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公開番号2024155642
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-10-31
出願番号2023078914
出願日2023-04-20
発明の名称多数の孔を有する金属箔の製造方法
出願人株式会社電気印刷研究所
代理人
主分類C25D 1/08 20060101AFI20241024BHJP(電気分解または電気泳動方法;そのための装置)
要約【課題】電鋳加工の従来技術では、導電性の電着用基板上に、毎回、精密なレジストパターンを形成し、レジストパターンのない部分に金属めっき層を形成後、金属めっき層を電着用基板から分離し、金属箔製品とする。精密なレジストパターン形成工程は、レジストを塗工またはラミネート加工、パターン露光、現像という三工程からなり、それぞれ、大掛かりで高価な設備が必要になる。大掛かりで高価な設備を必要としない、電鋳加工の新たな技術が求められている。
【解決手段】絶縁層と導電層からなる基板Sの絶縁層上に静電気パターンを形成し、その静電気パターンをトナーと称するめっき可能な帯電粒子で現像しトナーパターンとして付着させた後、金属Aの無電解めっき処理を施して導電性パターンとし、その導電性パターン上に金属Bの電気めっき処理を施して金属Bめっき層を積層する。金属Aめっき層と金属Bめっき層からなる金属箔を基板Sから分離して多数の孔を有する金属箔を得る。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
(1) 絶縁層と導電層からなる基板Sの絶縁層上に静電気パターンを形成する工程(静電気パターン形成工程)、
(2) 前記静電気パターンをトナーと称するめっき可能な帯電粒子で現像し、前記絶縁層上にトナーパターンを付着させる工程(現像工程)、
(3) 前記トナーパターンに触媒能を付与し、金属Aの無電解めっき処理を施す工程(金属Aの無電解めっき処理工程)、
(4) 金属Aめっき層に金属Bの電気めっき処理を施し、金属Aめっき層上に金属Bめっき層を積層する工程(金属Bの電気めっき処理工程)、
(5) 金属Aめっき層と金属Bめっき層からなる金属箔を前記基板Sから分離する工程(基板分離工程)よりなることを特徴とする多数の孔を有する金属箔の製造方法。
続きを表示(約 710 文字)【請求項2】
凸版あるいは凹版あるいはグラビア版状パターンが形成されている版層と第1電極とを備える原版と、絶縁層と第2電極になる導電層とを備える基板Sを用い、前記原版の版層と前記基板Sの絶縁層を密着させ、前記原版の第1電極と前記基板Sの第2電極との間に前記版層のパターンと前記絶縁層との空隙を放電させるに足る適正な電圧を印加することによって、前記基板Sの絶縁層上に前記版層のパターンに対応した静電気パターンを形成することを特徴とする請求項1に記載の多数の孔を有する金属箔の製造方法。
【請求項3】
導電性材料のみの成型体または絶縁性材料と導電性材料の積層体からなり、かつ所定のイオン透過性開口部を備えるマスクシートと、絶縁層と背面電極になる導電層とを備える基板Sを用い、前記マスクシートと前記基板Sの絶縁層を密着させ、マスクシート越しにイオン照射を行った後、前記マスクシートを前記基板Sから剥離することにより、前記基板Sの絶縁層上に前記マスクシートのイオン透過性開口部に対応した静電気パターンを形成することを特徴とする請求項1に記載の多数の孔を有する金属箔の製造方法。
【請求項4】
イオン照射手段がコロナ放電によるイオン照射方式であることを特徴とする請求項3に記載の多数の孔を有する金属箔の製造方法。
【請求項5】
前記基板Sの絶縁層が、ポリイミド、ポリカーボネート、PET(ポリエチレンテレフタレート)、シクロオレフィンポリマー、シクロオレフィンコポリマー、フッ素系樹脂等の成形物からなることを特徴とする請求項1に記載の多数の孔を有する金属箔の製造方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は電気鋳造(電鋳)という、電気めっきの応用技術に関する。さらに詳しくは、電気めっき法による金属製品の製造方法に関する。
続きを表示(約 2,900 文字)【背景技術】
【0002】
JISでは、電鋳とは、電気めっき法による金属製品の製造・補修または複製法であると規定されている。電鋳加工には、原型(母型)に金属を電着させ、剥離して製品とするものと、素地金属に直接厚く電着し、機械部品の補修や肉盛りをするものがある。本発明の電鋳加工は、前者に係るものである。
電鋳加工について、下記特許文献1~3に開示されている。従来技術の概要は以下のとおりである。
導電性の電着用基板の全面に、レジストを塗工またはラミネート加工後、パターン露光と現像を行い、レジストパターンを形成する。電着手段(電気めっき等)によりレジストパターンのない部分に金属めっき層を形成後、金属めっき層を電着用基板から分離し、金属箔製品とする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
特開昭52―117840号公報
特開平11-347491号公報
特開2013-199684号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
