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公開番号
2025029794
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2025-03-07
出願番号
2023134621
出願日
2023-08-22
発明の名称
ポリフェニレンサルファイド織物
出願人
東洋紡せんい株式会社
代理人
個人
,
個人
主分類
D03D
15/283 20210101AFI20250228BHJP(織成)
要約
【課題】スクリーン、フィルター、及び電気絶縁材料として好適な、PPS長繊維フィラメントを少なくとも一部に使用してなる織物を提供する。
【解決手段】単糸繊度2~50デシテックス、構成単糸本数1~4本、及び総繊度2~200デシテックスのPPS長繊維フィラメントを経糸及び/又は緯糸に配し、PPS長繊維フィラメントがリニア型のPPS樹脂を原料とする織物であって、PPS長繊維フィラメントの無定形領域の粘弾性構造パラメータである測定周波数0.5Hzの力学的損失正接Tanδの最大値Tanδmaxが0.02~0.05、Tanδが最大値を示すときの雰囲気温度Tmaxが130~160℃であり、かつJIS L1013.8.5.1(標準時試験)に規定する引張強さ及び伸び率において、その応力歪曲線が降伏点を有するとともに、破断伸度が15~35%である。
【選択図】なし
特許請求の範囲
【請求項1】
単糸繊度が2デシテックス以上50デシテックス以下、構成単糸本数が1本以上4本以下、及び総繊度が2デシテックス以上200デシテックス以下のポリフェニレンサルファイド長繊維フィラメントを経糸及び/又は緯糸に配してなり、ポリフェニレンサルファイド長繊維フィラメントがリニア型のポリフェニレンサルファイド樹脂を原料とする織物であって、ポリフェニレンサルファイド長繊維フィラメントの無定形領域の粘弾性構造パラメータである測定周波数0.5Hzにおける力学的損失正接Tanδの最大値Tanδmaxが0.02以上0.05以下であり、Tanδが最大値を示すときの雰囲気温度Tmaxが130℃以上160℃以下であり、かつJIS L1013.8.5.1(標準時試験)に規定するポリフェニレンサルファイド長繊維フィラメントの引張強さ及び伸び率において、その応力歪曲線が降伏点を有するとともに、破断伸度が15%以上35%以下であることを特徴とするポリフェニレンサルファイド織物。
続きを表示(約 730 文字)
【請求項2】
ポリフェニレンサルファイド長繊維フィラメントの繊維断面が丸断面であり、ポリフェニレンサルファイド長繊維フィラメントの単繊維径が15μmφ以上70μmφ以下であり、ポリフェニレンサルファイド長繊維フィラメントの複屈折率Δnが0.100以上0.300以下であることを特徴とする請求項1に記載のポリフェニレンサルファイド織物。
【請求項3】
ポリフェニレンサルファイド織物の織組織が平織、綾織、又は朱子織のいずれかで構成され、ポリフェニレンサルファイド織物の目開き寸法が1μm以上200μm以下であり、ポリフェニレンサルファイド織物の開口率が10%以上60%以下であることを特徴とする請求項1に記載のポリフェニレンサルファイド織物。
【請求項4】
ポリフェニレンサルファイド織物を水平に静置した状態において、処理温度160℃にて30分間の乾熱処理実施前後の開口率の変動率が±3%以内であり、温度20±2℃、相対湿度65±5%RHの環境において、シクロヘキサノン及びイソホロンのそれぞれの溶媒にポリフェニレンサルファイド織物を24時間浸漬したあとの重量変化率がいずれも3.0%未満であることを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載のポリフェニレンサルファイド織物。
【請求項5】
請求項1に記載のポリフェニレンサルファイド織物を用いたことを特徴とするスクリーン。
【請求項6】
請求項1に記載のポリフェニレンサルファイド織物を用いたことを特徴とするフィルター。
【請求項7】
請求項1に記載のポリフェニレンサルファイド織物を用いたことを特徴とする電気絶縁材。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリフェニレンサルファイド(以下、PPSともいう)繊維を用いた織物に関するものである。本発明のPPS織物は、特定の条件のPPS長繊維フィラメントを織物の少なくとも一部に用いて製織したものであり、スクリーン、フィルター、濾過布、電気絶縁材として好適に使用できるものである。
続きを表示(約 2,100 文字)
【背景技術】
【0002】
PPS繊維は、耐熱性、耐薬品性、難燃性に優れるというPPS由来の優れた特性を有し、この特徴を活かして各種フィルター、電気絶縁材、印刷用スクリーン、電池セパレータなどの幅広い用途で使用されている。
