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公開番号
2025064424
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2025-04-17
出願番号
2023174188
出願日
2023-10-06
発明の名称
マイクロピペットシステム
出願人
国立大学法人鳥取大学
代理人
個人
,
個人
,
個人
主分類
B01L
3/02 20060101AFI20250410BHJP(物理的または化学的方法または装置一般)
要約
【課題】操作者がマウスピース式による操作に匹敵するほどの直感性で流体の吸入・吐出を制御できるマイクロピペットシステムを提供する。
【解決手段】長軸ならびに近位端および遠位端を有し、長軸の少なくとも一部に沿って延在する管状空洞を有する、胴部と、胴部の近位側領域中に回転軸を有する回転可能なホイールと、ホイールの回転運動に連動して胴部中で遠位方向へまたは近位方向へと前後運動するように構成された、ポンプ部材と、胴部から近位方向へと突出して延在するマイクロキャピラリーニードルとを含む、マイクロピペットシステムであって、ホイールの外縁は少なくとも部分的に胴部から露出しており、マイクロキャピラリーニードルはその内部空間が胴部の管状空洞と連通しており、ポンプ部材の前後運動が管状空洞の容積を増減させ、それによりマイクロキャピラリーニードルの内部空間中の流体の吸入または排出を可能にする。
【選択図】図1
特許請求の範囲
【請求項1】
長軸ならびに近位端および遠位端を有し、前記長軸の少なくとも一部に沿って延在する管状空洞を有する、胴部と、
前記胴部の近位側領域中に回転軸を有する、回転可能なホイールと、
前記ホイールの回転運動に連動して前記胴部中で遠位方向へまたは近位方向へと前後運動するように構成された、ポンプ部材と、
前記胴部から近位方向へと突出して延在するマイクロキャピラリーニードルと
を含む、マイクロピペットシステムであって、
前記ホイールの外縁は少なくとも部分的に前記胴部から露出しており、
前記マイクロキャピラリーニードルはその内部空間が前記胴部の前記管状空洞と連通しており、
前記ポンプ部材の前記前後運動が前記管状空洞の容積を増減させ、それにより前記マイクロキャピラリーニードルの内部空間中の流体の吸入または排出を可能にする、
マイクロピペットシステム。
続きを表示(約 2,500 文字)
【請求項2】
前記管状空洞は前記ポンプ部材の遠位側に延在し、前記管状空洞と前記マイクロキャピラリーニードルの内部空間とは、遠位方向から近位方向にUターンする導管によって連通している、請求項1に記載のマイクロピペットシステム。
【請求項3】
前記ポンプ部材は、前記管状空洞の内径にフィットして前記管状空洞内を前後に移動可能なピストンと、前記ピストンに結合し前記管状空洞とは反対側に延在する線状ギアとを有し、
前記マイクロピペットシステムは前記ホイールと一体となって回転する円形ギアを含み、前記ホイールの回転軸は前記胴部に固定されており、
前記円形ギアと前記線状ギアとの係合によるラック・アンド・ピニオン機構に基づく前記ポンプ部材の前後運動が、前記ホイールの回転運動と前記ポンプ部材の前後運動との連動を提供する、
請求項1に記載のマイクロピペットシステム。
【請求項4】
前記ラック・アンド・ピニオン機構における前記円形ギアと前記線状ギアとの係合は、前記円形ギアと前記線状ギアとの間に係合される1つ以上の追加円形ギアを介した間接的係合であり、
前記円形ギアではなく前記1つ以上の追加円形ギアのうちの1つが前記線状ギアと直接係合する、請求項3に記載のマイクロピペットシステム。
【請求項5】
前記円形ギアは前記ホイールと同心で前記ホイールに結合されており、前記円形ギアの直径は、前記ホイールの直径の2/3以下である、請求項3または4に記載のマイクロピペットシステム。
【請求項6】
前記管状空洞は、少なくとも部分的に、フレキシブルチューブ領域によって提供されており、
前記ホイールには、前記ホイールと同心で回転する第2ホイールが結合されており、前記ホイールおよび前記第2ホイールのうちの一方は円形ギアを形成しており、
前記胴部は、前記長軸に沿って且つ前記胴部に固定されて延在し前記円形ギアと係合する、胴部固定線状ギアを含み、
前記ホイールおよび前記第2ホイールは、回転する際に、前記円形ギアが前記胴部固定線状ギア上を転がることを介して前記胴部固定線状ギアに沿って移動し、
