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公開番号2025037052
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-03-17
出願番号2023143769
出願日2023-09-05
発明の名称等速ジョイント用グリース組成物及びそれを封入した等速ジョイント
出願人協同油脂株式会社
代理人個人,個人,個人,個人,個人,個人,個人
主分類C10M 169/06 20060101AFI20250310BHJP(石油,ガスまたはコークス工業;一酸化炭素を含有する工業ガス;燃料;潤滑剤;でい炭)
要約【課題】低面圧下でも高面圧条件下でも低摩擦性を示す等速ジョイント用グリース組成物を提供すること。
【解決手段】(a)基油、
(b)ジウレア系増ちょう剤、
(c)25℃で固体であるジアルキルジチオカルバミン酸モリブデン、
(d)25℃で液体であるジアルキルジチオカルバミン酸モリブデン、
(e)過塩基性カルシウムスルホネート、及び
(f)ジアルキルジチオカルバミン酸亜鉛
を含み、成分(f)の含有量が、組成物の全質量を基準として、0.3質量%~3.5質量%である、等速ジョイント用グリース組成物。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
(a)基油、
(b)ジウレア系増ちょう剤、
(c)25℃で固体であるジアルキルジチオカルバミン酸モリブデン、
(d)25℃で液体であるジアルキルジチオカルバミン酸モリブデン、
(e)過塩基性カルシウムスルホネート、及び
(f)ジアルキルジチオカルバミン酸亜鉛
を含み、
成分(f)の含有量が、組成物の全質量を基準として、0.3質量%~3.5質量%である、等速ジョイント用グリース組成物。
続きを表示(約 720 文字)【請求項2】
成分(e)の含有量が、組成物の全質量を基準として、0.5質量%~8.5質量%である、請求項1に記載の等速ジョイント用グリース組成物。
【請求項3】
成分(d)の含有量が、組成物の全質量を基準として、0.3質量%~7.0質量%である、請求項1に記載の等速ジョイント用グリース組成物。
【請求項4】
成分(c)の含有量が、組成物の全質量を基準として、0.2質量%~4.0質量%である、請求項1に記載の等速ジョイント用グリース組成物。
【請求項5】
さらに成分(g)硫黄系極圧剤を含有する請求項1に記載の等速ジョイント用グリース組成物。
【請求項6】
成分(b)が、下記式(1-1)、(1-2)又は(1-3)で表わされるジウレア化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種である、請求項1に記載の等速ジョイント用グリース組成物。
JPEG
2025037052000004.jpg
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104
(式中、R
1
は、炭素数6~12のシクロアルキル基であり、R
2
は、炭素数6~30のアルキル基である。)
【請求項7】
成分(a)が、多割合の鉱油を含む、請求項1に記載の等速ジョイント用グリース組成物。
【請求項8】
摺動式等速ジョイント用である、請求項1~7のいずれかに記載の等速ジョイント用グリース。
【請求項9】
請求項1~7のいずれかに記載の等速ジョイント用グリース組成物を封入した、トリポードタイプの摺動式等速ジョイント。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、等速ジョイント用グリース組成物及びそれを封入した等速ジョイントに関する。
続きを表示(約 4,700 文字)【背景技術】
【0002】
自動車においては、車両の環境対策(CO
2
削減)を目的とした軽量化かつ居住空間の確保の点からフロントエンジン・フロントドライブ(FF)車が広く普及し、FF車の動力伝達に不可欠な等速ジョイント(CVJ)が用いられている。
CVJは角度の付いた状態で回転する2本の軸の間で回転を伝達する装置であるため、ジョイント内部において部品同士が複雑なころがりすべり運動を行う。CVJの中でもプランジング型CVJは、軸方向への摺動機構も併せ持つため、内部部品の摩擦により軸方向へのスライド抵抗を生じ、このスライド抵抗が大きいと振動や騒音の原因となる場合がある。なお、これらの振動や音に関する車両特性は、一般的にNV特性(Nはnoise(騒音)、Vはvibration(振動)の頭文字)と呼ばれている。
近年の自動車は、カーボンニュートラル、低燃費化の実現を目的とした動力源の電動化が進められており、車内の静粛性が著しく向上している。上記より、従来の内燃機関搭載車両に対し、異音、振動に対する要求性能は高くなっており、プランジング型等速ジョイントに求められるNV特性に関する要求も、また厳しくなってきている。
