車減速機を有する形式のものもあることから、これらに用いる潤滑油組成物は、潤滑性に加えて冷却性を備えることが必要とされる。
例えば、特許文献1には、運動エネルギー回生システム(KERS)またはハイブリッド車両における電池または電動機を冷却および/または絶縁するための潤滑組成物が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
特表2013-522409号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、例えば、電動車両に搭載された機器を冷却するための潤滑油組成物には、冷却性や絶縁性だけでなく、低温流動性、ゴム適合性、取扱性等の様々な特性が求められている。
本発明は、このような事情に鑑みたものであって、電動車両に搭載される機器を冷却するために好適な物性を有する潤滑油組成物を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、電動車両に搭載される機器を冷却するための潤滑油組成物に適した潤滑油基油について鋭意検討を重ねた。その結果、所定の要件を満たすように調整した潤滑油基油が、上記の潤滑油組成物の調製に好適であるとの知見を得た。本発明は、当該知見を基に完成されたものである。
具体的には、本発明の一態様として、下記[1]~[17]に記載の発明を提供する。
[1]下記要件(I)~(III)を満たす、電動車両に搭載される機器の冷却に用いられる、潤滑油基油。
・要件(I):ガスクロマトグラフを用いて測定された平均炭素数(Cav)が19.0以下である。
・要件(II):NMR装置を用いて測定された
1
H-NMRスペクトルにおいてCH
3
基に由来のピークの積分強度S2に対する、CH基及びCH
2
基に由来のピークの積分強度S1との比[S1/S2]であるCH基及びCH
2
基の合計積分強度比(nonCH
3
)が1.75以上である。
・要件(III):下記式(i)から算出されるパラフィン率が0.885以上である。
式(i):パラフィン率=[nonCH
3
×3×(avB+2)+3×(avB+2)]/[2×Cav+2]
前記式(i)中、
nonCH
3
は、前記CH基及びCH
2
基の合計積分強度比である。
Cavは、前記平均炭素数である。
avBは、平均分岐数を示し、NMR装置を用いて測定された
13
C-NMRスペクトルにおける、化学シフト5.0~60.0ppmの範囲の積分強度の合計(a)に対する、末端CH
3
基に由来する化学シフト5.0~20.0ppm及び22.45~22.80ppmの範囲の積分強度の合計(b)の割合[(b)/(a)]の値から、下記式(ii)に基づいて算出した値である。
式(ii):avB=Cav×[(b)/(a)]-2
[2]前記式(i)中のavBが、1.00以上1.65以下である、上記[1]に記載の潤滑油基油。
[3]前記合計積分強度比(nonCH
3
)が、2.20未満である、上記[1]又は[2]に記載の潤滑油基油。
[4]前記潤滑油基油が、ボトム油及び石油由来のワックスを含む原料油(α)を精製処理して得られた基油である、上記[1]~[3]のいずれか一項に記載の潤滑油基油。
[5]前記原料油(α)中のボトム油とワックスとの含有量比〔ボトム油/ワックス〕は、質量比で、5/95超40/60未満である、上記[4]に記載の潤滑油基油。
[6]前記精製処理が、水素化異性化脱ろう処理を少なくとも含む、上記[4]又は[5]に記載の潤滑油基油。
[7]前記潤滑油基油の40℃における動粘度が、1.00mm
2
/s以上5.00mm
2
/s以下である、上記[1]~[6]のいずれか一項に記載の潤滑油基油。
[8]前記潤滑油基油の15℃における密度が、0.750g/cm
3
以上である、上記[1]~[7]のいずれか一項に記載の潤滑油基油。
[9]前記潤滑油基油の引火点が100℃以上である、上記[1]~[8]のいずれか一項に記載の潤滑油基油。
[10]前記潤滑油基油の流動点が-50.0℃以下である、上記[1]~[9]のいずれか一項に記載の潤滑油基油。
[11]80℃、250V/mmの条件下で測定した前記潤滑油基油の体積抵抗率が、1.0TΩ・m以上である、上記[1]~[10]のいずれか一項に記載の潤滑油基油。
