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公開番号2025074652
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-05-14
出願番号2023185611
出願日2023-10-30
発明の名称燃料油組成物及びその製造方法
出願人出光興産株式会社
代理人弁理士法人大谷特許事務所
主分類C10L 1/02 20060101AFI20250507BHJP(石油,ガスまたはコークス工業;一酸化炭素を含有する工業ガス;燃料;潤滑剤;でい炭)
要約【課題】脂肪酸アルキルエステルを含有することで優れた着火及び燃焼性能を有するとともに、粘度適性及び貯蔵安定性能をも有する燃料油組成物を提供する。
【解決手段】特定の性状を有する脂肪酸アルキルエステルと、分解残油留分及び常圧残油留分と、を燃料油組成物全量基準の含有量として各々5.0容量%以上50.0容量%以下、25.0容量%以上40.0容量%以下、及び25.0容量%以上45.0容量%未満で含み、(1)硫黄分含有量が0.500質量%以下、(2)潜在セジメントが0.10質量%以下、(3)50℃における動粘度が10.000mm2/s以上180.000mm2/s以下、(4)推定セタン価が25.0以上、(5)CCAIが860以下及び(6)15℃における密度が0.8800g/cm3以上0.9850g/cm3以下のいずれも満足する燃料油組成物、並びにその製造方法である。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
脂肪酸アルキルエステルと、分解残油留分と、常圧残油留分と、を含み、前記脂肪酸アルキルエステルが、炭素数8以上22以下の脂肪酸と炭素数1以上4以下のアルキルアルコールとのエステルであり、前記脂肪酸アルキルエステルが、下記(a

)~(a

)をいずれも満足し、前記脂肪酸アルキルエステル、前記分解残油留分及び前記常圧残油留分の燃料油組成物全量基準の含有量が、各々5.0容量%以上50.0容量%以下、25.0容量%以上40.0容量%以下、及び25.0容量%以上45.0容量%未満である、下記(1)~(6)のいずれも満足する燃料油組成物。
(a

)セタン価が49.0以上
(a

)酸価が0.50mgKOH/g以下
(a

)10%残油の残留炭素分が0.80質量%以上1.50質量%以下
(1)硫黄分含有量が0.500質量%以下
(2)潜在セジメントが0.10質量%以下
(3)50℃における動粘度が10.000mm

