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公開番号2025001863
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-01-09
出願番号2023101590
出願日2023-06-21
発明の名称無線受信装置、無線受信装置が実行する方法及びプログラム
出願人日本電気株式会社,国立大学法人大阪大学,学校法人同志社
代理人個人
主分類H04B 7/0413 20170101AFI20241226BHJP(電気通信技術)
要約【課題】演算量が抑制された状態でマルチユーザ検出を精度良く行うことに寄与する装置、方法、及びプログラムを提供する。
【解決手段】無線受信装置は、1または複数の無線送信装置の送信アンテナと無線受信装置に結合された受信アンテナとの間で定義されるチャネル行列を、左特異行列U、特異値行列Σ、および右特異行列Vに特異値分解し、特異値行列Σと任意の対角行列Aとを用いることで対角行列Σ’を生成し、左特異行列Uを用いることで受信アンテナの各々の受信信号に対して受信ビームフォーミングがなされた受信信号ベクトルy’と、右特異行列V及び対角行列Σ’を用いて生成された線形フィルタWと、を用いることでレプリカベクトルx^を生成し、受信信号ベクトルy’とレプリカベクトルx^とを用いることで非線形信号検出アルゴリズムを実行する。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
無線受信装置であって、
1または複数の無線送信装置のM個の送信アンテナと前記無線受信装置に結合されたN個の受信アンテナとの間で定義されるN×Mのチャネル行列を、N×Mの左特異行列U、M次対角行列である特異値行列Σ、およびM×Mの右特異行列Vに特異値分解するよう構成された特異値分解器と、
前記特異値行列Σと任意の対角行列Aとを用いることで対角行列Σ’を生成するよう構成された対角行列補正器と、
前記左特異行列Uを用いることで前記受信アンテナの各々の受信信号に対して受信ビームフォーミングがなされた受信信号ベクトルy’と、前記右特異行列V及び前記対角行列Σ’を用いて生成された線形フィルタWと、を用いることでレプリカベクトルx^を生成するよう構成されたレプリカ生成器と、
前記受信信号ベクトルy’と前記レプリカベクトルx^とを用いることで非線形信号検出アルゴリズムを実行するよう構成された非線形検出器と、を備える、
無線受信装置。
続きを表示(約 1,700 文字)【請求項2】
前記対角行列補正器は、前記特異値行列Σの逆行列に対して正の実数αを乗算することで前記対角行列Aを生成し、生成した前記対角行列Aを前記特異値行列Σに加算することで前記対角行列Σ’を生成する、
請求項1に記載の無線受信装置。
【請求項3】
前記対角行列補正器は、1個の前記受信アンテナ当たりの雑音電力と1個の前記送信アンテナ当たりの送信電力との比を前記正の実数αと設定して、前記対角行列Σ’を生成する、
請求項2に記載の無線受信装置。
【請求項4】
前記レプリカ生成器は、前記線形フィルタWと前記受信信号ベクトルy’との積を条件とする条件付き確率を用いて求められた変調シンボルの条件付き期待値を算出することで、前記レプリカベクトルx^を生成する、
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の無線受信装置。
【請求項5】
前記右特異行列Vと前記対角行列Σ’との積を算出することで前記線形フィルタWを生成する線形フィルタ生成器と、をさらに備える、
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の無線受信装置。
【請求項6】
前記非線形検出器は、前記非線形信号検出アルゴリズムとして、並列干渉除去アルゴリズム、最尤検出アルゴリズム、信念伝搬法アルゴリズムのうちのいずれかを実行する、
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の無線受信装置。
【請求項7】
前記非線形検出器は、前記非線形信号検出アルゴリズムとして、ガウス信念伝搬法、一般化近似メッセージ伝搬法、期待値伝搬法、ベクトル近似メッセージ伝搬法のうちのいずれかを前記信念伝搬法アルゴリズムとして実行する、
請求項6に記載の無線受信装置。
【請求項8】
前記非線形検出器は、前記受信信号ベクトルy’に対して、前記特異値行列Σ、前記右特異行列V及び前記レプリカベクトルx^を用いて前記非線形信号検出アルゴリズムを実行する、
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の無線受信装置。
【請求項9】
無線受信装置が実行する方法であって、
1または複数の無線送信装置のM個の送信アンテナと前記無線受信装置に結合されたN個の受信アンテナとの間で定義されるN×Mのチャネル行列を、N×Mの左特異行列U、M次対角行列である特異値行列Σ、およびM×Mの右特異行列Vに特異値分解し、
前記特異値行列Σと任意の対角行列Aとを用いることで対角行列Σ’を生成し、
前記左特異行列Uを用いることで前記受信アンテナの各々の受信信号に対して受信ビームフォーミングがなされた受信信号ベクトルy’と、前記右特異行列V及び前記対角行列Σ’を用いて生成された線形フィルタWと、を用いることでレプリカベクトルx^を生成し、
前記受信信号ベクトルy’と前記レプリカベクトルx^とを用いることで非線形信号検出アルゴリズムを実行することを備える、