さらにHEV、PHEV、BEVの一般市場への流通に伴い、省エネ走行の一般化による低トルク走行条件と、モーター搭載による加速時の高トルク走行条件が混在する環境となっている。上記より、プランジング型等速ジョイントを取り巻く面圧環境は、内燃機関搭載車と比較し、省エネ走行入力による低面圧条件から、モーター加速時入力による高面圧条件まで広範囲となり、摺動部の潤滑環境変化に伴う内部摩擦上昇から、NV特性の低下が課題となる場合がある。NV特性低下の主要因であるスライド抵抗上昇は、内部摩擦上昇に起因しており、広範囲の面圧条件下における低摩擦化が対策手法となる。
これらの問題解決のため、CVJ自体の構造改良もなされてきたが、コスト面の課題が大きく、広範囲の面圧条件下において低摩擦性に優れるグリースが要求されるようになった。
CVJの振動抑制に優れたグリースとして、基油とウレアグリースにモリブデンジチオカーバメートとモリブデンジチオフォスフェートの添加剤を併用し、もしくはこれらの有機モリブデン化合物にジンクジチオフォスフェートを混合してなる等速ジョイント用グリース(特許文献1参照)や、基油、ジウレア系増ちょう剤、硫化ジアルキルジチオカルバミン酸モリブデン、亜鉛スルホネート、硫黄-リン系極圧剤、及び植物性油脂を含有する等速ジョイント用組成物(特許文献2参照)も提案されている。
また振動抑制性能に加え潤滑部の摩耗を考慮したグリースとして、基油、増ちょう剤と、モンタンワックス、亜鉛スルホネート及び硫化ジアルキルジチオカルバミン酸モリブデンからなる3核モリブデン化合物を含まない等速ジョイント用グリース組成物(特許文献3参照)が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
特公平5-79280号公報
特開2011-37650号公報
特許第6248939号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このように、これまでも、CVJ用グリース組成物について、NV特性の検討はされてきたが、車両の電動化を考慮した広範囲の面圧条件下におけるNV特性については、必ずしも十分な検討がされてきたとは言えない。
したがって、本発明は、低面圧下でも高面圧条件下でも低摩擦性を示す等速ジョイント用グリース組成物及びそれを封入した等速ジョイントを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
1.(a)基油、
(b)ジウレア系増ちょう剤、
(c)25℃で固体であるジアルキルジチオカルバミン酸モリブデン、
(d)25℃で液体であるジアルキルジチオカルバミン酸モリブデン、
(e)過塩基性カルシウムスルホネート、及び
(f)ジアルキルジチオカルバミン酸亜鉛
を含み、
成分(f)の含有量が、組成物の全質量を基準として、0.3質量%~3.5質量%である、等速ジョイント用グリース組成物。
2.成分(e)の含有量が、組成物の全質量を基準として、0.5質量%~8.5質量%である、前記1に記載の等速ジョイント用グリース組成物。
3.成分(d)の含有量が、組成物の全質量を基準として、0.3質量%~7.0質量%である、前記1又は2に記載の等速ジョイント用グリース組成物。
4.成分(c)の含有量が、組成物の全質量を基準として、0.2質量%~4.0質量%である、前記1~3のいずれかに記載の等速ジョイント用グリース組成物。
5.さらに成分(g)硫黄系極圧剤を含有する前記1~4のいずれかに記載の等速ジョイント用グリース組成物。
6.成分(b)が、下記式(1-1)、(1-2)又は(1-3)で表わされるジウレア化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種である、前記1~5のいずれかに記載の等速ジョイント用グリース組成物。
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(式中、R
1
は、炭素数6~12のシクロアルキル基であり、R
2
は、炭素数6~30のアルキル基である。)
7.成分(a)が、多割合の鉱油を含む、請求項1~6のいずれかに記載の等速ジョイント用グリース組成物。
8.摺動式等速ジョイント用である、前記1~7のいずれかに記載の等速ジョイント用グリース。
9.前記1~7のいずれかに記載の等速ジョイント用グリース組成物を封入した、トリポードタイプの摺動式等速ジョイント。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、低面圧から高面圧までの広い面圧条件下でも低摩擦特性に優れた等速ジョイント用グリース組成物を提供することができる。また、本発明によれば、低面圧から高面圧までの広い面圧条件下でも低摩擦特性に優れたグリース組成物を封入してなる、等速ジョイントを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0007】
