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公開番号
2025049672
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2025-04-04
出願番号
2023157987
出願日
2023-09-22
発明の名称
コンクリート吹付支援システム
出願人
株式会社安藤・間
代理人
弁理士法人 武政国際特許商標事務所
主分類
E21D
11/10 20060101AFI20250327BHJP(地中もしくは岩石の削孔;採鉱)
要約
【課題】本願発明の課題は、従来技術が抱える問題を解決することであり、すなわち、吹付け作業の自動化にあたって、吹付けノズルを移動させるための適切な軌跡を示すことができるコンクリート吹付支援システムを提供することである。
【解決手段】本願発明のコンクリート吹付支援システムは、トンネル掘削における吹付け面に対して行われるコンクリート吹付を支援するシステムであって、拡散面積算出手段とノズル軌跡設定手段を備えたものである。ノズル軌跡設定手段は、略平行な複数の線分を個別軌跡として設定するとともに、個別軌跡に沿ってコンクリートが吹き付けられた帯状コンクリートの幅を拡散面積に基づいて算出し、さらに帯状コンクリートの幅に基づいて個別軌跡の間隔を設定する。
【選択図】図2
特許請求の範囲
【請求項1】
トンネル掘削における切羽又は掘削地山といった吹付け面に対して行われるコンクリート吹付を支援するシステムであって、
吹付けノズルの吐出口から前記吹付け面までの吹付距離と、単位時間当たりのコンクリートの吐出量と、に基づいて、該吹付け面に付着したときのコンクリートの拡散面積を算出する拡散面積算出手段と、
コンクリート吹付を行うときの前記吹付けノズルの経路となるノズル軌跡を設定するノズル軌跡設定手段と、を備え、
前記ノズル軌跡設定手段は、平行又は略平行な複数の線分を個別軌跡として設定するとともに、該個別軌跡に沿ってコンクリートが吹き付けられることで形成される帯状コンクリートの幅を前記拡散面積に基づいて算出し、さらに該帯状コンクリートの幅に基づいて該個別軌跡の間隔を設定し、
複数の前記個別軌跡によって構成される前記ノズル軌跡に沿ってコンクリートを吹き付けると、前記吹付け面の全体にコンクリートが付着する、
ことを特徴とするコンクリート吹付支援システム。
続きを表示(約 1,000 文字)
【請求項2】
前記ノズル軌跡設定手段は、隣接する前記帯状コンクリートがあらかじめ定めた値だけ重複するように前記個別軌跡の間隔を設定する、
ことを特徴とする請求項1記載のコンクリート吹付支援システム。
【請求項3】
前記吹付け面の全範囲に設計吹付コンクリート厚が確保されるために必要な全体吹付時間と、前記ノズル軌跡の延長と、に基づいて、前記吹付けノズルの移動速度を求めるノズル速度算出手段を、さらに備え、
前記ノズル速度算出手段は、前記単位時間当たりのコンクリートの吐出量、リバウンド率、及び前記拡散面積に基づいて単位時間吹付コンクリート厚を求めるとともに、該単位時間吹付コンクリート厚、及び前記設計吹付コンクリート厚に基づいて該設計吹付コンクリート厚が確保されるために必要な個別吹付時間を求め、さらに前記吹付け面の全体面積、前記拡散面積、及び該個別吹付時間に基づいて前記全体吹付時間を求めたうえで、前記吹付けノズルの移動速度を求める、
ことを特徴とする請求項1記載のコンクリート吹付支援システム。
【請求項4】
前記ノズル速度算出手段は、前記単位時間当たりのコンクリートの吐出量Qnと、前記リバウンド率R、前記拡散面積Anを用いた(式1)によって前記単位時間吹付コンクリート厚Bnを求め、
Bn=Qn×(1-R)÷An (式1)
また前記ノズル速度算出手段は、前記単位時間吹付コンクリート厚Bnと、前記設計吹付コンクリート厚Bdを用いた(式2)によって前記個別吹付時間Tnを求め、
Tn=Bd÷Bn (式2)
さらに前記ノズル速度算出手段は、前記吹付け面の全体面積Aと、前記拡散面積An、前記個別吹付時間Tn、係数αを用いた(式3)によって前記全体吹付時間Tを求め、
T=α×A÷An×Tn (式3)
前記ノズル軌跡の延長を前記全体吹付時間Tで除した値が、前記吹付けノズルの移動速度とされる、
ことを特徴とする請求項3記載のコンクリート吹付支援システム。
【請求項5】
自律運転が可能なコンクリート吹付け機械を、さらに備え、
前記コンクリート吹付け機械は、前記吹付けノズルが前記ノズル軌跡設定手段によって設定された前記ノズル軌跡に沿って移動しながら、あらかじめ設定された前記単位時間当たりのコンクリートの吐出量で、前記吹付け面にコンクリートを吹き付ける、
ことを特徴とする請求項1記載のコンクリート吹付支援システム。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本願発明は、トンネル掘削における支保工のうち吹付コンクリートに関するものであり、より具体的には、吹付け機械による自動施工を行うためその吹付けノズルを案内することができるコンクリート吹付支援システムに関するものである。
続きを表示(約 2,400 文字)
【背景技術】
【0002】
