TOP特許意匠商標
特許ウォッチ Twitter
10個以上の画像は省略されています。
公開番号2025019373
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-02-07
出願番号2023122951
出願日2023-07-28
発明の名称絶縁油の劣化指標推定方法および劣化指標推定プログラム
出願人株式会社トーエネック,国立大学法人三重大学
代理人個人
主分類G01N 21/3577 20140101AFI20250131BHJP(測定;試験)
要約【課題】絶縁油の劣化度合いの推定精度の向上に資する技術を提供すること。
【解決手段】各絶縁試料油(採取油,熱加速劣化油,添加油)の吸光度スペクトル(二次微分スペクトル)とフルフラール含有量との相関係数(相関スペクトル)をそれぞれ算出し、当該相関係数が閾値を超えた吸光度のうち各絶縁試料油(採取油,熱加速劣化油,添加油)で共通となる波数における吸光度を説明変数としてPLS回帰を実施してフルフラール含有量推定式を生成する。そして、生成した当該フルフラール含有量推定式を用いてフルフラール含有量が未知の絶縁油のフルフラール含有量を推定する。これにより、ノイズとなる成分(フルフラール以外の様々な成分)の情報を除外して、フルフラール含有量を油種に依存することなく精度良く推定することができる。
【選択図】図12
特許請求の範囲【請求項1】
絶縁油の劣化度合いを示す指標である劣化指標を推定する絶縁油の劣化指標推定方法であって、
(a)複数の絶縁油試料について、前記劣化指標と、波数または波長ごとの吸光度の変化を示す吸光度スペクトルと、を取得し、
(b)取得した前記劣化指標と、取得した前記吸光度スペクトルと、の相関係数を前記複数の絶縁油試料ごとに算出し、
(c)取得した前記吸光度スペクトルにおいて、前記相関係数が閾値を超えた前記波数または前記波長における前記吸光度を説明変数として複数選定し、
(d)前記劣化指標を目標変数として、複数の前記説明変数を用いてPLS回帰を行って、前記絶縁油の劣化指標を推定可能な推定式を生成し、
(e)生成した前記推定式を用いて前記劣化指標が未知の前記絶縁油の劣化指標を推定する
絶縁油の劣化指標推定方法。
続きを表示(約 3,900 文字)【請求項2】
前記ステップ(a)は、前記吸光度スペクトルを二次微分処理した二次微分スペクトルを算出し、該二次微分スペクトルを前記吸光度スペクトルとして取得するステップである
請求項1に記載の絶縁油の劣化指標推定方法。
【請求項3】
前記ステップ(c)は、前記閾値を変化させたときの、前記複数の絶縁油試料について取得した前記劣化指標である劣化指標実測値と,前記推定式を用いて推定した前記複数の絶縁油試料の前記劣化指標である劣化指標推定値と,の相関係数である回帰決定係数の変化を求めると共に、前記説明変数の数を変化させたときの、前記回帰決定係数の変化を求め、前記説明変数の数が所定数以下において最大値を示す前記回帰決定係数である最大回帰決定係数を選定すると共に該最大回帰決定係数に対応する前記閾値を、前記説明変数を選定するための前記閾値として用いるステップを含んでいる
請求項1または2に記載の絶縁油の劣化指標推定方法。
【請求項4】
前記ステップ(a)は、絶縁油試料として、設備の冷却および/または絶縁を目的として実際に前記設備で使用された絶縁油から採取した採取油、および、前記設備での使用による劣化を模して人工的に生成された模擬劣化油を用いて、前記採取油および前記模擬劣化油それぞれの前記劣化指標および前記吸光度スペクトルを取得するステップであり、
前記ステップ(b)は、前記採取油の前記劣化指標と前記採取油の前記吸光度スペクトルとの前記相関係数である第1相関係数を算出すると共に、前記模擬劣化油の前記劣化指標と前記模擬劣化油の前記吸光度スペクトルとの前記相関係数である第2相関係数を算出するステップであり、
前記ステップ(c)は、前記第1相関係数が第1閾値を超えた前記波数または前記波長における前記吸光度を第1説明変数として複数選定すると共に、前記第2相関係数が第2閾値を超えた前記波数または前記波長における前記吸光度を第2説明変数として複数選定し、第1説明変数と第2説明変数との間で共通する前記波数または前記波長における前記吸光度を前記説明変数として選定するステップである
