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公開番号2025027835
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-02-28
出願番号2023132992
出願日2023-08-17
発明の名称補強織物および製織方法
出願人前田工繊株式会社
代理人個人,個人,個人
主分類D03D 1/00 20060101AFI20250220BHJP(織成)
要約【課題】織物本体を製繊する際の目ずれを抑制ししつつ、補強織物の経糸方向の剛性を高めて補強織物の施工性を改善できる、補強織物及びその製織方法を提供すること。
【解決手段】経補強糸30と緯補強糸40が複数のフィラメント糸の束糸からなり、少なくとも経補強糸30または緯補強糸40の何れか一方の補強糸の束糸を強撚りした状態で経補強糸30と緯補強糸40との交点を仮固定させた状態で融着した。
【選択図】図2
特許請求の範囲【請求項1】
複数の強化繊維マルチフィラメント糸からなる一方向に引き揃えて配索される複数の強化繊維と、所要の間隔をおいて配索される複数の緯補強糸と、所定の間隔をおいて前記緯補強糸と交差して配索される複数の経補強糸とを備え、前記複数の強化繊維の表面及び裏面に沿って交互に配索される前記緯補強糸と前記複数の強化繊維の表面及び裏面に沿って交互に配索される前記経補強糸とが織組織をなして織物本体が織り込まれ、前記織物本体を熱セットして前記経補強糸と緯補強糸の交差部が融着された補強織物であって、
前記経補強糸と緯補強糸が複数のフィラメント糸の束糸からなり、
少なくとも前記経補強糸または緯補強糸の何れか一方の補強糸の束糸を強撚りした状態で交差させた前記経補強糸と緯補強糸との交点を融着したことを特徴とする、
補強織物。
続きを表示(約 860 文字)【請求項2】
前記補強織物が経補強糸と並行に複数の強化繊維を配索した一方向補強繊維であることを特徴とする、請求項1に記載の補強織物。
【請求項3】
前記補強織物が経補強糸および緯補強糸と並行に複数の強化繊維を配索した二方向補強繊維であることを特徴とする、請求項1に記載の補強織物。
【請求項4】
少なくとも前記経補強糸の束糸を強撚りして交差させた前記経補強糸と緯補強糸との交点を融着したことを特徴とする、請求項1に記載の補強織物。
【請求項5】
前記経補強糸および緯補強糸の束糸を強撚りして交差させた前記経補強糸と緯補強糸との交点を融着したことを特徴とする、請求項1に記載の補強織物。
【請求項6】
束糸を強撚りして縮径させた前記経補強糸と経補強糸との間に隙間を形成していることを特徴とする、請求項1に記載の補強織物。
【請求項7】
前記経補強糸または緯補強糸の何れか一方の補強糸に低融点のフィラメント糸を含むことを特徴とする、請求項1に記載の補強織物。
【請求項8】
前記経補強糸または緯補強糸の何れか一方の補強糸の融点が強化繊維と比べて低いことを特徴とする、請求項1に記載の補強織物。
【請求項9】
前記強化繊維の強化繊維マルチフィラメント糸が炭素繊維、アラミド繊維、ガラス繊維、ポリアラミド繊維、ボロン繊維、アルミナ繊維、炭化ケイ素繊維の何れか1種または2種以上であることを特徴とする、請求項1に記載の補強織物。
【請求項10】
前記経補強糸または緯補強糸のフィラメント糸が、ポリアリレート、アラミド、超高分子量ポリエチレン、ポリエステル、ナイロン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリビニルアルコール等の化学繊維の紡績糸またはフィラメント糸若しくはフィラメント加工糸の何れか1種または2種以上であることを特徴とする、請求項1に記載の補強織物。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、高架橋の橋脚や床版の補強または各種コンクリート構造物の柱や壁等の耐震補強を目的として用いられるシート状の補強織物および製織方法に関するものである。