我が国の国土は、およそ2/3が山地であるといわれており、そのため道路や線路など(以下、「道路等」という。)は必ずといっていいほど山地部を通過する区間がある。この山地部で道路等を構築するには、斜面の一部を掘削する切土工法か、地山の内部をくり抜くトンネル工法のいずれかを採用するのが一般的である。トンネル工法は、切土工法に比べて施工単価(道路等延長当たりの工事費)が高くなる傾向にある一方で、切土工法よりも掘削土量(つまり排土量)が少なくなる傾向にあるうえ、道路等の線形計画の自由度が高い(例えば、ショートカットできる)といった特長があり、これまでに建設された国内のトンネルは10,000を超えるといわれている。
【0003】
山岳トンネルの施工方法としては、昭和50年代までは鋼アーチ支保工に木矢板を組み合わせて地山を支保する「矢板工法」が主流であったが、現在では地山強度を積極的に活かすNATM(New Austrian Tunnelling Method)が主流となっている。NATMは、地山が有する強度(アーチ効果)に期待する設計思想が主な特徴であり、そのため従来の矢板工法に比べトンネル支保工の規模を小さくすることができ、しかも施工速度が向上するため施工コストを低減することができる。
【0004】
ここでNATMによる掘削手順について簡単に説明する。はじめに、トンネル切羽の掘削を行う。発破掘削の場合は、ドリルジャンボによって削孔して火薬(ダイナマイト)を装填し、作業員とドリルジャンボが退避したうえで発破を実行する。一方、機械掘削の場合は、自由断面掘削機によってトンネル切羽を切削していく。1回(1サイクル)の掘削進行長(1スパン長)は地山の強度に応じて設定される支保パターンによって異なるが、一般的には1.0~2.0mのスパン長で掘削が行われる。1スパン長の掘削を行うと、不安定化した地山部分(浮石など)を払い落とす「こそく」を行いながらダンプトラック(あるいはレール工法)によってズリを搬出(ズリ出し)していく。そしてズリ出し後に、鏡吹付けや1次コンクリート吹付けを行ったうえで必要に応じて(支保パターンによって)鋼製支保工を建て込み、2次コンクリート吹付けを行い、その後ロックボルトの打設を行う。なお、1次コンクリート吹付け工と2次コンクリート吹付け工、ロックボルト工は、掘進したスパン長分、すなわち素掘り部分のトンネル内周面(側壁から天端にかけた周面)に対して行われる。
【0005】
このようにNATMは、削岩(例えば、切羽削孔~発破)、ズリ出し、鋼製支保工建込み、コンクリート吹付け、ロックボルト打設といった一連の工程を繰り返し行うことによって、1スパン(1.0~2.0m)ずつ掘進していく工法である。そしてNATMにおける各工程は、オペレータが専用の機械を操作することで行われる。
【0006】
例えばコンクリート吹付け工では、吹付け機械と呼ばれる専用の機械が用いられ、オペレータはその先端に設けられる吹付けノズルをリモコンによって操作しながら吹付け作業を行っている。そして「トンネル標準示方書[山岳工法編](土木学会)」では、吹付け作業としての品質を次のように求めている。すなわち、はね返り(リバウンド)をできるだけ少なくするため、吹付けノズルを吹付け面に直角に保ち、吹付けノズルと吹付け面との距離および衝突速度が適正となるように行うこととし、また材料の閉塞を生じないように作業管理を行うこととしている。さらに、地山の凹凸をなくすように行い、鋼製支保工がある場合にはコンクリートと鋼製支保工が一体となるように注意して吹付けなければならないと定めている。
【0007】
適切に吹付け作業を行うには相当の操作技術が求められるものの、操作に関する作業手順書や操作マニュアルなどを策定することは難しく、現状ではオペレータの経験に基づく感覚に依存している。他方、建設業界における近年の人手不足は切実な問題であり、特に山岳トンネルに関しては掘削中の坑内が高温かつ粉じん環境となることもあって新規入職者は減少している。したがって、今後は吹付け作業を行う熟練オペレータが減少していく一方であって、山岳トンネル工事にとっては極めて深刻な事態といえる。
【0008】
そこで、吹付けコンクリートの自動施工技術の確立が切望されており、種々の施工技術が提案されているところである。例えば特許文献1は、吹付けノズルの移動速度と吹付け厚との関係に着目したうえで、掘削地山に対して吹付けするときは低速で、コンクリート面に重ねて吹付けするときは高速で吹付けノズルを移動する自動化施工について提案している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
特開2019-167678号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
特許文献1に開示される技術は、吹付け作業の自動化にあたって利用される技術であり、吹付けノズルの移動速度を制御することによる吹付け面の平滑化を目的とするものである。一方、吹付け作業を自動化するためには、測定した切羽出来形(余掘り量)に応じて適切な軌跡(軌道)で吹付けノズルを移動することが極めて重要となる。その際、吹付けノズルが移動する速度も重要であり、また設計厚を確保するため軌跡間で一部重複(ラップ)しながら吹付けることにも留意しなければならない。しかしながら、特許文献1をはじめとする従来技術では、このように吹付けノズルの軌跡が提示されることがなかった。
(【0011】以降は省略されています)
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