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公開番号2025057771
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-04-09
出願番号2023167506
出願日2023-09-28
発明の名称耐酸性粉末、食品、チュアブル錠及び耐酸性粉末の製造方法
出願人日油株式会社
代理人弁理士法人ユニアス国際特許事務所
主分類A23L 5/00 20160101AFI20250402BHJP(食品または食料品;他のクラスに包含されないそれらの処理)
要約【課題】加工安定性、耐酸性、耐圧性、保存安定性、及び嗜好性に優れる耐酸性粉末を提供すること。
【解決手段】芯物質(A)の粉末粒子を複数の核として内包し、連続相としての一次被覆材(B)で被覆された一次被覆粒子、一次被覆粒子を単一の核として二次被覆材(C)で被覆された構造を有する二次被覆粒子を含む耐酸性粉末であって、芯物質(A)が嵩比重0.2~0.7の生菌を含む粉末(A1)および嵩比重0.7~1.0かつ水分活性0.30以下の賦形剤(A2)を含み、一次被覆材(B)が融点40℃~70℃の脂質を含み、二次被覆材(C)が融点40℃~100℃の脂質を含み、一次被覆粒子の平均粒子径が50μm~500μmであり、一次被覆粒子の平均粒子径に対する二次被覆粒子の平均粒子径の比が1.05~2.00である耐酸性粉末。
【選択図】図2
特許請求の範囲【請求項1】
芯物質(A)の粉末粒子を複数の核として内包し、連続相としての一次被覆材(B)で被覆された一次被覆粒子、前記一次被覆粒子を単一の核として二次被覆材(C)で被覆された構造を有する二次被覆粒子を含む耐酸性粉末であって、
前記芯物質(A)が嵩比重0.2~0.7の生菌を含む粉末(A1)および嵩比重0.7~1.0かつ水分活性0.30以下の賦形剤(A2)を含み、
前記一次被覆材(B)が融点40℃~70℃の脂質を含み、
前記二次被覆材(C)が融点40℃~100℃の脂質を含み、
前記一次被覆粒子の平均粒子径が50μm~500μmであり、
前記一次被覆粒子の平均粒子径に対する前記二次被覆粒子の平均粒子径の比(二次被覆粒子の平均粒子径/一次被覆粒子の平均粒子径)が1.05~2.00であることを特徴とする耐酸性粉末。
続きを表示(約 460 文字)【請求項2】
前記芯物質(A)と前記一次被覆材(B)の合計質量に対する前記芯物質(A)の質量割合が0.65~0.90であり、
前記一次被覆粒子と前記二次被覆材(C)の合計質量に対する前記一次被覆粒子の質量割合が0.60~0.85であることを特徴とする、請求項1に記載の耐酸性粉末。
【請求項3】
平均粒子径が50μm~500μmである請求項1又は2に記載の耐酸性粉末。
【請求項4】
請求項1又は2に記載の耐酸性粉末を含むことを特徴とする、食品。
【請求項5】
請求項1又は2に記載の耐酸性粉末および水溶性糖質を含むことを特徴とするチュアブル錠。
【請求項6】
請求項1又は2に記載の耐酸性粉末の製造方法であって、
前記芯物質(A)と前記一次被覆材(B)を混合して前記一次被覆粒子を得る工程、
前記一次被覆粒子と粉末状の二次被覆材(C)を混合して前記二次被覆粒子を得る工程、を備えることを特徴とする耐酸性粉末の製造方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、生菌を含む粉末を芯物質として含有する被覆粒子を含む耐酸性粉末、食品、チュアブル錠及び耐酸性粉末の製造方法に関する。
続きを表示(約 2,800 文字)【背景技術】
【0002】
ビフィズス菌、乳酸菌などの生菌は腸内において悪玉菌の増殖を抑制し、腸内フローラを改善することで宿主に有益な作用を及ぼす。また、前記の生菌は、便秘・下痢の改善など整腸作用を有する。これらの生菌は、近年、プロバイオティクスとして知られ、医薬品や特定保健用食品、健康食品などに利用される食品素材である。しかし、これらの生菌は、経口摂取後、胃酸、胆汁酸などに死滅せず腸管に到達しなければその効果を十分に発揮することはできない。また医薬品や食品を加工する際の物理的な衝撃に弱いため死滅しやすく、また常温で長期間保存した場合、特に水分活性の高い原料と近接させて長期間保存した場合においても菌が死滅しやすいため、その効果を十分に発揮することはできない。そこで従来、ビフィズス菌、乳酸菌を生きたまま食品に加工し、保管するためのコーティングの発明がなされている。
【0003】
医薬品や健康食品の代表的な形態として粉末を圧縮により成形する固形製剤があり、これは錠剤や打錠品と呼ばれる。医薬品や健康食品の代表的な形態としてほかにもソフトカプセルやハードカプセルなどがあるが、打錠品は加工が容易であり広く用いられている。打錠品のなかでも近年とくにチュアブル錠と呼ばれる形態の需要が高くなっている。これは打錠品を口腔内で噛んで味を楽しんでから飲込む形態であり、嗜好品と同じような感覚で有効成分を摂取できるため、消費者のニーズが高い。従来の噛まないで飲込むタイプの打錠品は噛んだ後のざらつきなどの食感について配慮する必要がなく、焼成澱粉など水分活性が低い賦形剤が使用できる。一方で、チュアブル錠において焼成澱粉を使用すると、焼成澱粉が唾液に溶けにくいため、噛んだ後にざらつきを感じてしまい、嗜好品と同じような感覚で有効成分を摂取できなくなる。また食感をよくするために一般的に使用されるグルコースやマルチトールなどの糖類は水分活性が高く、水分との共存により劣化するような有効成分を配合するには高い技術が求められる。
