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公開番号2024157456
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-11-07
出願番号2023071841
出願日2023-04-25
発明の名称コーティング剤及び樹脂部材
出願人株式会社豊田自動織機
代理人弁理士法人あいち国際特許事務所
主分類C09D 183/07 20060101AFI20241030BHJP(染料;ペイント;つや出し剤;天然樹脂;接着剤;他に分類されない組成物;他に分類されない材料の応用)
要約【課題】樹脂からなる基材との密着性に優れ、かつ、傷に対する耐久性の高いコーティング膜を簡素な作業により形成することができるコーティング剤、及びこのコーティング剤から形成されたコーティング膜を有する樹脂部材を提供する。
【解決手段】コーティング剤は、下記組成式で表されるTa構造単位及びTc構造単位を備えたシルセスキオキサンと、(メタ)アクリレート(ただし、シルセスキオキサンを除く)と、を含む膜形成成分と、膜硬化成分と、を含む。シルセスキオキサン中におけるTa構造単位の含有量とTc構造単位の含有量との合計に対するTa構造単位の含有量のモル比率が0モル%超え45モル%以下である。シルセスキオキサンの重量平均分子量が2,000以上である。
Ta構造単位:(R1SiO3/2)
Tc構造単位:(R2SiO3/2)
(ただし、R1は(メタ)アクリロイル基であり、R2は1価の炭化水素基である。)
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
下記組成式(1)で表されるTa構造単位と、下記組成式(2)で表されるTc構造単位とを備えたシルセスキオキサンと、
(メタ)アクリレート(ただし、前記シルセスキオキサンを除く)と、を含む膜形成成分と、
紫外光が照射された場合に塩基及びラジカルを発生させることができるように構成された膜硬化成分と、を含み、
前記シルセスキオキサン中における前記Ta構造単位の含有量と前記Tc構造単位の含有量との合計に対する前記Ta構造単位の含有量のモル比率が0モル%超え45モル%以下であり、
前記シルセスキオキサンの重量平均分子量が2,000以上である、コーティング剤。
(R