[12]JIS K6258に準拠したゴム浸漬試験法にて、前記潤滑油基油中に試験用アクリルゴムを浸漬させ、100℃で100時間の条件下で測定した、前記試験用アクリルゴムのゴム膨潤率が9%以下である、上記[1]~[11]のいずれか一項に記載の潤滑油基油。
[13]上記[1]~[12]のいずれか一項に記載の潤滑油基油を含む、電動車両に搭載される機器の冷却に用いられる、潤滑油組成物。
[14]さらに、流動点降下剤、粘度指数向上剤、酸化防止剤、極圧剤、金属系清浄剤、無灰系分散剤、金属不活性化剤、腐食防止剤、防錆剤、及び消泡剤から選ばれる1種以上の潤滑油用添加剤を含有する、上記[13]に記載の潤滑油組成物。
[15]前記潤滑油用添加剤の合計含有量が、前記潤滑油組成物の全量基準で、5.0質量%以下である、上記[14]に記載の潤滑油組成物。
[16]上記[13]~[15]のいずれか一項に記載の潤滑油組成物を用いて、電動車両に搭載される機器を冷却する、機器の冷却方法。
[17]前記機器が、モーター、バッテリー、インバーター、及びエンジンから選択される少なくとも一つである、上記[16]に記載の機器の冷却方法。
【発明の効果】
【0007】
本発明の好適な一態様の潤滑油基油は、動粘度及び体積抵抗率が低く、低温流動性及びゴム適合性等の各種特性に優れている。そのため、当該潤滑油基油を含む潤滑油組成物は、電動車両に搭載される機器の冷却するために好適な物性を有する潤滑油組成物を調製し得る。
【図面の簡単な説明】
【0008】
本実施例に記載の条件に基づいて測定した潤滑油基油(1)のガスクロマトグラムである。
本実施例に記載の条件に基づいて測定した潤滑油基油(1)の
1
H-NMRスペクトルである。
本実施例に記載の条件に基づいて測定した潤滑油基油(1)の
13
C-NMRスペクトルである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本明細書に記載された数値範囲については、上限値及び下限値を任意に組み合わせることができる。例えば、数値範囲として「好ましくは30~100、より好ましくは40~80」と記載されている場合、「30~80」との範囲や「40~100」との範囲も、本明細書に記載された数値範囲に含まれる。また、例えば、数値範囲として「好ましくは30以上、より好ましくは40以上であり、また、好ましくは100以下、より好ましくは80以下である」と記載されている場合、「30~80」との範囲や「40~100」との範囲も、本明細書に記載された数値範囲に含まれる。
加えて、本明細書に記載された数値範囲として、例えば「60~100」との記載は、「60以上(60又は60超)、100以下(100又は100未満)」という範囲であることを意味する。
【0010】
〔潤滑油基油の構成〕
本発明の一態様の潤滑油基油は、電動車両に搭載される機器の冷却に用いられる潤滑油基油であって、下記要件(I)~(III)を満たす。
・要件(I):ガスクロマトグラフ(以下、「GC」ともいう)を用いて測定された平均炭素数(Cav)が19.0以下である。
・要件(II):NMR装置を用いて測定された
1
H-NMRスペクトルにおいてCH
3
基に由来のピークの積分強度S2に対する、CH基及びCH
2
基に由来のピークの積分強度S1との比[S1/S2]であるCH基及びCH
2
基の合計積分強度比(nonCH
3
)が1.75以上である。
・要件(III):下記式(i)から算出されるパラフィン率が0.885以上である。
式(i):パラフィン率=[nonCH
3
×3×(avB+2)+3×(avB+2)]/[2×Cav+2]
前記式(i)中、
nonCH
3
は、前記CH基及びCH
2
基の合計積分強度比である。
Cavは、前記平均炭素数である。
avBは、平均分岐数を示し、NMR装置を用いて測定された
13
C-NMRスペクトルにおける、化学シフト5.0~60.0ppmの範囲の積分強度の合計(a)に対する、末端CH
3
基に由来する化学シフト5.0~20.0ppm及び22.45~22.80ppmの範囲の積分強度の合計(b)の割合[(b)/(a)]の値から、下記式(ii)に基づいて算出した値である。
式(ii):avB=Cav×[(b)/(a)]-2
(【0011】以降は省略されています)
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