請求項1または2に記載の絶縁油の劣化指標推定方法。
【請求項5】
前記ステップ(c)は、前記第1閾値を変化させたときの,前記採取油について取得した前記劣化指標である採取油劣化指標実測値と,前記推定式を用いて推定した前記採取油の前記劣化指標である採取油劣化指標推定値と,の相関係数である採取油回帰決定係数の変化を求めると共に,前記第1説明変数の数を変化させたときの,前記採取油回帰決定係数の変化を求め,前記第1説明変数の数が第1所定数以下において最大値を示す前記採取油回帰決定係数である採取油最大回帰決定係数を選定すると共に該採取油最大回帰決定係数に対応する前記第1閾値を,前記第1説明変数を選定するための前記第1閾値として用いるステップと、前記第2閾値を変化させたときの,前記模擬劣化油について取得した前記劣化指標である模擬劣化油劣化指標実測値と,前記推定式を用いて推定した前記模擬劣化油の前記劣化指標である模擬劣化油劣化指標推定値と,の相関係数である模擬劣化油回帰決定係数の変化を求めると共に,前記第2説明変数の数を変化させたときの、前記模擬劣化油回帰決定係数の変化を求め,前記第2説明変数の数が第2所定数以下において最大値を示す前記模擬劣化油回帰決定係数である模擬劣化油最大回帰決定係数を選定すると共に該模擬劣化油最大回帰決定係数に対応する前記第2閾値を,前記第2説明変数を選定するための前記第2閾値として用いるステップと、を含んでいる
請求項4に記載の絶縁油の劣化指標推定方法。
【請求項6】
前記ステップ(a)は、前記模擬劣化油として、前記設備での使用状態を模した環境下で新品の前記絶縁油を加熱することで人工的に前記絶縁油を劣化させた熱加速劣化油と、新品の前記絶縁油に前記劣化指標を示す成分を添加した劣化指標成分添加油と、を用いて、前記熱加速劣化油および前記劣化指標成分添加油それぞれの前記劣化指標および前記吸光度スペクトルを取得するステップであり、
前記ステップ(b)は、前記第2相関係数に代えて、前記熱加速劣化油の前記劣化指標と前記熱加速劣化油の前記吸光度スペクトルとの相関係数である第3相関係数、および、前記劣化指標成分添加油の前記劣化指標と前記劣化指標成分添加油の前記吸光度スペクトルの相関係数である第4相関係数をそれぞれ算出するステップであり、
前記ステップ(c)は、前記第2説明変数に代えて、前記第3相関係数が第3閾値を超えた前記波数または前記波長における前記吸光度を第3説明変数として複数選定すると共に、前記第4相関係数が第4閾値を超えた前記波数または前記波長における前記吸光度を第4説明変数として複数選定し、前記第1説明変数と前記第3説明変数と前記第4説明変数との間で共通する前記波数または前記波長における前記吸光度を前記説明変数として選定するステップである
請求項4に記載の絶縁油の劣化指標推定方法。
【請求項7】
前記ステップ(a)は、前記模擬劣化油として、前記設備での使用状態を模した環境下で新品の前記絶縁油を加熱することで人工的に前記絶縁油を劣化させた熱加速劣化油と、新品の前記絶縁油に前記劣化指標を示す成分を添加した劣化指標成分添加油と、を用いて、前記熱加速劣化油および前記劣化指標成分添加油それぞれの前記劣化指標および前記吸光度スペクトルを取得するステップであり、
前記ステップ(b)は、前記第2相関係数に代えて、前記熱加速劣化油の前記劣化指標と前記熱加速劣化油の前記吸光度スペクトルとの相関係数である第3相関係数、および、前記劣化指標成分添加油の前記劣化指標と前記劣化指標成分添加油の前記吸光度スペクトルの相関係数である第4相関係数をそれぞれ算出するステップであり、
前記ステップ(c)は、前記第2説明変数に代えて、前記第3相関係数が第3閾値を超えた前記波数または前記波長における前記吸光度を第3説明変数として複数選定すると共に、前記第4相関係数が第4閾値を超えた前記波数または前記波長における前記吸光度を第4説明変数として複数選定し、前記第1説明変数と前記第3説明変数と前記第4説明変数との間で共通する前記波数または前記波長における前記吸光度を前記説明変数として選定するステップである
請求項5に記載の絶縁油の劣化指標推定方法。
【請求項8】