【0004】
例えば、特開2018-158947号公報には、生菌含有製剤とくに打錠して成形される固形製剤が提案されている。これは、特定の乾燥減量値をもつデンプンと腸内有用菌、添加剤を含む固形製剤の製造方法である。この技術により保存後の菌の残存率が高い固形製剤が達成されるが、チュアブル錠のような噛んで味わう打錠品の場合にはざらつきを感じてしまうため使用できない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
特開2018-158947号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このような背景から、まず乳酸菌やビフィズス菌などの生菌を含む粉末原料を耐酸性粉末へ加工する際の生菌の死滅を低減すること(加工安定性)が求められている。次に、生菌を摂取したあと生きたまま腸に届けるために胃酸に触れた際の生菌の死滅を抑制され(耐酸性)、耐酸性粉末をチュアブル錠に打錠加工する際の打錠圧を受けても死滅が少なく(耐圧性)、このチュアブル錠を保存したときに生菌に死滅が少なく(保存安定性)、チュアブル錠を噛んで食べてもざらつきを感じにくく(嗜好性)することができる耐酸性粉末が求められている。
【0007】
本発明の課題は、加工安定性、耐酸性、耐圧性、保存安定性、及び嗜好性に優れる耐酸性粉末を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、生菌を含む粉末と特定の嵩比重と水分活性を有する賦形剤を複数の核として内包し、特定の融点の脂質を含む一次被覆材で被覆され特定の平均粒子径である一次被覆粒子、この一次被覆粒子を特定の融点の脂質を含む二次被覆材で被覆され特定の平均粒子径である二次被覆粒子であることにより、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成させた。すなわち本発明は以下の[1]~[6]である。
【0009】
[1]
芯物質(A)の粉末粒子を複数の核として内包し連続相としての一次被覆材(B)で被覆された一次被覆粒子、前記一次被覆粒子を単一の核として二次被覆材(C)で被覆された構造を有する二次被覆粒子を含む耐酸性粉末であって、
前記芯物質(A)が嵩比重0.2~0.7の生菌を含む粉末(A1)および嵩比重0.7~1.0かつ水分活性0.30以下の賦形剤(A2)を含み、
前記一次被覆材(B)が融点40℃~70℃の脂質を含み、
前記二次被覆材(C)が融点40℃~100℃の脂質を含み、
前記一次被覆粒子の平均粒子径が50μm~500μmであり、
前記一次被覆粒子の平均粒子径に対する前記二次被覆粒子の平均粒子径の比(二次被覆粒子の平均粒子径/一次被覆粒子の平均粒子径)が1.05~2.00であることを特徴とする、耐酸性粉末。
[2]
前記芯物質(A)と前記一次被覆材(B)の合計質量に対する前記芯物質(A)の質量割合が0.65~0.90であり、
前記一次被覆粒子と前記二次被覆材(C)の合計質量に対する前記一次被覆粒子(B)の質量割合が0.60~0.85であることが好ましいことを特徴とする、[1]に記載の耐酸性粉末。
[3]
平均粒子径が50μm~500μmであることが好ましいことを特徴とする、[1]又は[2]に記載の耐酸性粉末。
[4]
[1]~[3]のいずれか一項に記載の耐酸性粉末を含むことを特徴とする、食品。
[5]
[1]~[3]のいずれか一項に記載の耐酸性粉末および水溶性糖質を含むことを特徴とするチュアブル錠。
[6]
[1]~[3]のいずれか一項に記載の耐酸性粉末の製造方法であって、
前記芯物質(A)と前記一次被覆材(B)を混合して前記一次被覆粒子を得る工程、
前記一次被覆粒子と粉末状の二次被覆材(C)を混合して前記二次被覆粒子を得る工程、を備えることが好ましいことを特徴とする、耐酸性粉末の製造方法。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、生菌を含む粉末原料を耐酸性粉末へ加工する際の生菌の死滅が低減され(加工安定性)、胃酸に触れた際の生菌の死滅を抑制され(耐酸性)、この耐酸性粉末をチュアブル錠に打錠加工する際の打錠圧を受けても死滅が少なく(耐圧性)、このチュアブル錠を保存したときに生菌に死滅がすくなく(保存安定性)、チュアブル錠を噛んで食べてもざらつきを感じにくくすること(嗜好性)ができる耐酸性粉末を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
(【0011】以降は省略されています)

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