/s以上180.000mm

/s以下
(4)推定セタン価が25.0以上
(5)CCAIが860以下
(6)15℃における密度が0.8800g/cm

以上0.9850g/cm

以下
続きを表示(約 1,400 文字)【請求項2】
前記分解残油留分が下記(b

)~(b

)をいずれも満足し、及び前記常圧残油留分が下記(c

)~(c

)をいずれも満足する請求項1に記載の燃料油組成物。
(b

)硫黄分含有量が1.200質量%以下
(b

)潜在セジメントが0.20質量%以下
(b

)50℃における動粘度が20.000mm

/s以上190.000mm

/s以下
(b

)CCAIが950以下
(b

)15℃における密度が1.3000g/cm

以下
(c

)硫黄分含有量が0.600質量%以下
(c

)潜在セジメントが0.80質量%以下
(c

)50℃における動粘度が50.000mm

/s以上180.000mm

/s以下
(c

)CCAIが830以下
(c

)15℃における密度が0.9000g/cm

以上0.9500g/cm

以下
【請求項3】
さらに、分解軽油留分を含む請求項1又は2に記載の燃料油組成物。
【請求項4】
前記分解軽油留分が、下記(d

)~(d

)をいずれも満足する請求項3に記載の燃料油組成物。
(d

)硫黄分含有量が0.500質量%以下
(d

)潜在セジメントが0.10質量%以下
(d

)50℃における動粘度が0.500mm

/s以上10.000mm

/s以下
(d

)CCAIが920以下
(d

)15℃における密度が1.0500g/cm

以下
【請求項5】
前記分解軽油留分の燃料油組成物全量基準の含有量が、0.0容量%超30.0容量%以下である請求項3又は4に記載の燃料油組成物。
【請求項6】
前記脂肪酸アルキルエステルの燃料油組成物全量基準の含有量が、15.0容量%以上50.0容量%以下である請求項1~5のいずれか1項に記載の燃料油組成物。
【請求項7】
前記脂肪酸アルキルエステルが、脂肪酸メチルエステルである請求項1~6のいずれか1項に記載の燃料油組成物。
【請求項8】
前記脂肪酸が、炭素数8以上22以下の脂肪酸を二種以上含む混合脂肪酸である請求項1~7のいずれか1項に記載の燃料油組成物。
【請求項9】
前記混合脂肪酸が、動物油及び植物油から選ばれる少なくとも一種の原料から得られるものである請求項8に記載の燃料油組成物。
【請求項10】
内燃機に用いられる請求項1~9のいずれか1項に記載の燃料油組成物。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料油組成物及びその製造方法に関する。
続きを表示(約 2,300 文字)【背景技術】
【0002】
JIS K2205:2006の3種重油(以下、「C重油」とも称する。)は、灯油、軽油、A重油(JIS K2205:2006の1種重油)等と比べて単位体積当たりの発熱量が高く、燃料油使用量(体積)を低減することができ、また安価であることから、船舶用ディーゼルエンジン等の内燃機の燃料油として、また発電用ボイラ等の外燃機の燃料油として広く使用されている。
一方、C重油は一般に灯油、軽油、A重油等と比べて硫黄分含有量、残留炭素分が多く、環境負荷が大きく、またスラッジも発生しやすく、スラッジの生成により燃料油フィルタの目詰まりが発生しやすくなることが知られている。これに対して、15℃密度、50℃動粘度、残留炭素分、アスファルテン分、硫黄分、芳香族分が所定範囲内となる、脱硫灯油、ライトサイクルオイル等の脱硫処理した留分、未脱硫の軽油留分等を含むC重油組成物が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
船舶用の燃料油としては、ISO8217「Petroleum products-Fuels(class F)-Specification of marine fuels」を満足する燃料油等が知られている。この船舶用の燃料油は、燃料油フィルタの閉塞を生じる場合があるため、硫黄分、残留炭素分、アスファルテン分含有量、15℃密度、Total sediment by hot filtration(ISO 10307-1)等の所定性状を備える直接脱硫重油を所定量で含む重油組成物が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【0004】
また、着火及び燃焼性能を向上させる観点から、燃料油組成物の基材として脂肪酸アルキルエステルを含む重油組成物の開発も行われてきた。特許文献3~5には、例えばミリスチン酸メチルエステル等の脂肪酸メチルエステルを含む菜種油のメチルエステル化物を、5~100容量%の含有量で含有する記載される重油組成物を内燃機用又は外燃機用の燃料油組成物に用いることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
特開2013-203802号公報
特開2014-028977号公報
特開2007-231119号公報
特開2007-231120号公報
特開2007-231121号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
重油組成物、中でも船舶等の内燃機、とりわけ船舶のディーゼルエンジン等の燃料油組成物として重油組成物を用いる場合、通常使用時にアスファルテンの凝集によるスラッジの生成等により燃料油フィルタの閉塞頻度が高くなりやすい。そして、船舶内の燃料油タンク等で長期貯蔵した後に使用すると、スラッジが生成しやすくなり、閉塞頻度はより高くなる傾向にある。
【0007】
上記の特許文献1及び2に記載される重油組成物は、目詰まり、閉塞の抑制を考慮し、通油性能を向上したものであるが、とりわけ大型船舶のディーゼルエンジン等の大型ディーゼルエンジンに燃料油組成物として用いても、通常使用時に燃料油フィルタの閉塞頻度が高くなりやすい。また船舶内の燃料油タンク等で長期貯蔵した後に使用すると、閉塞頻度はより高くなる傾向にある。このように、重油組成物を内燃機に用いる場合には、特に長期貯蔵した後であってもセジメントを減少又は維持する貯蔵安定性能が求められるようになっており、要求される性能はより厳しくなっている。
【0008】
上記の特許文献3~5に記載される重油組成物には、脂肪酸アルキルエステルが含まれている。脂肪酸アルキルエステルは、既述のように着火及び燃焼性能が高いことから、燃料油としての使用の検討が進んでいる基油の一つである。また、脂肪酸アルキルエステルとして動植物由来のものを使用する場合、二酸化炭素の排出が削減されることとなるため、二酸化炭素の排出削減による地球温暖化の抑制に寄与することができ、環境保護の観点から極めて有用である。よって、脂肪酸メチルエステル(FAME)等の脂肪酸アルキルエステルを基油として用いることで、着火及び燃焼性能の向上が期待でき、さらに動植物由来の脂肪酸アルキルエステルを採用すると、環境保護に寄与する基油となり得る。
【0009】
特許文献3~5に記載される脂肪酸アルキルエステルを含む重油組成物は、排気ガス中の未燃物質(煙)及び粒子状物質(PM)の低減、発熱量の向上及び燃焼排出ガス中の煤濃度の低減、並びに硫黄分の低減及び残留炭素付与剤の配合に起因したスラッジ安定性の向上、に着目されている。しかし、着火及び燃焼性能の向上だけでなく、上記貯蔵安定性能の向上をも図ることについては着目されておらず、特に貯蔵安定性能については改善の余地がある。
【0010】
また、重油組成物を内燃機の燃料油組成物として用いる場合には、適度な動粘度を有する粘度適性が求められる。この点、脂肪酸アルキルエステルは、動粘度が低いという性状を有するものとして知られており、重油組成物の動粘度を低下させる傾向を有するものといえる。しかし、重油組成物の動粘度が低下しすぎると、重油組成物をエンジンに送液するためのポンプ、流量計等の各種機器の使用範囲に適合しないものとなり、また潤滑性の悪化の要因の一つとなる。そのため、適度な動粘度を有する、すなわち優れた粘度適性を有することも求められる。
(【0011】以降は省略されています)

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