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公開番号
2024161088
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2024-11-15
出願番号
2024143405,2023548509
出願日
2024-08-23,2022-09-15
発明の名称
焼結体及びその製造方法、歯科補綴材、並びに前歯用義歯
出願人
東ソー株式会社
代理人
個人
,
個人
,
個人
,
個人
主分類
C04B
35/486 20060101AFI20241108BHJP(セメント;コンクリート;人造石;セラミックス;耐火物)
要約
【課題】歯科補綴材、特に前歯用義歯として要求される透光性及び機械的強度を満たす焼結体を提供すること。
【解決手段】安定化元素を含む安定化ジルコニアをマトリックスとして含み、該安定化元素の含有量が4.0mol%を超え5.8mol%以下であり、平均結晶粒径が2.5μm以下であり、結晶粒径差が0.10μm以下であり、なおかつ、正方晶プライム相率が70%以上であり、光透過率が45%超であり、二軸曲げ強度が650MPa以上であること、を特徴とする焼結体を提供する。
【選択図】なし
特許請求の範囲
【請求項1】
安定化元素を含む安定化ジルコニアをマトリックスとして含み、
該安定化元素の含有量が4.0mol%を超え5.8mol%以下であり、平均結晶粒径が2.5μm以下であり、結晶粒径差が0.10μm以下であり、なおかつ、正方晶プライム相率が70%以上であり、光透過率が45%超であり、二軸曲げ強度が650MPa以上であること、を特徴とする焼結体。
続きを表示(約 810 文字)
【請求項2】
前記安定化元素が、イットリウム、カルシウム及びマグネシウムの群から選ばれる1以上である、請求項1に記載の焼結体。
【請求項3】
未固溶の安定化元素を含まない、請求項1又は2に記載の焼結体。
【請求項4】
正方晶プライム相を主相とする安定化ジルコニアをマトリックスとする、請求項1又は2に記載の焼結体。
【請求項5】
ワイブル係数が4.0以上である、請求項1又は2に記載の焼結体。
【請求項6】
安定化元素の含有量が異なる2以上の安定化ジルコニアを含む仮焼体であり、当該仮焼体における安定化元素の含有量が4.0mol%を超え5.8mol%以下であり、なおかつ、1300℃における単位温度当たりの熱収縮率の変化速度が0.07%℃
-1
以下であり、1500℃における単位温度当たりの熱収縮率の変化速度が0.02%℃
-1
以上であり、さらに、前記安定化元素の含有量が異なる2以上の安定化ジルコニアにおける前記安定化元素の含有量がそれぞれ8.0mol%以下であること、を特徴とする仮焼体を以下の条件で焼結する工程を有する、焼結体の製造方法。
焼結方法:常圧焼結
焼結雰囲気:酸化雰囲気
焼結温度:1450℃以上1650℃以下
焼結時間:3分以上30分以下
昇温速度:(室温から1050℃)
150℃/分以上、かつ、350℃/分以下
(1050℃から焼結温度)
30℃/分以上、かつ、150℃/分以下
降温速度:(焼結温度から900℃)
30℃/分以上、かつ、300℃/分以下
【請求項7】
請求項1又は2に記載の焼結体を含む、歯科補綴材。
【請求項8】
請求項1又は2に記載の焼結体を含む、前歯用義歯。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本開示は、ジルコニアを主成分とする粉末組成物、仮焼体、焼結体及びその製造方法に関する。
続きを表示(約 1,800 文字)
【背景技術】
【0002】
クラウンやブリッジ等の歯科補綴材用途に適用される、ジルコニアをマトリックス(母材)とする焼結体は、自然歯と同等な審美性が要求される。この要求に応えるため、安定化元素の含有量の増加による焼結体の透光性の向上が検討されている(特許文献1)。
【0003】
しかしながら、ジルコニアをマトリックスとする焼結体は、安定化元素の含有量の増加に伴い、機械的強度が著しく低下する。これに対し、安定化元素の含有量が異なる結晶粒子を焼結体中に含むことで、機械的強度の低下が生じうるとされる安定化元素の含有量であるにも関わらず、歯科補綴材で要求される高い機械的強度を満足し得る焼結体が開示されている(特許文献2)。
【0004】
一方で、特許文献1及び2に記載の焼結体は、最高温度での保持時間が2時間と、昇温、保持及び降温に7時間以上を要する焼結(以下、「通常焼結」ともいう。)により製造されている。そのため、これらの焼結体の製造には長い焼結時間が必要であった。
【0005】
近年、通常焼結と比べて焼結に要する時間が短い焼結方法、いわゆる短時間焼結、を適用して作製された焼結体を使用した歯科治療、いわゆるチェアサイド治療が検討されている。チェアサイド治療により、患者の通院負担が低減されることが期待されている。
【0006】
特許文献3では、短時間焼結により得られる焼結体として、安定化元素の含有量が4mol%~6mol%のジルコニアをマトリックスとし、未固溶のイットリアを含む焼結体が開示されている。また、特許文献4では、短時間焼結により得られる焼結体として、4mol%~5.5mol%のジルコニアをマトリックスとし、コントラスト比が0.68~0.70である焼結体が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
日本国特開2015-143178号公報
日本国特開2021-059489号公報
国際公開2018/056330号
日本国特開2020-033338号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
未固溶のイットリアを含むため、特許文献3の焼結体は機械的強度が十分ではない。また、特許文献4では、イットリア含有量を高くした焼結体を短時間焼結で作製しても、得られる焼結体は、前歯用義歯として適用できる透光性を有しておらず、更には、通常焼結で得られるイットリア含有量が4mol%の焼結体と同程度の透光性であった。本開示は、安定化元素の含有量が高いジルコニアをマトリックスとし、なおかつ、短時間焼結で、歯科補綴材、特に前歯用義歯として要求される透光性及び機械的強度を満たす焼結体が得られる、粉末組成物及び仮焼体、並びに、それらの製造方法、の少なくともいずれかを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、安定化元素の含有量が高いジルコニアをマトリックスとする粉末及び仮焼体の焼結について検討した。その結果、安定化元素の含有量が高いジルコニアをマトリックスとする粉末及び仮焼体は、短時間焼結を単に適用しても、通常焼結で得られる焼結体と同等の透光性を有する焼結体、更には前歯用義歯として適用され得る特性を有した焼結体、は得られにくいことを見出した。さらに、本発明者らは、焼結前半の焼結挙動が、短時間焼結における緻密化への影響が大きいことを見出した。
【0010】
これらの知見を基に、粉末及び仮焼体を構成する各粒子の表面活性に着目した結果、表面活性の異なる粒子を特定の関係となるように共存させ、その粒子同士の界面の状態を変化させることを着想した。そして、これにより、焼結前半の焼結挙動が制御できることを見出した。その結果、チェアサイド治療に適用され得る焼結方法を適用した場合であっても、安定化元素の含有量が高いジルコニアをマトリックスとし、なおかつ、歯科補綴材、特に前歯用義歯で要求される透光性を満たす焼結体が得られる、本開示の粉末組成物及び仮焼体を完成した。
(【0011】以降は省略されています)
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