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公開番号2025034116
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-03-13
出願番号2023140298
出願日2023-08-30
発明の名称テトラベンゾクリセン誘導体とその製造方法
出願人学校法人 龍谷大学
代理人弁理士法人WisePlus
主分類C07C 1/24 20060101AFI20250306BHJP(有機化学)
要約【課題】重金属を用いたクロスカップリング法を用いることなく、テトラベンゾクリセン誘導体の簡便な合成方法とともに新規なテトラベンゾクリセン誘導体を提供する。
【解決手段】(a)ベンゾフルオレノン誘導体を二量化し、スピロケトン誘導体を作製する工程、(b)得られたスピロケトン誘導体のカルボニル基を還元し、水酸基を有するスピロアルコール誘導体を作製する工程、および、(c)得られたスピロアルコール誘導体を脱水し、テトラベンゾクリセン誘導体を得る工程を含むテトラベンゾクリセン誘導体の製造方法。
【選択図】 なし

特許請求の範囲【請求項1】
(a)ベンゾフルオレノン誘導体を二量化し、スピロケトン誘導体を作製する工程、
(b)得られたスピロケトン誘導体のカルボニル基を還元し、水酸基を有するスピロアルコール誘導体を作製する工程、および、
(c)得られたスピロアルコール誘導体を脱水し、テトラベンゾクリセン誘導体を得る工程
を含むテトラベンゾクリセン誘導体の製造方法。
続きを表示(約 1,000 文字)【請求項2】
前記スピロケトン誘導体が、下記式
TIFF
2025034116000020.tif
41
156
、または、
TIFF
2025034116000021.tif
41
156
で表される化合物であり、前記スピロアルコール誘導体が、下記式
TIFF
2025034116000022.tif
41
156
、または、
TIFF
2025034116000023.tif
41
156
で表される化合物である請求項1に記載のテトラベンゾクリセン誘導体の製造方法。
【請求項3】
前記テトラベンゾクリセン誘導体が、下記式
TIFF
2025034116000024.tif
51
156
、または、
TIFF
2025034116000025.tif
42
156
で表される化合物である請求項1または2に記載のテトラベンゾクリセン誘導体の製造方法。
【請求項4】
スピロケトン誘導体を作製する工程(a)において、ベンゾフルオレノン誘導体の二量化を亜リン酸トリアルキルの存在下で行う請求項1または2に記載のテトラベンゾクリセン誘導体の製造方法。
【請求項5】
下記式
TIFF
2025034116000026.tif
42
156
で表されるテトラベンゾクリセン誘導体。
【請求項6】
下記式
TIFF
2025034116000027.tif
41
156
、または、
TIFF
2025034116000028.tif
41
156
で表されるスピロケトン誘導体。
【請求項7】
下記式
TIFF
2025034116000029.tif
41
156
、または、
TIFF
2025034116000030.tif
41
156
で表されるスピロアルコール誘導体。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、テトラベンゾクリセン誘導体とその製造方法に関する。
続きを表示(約 2,000 文字)【背景技術】
【0002】
テトラベンゾクリセンは、高機能性材料として有望な有機化合物である。テトラベンゾクリセン構造の最大の特徴は、非平面性の高いパイ共役系構造にあり、多くの研究者が注目している。ここで、非平面性とは、π共役系芳香族基がらせん状にねじれていることを意味し、らせん構造が薄膜トランジスターの正孔輸送物質や有機発光ダイオードの発光素子として期待されている。光量子物性(量子収率・励起寿命)、電子的特性、耐熱性において潜在的価値が高く、高分子材料などへ組み込むことが試みられている。また、テトラベンゾクリセンは屈折率が高く、プラスチックレンズなどの光学材料としても期待されている。
【0003】
しかしながら、テトラベンゾクリセンなどの多環芳香族炭化水素の合成は、芳香環の数が増えるにしたがい合成が難しくなることが知られている。このような多環芳香族炭化水素の合成には金属試薬が効果的なことが多く、たとえば非特許文献1では、六環性のジベンゾクリセンを、パラジウム試薬を用いた方法を駆使して調製している。非特許文献2でも、パラジウム試薬を用いた方法で、ベンザインの[2+2+2]環化による三方向への縮環の伸長を企図して、一挙に増環させている。しかしながら、このような重金属試薬は最終生成物に残留し、素材や製品の機能を低下させてしまうことが懸念される。また、重金属試薬は高価で取り扱いが煩雑なため、生産性が低下するという問題がある。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
W.Matsuoka,et al、Angew.Chem.Int.Ed.2017,56,12224-12228
Pena,et al、Acc.Chem.Res.2019,52,2472-2481)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、重金属を用いたクロスカップリング法を用いることなく、テトラベンゾクリセン誘導体の簡便な合成方法とともに新規なテトラベンゾクリセン誘導体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、テトラベンゾクリセン誘導体の合成方法について検討を進めたところ、ベンゾフルオレノン(11H-benzo[b]fluoren-11-one)を亜リン酸トリイソプロピル溶媒中にて二量化させ、続く還元反応とカチオン転位反応を経ることによって、重金属を用いたクロスカップリング法を用いることなく、テトラベンゾクリセン誘導体を合成できることを見出し、本発明を完成した。
【0007】
すなわち、本発明(1)は、
(a)ベンゾフルオレノン誘導体を二量化し、スピロケトン誘導体を作製する工程、
(b)得られたスピロケトン誘導体のカルボニル基を還元し、水酸基を有するスピロアルコール誘導体を作製する工程、および、
(c)得られたスピロアルコール誘導体を脱水し、テトラベンゾクリセン誘導体を得る工程
を含むテトラベンゾクリセン誘導体の製造方法である。
【0008】
本発明(2)は、前記スピロケトン誘導体が、下記式
TIFF
2025034116000001.tif
41
156
、または、
TIFF
2025034116000002.tif
41
156
で表される化合物であり、前記スピロアルコール誘導体が、下記式
TIFF
2025034116000003.tif
41
156
、または、
TIFF
2025034116000004.tif
41
156
で表される化合物である本発明(1)に記載のテトラベンゾクリセン誘導体の製造方法である。
【0009】
本発明(3)は、前記テトラベンゾクリセン誘導体が下記式
TIFF
2025034116000005.tif
51
156
、または、
TIFF
2025034116000006.tif
42
156
で表される化合物である本発明(1)または(2)に記載のテトラベンゾクリセン誘導体の製造方法である。
【0010】
本発明(4)は、スピロケトン誘導体を作製する工程(a)において、ベンゾフルオレノン誘導体の二量化を亜リン酸トリアルキルの存在下で行う本発明(1)~(3)のいずれか1項に記載のテトラベンゾクリセン誘導体の製造方法である。
(【0011】以降は省略されています)

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