方法。
【請求項10】
無線受信装置のための方法をコンピュータに行わせるプログラムであって、前記方法は、
1または複数の無線送信装置のM個の送信アンテナと前記無線受信装置に結合されたN個の受信アンテナとの間で定義されるN×Mのチャネル行列を、N×Mの左特異行列U、M次対角行列である特異値行列Σ、およびM×Mの右特異行列Vに特異値分解し、
前記特異値行列Σと任意の対角行列Aとを用いることで対角行列Σ’を生成し、
前記左特異行列Uを用いることで前記受信アンテナの各々の受信信号に対して受信ビームフォーミングがなされた受信信号ベクトルy’と、前記右特異行列V及び前記対角行列Σ’を用いて生成された線形フィルタWと、を用いることでレプリカベクトルx^を生成し、
前記受信信号ベクトルy’と前記レプリカベクトルx^とを用いることで非線形信号検出アルゴリズムを実行することを備える、
プログラム。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本開示は無線受信装置、無線受信装置が実行する方法及びプログラムに関する。
続きを表示(約 4,200 文字)【背景技術】
【0002】
大容量通信を実現させる手法として、多数のアンテナを有する基地局を用いて複数のユーザとの無線通信を行う大規模マルチユーザMulti-Input Multi-Output (MIMO) が知られている。大規模マルチユーザMIMOは、massive MIMOとも呼ばれる。大規模マルチユーザMIMOは、例えば、第5世代移動通信 (5G) システム等のマルチプルアクセス・セルラーシステムの上り回線(アップリンク)に使用されることができる。大規模マルチユーザMIMOの受信機は、受信した信号からマルチユーザ信号 (signals) を分離するためにマルチユーザ検出を行う必要がある。5Gの基地局は、主にデジタルベースバンド信号処理を担うDistributed Unit (DU) 及びCentral Unit (CU) と、主に無線信号の送受信のためのRadio Frequency (RF) 信号処理を担うRadio Unit (RU) とから構成される。一般的に、マルチユーザ検出はDUで実行される。このとき、RUにて受信された受信信号は、RUとDUを接続するフロントホールを介してDUへ伝送される必要がある。しかしながら、大規模マルチユーザMIMOでは、無線信号が多数のアンテナによって受信されるため、フロントホールを介して伝送する受信信号数が多く、RUとDUを接続するフロントホール帯域が広帯域であることが必要となる。
【0003】
知られたマルチユーザ検出アルゴリズムに、QR-decomposed Gaussian Belief Propagation (QR-GA-BP) アルゴリズムがある(非特許文献1を参照)。QR-GA-BPアルゴリズムは、1または複数の無線送信装置のM個の送信アンテナと、無線受信装置のN個の受信アンテナとの間で定義されるN×M(i.e., N行M列)のチャネル行列を、QR分解を用いて、各列が直交するN×Mの行列QとM次上三角行列とに分解する。QR-GA-BPアルゴリズムは、生成された行列Qのエルミート共役とN×1の各アンテナの受信信号からなる受信信号ベクトルとの行列積を計算することで受信ビームフォーミングを行う。そして、QR-GA-BPアルゴリズムは、受信ビームフォーミング後の受信信号に対してGaBP(Gaussian Belief Propagation:ガウス信念伝搬(伝播)法又はガウス確率伝搬(伝播)法)アルゴリズムを適用して、送信信号を検出する。QR-GA-BPアルゴリズムは、受信ビームフォーミング後のチャネル行列が上三角行列となることを利用して、含まれる送信信号成分が少ない受信信号から順番に干渉除去とビリーフ(belief)生成を行う。QR-GA-BPアルゴリズムは、初めのステップにて、1つの送信信号成分のみが含まれる受信信号に対してGaBPアルゴリズムを用いてビリーフおよびレプリカを生成する。QR-GA-BPアルゴリズムは、以降のm回目のステップでは、(m-1) 回目のステップで用いた (m-1) 個の受信信号と、m個の送信信号成分を持つ受信信号と、(m-1) 回目のステップで生成したビリーフおよびレプリカとを用いて、GaBPアルゴリズムを適用して干渉除去、ビリーフ生成およびレプリカ生成を行う。上三角行列の性質上、第m受信信号は第1~m送信信号成分のみを含むため、mが小さい場合には中心極限定理によるスカラーガウス近似の精度が劣化する。したがって、QR-GA-BPアルゴリズムがすべての受信信号に対して同時にビリーフ生成を行うと、精度よくビリーフが生成されない。そこで、QR-GA-BPアルゴリズムが干渉のない第1受信信号から順番に検出を行うことで、精度よく生成された第1~第 (m-1) 送信信号成分を用いて、第m送信信号成分に対して干渉キャンセルが行われる。このため、第m送信信号成分に対するビリーフおよびレプリカが精度よく生成される。全ての受信信号に対して上記のステップを完了することを1セットとした場合に、QR-GA-BPアルゴリズムは、複数セットを繰り返すことで徐々に検出精度を改善する。また、受信ビームフォーミングを用いることで、フロントホールを介してRUからDUへ伝送される受信信号数が削減されるため、フロントホール帯域が削減される。
【0004】