前記ホイールおよび前記第2ホイールのうち前記円形ギアを構成していない方のホイール外縁は前記フレキシブルチューブ領域に外接して前記フレキシブルチューブ領域内の管状空洞を圧迫することにより、前記ホイール外縁自体が、前記ホイールの回転運動に連動して前記前後運動をするペリスタルティックポンプ機構に基づくポンプ部材を構成する、
請求項1に記載のマイクロピペットシステム。
【請求項7】
前記ポンプ部材は、前記管状空洞の内径にフィットして前記管状空洞内を前後に移動可能なピストンと、前記ピストンに結合し前記管状空洞とは反対側に延在する接続ロッドとを有し、
前記接続ロッドは、前記ピストンと結合する端とは反対側の端において、前記ホイールの回転軸に固定されており、
前記マイクロピペットシステムは前記ホイールと一体となって回転する円形ギアを含み、
前記胴部は、前記長軸に沿って且つ前記胴部に固定されて延在し前記円形ギアと係合する、胴部固定線状ギアを含み、
前記ホイールは、回転する際に、前記円形ギアが前記胴部固定線状ギア上を転がることを介して前記胴部固定線状ギアに沿って移動し、
前記胴部固定線状ギアに沿った前記ホイールの移動が、前記接続ロッドを介して前記ポンプ部材も移動させることにより、前記ホイールの回転運動と前記ポンプ部材の前後運動との連動が提供される、
請求項1に記載のマイクロピペットシステム。
【請求項8】
前記ポンプ部材は、前記管状空洞の内径にフィットして前記管状空洞内を前後に移動可能なピストンを有し、前記ピストンには、前記管状空洞とは反対側に延在する接続ロッドが固定されており、
前記ホイールの回転軸は前記胴部に固定されており、
前記接続ロッドは、前記ピストンに固定された端とは反対側の端において、前記ホイール上の、前記回転軸から外れた位置に固定されており、
前記ホイールと前記ピストンとが前記接続ロッドによって連結されていることにより形成されるスライダークランク機構が、前記ホイールの回転運動と前記ポンプ部材の前後運動との連動を提供する、
請求項1に記載のマイクロピペットシステム。
【請求項9】
請求項8に記載のマイクロピペットシステムにおいて、
前記マイクロピペットシステムは、前記ホイールと一体となって回転する円形ギア、および前記円形ギアと係合する1つ以上の追加円形ギアを有し、
前記接続ロッドは、前記ピストンに固定された端とは反対側の端において、前記ホイールではなく前記1つ以上の追加円形ギアのうちの1つの回転軸から外れた位置に固定されており、
前記追加円形ギアと前記ピストンとが前記接続ロッドによって連結されていることにより形成されるスライダークランク機構が、前記ホイールの回転運動と前記ポンプ部材の前後運動との連動を提供する、マイクロピペットシステム。
【請求項10】
前記ポンプ部材は、前記管状空洞の内径にフィットして前記管状空洞内を前後に移動可能なピストンと、前記ピストンに結合し前記管状空洞とは反対側に延在する接続ロッドとを有し、
前記ホイールの回転軸は前記胴部に固定されており、前記ホイールは、前記回転軸から外れた位置にピンを有し、
前記接続ロッドは、前記ピストンに結合した端とは反対側の端において、スロットを含むヨークに結合しており、
前記ホイール上のピンが前記スロット中に係合していることにより形成されるスコッチヨーク機構が、前記ホイールの回転運動と前記ポンプ部材の前後運動との連動を提供する、
請求項1に記載のマイクロピペットシステム。
(【請求項11】以降は省略されています)
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本開示は、哺乳類の卵子、受精卵、および初期胚等の微細粒子の繊細な操作に適したマイクロピペットシステムに関する。マイクロピペットシステムは例えばヒトの生殖補助医療、家畜の繁殖技術、および実験動物の生殖工学等で使用され得る。
続きを表示(約 2,300 文字)
【背景技術】
【0002】
例えばヒトを対象とする生殖補助医療、ウシ等の家畜を対象とする繁殖技術、およびマウス等の実験動物を対象とする生殖工学の分野では、顕微鏡下で卵子、受精卵、および初期胚を操作することが日常的に行われる。ここでいう操作とは、これらの試料を受精させること、付随物質から分離すること、選別すること、移動させること、移し替えること等を含む。現代社会において、体外受精および胚移植を含む生殖補助医療は重要性を増している。同様に、家畜ウシの繁殖技術や実験動物の生殖工学の分野でも体外受精は広く行われており、その重要性は高い。言うまでもなくこれらの技術では、繊細な胚等を損傷させることなくマイクロリットルオーダーの微小な懸濁液環境を扱いながら迅速に操作を行うことが求められる。胚等の良好な操作は操作者の熟練度に依存するところが大きい一方で、装置や道具を改善していくことにより操作技術の確実性、安全性、および効率性を少しでも向上させていくことが重要となる。
