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公開番号2024175770
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-12-19
出願番号2023093759
出願日2023-06-07
発明の名称膜小胞産生菌を検出するための方法及びキット
出願人国立大学法人静岡大学,国立大学法人東北大学
代理人個人,個人,個人
主分類C12Q 1/04 20060101AFI20241212BHJP(生化学;ビール;酒精;ぶどう酒;酢;微生物学;酵素学;突然変異または遺伝子工学)
要約【課題】膜小胞産生菌を検出するための方法を提供すること。
【解決手段】膜小胞産生菌を検出する方法であって、膜小胞産生菌に、高曲率の脂質二重膜を選択的に標識する蛍光プローブを接触させる工程、及び前記蛍光プローブで標識された前記膜小胞産生菌の蛍光を測定する工程を含む方法。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
膜小胞産生菌を検出する方法であって、
膜小胞産生菌に、高曲率の脂質二重膜を選択的に標識する蛍光プローブを接触させる工程、及び
前記蛍光プローブで標識された前記膜小胞産生菌の蛍光を測定する工程
を含む方法。
続きを表示(約 830 文字)【請求項2】
前記蛍光プローブが、下記式(I):
X-Y ・・・(I)
で表され、式(I)中、
Xは、蛍光性基を表し、
Yは、アミノ酸残基数が5以上130以下の両親媒性ペプチドを表す、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記アミノ酸残基数が5以上130以下の両親媒性ペプチドが、配列番号1~6に示されるペプチドからなる群から選択されるペプチドである、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記蛍光プローブが、下記構造式:
JPEG
2024175770000004.jpg
28
149
で表される化合物である、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記方法が、膜小胞産生菌を分取する方法であり、
前記蛍光を測定する工程の後に、前記蛍光を測定する工程で得られた蛍光強度が所定の値より大きい膜小胞産生菌を分取する工程
をさらに含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記蛍光を測定する工程及び前記膜小胞産生菌を分取する工程が、フローサイトメーターを用いて行われる、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
膜小胞産生菌を検出するためのキットであって、
高曲率の脂質二重膜を選択的に標識する蛍光プローブ、及び
膜小胞産生菌に前記蛍光プローブを接触させ、前記蛍光プローブで標識された前記膜小胞産生菌の蛍光を測定する旨が記載された添付文書
を含む、キット。
【請求項8】
膜小胞産生菌を分取するためのキットであって、
高曲率の脂質二重膜を選択的に標識する蛍光プローブ、及び
前記蛍光プローブと接触させた場合の蛍光強度が所定の値より大きい膜小胞産生菌を分取する旨が記載された添付文書
を含む、キット。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本開示は、膜小胞産生菌を検出するための方法及びキットに関する。
続きを表示(約 4,300 文字)【背景技術】
【0002】
細菌が細胞外に産生する「膜小胞」(Membrane vesicle)は、直径20-400nmの生体微粒子である。グラム陰性細菌、グラム陽性細菌、アーキアなど様々な原核生物が細胞外に膜小胞を放出することが知られている(非特許文献1)。例えばグラム陰性細菌が放出する膜小胞(Outer membrane vesicle)には、DNA、RNA、リポ多糖、タンパク質及びリン脂質など細菌由来の様々な物質が含まれている。細菌の膜小胞は、由来細菌の免疫活性化物質を宿主細胞に送達し、免疫反応を活性化する機能を有している。また、細菌の膜小胞は、微生物間の情報伝達物質の媒体としても機能している。
【0003】
近年、膜小胞は、生物工学的な応用の可能性が注目されている。例えば、細菌由来の膜小胞の、ワクチン若しくはドラグデリバリーシステムの媒体としての医療応用(非特許文献2)、細胞間シグナル伝達による細菌の病原性に関わる遺伝子の発現制御(非特許文献3)及びバイオフィルムの形成制御(非特許文献4)など、幅広い応用を志向した研究が盛んに行われている。
【0004】
本発明者らは、高曲率の脂質二重膜を選択的に標識する蛍光プローブを開発した(非特許文献5)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
Brooke L Deatherage and Brad TCookson, "Membrane vesicle release in bacteria, eukaryotes, and archaea: aconserved yet underappreciated aspect of microbial life", Infect Immun. 80(6):1948-57(2012).
Qiong Long et al., "Engineeredbacterial membrane vesicles are promising carriers for vaccine design and tumorimmunotherapy", Adv. Drug Deliv. Rev. 186:114321 (2022).
Lauren M. Mashburn and MarvinWhiteley, "Membrane vesicles traffic signals and facilitate groupactivities in a prokaryote", Nature 437, 422-425 (2005).
Jonathan P. Remis et al.,"Biofilms: structures that may facilitate cell-cell interactions", TheISME Journal 4, 1085-1087 (2010).
Yusuke Sato et al., "Amphipathichelical peptide-based fluorogenic probes for a marker-free analysis of exosomesbased on membrane-curvature sensing", RSC Adv. 10, 38323-38327 (2020).