続きを表示(約 3,500 文字)【背景技術】
【0002】
経糸と緯糸を平織する補強織物では、経糸に強化繊維を用い、緯糸には経糸よりも繊度が低い非強化繊維を用いている。
また経糸と緯糸に強化繊維を用いた補強織物も知られている(特許文献1)。
経糸と緯糸に補強糸を組み合わせた一方向性補強織物も知られている(特許文献2,3)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
特開平10-317250号公報
特開平7-243149号公報
特開2010-18909号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の補強織物はつぎのような幾つかの課題を有する。
<1>経糸と緯糸に強化繊維を用いた一方向性補強織物では、強化繊維同士が干渉しあって繊維間の隙間が小さくなるため、一方向性補強織物に樹脂を含侵させてFRP(繊維強化プラスチック)化する際に、織物内部への樹脂の含浸性が悪くなって、FRPの強度や施工後の浮きや施工性に悪影響を与える。
<2>補強織物を平織する際に強化繊維を屈曲して織成すると、張力が加わって強化繊維が直進するまでは本来の強度を発現できず、補強織物の強度発現率が低下する。
<3>経糸に強化繊維のみを用いた場合は、シート全体の剛性が低くなるため、シートが自重で垂れ下がるために現場での取扱性が悪くなって施工性が悪くなる。
<4>経糸と緯糸に補強糸を織込んだ織物本体は、製造過程で熱処理手段へ向けて搬送される。
熱処理前の織物本体は複数のローラに係留させて機械的に搬送されるため、搬送中に織物本体に目ずれが生じ易い。
そのため、最終的に熱処理を経て製造した一方向性補強織物に目ずれが残ってしまう。
【0005】
本発明は以上の点に鑑みてなされたもので、既述した課題を解決できる、補強織物および製織方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、複数の強化繊維マルチフィラメント糸からなる一方向に引き揃えて配索される複数の強化繊維と、所要の間隔をおいて配索される複数の緯補強糸と、所定の間隔をおいて前記緯補強糸と交差して配索される複数の経補強糸とを備え、前記複数の強化繊維の表面及び裏面に沿って交互に配索される前記緯補強糸と前記複数の強化繊維の表面及び裏面に沿って交互に配索される前記経補強糸とが織組織をなして織物本体が織り込まれ、前記織物本体を熱セットして前記経補強糸と緯補強糸の交差部が融着された補強織物であって、前記経補強糸と緯補強糸が複数のフィラメント糸の束糸からなり、少なくとも前記経補強糸または緯補強糸の何れか一方の補強糸の束糸を強撚りした状態で交差させた前記経補強糸と緯補強糸との交点を融着したものである。
本発明の他の形態において、前記補強織物が経補強糸と並行に複数の強化繊維を配索した一方向補強繊維、または前記補強織物が経補強糸および緯補強糸と並行に複数の強化繊維を配索した二方向補強繊維である。
本発明の他の形態において、少なくとも前記経補強糸の束糸を強撚りして交差させた前記経補強糸と緯補強糸との交点を融着するか、又は前記経補強糸および緯補強糸の束糸を強撚りして前記経補強糸と緯補強糸とを交差させて融着する。
本発明の他の形態において、束糸を強撚りして縮径させた前記経補強糸と経補強糸との間に隙間を形成している。
本発明の他の形態において、前記経補強糸または緯補強糸の何れか一方の補強糸に低融点のフィラメント糸を含むか、又は前記経補強糸または緯補強糸の何れか一方の補強糸の融点が強化繊維と比べて低く設定しておく。
本発明の他の形態において、前記強化繊維の強化繊維マルチフィラメント糸が炭素繊維、アラミド繊維、ガラス繊維、ポリアラミド繊維、ボロン繊維、アルミナ繊維、炭化ケイ素繊維の何れか1種または2種以上である。