【0003】
PPS樹脂は大別して、架橋型PPSとリニア型PPSの2種類があり、繊維用には靭性の高いリニア型が用いられている。PPS樹脂は、N-メチルピロリドンなどの極性溶媒に硫化ナトリウムを溶解し、パラジクロルベンゼンと重縮合反応させることによって製造されることができる。得られたペレットを溶融紡糸してステープルファイバーやスパンボンド不織布、マルチフィラメント糸、モノフィラメント糸を得る。PPS樹脂の反応生成物は、多種の副反応生成物、不純物を含むため、精製工程に掛かるコストが製造コストの大きなウエイトを占める現状にある。
【0004】
PPS繊維のガラス転移温度は概ね80~90℃、融点は280~290℃、その他物理的特性も同じく半結晶性材料であるポリエチレンテレフタレート(PET)に類似するが、溶融紡糸時にPPS樹脂やオリゴマー成分が熱分解し、硫黄や塩素を含んだ有毒、且つ腐食性の強い酸性ガスを発生し、ポリマー配管や押出機のバレル、スクリュー、及び紡糸ノズルなどの金属材料を腐食させるばかりか、作業者の健康を害する可能性が否定できない。溶融紡糸後は、残留PPS樹脂による配管腐蝕防止のため、残存するPPS樹脂を完全に排出させるべく、PET樹脂やポリプロピレン樹脂などの汎用樹脂を用いて樹脂流路(ポリマーライン)を置換洗浄することが必要になるなど、PPS繊維を製造するための留意点が多々存在し、保守管理の面でも十分なケアを必要とする合成樹脂材料のひとつである。
【0005】
PPS樹脂を用いた繊維、繊維構造物については、従来から様々な製造方法が提案され、上市されている。例えば特許文献1には、スパンボンド法によるPPS長繊維不織布の製造方法が提案されている。具体的には、PPSを主成分とする樹脂を紡糸口金から吐出した後、エジェクターにて紡糸速度3000m/分以上で牽引、延伸、ネット上に捕集して不織布ウェブ化した後、エンボスロールを用いて不織布ウェブを熱溶着する技術を開示し、簡便な工程で繊維径が小さく、熱的安定性に優れた不織布を得ることが可能である。しかしながら、スパンボンド法を用いた長繊維不織布は、引裂強度や破断伸度が低いこと、微小曲げ変形にも追随し難いこと、及び目付や厚みのバラツキも大きいという欠点を有する。
【0006】
また、特許文献2には、PPS樹脂を用いたステープルファイバーを用いて、紡績糸とし、次いで織物とした後、親水化処理する方法が提案されている。この方法は、セパレータなど樹脂含浸して使用する用途や電気絶縁体などの用途では支障ないが、フィルター用途に用いる場合はステープルファイバーが有端繊維であるために、繊維の素抜けや切断・脱落による汚染が懸念される。また、フィルタープレス濾過布用途などの用途では、水切れやケーク離れが悪い。従って、この方法は、スクリーンやフィルター、濾過布用途に対して好ましいとは言えない。
【0007】
更に、特許文献3には、PPS樹脂を用いたスパンボンド不織布とメルトブローン不織布を積層してなるSМ積層不織布、若しくはSМS積層不織布が提案されている。ここでSはスパンボンドを指し、Мはメルトブローンを指す。この方法によれば、気体や液体の精密濾過が可能になり、コスト的にも生産効率的にも好ましいが、多層積層体となるために厚みが出てしまい、微小曲げ変形にも追随し難くなるという欠点がある。また、メルトブローン不織布単体の使用も考えられる。この場合は、柔軟性に富み、微小曲げ変形にも追随し易い特性を有するが、薄くて帯電し易く、強度も弱いため、取扱性や作業性にも技術ノウハウが必要となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
WO2011/070999号公報
特許公表2018‐534441号公報
WO2008/035775号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上記のような従来技術の問題を解消するために創案されたものであり、スクリーン、フィルター、濾過布、ストレーナ、及び電気絶縁材料向けの材料として好適な、PPS長繊維フィラメントを少なくとも一部に使用してなる織物、並びにそれを用いた複合材料を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意研究を行った結果、原料となるPPS樹脂からなる長繊維フィラメントの特性値をある特定範囲にコントロールすることによって、高品質はもちろんのこと、製品安全性、生産コスト、生産安定性を満足させた織物を提供できることを見出し、本発明を完成した。
(【0011】以降は省略されています)
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