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公開番号2025030501
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-03-07
出願番号2023135846
出願日2023-08-23
発明の名称イネ科植物の種子、湿害に起因する植物の種子の出芽阻害を軽減するための方法、およびその利用
出願人国立大学法人 筑波大学
代理人弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
主分類A01C 1/06 20060101AFI20250228BHJP(農業;林業;畜産;狩猟;捕獲;漁業)
要約【課題】湿害に起因する植物の出芽阻害を軽減する植物由来化合物およびその処理方法、ならびに当該方法によって処理された植物の種子を提供する。
【解決手段】本発明の一態様に係る種子は、サフラナールおよびサフラナール類縁体のうち少なくとも一種の化合物を含むか、当該化合物で処理されている、植物の種子であり、前記植物はイネ科植物である。
【選択図】なし


特許請求の範囲【請求項1】
サフラナールおよびサフラナール類縁体のうち少なくとも一種の化合物で処理されている、植物の種子であり、前記植物はイネ科植物である、種子。
続きを表示(約 800 文字)【請求項2】
前記種子が吸水した状態である、請求項1に記載の種子。
【請求項3】
前記植物がコムギである、請求項1または2に記載の種子。
【請求項4】
植物の種子の出芽阻害を軽減する方法であり、
前記種子を、サフラナールおよびサフラナール類縁体のうち少なくとも一種の化合物に接触させるサフラナール処理工程を含む、
湿害に起因する植物の種子の出芽阻害を軽減するための方法。
【請求項5】
前記サフラナール処理工程において、前記種子に接触させるサフラナールおよびサフラナール類縁体のうち少なくとも一種の化合物の濃度が、10.0μmol/L以下である、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記サフラナール処理工程の前に、前記種子を吸水させる工程を含む、請求項4または5に記載の方法。
【請求項7】
前記サフラナール処理工程後の前記種子を生育する生育工程を含む、請求項4または5に記載の方法。
【請求項8】
前記サフラナール処理工程が、前記サフラナールおよびサフラナール類縁体のうち少なくとも一種の化合物を含む蒸気を前記種子に接触させることを含む、請求項4または5に記載の方法。
【請求項9】
植物の種子の製造方法であり、
サフラナールおよびサフラナール類縁体のうち少なくとも一種の化合物を、前記種子に接触させる、または前記種子に付する、サフラナール処理工程を含み、
前記植物はイネ科植物である、製造方法。
【請求項10】
植物の生育調整剤であり、
サフラナールおよびサフラナール類縁体のうち少なくとも一種の化合物を含む、
湿害に起因する植物の種子の出芽阻害を軽減するための生育調整剤。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、イネ科植物の種子、湿害に起因する植物の種子の出芽阻害を軽減するための方法、イネ科植物の種子の製造方法、湿害に起因する植物の種子の出芽阻害を軽減するための生育調整剤、および湿害に起因する植物の種子の出芽阻害を軽減するための生育調整キットに関する。
続きを表示(約 2,600 文字)【背景技術】
【0002】
コムギは過湿に弱い作物であるが、日本では、降水量が多く、排水不良が起こりやすい水田転換畑での栽培も多いため、湿害被害を受けやすい。コムギは湿害を受けると、出芽や成育が阻害され、収量や品質が低下してしまう。このようなコムギの湿害による成育障害を解決する技術には、育種による品種改良や土壌改良などがある。
【0003】
また、作物への物理的あるいは化学的処理も湿害による成育障害の軽減に有効である。例えば、非特許文献1において、湛水ストレス処理前に冠水のプライミング処理を行うことによって、コムギ開花後の湛水ストレス環境下の成育障害が緩和されること、プライミング処理後のコムギの葉では、エチレン生合成に関与するタンパク質の発現量が多いこと、エチレン前駆体である1-アミノシクロプロパンカルボン酸(ACC)を湛水前に処理することで、湛水ストレス下でも気孔の開口を促進することで葉での光合成が促進されることが記載されている。非特許文献2では、コムギの根部が低酸素環境に曝される前にACCを処理すると、根でエチレンの蓄積が促されて、エタノール発酵や活性酸素発生に関与する酵素の遺伝子発現が増加することが記載されている。非特許文献3では、イネ科植物の過湿環境への応答機構の1つである根の皮層の通気組織形成は、土壌中の酸素濃度の低下によって体内でエチレンや活性酸素が蓄積されることで促されることが記載されている。非特許文献4では、播種後のコムギに植物を燃焼した時に発生する煙を通した水溶液(煙水)を処理することで、冠水ストレス下でも光合成と解糖系を調節し、生育抑制を軽減することが記載されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