前記ステップ(c)は、前記第3閾値を変化させたときの,前記熱加速劣化油について取得した前記劣化指標である熱加速劣化油劣化指標実測値と,前記推定式を用いて推定した前記熱加速劣化油の前記劣化指標である熱加速劣化油劣化指標推定値と,の相関係数である熱加速劣化油回帰決定係数の変化を求めると共に、前記第3説明変数の数を変化させたときの,前記熱加速劣化油回帰決定係数の変化を求め,前記第3説明変数の数が第3所定数以下において最大値を示す前記熱加速劣化油回帰決定係数である熱加速劣化油最大回帰決定係数を選定すると共に該熱加速劣化油最大回帰決定係数に対応する前記第3閾値を,前記第3説明変数を選定するための前記第3閾値として用いるステップと、前記第4閾値を変化させたときの,前記劣化指標成分添加油について取得した前記劣化指標である劣化指標成分添加油劣化指標実測値と,前記推定式を用いて推定した前記劣化指標成分添加油の前記劣化指標である劣化指標成分添加油劣化指標推定値と,の相関係数である劣化指標成分添加油回帰決定係数の変化を求めると共に,前記第4説明変数の数を変化させたときの,前記劣化指標成分添加油回帰決定係数の変化を求め,前記第4説明変数の数が第4所定数以下において最大値を示す前記劣化指標成分添加油回帰決定係数である劣化指標成分添加油最大回帰決定係数を選定すると共に該劣化指標成分添加油最大回帰決定係数に対応する前記第4閾値を,前記第4説明変数を選定するための前記第4閾値として用いるステップと、を含んでいる
請求項7に記載の絶縁油の劣化指標推定方法。
【請求項9】
前記劣化指標は、フルフラール含有量であり、
前記ステップ(a)は、赤外分光法を用いて前記吸光度スペクトルを取得するステップであり、
前記ステップ(c)は、前記波数が2800cm
-1
ないし2900cm
-1
、および/または、1650cm
-1
ないし1750cm
-1
における前記吸光度を前記説明変数として複数選定するステップである
請求項1または2に記載の絶縁油の劣化指標推定方法。
【請求項10】
前記ステップ(c)は、前記波数が2800cm
-1
ないし2840cm
-1
、および/または、1700cm
-1
ないし1740cm
-1
における前記吸光度を前記説明変数として複数選定するステップである
請求項9に記載の絶縁油の劣化指標推定方法。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、絶縁油の劣化度合いを示す指標である劣化指標を推定する絶縁油の劣化指標推定方法および劣化指標推定プログラムに関する。
続きを表示(約 1,700 文字)【背景技術】
【0002】
特開2000-105231号公報(特許文献1)には、複数の性状および性能が既知の熱媒体油の近赤外スペクトルを測定し、多変量解析して性状および性能と,近赤外スペクトルと,の相関をとり、次いで、未知熱媒体油の近赤外スペクトルを測定し、この測定結果から未知熱媒体油の性能や寿命等を推定する未知熱媒体油の管理方法が記載されている。
【0003】
当該未知熱媒体油の管理方法は、近赤外スペクトルの測定によって管理対象である熱媒体油の物性や性能等を容易に推定することができるため、物性や性能等の複雑な測定をしなくても熱媒体油の物性や性能等を推定し、これをもとに劣化度を評価することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
特開2000-105231号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した公報に記載の未知熱媒体油の管理方法は、測定した熱媒体油の近赤外スペクトルのうちの、いずれの波長における吸光度を多変量解析に用いるのかについては言及がなされておらず、熱媒体油の劣化度を示す物性や性能と関係のない波長の吸光度が多変量解析に含まれた場合には、当該劣化度を示す物性や性能と関係のない波長の吸光度が劣化度を推定する際にノイズとなって、熱媒体油の劣化度の推定精度が低下する場合がある。