他の知られたマルチユーザ検出に、K-neighborhood search for zero forcing solution (K-NSF ZF) がある(非特許文献2を参照)。K-NSF ZFは、探索型のアルゴリズムであり、チャネル行列の擬似逆行列であるZFフィルタを用いてレプリカを生成し、生成したレプリカを信号探索の初期値とする。K-NSF ZFは、探索の初期値となるベクトル要素のうちK以下のベクトル要素が変化した候補ベクトルのうち、チャネル行列と候補ベクトルの積と受信信号との二乗誤差が最も小さい候補ベクトルを探索する。ランダムな初期値から処理を始める場合にはK-NSF ZFが最適な信号を探索するために、Kを非常に大きな値に設定する必要がある。そのため、特に送信アンテナ数が大きい場合に探索に膨大な演算量が必要となる。一方で、K-NSF ZFは、ZFを用いて初期値を生成することにより、最適な候補ベクトルの近傍から探索を始められるため、探索に必要な演算量を削減できる。
【0005】
他の知られたマルチユーザ検出に、特異値分解を用いた受信ビームフォーミングと、ZFによるレプリカ生成と、GaBPによる信号検出とを備えた手法がある(特許文献1を参照)。特許文献1に記載の手法は、非特許文献1に記載のQR-GA-BPアルゴリズムおよび非特許文献2に記載のK-NSF ZFの両方の特徴を有する。非特許文献1に記載のQR-GA-BPアルゴリズムは、受信ビームフォーミングを用いてフロントホール帯域を削減できる一方で、マルチユーザ検出に多くの繰り返しが必要になるため、実行時間が長くなる課題がある。非特許文献2に記載のK-NSF ZFは、線形フィルタを用いて生成したレプリカにより演算量を削減できる一方で、受信アンテナで受信した信号がそのままRUからDUへ伝送されるため、広いフロントホール帯域が必要となる。しかしながら、特許文献1に記載のGaBPアルゴリズムは、ソフト干渉除去、ビリーフ生成、ソフトレプリカ生成を繰り返すことで高精度に送信信号を検出することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
特開2023-037446号公報
【非特許文献】
【0007】
S. Tanabe, A. D. Shigyo, and K. Ishibashi, “Not-so-large MIMO signal detection based on damped QR-decomposed belief propagation,” 2016 International Symposium on Information Theory and Its Applications (ISITA), pp. 463-467, 2016.
M. Chaudhary, N. K. Meena, and R. S. Kshetrimayum, “Local search based near optimal low complexity detection for large MIMO system,” 2016 IEEE International Conference on Advanced Networks and Telecommunications Systems (ANTS), pp. 1-5, 2016.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1に記載の方法では、ZFにより雑音強調が発生するため、Minimum Mean Square Error (MMSE) によりレプリカを生成した場合と比較してマルチユーザ検出の精度が低くなることが想定される。一方で、検出精度を向上するためにMMSEを用いてレプリカを生成する場合には、特許文献1に記載の方法を用いることができない。したがって、MMSEフィルタの生成に逆行列演算が必要となるため、演算量が増加することが想定される。
【0009】
本開示の実施形態が達成しようとする目的の1つは、演算量が抑制された状態でマルチユーザ検出を精度良く行うことに寄与する装置、方法、及びプログラムを提供することである。なお、この目的は、ここに開示される複数の実施形態が達成しようとする複数の目的の1つに過ぎないことに留意されるべきである。その他の目的又は課題と新規な特徴は、本明細書の記述又は添付図面から明らかにされる。
【課題を解決するための手段】
【0010】
第1の態様では、無線受信装置は、特異値分解器と、対角行列補正器と、レプリカ生成器と、非線形検出器を備える。前記特異値分解器は、1または複数の無線送信装置のM個の送信アンテナと前記無線受信装置に結合されたN個の受信アンテナとの間で定義されるN×Mのチャネル行列を、N×Mの左特異行列U、M次対角行列である特異値行列Σ、およびM×Mの右特異行列Vに特異値分解するよう構成される。前記対角行列補正器は、前記特異値行列Σと任意の対角行列Aとを用いることで対角行列Σ’を生成するよう構成される。前記レプリカ生成器は、前記左特異行列Uを用いることで前記受信アンテナの各々の受信信号に対して受信ビームフォーミングがなされた受信信号ベクトルy’と、前記右特異行列V及び前記対角行列Σ’を用いて生成された線形フィルタWと、を用いることでレプリカベクトルx^を生成するよう構成される。前記非線形検出器は、前記受信信号ベクトルy’と前記レプリカベクトルx^とを用いることで非線形信号検出アルゴリズムを実行するよう構成される。
(【0011】以降は省略されています)

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