SiO
3/2
) ・・・(1)
(R

SiO
3/2
) ・・・(2)
(ただし、前記組成式(1)におけるR

はアクリロイル基またはメタクリロイル基であり、前記組成式(2)におけるR

は1価の炭化水素基である。)
続きを表示(約 1,000 文字)【請求項2】
前記シルセスキオキサン中における前記Ta構造単位の含有量と前記Tc構造単位の含有量との合計に対する前記Ta構造単位の含有量のモル比率が20モル%以上45モル%以下である、請求項1に記載のコーティング剤。
【請求項3】
前記シルセスキオキサンの重量平均分子量が2,000以上15,000以下である、請求項1に記載のコーティング剤。
【請求項4】
前記シルセスキオキサンは、さらに、下記組成式(3)で表されるQ構造単位を含んでおり、前記シルセスキオキサン中における前記Ta構造単位の含有量と前記Tc構造単位の含有量と前記Q構造単位の含有量との合計に対する前記Q構造単位の含有量のモル比率が0モル%超え25モル%以下である、請求項1に記載のコーティング剤。
(SiO
4/2
) ・・・(3)
【請求項5】
前記シルセスキオキサンの含有量が前記(メタ)アクリレート100質量部に対して30質量部以上150質量部以下である、請求項1に記載のコーティング剤。
【請求項6】
前記膜硬化成分は、紫外光を照射した際に塩基及びラジカルの両方を発生させることができるように構成された光塩基発生剤を含んでいる、請求項1に記載のコーティング剤。
【請求項7】
前記膜硬化成分は、紫外光を照射した際に塩基を発生させることができるように構成された光塩基発生剤と、紫外光を照射した際にラジカルを発生させることができるように構成された光ラジカル重合開始剤を含んでいる、請求項1に記載のコーティング剤。
【請求項8】
前記(メタ)アクリレートはイソシアヌル環を有している、請求項1に記載のコーティング剤。
【請求項9】
樹脂からなる基材と、
前記基材上に形成されたコーティング膜と、を有する樹脂部材であって、
前記コーティング膜が請求項1~8のいずれか1項に記載のコーティング剤の硬化物から構成されており、
前記コーティング膜は、前記樹脂部材の表面に露出した表面層と、
前記表面層と前記基材との間に介在する内層とを有しており、
前記表面層におけるSi原子の平均濃度が前記内層におけるSi原子の平均濃度よりも高い、樹脂部材。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、コーティング剤及び樹脂部材に関する。
続きを表示(約 1,800 文字)【背景技術】
【0002】
従来、自動車や鉄道等の車両を構成する部品には、鋼やアルミニウム、ガラス等の無機材料が使用されてきた。近年では、車両の軽量化を目的として、無機材料からなる部品から、プラスチック等の有機材料からなる部品への置き換えが進んでいる。しかし、有機材料は、無機材料に比べて軽量である反面、軟らかく、傷がつきやすい。
【0003】
そこで、有機材料からなる部品の傷に対する耐久性を向上させるために、部品の表面に硬い皮膜を形成する技術が提案されている。例えば、特許文献1には、樹脂製基材と、樹脂製基材の表面に形成されたプライマー層と、プライマー層の上に形成されたハードコート層とを有する被覆部材が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
特開2006-240294号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1の被覆部材のように、プライマー層とハードコート層との2層構造からなる皮膜を形成するに当たっては、樹脂製基材上にプライマーを塗布する工程、プライマーを乾燥させてプライマー層を形成する工程、プライマー層上にコーティング剤を塗布する工程及びコーティング剤を硬化させてハードコート層を形成する工程を順次行う必要がある。そのため、皮膜の形成作業が煩雑になるとともに、皮膜の形成作業に要するコストの増大を招いている。
【0006】
本発明は、かかる背景に鑑みてなされたものであり、樹脂からなる基材との密着性に優れ、かつ、傷に対する耐久性の高いコーティング膜を簡素な作業により形成することができるコーティング剤、及びこのコーティング剤から形成されたコーティング膜を有する樹脂部材を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様は、下記組成式(1)で表されるTa構造単位と、下記組成式(2)で表されるTc構造単位とを備えたシルセスキオキサンと、
(メタ)アクリレート(ただし、前記シルセスキオキサンを除く)と、を含む膜形成成分と、
紫外光が照射された場合に塩基及びラジカルを発生させることができるように構成された膜硬化成分と、を含み、
前記シルセスキオキサン中における前記Ta構造単位の含有量と前記Tc構造単位の含有量との合計に対する前記Ta構造単位の含有量のモル比率が0モル%超え45モル%以下であり、
前記シルセスキオキサンの重量平均分子量が2,000以上である、コーティング剤にある。
(R

SiO
3/2
) ・・・(1)
(R

SiO
3/2
) ・・・(2)
【0008】
ただし、前記組成式(1)におけるR

はアクリロイル基またはメタクリロイル基であり、前記組成式(2)におけるR

は1価の炭化水素基である。
【0009】
また、本発明の他の態様は、樹脂からなる基材と、
前記基材上に形成されたコーティング膜と、を有する樹脂部材であって、
前記コーティング膜が前記の態様のコーティング剤の硬化物から構成されており、
前記コーティング膜は、前記樹脂部材の表面に露出した表面層と、前記表面層と前記基材との間に介在する内層とを有しており、前記表面層におけるSi原子の平均濃度が前記内層におけるSi原子の平均濃度よりも高い、樹脂部材にある。
【発明の効果】
【0010】
前記コーティング剤における膜形成成分は、前記特定のシルセスキオキサンと、(メタ)アクリレートと、を含んでいる。また、前記コーティング剤における膜硬化成分は、紫外光が照射された場合に塩基及びラジカルを発生させることができるように構成されている。かかるコーティング剤に紫外光を照射すると、膜硬化成分から塩基とラジカルとが発生する。膜硬化成分から発生した塩基は、ゾルゲル反応によってシルセスキオキサンを縮合させることができる。また、膜硬化成分から発生したラジカルは、ラジカル重合によって(メタ)アクリレート及びシルセスキオキサンを重合させることができる。
(【0011】以降は省略されています)

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