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、絶縁油の劣化度の推定精度の向上に資する技術を提供することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る絶縁油の劣化指標推定方法の好ましい形態によれば、絶縁油の劣化度合いを示す指標である劣化指標を推定する絶縁油の劣化指標推定方法が構成される。当該絶縁油の劣化指標推定方法は、(a)複数の絶縁油試料について、前記劣化指標と、波数または波長ごとの吸光度の変化を示す吸光度スペクトルと、を取得し、(b)取得した前記劣化指標と、取得した前記吸光度スペクトルと、の相関係数を前記複数の絶縁油試料ごとに算出し、(c)取得した前記吸光度スペクトルにおいて、前記相関係数が閾値を超えた前記波数または前記波長における前記吸光度を説明変数として複数選定し、(d)前記劣化指標を目標変数として、複数の前記説明変数を用いてPLS回帰を行って、前記絶縁油の劣化指標を推定可能な推定式を生成し、(e)生成した前記推定式を用いて前記劣化指標が未知の前記絶縁油の劣化指標を推定する。
【0008】
本発明によれば、複数の絶縁油試料について取得した劣化指標および吸光度スペクトルの相関係数を算出して、当該相関係数が閾値を超えた波数または波長における吸光度を説明変数として用いる構成、即ち、劣化度を示す物性や性能と密接に関係のある波数または波長における吸光度を説明変数として用いる構成であるため、劣化度を推定する際にノイズとなる波数帯または波長帯における吸光度が説明変数に含まれることがない。これにより、絶縁油の劣化度の推定精度の向上を図ることができる。ここで、本発明における「相関係数が閾値を超えた」とは、相関係数が正の値の場合には、相関係数が閾値よりも大きくなる態様として規定され、相関係数が負の値の場合には、相関係数が閾値よりも小さくなる態様として規定される。
【0009】
本発明に係る絶縁油の劣化度合い推定方法の更なる形態によれば、ステップ(a)は、吸光度スペクトルを二次微分処理した二次微分スペクトルを算出し、当該二次微分スペクトルを吸光度スペクトルとして取得するステップである。
【0010】
本形態によれば、取得した吸光度スペクトルにおける吸光度のピークを分離して当該吸光度のピークの大小を判別し易くすることができる。また、取得した吸光度スペクトルにおける吸光度のベースラインの補正を行うことができるため、PLS回帰によって推定式を構築するための主成分(ファクター)の数を減らすことができる。
(【0011】以降は省略されています)

特許ウォッチbot のツイートを見る
この特許をJ-PlatPatで参照する
Flag Counter

関連特許

個人
集束超音波の測定機
21日前
個人
センサ制御回路
21日前
甲神電機株式会社
電流センサ
14日前
甲神電機株式会社
漏電検出器
14日前
甲神電機株式会社
電流検出器
14日前
株式会社大真空
センサ
25日前
株式会社大真空
センサ
9日前
東レ株式会社
液体展開用シート
1日前
株式会社高橋型精
採尿具
15日前
ユニパルス株式会社
ロードセル
8日前
ダイトロン株式会社
外観検査装置
21日前
株式会社トプコン
測量装置
14日前
アズビル株式会社
漏液センサ
25日前
株式会社諸岡
自動運転作業機
25日前
学校法人東京電機大学
干渉計
22日前
アズビル株式会社
熱式流量計
15日前
キヤノン電子株式会社
サーボ加速度計
1日前
株式会社クボタ
作業車両
今日
キヤノン電子株式会社
サーボ加速度計
1日前
キヤノン電子株式会社
サーボ加速度計
1日前
株式会社ミトミ技研
圧力測定装置
21日前
日本特殊陶業株式会社
ガスセンサ
15日前
豊田合成株式会社
表示装置
14日前
TDK株式会社
磁気センサ
21日前
シャープ株式会社
収納装置
15日前
トヨタ自動車株式会社
画像検査装置
9日前
個人
電気計器用結線器
25日前
株式会社JVCケンウッド
撮像装置
22日前
エスペック株式会社
試験装置
22日前
アズビル株式会社
真空計測システム
25日前
理研計器株式会社
ガス検知器
25日前
アズビル株式会社
ヒータ温度推定装置
22日前
株式会社東京久栄
水中移動体用採水器
15日前
株式会社島津製作所
ガスクロマトグラフ
21日前
株式会社エー・アンド・デイ
金属検出機
25日前
TDK株式会社
温度センサ
15日前
続きを見る