発明の詳細な説明【技術分野】 【0001】 この発明は、Parity-Time対称性(以下、「PT対称性」と呼ぶ)を利用したワイヤレス給電システムに関するものである。 続きを表示(約 2,600 文字)【背景技術】 【0002】 従来より、非接触でのワイヤレス給電技術については、電磁誘導方式のものや、磁界共鳴方式のものなど、既に知られている技術がいくつか存在する。このうち、電磁誘導方式のワイヤレス給電技術は、例えば、携帯電話の充電などに用いられているものであり、コイルが上下に配置されており、すなわち、電気のトランスそのもので、給電コイルと受電コイルがピッタリくっついていると電気が流れる、というものである。 【0003】 しかし、電磁誘導方式のワイヤレス給電技術は、給電コイルと受電コイルの距離を大きくとることができず、また、給電コイルと受電コイルの位置がほんの少しでもずれたり離れたりしてしまうと充電も給電もできないため、人工心臓などの人体の内部に取り付けられた人工機器に適用することは難しい、という問題や、ロボットアームのように多方向への回転や軸ずれがある装置に適用することは難しい、という問題があった。 【0004】 また、磁界共鳴方式のワイヤレス給電技術は、2006年~2007年頃にアメリカの大学で開発されたものであり、電磁誘導方式に比べれば給電コイルと受電コイルの距離を大きくとることができるので実用化には近いレベルになってきている。しかし、給電コイルと受電コイルの距離を一定にしておかないと送ることができず、その距離より近づいても遠ざかっても、また、角度がついてしまっても送ることができないという敏感さがあるため、これについても人工心臓などの人体の内部に取り付けられた人工機器や、ロボットアームのように多方向への回転や軸ずれがある装置に適用することは難しい、という問題があった。 【0005】 このような問題を解決するために、例えば特許文献1には、磁界共鳴方式のワイヤレス給電技術において、給電コイルと受電コイルとの位置関係の調整や、角度の調整を行う機能を有する制御装置を備えるようにして、人工心臓などに安定的な電力を供給するようにした磁界共鳴方式による非接触給電システムが開示されている。 【0006】 また、例えば特許文献2には、ロボットに用いられる非接触給電式回転モジュールにおいて、第1アームと第2アームとを有する多関節ロボットにおいて、アームの取り付けや追加等の作業を容易にできるように、非接触給電部分を2箇所設け、回転や曲げを実現させる技術が開示されている。 【先行技術文献】 【特許文献】 【0007】 国際公開第2018/150678号 特開2020-106985号公報 特開2022-121324号公報 【非特許文献】 【0008】 Sid Assawaworrarit, Xiaofang Yu & Shanhui Fan,“Robust wireless power transfer using a nonlinear parity-time-symmetric circuit”, Nature, 15 JUNE 2017, volume 546, p.387-390 Xianglin Hao, Ke Yin, Jianlong Zou, Ruibin Wang, Yuangen Huang, Xikui Ma & Tianyu Dong, “Frequency-Stable Robust Wireless Power Transfer Based on High-Order Pseudo-Hermitian Physics”, Phys. Rev. Lett. 2023, 130, 077202 J. Zhou, B. Zhang, W. Xiao, D. Qiu, and Y. Chen,“Nonlinear parity-time-symmetric model for constant efficiency wireless power transfer: application to a drone-in-flight wireless charging platform”, IEEE Trans. Ind. Electron., Aug. 2019, vol.66, no.5, pp.4097-4107 H. Ishida, T. Kyoden, and H. Furukawa,“Application of parity-time symmetry to low-frequency wireless power transfer system”, IEEJ J. Ind. Appl., 2022, vol.11, no.1, pp.59-68 高橋 勲、堀 和宇、「パッシブ素子を用いたダイオード整流回路の入力電流波形改善」、電気学会論文誌D、1997、117(1)、pp.13-18 【発明の概要】 【発明が解決しようとする課題】 【0009】 しかしながら、例えば特許文献1等に示すような磁界共鳴方式による非接触給電システムでは、給電コイルと受電コイルの距離が一定になるように調整したり、角度が一定になるように調整したりする機能を備える必要があるため、送電側機器が大がかりになってしまったり、コイル間の位置関係や角度の調整といった高度な制御を常に行い続ける必要があるため、送電側機器の制御部に負荷がかかってしまう、という課題があった。また、電池交換時には、その高度な制御機能が止まってしまう、という課題もあった。 【0010】 また、例えば特許文献2等に示すようなロボットアームに対する非接触給電システムでは、回転する対象に対して給電または受電を行う際に、給電対象の回転に伴って給電コイルも連動して回転する場合には、ある回転角で電力が供給できないという課題があった。また、1つのアームで先端部分がどのような方向にも曲がり、かつ、360度どの方向にも回転できる、ということはできないので、360度どの方向にも回転させたい場合には、多関節で複雑な構造になってしまう、という課題もあった。 (【0011】以降は省略されています) この特許をJ-PlatPatで参照する