(a)基油
本発明において、基油の種類は、潤滑部へのグリースの流入性又は油膜形成特性には影響するが、本発明における低摩擦特性には殆ど影響しないと考えられる。したがって、本発明に使用できる基油の種類は特に限定されず、鉱油、合成油、又はこれらの混合油を使用することが出来る。鉱油としては、パラフィン系鉱油、及びナフテン系鉱油があげられる。合成油としては、ポリαオレフィン等の炭化水素系合成油、アルキルジフェニルエーテルに代表されるエーテル系合成油等があげられる。なお、合成油は、動植物などから生まれた生物資源を原料として製造される、所謂バイオマス油でもよい。例えば、植物油を原料とする各種脂肪酸とアルコールとから合成されるバイオマスエステル油や、パーム油、コーン油、大豆油などの植物油を用いたバイオマス炭化水素油を使用することもできる。本発明の基油としては、コストの観点から鉱油を用いることが好ましい。基油が、多割合の鉱油を含むのが好ましく、例えば、基油の全質量を基準にして、15質量%以上であると、コスト削減に効果的である。
本発明の基油の100℃における動粘度は、油膜形成特性の観点から、6~25mm
2
/sであるのが好ましく、8~20mm
2
/sであるのがより好ましく、10~15mm
2
/sであるのがさらに好ましい。これにより、適当な厚さの油膜を形成できるため、CVJ用グリースに求められる耐久性(耐はく離性)に優れるグリース組成物が得られる。
本発明の組成物中の基油の含有量は、組成物の全質量を基準にして、好ましくは57~93質量%、より好ましくは63~90質量%、さらに好ましくは68~88質量%である。このような範囲で基油を含ませることにより、本発明のグリース組成物の流入性が得られ、その結果、潤滑部にて優れた低摩擦性を発揮できる。
【0008】
(b)増ちょう剤
本発明の増ちょう剤は、ジウレア系増ちょう剤である。ジウレア系増ちょう剤はせん断によって早期に軟化しやすいため、CVJ内における摺動部にグリースを十分に供給することができる。
一般的に、ジウレア系増ちょう剤は、ジウレア化合物の原料であるモノアミンの種類により、脂肪族ジウレア系増ちょう剤、脂環式ジウレア系増ちょう剤、脂環式脂肪族ジウレア系増ちょう剤、芳香族ジウレア系増ちょう剤等に分類される。本発明において、ジウレア系増ちょう剤の種類ないし構造は、グリース流動性には影響するが、本発明における低摩擦特性には殆ど影響しないと考えられる。したがって、本発明で用いるジウレア系増ちょう剤は特に制限されない。
本発明のジウレア系増ちょう剤としては、下記式(1-1)、(1-2)又は(1-3)で表わされるジウレア化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種であるのが好ましい。
【0009】
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【0010】
式中、R
1
は、炭素数6~12、好ましくは炭素数6~7のシクロアルキル基であり、より好ましくはシクロヘキシル基である。

2
は、炭素数6~30、好ましくは炭素数8~20、より好ましくは炭素数8~18のアルキル基である。
本発明の増ちょう剤としては、上記式(1-1)のジウレア化合物と、上記式(1-2)のジウレア化合物と、上記式(1-3)のジウレア化合物との混合物である、所謂脂環式脂肪族ジウレア系増ちょう剤が好ましい。本発明の増ちょう剤として脂環式脂肪族ジウレア系増ちょう剤を使用することにより、優れた流動性が得られ、CVJ内における摺動部へのグリース供給が容易となる。
特に、R
1
がシクロヘキシル基であり、R
2
が炭素数18のアルキル基である、脂環式脂肪族ジウレア系増ちょう剤が好ましい。
増ちょう剤の含有量は、本発明のグリース組成物のちょう度を好ましくは310~340に調整できる量であるのが好ましく、具体的には、組成物の全質量を基準として、5~13質量%であるのが好ましく、6~12質量%であるのがより好ましく、7~11質量%であるのがさらに好ましい。本発明のグリース組成物のちょう度が310~340の場合、優れた流動性が得られ、CVJ内における摺動部へのグリース供給が容易となる。なお、本明細書において、「ちょう度」は、JIS K 2220 7.により測定される60回混和ちょう度を意味する。
(【0011】以降は省略されています)

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