【0003】
特に、顕微鏡下で微小な胚等の懸濁液を観察している操作者の「直感」に従ってマイクロキャピラリーニードルを通じた流体の出し入れを制御し、懸濁液の適切な部分の適切な量を適切なタイミングで吸い上げ、移動させ、吐出できる操作器具が望ましい。
【0004】
従来から、卵子、受精卵、および初期胚を操作すること(以下、これらを合わせて「胚操作」ということもある)には、マウスピース式によるものと、マイクロピペット式によるものという主な2様式がある。マウスピース式は、マイクロキャピラリーニードルを先端に有するチューブの他方の端に取り付けられたマウスピースを、操作者が口でくわえて、操作者の微妙な息の出し入れによって、マイクロキャピラリーニードルにおける胚等の細胞を含む流体の出し入れを制御するものである。マウスピース式は直感性に優れている。つまり、操作者が思った通りの流体の量を思った通りのタイミングで出し入れすることが他の手法より容易である。胚操作に関して日本ではマウスピース式が主流であり、本発明者の見積りでは、ヒトの胚操作の大部分、ならびにウシ等家畜および実験動物の胚操作のほぼ全てがマウスピース式で行われている。
【0005】
しかしながら、例えばヒトの胚操作においてマウスピース式の使用が許されていない国もある。これは、操作者の呼気から胚等へのウイルスを含む病原性微生物の感染、汚染等(あるいは逆に、マウスピースをくわえて作業をする操作者への何らかの経口的な悪影響)の可能性が理論上存在するためであると考えられる。
【0006】
特許文献1は、調節可能ピペットを開示している。特許文献1のピペットは、棒を握るように胴部を4本の指と掌で包んで握り、残った親指で、遠位方向に突出したバネ仕掛けのロッド部分を押し引きすることによって流体の吸入・吐出を制御できる構造をしている。このような親指制御型のマイクロピペットは通常、操作者が使用前にあらかじめ指定する正確な量の液体を吸入・吐出できるように調節可能に構成されており、現代の生命科学系研究室に広く普及している。また、親指制御型のマイクロピペットは胚操作の分野でも利用されており、例えばThe STRIPPER(登録商標)の名称でCooperSurgical社から販売されている(https://fertility.coopersurgical.com/micropipettes/the-stripper/#toggle)。
【0007】
マイクロピペットは、マウスピース式における上記の潜在的問題(つまり、呼気が関わること、および操作中に口が使用されること)を回避できるという利点がある。しかしながら、従来のマイクロピペットは、流体の出し入れの直感的な微細制御の能力という点では、マウスピース式よりはるかに劣っていると感じる当業者が多い。例えば日本で胚操作の当業者のあいだでマイクロピペットの使用があまり普及せずマウスピース式が使われ続けているのはそのことが主要な一因と考えられる。すなわち生殖補助医療分野における胚操作の現場では、特許文献1のようなマイクロピペットの本来の使用目的である、あらかじめ指定された量の液体を正確に吸入・吐出する能力が必要なのではなく、取り扱う胚の数や状態に応じ、吸入・吐出する(胚等の細胞を含む)液体の量を、操作者の直感に従って臨機応変かつ自由自在に、操作の最中において、細胞一個レベルで変化させることが出来る能力こそが求められる。
【0008】
電子式のマイクロピペットも存在し、それらはマイクロリットルスケール以下の正確な液量を吸入・吐出することができるが、操作者の感覚に従って流動的に液量を加減することは得意としない。他にも例えばマイクロインジェクションのような特殊な用途に使用される固定式の油圧または空圧マイクロピペット(マイクロインジェクター)も存在するが、それらの装置は高価であるし操作の幅と用途が限定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
米国特許第3827305号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本開示の実施形態は、操作者がマウスピース式による操作に匹敵するほどの直感性で流体の吸入・吐出を制御できるマイクロピペットシステムを提供する。
【課題を解決するための手段】
(【0011】以降は省略されています)
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