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公開番号2025038787
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-03-19
出願番号2023145602
出願日2023-09-07
発明の名称カーボンナノチューブ水分散液、カーボンナノチューブ不織布及びこれらの製造方法
出願人信越化学工業株式会社
代理人弁理士法人牛木国際特許事務所
主分類C01B 32/174 20170101AFI20250312BHJP(無機化学)
要約【課題】高純度のカーボンナノチューブ不織布を製造するのに好適な、カーボンナノチューブ水分散液及び高純度のカーボンナノチューブ不織布等の提供。
【解決手段】
水100質量部に対して、
塩基性化合物 0.001質量部以上、
コール酸誘導体 0.001質量部以上、及び
カーボンナノチューブ 0.01~10.0質量部
を含むカーボンナノチューブ水分散液;並びに該カーボンナノチューブ水分散液から製造されるカーボンナノチューブ不織布。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
水100質量部に対して、
塩基性化合物 0.001質量部以上、
コール酸誘導体 0.001質量部以上、及び
カーボンナノチューブ 0.01~10.0質量部
を含み、カーボンナノチューブに対するコール酸誘導体の添加量が0.1~5.0(質量部/質量部)であるカーボンナノチューブ水分散液。
続きを表示(約 1,300 文字)【請求項2】
前記コール酸誘導体が、α-ムリコール酸、β-ムリコール酸、コール酸、デオキシコール酸、ウルソデオキシコール酸、ヒオデオキシコール酸、ケノデオキシコール酸、デヒドロコール酸及びリトコール酸から選択される1種以上である請求項1に記載のカーボンナノチューブ水分散液。
【請求項3】
前記塩基性化合物が、窒素含有化合物である請求項1に記載のカーボンナノチューブ水分散液。
【請求項4】
前記窒素含有化合物が、アンモニアである請求項3に記載のカーボンナノチューブ水分散液。
【請求項5】
前記カーボンナノチューブ水分散液の、JIS K7117-2:1999記載のコーンプレート型回転粘度計により25℃で測定したせん断速度100s
-1
における粘度(η100)とせん断速度0.1s
-1
における粘度(η0.1)との比(η0.1/η100)であるチキソ比が50から1,000である請求項1に記載のカーボンナノチューブ水分散液。
【請求項6】
水100質量部、塩基性化合物0.001質量部以上及びコール酸誘導体0.001質量部以上を含有する分散用水溶液を調製する工程
及び
前記分散用水溶液に、カーボンナノチューブを0.01~10.0質量部かつカーボンナノチューブに対するコール酸誘導体の添加量が0.1~5.0(質量部/質量部)となる量分散させる工程
を有するカーボンナノチューブ水分散液の製造方法。
【請求項7】
(1)水100質量部に、塩基性化合物0.001質量部以上を添加混合し、pH8~12の塩基性水溶液を調製する工程、
(2)前記塩基性水溶液に、コール酸誘導体を0.001質量部以上溶解し、分散用水溶液を調製する工程、及び
(3)前記分散用水溶液に、カーボンナノチューブを0.01~10.0質量部かつカーボンナノチューブに対するコール酸誘導体の添加量が0.1~5.0(質量部/質量部)となる量分散させる工程、
を有するカーボンナノチューブ水分散液の製造方法。
【請求項8】
(4)請求項1~5のいずれか1項に記載のカーボンナノチューブ水分散液を支持体上に5mm以下の厚さで塗工し、乾燥炉内で水を除去してカーボンナノチューブ薄膜を製造する工程、及び
(5)工程(4)で得られカーボンナノチューブ薄膜を支持体から剥離し、
大気圧下250℃以上500℃以下の温度で
もしくは
大気圧未満の圧力下150℃以上500℃以下の温度で
熱処理する工程
を有するカーボンナノチューブ不織布の製造方法であって、
カーボンナノチューブ不織布中のコール酸誘導体の含有量が0質量%以上10質量%未満であるカーボンナノチューブ不織布の製造方法。
【請求項9】
前記熱処理を不活性ガス中で行う請求項8に記載のカーボンナノチューブ不織布の製造方法。
【請求項10】
ナトリウム原子の含有量が1.0質量%以下であるカーボンナノチューブ不織布。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明はカーボンナノチューブ水分散液、カーボンナノチューブ不織布及びこれらの製造方法に関する。
続きを表示(約 3,400 文字)【背景技術】
【0002】
カーボンナノチューブの不織布は、気相で生成されるカーボンナノチューブの凝集物から直接製造できることが知られているが、水素ガス存在下での高温反応で生成するカーボンナノチューブを直接不織布とするには装置的に難しく、且つ製造される不織布は強度面でも異方性が生じてしまう(特許文献1~4)。
そこで、カーボンナノチューブの不織布を気相法以外で製造する方法として、有機溶媒中又は水溶液中にカーボンナノチューブを分散した分散液を用いる湿式法が知られている。カーボンナノチューブの分散液を用いる湿式法において、カーボンナノチューブ凝集物を水又は有機溶媒中に均一に分散させるには、イオン液体や界面活性剤などの分散剤が必須である。例えば、分散剤として有機酸ナトリウム塩、有機酸アンモニウム塩などを使用したカーボンナノチューブ分散液が記載されている(特許文献5)。
また、微細セルロース繊維とカーボンナノチューブとを含む水分散液をろ過することでシート化する方法も知られている(特許文献6)。
また、分散剤としてデオキシコール酸ナトリウムを含むカーボンナノチューブ分散液からカーボンナノチューブ膜体を得る方法も開示されている(特許文献7)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
特開2015-007304号公報