電鋳加工の従来技術により、エッチング加工やレーザー加工では得られない精密な形状の多数の孔を有する製品を製造することができる。しかし、電鋳加工の従来技術では、導電性の電着用基板上に、毎回、精密なレジストパターンを形成し、レジストパターンのない部分に金属めっき層を形成後、金属めっき層を電着用基板から分離し、金属箔製品とする。精密なレジストパターン形成工程は、▲1▼レジストを塗工またはラミネート加工、▲2▼パターン露光、▲3▼現像という三工程からなり、それぞれ、大掛かりで高価な設備が必要になる。大掛かりで高価な設備を必要としない、電鋳加工の新たな技術が求められている。
【0005】
本発明では、上記課題を解決するため、電鋳加工の新たな技術を応用した多数の孔を有する金属箔の製造方法を提案する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
電鋳加工の従来技術は、導電性の電着用基板のレジストパターンのない部分に電気めっき処理を施し、レジストパターンとは逆パターンの金属めっき層を形成するものである。
本発明者らは発想を変え、先ず静電気パターンを形成し、その静電気パターンをトナーと称するめっき可能な帯電粒子で現像しトナーパターンとして付着させた後、金属Aの無電解めっき処理を施せば金属Aの導電性パターンとなり、その導電性パターンに金属Bの電気めっき処理を施せば金属Bめっき層を積層することができ、次いで金属Aめっき層と金属Bめっき層からなる金属箔を基板Sから分離すれば多数の孔を有する金属箔が得られることを見出し、本発明に到達した。
【0007】
すなわち、本発明により電鋳加工の新たな技術を応用した多数の孔を有する金属箔の製造方法が提供される。
(I)
(1)絶縁層と導電層からなる基板Sの絶縁層上に静電気パターンを形成する工程(静電気パターン形成工程)、
(2)前記静電気パターンをトナーと称するめっき可能な帯電粒子で現像し、前記絶縁層上にトナーパターンを付着させる工程(現像工程)、
(3)前記トナーパターンに触媒能を付与し、金属Aの無電解めっき処理を施す工程(金属Aの無電解めっき処理工程)、
(4)金属Aめっき層に金属Bの電気めっき処理を施し、金属Aめっき層上に金属Bめっき層を積層する工程(金属Bの電気めっき処理工程)、
(5)金属Aめっき層と金属Bめっき層からなる金属箔を前記基板Sから分離する工程(基板分離工程)よりなることを特徴とする多数の孔を有する金属箔の製造方法。
(II)凸版あるいは凹版あるいはグラビア版状パターンが形成されている版層と第1電極とを備える原版と、絶縁層と第2電極になる導電層とを備える基板Sを用い、前記原版の版層と前記基板Sの絶縁層を密着させ、前記原版の第1電極と前記基板Sの第2電極との間に前記版層のパターンと前記絶縁層との空隙を放電させるに足る適正な電圧を印加することによって、前記基板Sの絶縁層上に前記版層のパターンに対応した静電気パターンを形成することを特徴とする請求項1に記載の多数の孔を有する金属箔の製造方法。
(III)導電性材料のみの成型体または絶縁性材料と導電性材料の積層体からなり、かつ所定のイオン透過性開口部を備えるマスクシートと、絶縁層と背面電極になる導電層とを備える基板Sを用い、前記マスクシートと前記基板Sの絶縁層を密着させ、マスクシート越しにイオン照射を行った後、前記マスクシートを前記基板Sから剥離することにより、前記基板Sの絶縁層上に前記マスクシートのイオン透過性開口部に対応した静電気パターンを形成することを特徴とする請求項1に記載の多数の孔を有する金属箔の製造方法。
(IV)イオン照射手段がコロナ放電によるイオン照射方式であることを特徴とする請求項3に記載の多数の孔を有する金属箔の製造方法。
(V)前記基板Sの絶縁層が、ポリイミド、ポリカーボネート、PET(ポリエチレンテレフタレート)、シクロオレフィンポリマー、シクロオレフィンコポリマー、フッ素系樹脂等の成形物からなることを特徴とする請求項1に記載の多数の孔を有する金属箔の製造方法。
【発明の効果】
【0008】
本発明の方法は、従来技術のように毎回、大掛かりで高価な設備を必要としないため、製造コストを低減できる。また、静電気パターンを形成するための絶縁層と導電層の組合せの自由度が高いため、絶縁層として樹脂成形物を採用すれば、ロールツウロール方式等が適用でき、生産性が向上する可能性がある。
【図面の簡単な説明】
【0009】
静電気パターン形成工程
現像工程
金属Aの無電解めっき処理工程
金属Bの電気めっき処理工程
基板分離工程
静電気パターン形成工程の一例
静電気パターン形成工程の他の一例
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1は、本発明の静電気パターン形成工程であり、基板Sの絶縁層22上に静電気パターンが形成され、保持されている状態を示す。
基板Sは導電層21と絶縁層22から構成される。
絶縁層22は静電気パターンを保持する必要があるため電気絶縁性が高い必要がある。ポリイミド、ポリカーボネート、PET(ポリエチレンテレフタレート)、シクロオレフィンポリマー、シクロオレフィンコポリマー、フッ素系樹脂等の成形物を絶縁層22として用いることができる。絶縁層22の厚さは5~300μmであることが好ましい。厚さが5μm未満の場合、ハンドリングが困難である。また厚さが300μmを超えるとロールツウロール方式等の生産性向上のための手段の適用が困難になる。
(【0011】以降は省略されています)

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