本発明の他の形態において、前記経補強糸または緯補強糸のフィラメント糸が、ポリアリレート、アラミド、超高分子量ポリエチレン、ポリエステル、ナイロン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリビニルアルコール等の化学繊維の紡績糸またはフィラメント糸若しくはフィラメント加工糸の何れか1種または2種以上である。
本発明は、加熱手段を具備した織物用織機を使用し、複数の強化繊維と複数の緯補強糸と複数の経補強糸とが織組織をなす織物本体を製織する製織工程と、加熱手段を通じて移送中の織物に対して熱セットを行う熱セット工程とを含む、前記した何れかひとつの補強織物の製織方法であって、少なくとも前記経補強糸または緯補強糸の何れか一方の束糸が予め強撚りされており、強撚りされた束糸の撚り戻り力により前記経補強糸と緯補強糸との交点を仮固定した状態で融着した。
本発明の他の形態において、前記織物用織機がレピア織機である。
【発明の効果】
【0007】
本発明は少なくともつぎのひとつの効果を奏する。
<1>経補強糸または緯補強糸の何れか一方の束糸を強撚りして撚り戻り力を与え、撚り戻り力を利用して経補強糸と緯補強糸との交点を仮固定した。
したがって、織物用織機内で織物本体を移送する過程で目ずれが生じ難くなり、目ずれのない状態で補強織物を織製することができる。
<2>経補強糸または緯補強糸の束糸を強撚りすることで、補強織物をFRP化する際に、強撚りした補強糸の内部へ向けた樹脂の浸透を抑止しつつ、強化繊維の内部へ向けて樹脂が浸透し易くなる。
したがって、補強織物へ向けた樹脂の含浸性が良くなると共に、補強織物をFRP化したときの強度が向上する。
<3>少なくとも経補強糸または緯補強糸の何れか一方の束糸を強撚りすることで、経補強糸と緯補強糸の交点を仮固定して目ずれの発生を抑制できる。
そのため、織物本体の形態安定性が向上する。
<4>経補強糸および緯補強糸の両補強糸の束糸を強撚りした場合は、織物本体の形態安定性がさらに向上する。
<5>経補強糸と緯補強糸が強化繊維を固定することで、強化繊維の直進性が向上し、補強織物全体の経糸方向の曲げ剛性が高くなって、施工性が向上する。
<6>織物にした際に強化繊維を固定し、目ずれが抑制された状態で融着されるため、強化繊維の直進性と配向性が向上し、従来と比べて強度発現率が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
本発明の実施例1に係る補強織物(一方向性補強織物)の斜視図
補強織物の横断面図
補強織物の組織例の説明図
強化繊維を省略した経補強糸と緯補強糸の交差部の拡大図
並列に配置した強化繊維と経補強糸との境界部の拡大図
本発明の実施例2に係る補強織物(一方向性補強織物)の組織例の説明図
【発明を実施するための形態】
【0009】
[実施例1]
<1>補強織物
図1~3を参照して説明する。
本例では補強織物10が一方向性補強繊維である形態について説明する。
本発明に係る補強織物10は、経糸を構成する複数の強化繊維20と、隣り合う強化繊維20の間に介装した同じく経糸を構成する経補強糸30と、経糸の交差方向に配置し、強化繊維20と経補強糸30の表面及び裏面に交互に配列した複数の緯補強糸40とを具備し、これらの経糸(強化繊維20、経補強糸30)と緯糸(緯補強糸40)を織成したものである。
すなわち、本発明に係る補強織物は、同一方向に向けて強化繊維20と経補強糸20とが交互に配列してあり、これらの強化繊維20と経補強糸20との交差方向に向けて織成した緯補強糸40が強化繊維20と経補強糸20の間上下に屈曲しながら交互に交差している。
なお、図3の組織図では、補強織物10の織組織が理解し易いように、強化繊維20と経補強糸30の配索間隔を広げて示している。
【0010】
本例では、補強織物10を平織した形態について例示するが、織物の織組織は平織組織以外に綾織組織等の様々な織組織を適用しもよい。
(【0011】以降は省略されています)

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