特開2013-241723号公報
特開2016-065350号公報
特開2016-102047号公報
国際公開第2018/179760号
特開2014-189932号公報
特開2015-178446号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、イオン液体は化学的安定性に課題があったり、特許文献7に記載の方法では、カーボンナノチューブ膜体(カーボンナノチューブ不織布)にナトリウムイオンが残存してしまう問題があった。湿式法で製造されるカーボンナノチューブ不織布から分散剤を除去するには、高温で加熱処理する方法が考えられるが、高温での加熱処理により、カーボンナノチューブが酸化劣化してしまう問題もあり、カーボンナノチューブ不織布に含まれる分散剤量を低減し、かつ、カーボンナノチューブを高純度とすることは困難であった。
したがって、本発明は、高純度のカーボンナノチューブ不織布を製造するのに好適な、カーボンナノチューブ水分散液及びその製造方法を提供することを目的とする。また、本発明の別の目的は、該カーボンナノチューブ水分散液より製造される高純度のカーボンナノチューブ不織布及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意研究を重ねた結果、下記カーボンナノチューブ水分散液が、上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成した。
【0006】
すなわち、本発明は、以下のカーボンナノチューブ水分散液等を提供するものである。
[1]
水100質量部に対して、
塩基性化合物 0.001質量部以上、
コール酸誘導体 0.001質量部以上、及び
カーボンナノチューブ 0.01~10.0質量部
を含み、カーボンナノチューブに対するコール酸誘導体の添加量が0.1~5.0(質量部/質量部)であるカーボンナノチューブ水分散液。
[2]
前記コール酸誘導体が、α-ムリコール酸、β-ムリコール酸、コール酸、デオキシコール酸、ウルソデオキシコール酸、ヒオデオキシコール酸、ケノデオキシコール酸、デヒドロコール酸及びリトコール酸から選択される1種以上である[1]に記載のカーボンナノチューブ水分散液。
[3]
前記塩基性化合物が、窒素含有化合物である[1]又は[2]に記載のカーボンナノチューブ水分散液。
[4]
前記窒素含有化合物が、アンモニアである[3]に記載のカーボンナノチューブ水分散液。
[5]
前記カーボンナノチューブ水分散液の、JIS K7117-2:1999記載のコーンプレート型回転粘度計により25℃で測定したせん断速度100s
-1
における粘度(η100)とせん断速度0.1s
-1
における粘度(η0.1)との比(η0.1/η100)であるチキソ比が50から1,000である[1]~[4]のいずれか1項に記載のカーボンナノチューブ水分散液。
[6]
水100質量部、塩基性化合物0.001質量部以上及びコール酸誘導体0.001質量部以上を含有する分散用水溶液を調製する工程
及び
前記分散用水溶液に、カーボンナノチューブを0.01~10.0質量部かつカーボンナノチューブに対するコール酸誘導体の添加量が0.1~5.0(質量部/質量部)となる量分散させる工程
を有するカーボンナノチューブ水分散液の製造方法。
[7]
(1)水100質量部に、塩基性化合物0.001質量部以上を添加混合し、pH8~12の塩基性水溶液を調製する工程、
(2)前記塩基性水溶液に、コール酸誘導体を0.001質量部以上溶解し、分散用水溶液を調製する工程、及び
(3)前記分散用水溶液に、カーボンナノチューブを0.01~10.0質量部かつカーボンナノチューブに対するコール酸誘導体の添加量が0.1~5.0(質量部/質量部)となる量分散させる工程、
を有するカーボンナノチューブ水分散液の製造方法。
[8]
(4)[1]~[5]のいずれか1項に記載のカーボンナノチューブ水分散液を支持体上に5mm以下の厚さで塗工し、乾燥炉内で水を除去してカーボンナノチューブ薄膜を製造する工程、及び
(5)工程(4)で得られカーボンナノチューブ薄膜を支持体から剥離し、
大気圧下250℃以上500℃以下の温度で
もしくは
大気圧未満の圧力下150℃以上500℃以下の温度で
熱処理する工程
を有するカーボンナノチューブ不織布の製造方法であって、
カーボンナノチューブ不織布中のコール酸誘導体の残存量が0質量%以上で10質量%未満であるカーボンナノチューブ不織布の製造方法。
[9]
前記熱処理を不活性ガス中で行う[8]に記載のカーボンナノチューブ不織布の製造方法。
[10]
ナトリウム原子の含有量が1.0質量%以下であるカーボンナノチューブ不織布。
[11]
縦方向と横方向の引張強度比(縦方向引張強度/横方向引張強度)が0.95~1.05である[10]に記載のカーボンナノチューブ不織布。
【発明の効果】
【0007】
本発明のカーボンナノチューブ水分散液は、塗工性に優れ、分散剤として含まれるコール酸誘導体がカーボンナノチューブの酸化劣化しない温度範囲において除去されるため、高純度のカーボンナノチューブ不織布を製造するのに特に好適に使用される。また、本発明のカーボンナノチューブ水分散液により、比較的簡便な装置で、強度面で異方性のないカーボンナノチューブ不織布を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
伝送損失の測定系を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明につき更に詳しく説明する。
【0010】
[カーボンナノチューブ水分散液]
本発明のカーボンナノチューブ水分散液は、コール酸誘導体及び塩基性化合物を含む水に、カーボンナノチューブが分散したものである。以下、本発明のカーボンナノチューブ水分散液が含有する各成分について説明する。
(【0011】以降は省略されています)

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