Wang et. al.,Physiological and proteomic mechanisms of waterlogging priming improves tolerance to waterlogging stress in wheat (Triticum aestivum L.), Environmental and Experimental Botany, 132,p.175-182,2016
Yamauchi et.al., Ethylene and reactive oxygen species are involved in root aerenchyma formation and adaptation of wheat seedlings to oxygen-deficient conditions, Journal of Experimental Botany, 65,p.261-273,2014
山内と中園、イネ科植物の根における過湿環境への形態的な応答・適応機構、根の研究、24(1)、p.23-35,2015
Komatsu et al., Morphological, biochemical, and proteomic analyses to understand the promotive effects of plant-derived smoke solution on wheat growth under flooding stress, Plants, 11, 1508, 2022
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
植物が生産する化合物の中には、環境ストレスによる植物の成育障害を改善させる機能があることが報告されている。有用機能を持つ植物由来の化合物を、湿害被害を受けやすい作物の成育障害を軽減させる技術に活用できれば、新規のバイオスティミュラント剤の開発や安価で省力的な方法による生産性向上に貢献できる可能性がある。しかしながら、湿害による作物の成育阻害を軽減する植物由来の化合物についての知見は未だ不足している。
【0006】
本発明の一態様は、コムギの湿害による出芽阻害を軽減する植物由来化合物とその処理法と、当該方法によって処理された植物の種子を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者等は、上記目的を達成すべく研究を重ねた。その結果、サフラナールおよびサフラナール類縁体のうち少なくとも一種の化合物を含む蒸気を播種前の植物の種子と接触させることによって、湿害に起因する植物の出芽阻害を軽減できることを見出した。
【0008】
すなわち、本発明の一態様は、
(1)サフラナールおよびサフラナール類縁体のうち少なくとも一種の化合物で処理されている、植物の種子であり、前記植物はイネ科植物である、種子、
(2)植物の種子の出芽阻害を軽減する方法であり、前記種子を、サフラナールおよびサフラナール類縁体のうち少なくとも一種の化合物に接触させるサフラナール処理工程を含む、湿害に起因する植物の種子の出芽阻害を軽減するための方法。
(3)植物の種子の製造方法であり、サフラナールおよびサフラナール類縁体のうち少なくとも一種の化合物を、前記種子に接触させる、または前記種子に付する、サフラナール処理工程を含み、前記植物はイネ科植物である、製造方法、
(4)植物の生育調整剤であり、サフラナールおよびサフラナール類縁体のうち少なくとも一種の化合物を含む、湿害に起因する植物の出芽阻害を軽減するための生育調整剤、
(5)植物の生育調整キットであり、サフラナールおよびサフラナール類縁体のうち少なくとも一種の化合物を備え、湿害に起因する植物の出芽阻害を軽減するための生育調整キット、
である。
【発明の効果】
【0009】
本発明の一態様によれば、従来の技術よりも簡便に湿害に起因する植物の出芽阻害を軽減する方法と、当該方法によって処理された植物の種子を提供することを目的とする。
【図面の簡単な説明】
【0010】
本発明の実施例に係る、コムギの冠水処理後の出芽率におけるサフラナールの処理効果を示した図である。
【発明を実施するための形態】
(【0011】以降は省略されています)

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