Guillaume Drin and BrunoAntonny, "Amphipathic helices and membrane curvature", FEBS Letters584(9), 1840-1847 (2010).
Manuel Gimenez-Andres et al., "TheMany Faces of Amphipathic Helices", Biomolecules 8(3): 45(2018)
Jensen M. B. et al., "Membranecurvature sensing by amphipathic helices: a single liposome study using α-synucleinand annexin B12", The Journal of Biological Chemistry 286(49):42603-42614(2011).
Agnieszka Martyna et al., "Membraneremodeling by the M2 amphipathic helix drives influenza virus membrane scission",Scientific Reports 7, 44695 (2017).
Kenichi Kawano et al., "Developmentof a Membrane Curvature-Sensing Peptide Based on a Structure-ActivityCorrelation Study", Chem. Pharm. Bull. 67(10), 1131-1138 (2019).
Masafumi Tanaka et al.,"Effect of amino acid distribution of amphipathic helical peptide derivedfrom human apolipoprotein A-I on membrane curvature sensing", FEBS Letters587(5), 510-515 (2013).
Kotaro Takaki et al., "Multilamellarand Multivesicular Outer Membrane Vesicles Produced by a Buttiauxella agrestistolB Mutant", Appl. Environ. Microbiol. 86:e01131-20 (2020).
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
細菌由来の膜小胞を生物工学的に応用する上では、膜小胞の量産等のために、膜小胞産生菌を検出する技術が必要不可欠である。従来の膜小胞の形成量の評価は、単離した細菌を液体培地で培養し、その培養上清中の膜小胞をリン脂質またはリポ多糖やタンパク質等を指標に定量することによって行われてきた。しかし、細菌の膜小胞産生能にはヘテロ性があり、単離した細菌の膜小胞産生能は均一ではないため、従来の方法では細菌集団内の平均化された情報を得ることができるに過ぎず、個々の細菌の膜小胞産生能を検出できないという問題点があった。
【0007】
本開示は、膜小胞産生菌を検出するための方法及びキットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、膜小胞産生菌に、高曲率の脂質二重膜を選択的に標識する蛍光プローブを接触させると、膜小胞産生菌が蛍光プローブで標識されることを見出した。さらに、高曲率の脂質二重膜を選択的に標識する蛍光プローブで標識された膜小胞産生菌の蛍光を指標として、膜小胞産生菌の検出、及び膜小胞産生菌の分取が可能であることを見出し、本開示を完成させた。
【0009】
本開示は、例えば、以下に関する。
[1]膜小胞産生菌を検出する方法であって、
膜小胞産生菌に、高曲率の脂質二重膜を選択的に標識する蛍光プローブを接触させる工程、及び
上記蛍光プローブで標識された上記膜小胞産生菌の蛍光を測定する工程
を含む方法。
[1-1]膜小胞産生菌の膜小胞産生能を評価する方法であって、
膜小胞産生菌に、高曲率の脂質二重膜を選択的に標識する蛍光プローブを接触させる工程、及び
上記蛍光プローブで標識された上記膜小胞産生菌の蛍光を測定する工程
を含む方法。
[2]上記蛍光プローブが、下記式(I):
X-Y ・・・(I)
で表され、式(I)中、
Xは、蛍光性基を表し、
Yは、アミノ酸残基数が5以上130以下の両親媒性ペプチドを表す、
[1]又は[1-1]に記載の方法。
[3]上記アミノ酸残基数が5以上130以下の両親媒性ペプチドが、配列番号1~6に示されるペプチドからなる群から選択されるペプチドである、[2]に記載の方法。
[4]上記蛍光プローブが、下記構造式:
JPEG
2024175770000002.jpg
28
149
で表される化合物である、[1]又は[1-1]に記載の方法。
[5]上記方法が、膜小胞産生菌を分取する方法であり、
上記蛍光を測定する工程の後に、上記蛍光を測定する工程で得られた蛍光強度が所定の値より大きい膜小胞産生菌を分取する工程
をさらに含む、[1]又は[1-1]に記載の方法。
[6]上記蛍光を測定する工程及び上記膜小胞産生菌を分取する工程が、フローサイトメーターを用いて行われる、[5]に記載の方法。
[7][5]又は[6]に記載の方法で分取された、膜小胞産生菌の集団。
[8]膜小胞産生菌を検出するためのキットであって、
高曲率の脂質二重膜を選択的に標識する蛍光プローブ、及び
膜小胞産生菌に上記蛍光プローブを接触させ、上記蛍光プローブで標識された上記膜小胞産生菌の蛍光を測定する旨が記載された添付文書
を含む、キット。
[9]膜小胞産生菌を分取するためのキットであって、
高曲率の脂質二重膜を選択的に標識する蛍光プローブ、及び
上記蛍光プローブと接触させた場合の蛍光強度が所定の値より大きい膜小胞産生菌を分取する旨が記載された添付文書
を含む、キット。
【発明の効果】
【0010】
本開示の一実施形態によれば、膜小胞産生菌を検出するための方法及びキットが提供される。
(【0011】以降は省略されています)

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