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公開番号2024154442
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-10-31
出願番号2023068178
出願日2023-04-19
発明の名称燃料電池システム
出願人国立大学法人金沢大学,株式会社ジェイテクト
代理人弁理士法人あいち国際特許事務所
主分類H01M 8/04223 20160101AFI20241024BHJP(基本的電気素子)
要約【課題】簡易な構成でリフレッシュ運転時の燃料電池への非可逆的なダメージや電極劣化を抑制することができる燃料電池システムを提供する。
【解決手段】燃料電池システム1は、燃料電池10から外部負荷Cに電力を出力する通常運転と、燃料電池10の出力低下を回復するリフレッシュ運転とを切り替える制御装置50を備える。制御装置50は、リフレッシュ運転中の放電電気量qを取得する放電電気量取得部51と、燃料電池10のアノード側拡散層21における空孔体積と同体積の液体燃料から生成可能な電気量である基準電気量Qが記憶された基準電気量記憶部52と、放電電気量qと基準電気量Qとを比較する比較部53と、比較部53の比較結果に基づいてリフレッシュ運転から通常運転に切り替えるか否かを判定する判定部54と、判定部54の判定結果に基づいてリフレッシュ運転から通常運転に切り替える切替部55とを含む。
【選択図】図3
特許請求の範囲【請求項1】
液体燃料と酸化剤とを反応させることによって電極反応により電力を出力可能に構成された燃料電池と、
上記燃料電池から外部負荷に電力を出力する通常運転と、外部負荷への出力を停止して放電させることにより上記燃料電池の出力低下を回復するリフレッシュ運転とを切り替える制御装置と、
を備える燃料電池システムであって、
上記燃料電池は、電解質膜と、上記電解質膜の一方の面に順次積層されたアノード触媒層及びアノード側拡散層と、上記電解質膜の他方の面に順次積層されたカソード触媒層及びカソード側拡散層とを備え、
上記制御装置は、
リフレッシュ運転中の放電により発生した電気量である放電電気量を取得する放電電気量取得部と、
上記アノード側拡散層における空孔体積と同体積の液体燃料から生成可能な電気量である基準電気量が記憶された基準電気量記憶部と、
上記放電電気量と上記基準電気量とを比較する比較部と、
上記比較部の比較結果に基づいて、リフレッシュ運転から通常運転に切り替えるか否かを判定する判定部と、
上記判定部の判定結果に基づいて、リフレッシュ運転から通常運転に切り替える運転状態切替部と、を含む、燃料電池システム。
続きを表示(約 350 文字)【請求項2】
上記判定部は、上記比較部の比較結果が、上記放電電気量が上記基準電気量に達したことを示すとき、リフレッシュ運転から通常運転に切り替えると判定する、請求項1に記載の燃料電池システム。
【請求項3】
上記アノード側拡散層における上記空孔体積は、上記アノード側拡散層の全体積に上記アノード側拡散層における空孔率を乗じて算出される、請求項1又は2に記載の燃料電池システム。
【請求項4】
上記制御装置は、上記放電電気量取得部により取得された上記放電電気量を補正するための補正値として、リフレッシュ運転直前の通常運転において上記燃料電池から出力された電力に基づく補正値を算出する補正値算出部を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の燃料電池システム。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料電池システムに関する。
続きを表示(約 2,400 文字)【背景技術】
【0002】
液体燃料を用いた固体高分子型の燃料電池は、一般に、電解質膜の一方の面にアノード触媒層及びアノード側拡散層が積層され、他方の面にカソード触媒層及びカソード側拡散層が積層されており、アノード側拡散層を介してアノード触媒層に液体燃料が直接供給され且つカソード側拡散層を介してカソード触媒層に酸化剤が外部から供給されることにより電極反応が生じて発電される。このような固体高分子型の燃料電池では、電極反応によりアノード側ではガスが発生して燃料供給が阻害されるため、連続運転を行うと徐々に出力が低下する。特許文献1には、運転途中で燃料電池の出力及びアノード側への燃料の供給を停止し、アノード-カソード間をショートすることにより強制的に放電を行うリフレッシュ運転制御を行って出力低下を回復する構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
特開2004-146209号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示のような構成では、リフレッシュ運転制御による放電中、アノード側ではアノード側拡散層に残存していた液体燃料の分解反応によって発生した二酸化炭素によりアノード側拡散層が気体状態となり、カソード側拡散層も通常運転時に供給された空気により気体状態となっているため、ショート時間が長いと電解質膜が乾燥して非可逆的なダメージを受ける。また、リフレッシュ運転時は燃料供給が停止されているため、アノード側拡散層に残存していた燃料が消費され尽くした後もリフレッシュ運転制御による放電が継続されると、アノード側電極が腐食されてアノード側電極に非可逆的な劣化が生じることとなる。
【0005】
一方、リフレッシュ運転中にアノード側拡散層に液体燃料に替えて水等を供給することで、液体燃料の供給を停止しつつアノード側拡散層への水分の供給を継続することで、リフレッシュ運転中においてもガスを系外に排出して、アノード触媒層及び電解質膜の乾燥を防止することができる。しかしながら、この場合には、アノード側拡散層に当該水等を供給するための構成が必要となることから装置が複雑化することとなる。
【0006】
本発明は、簡易な構成でリフレッシュ運転時の燃料電池への非可逆的なダメージや電極劣化を抑制することができる燃料電池システムを提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様は、液体燃料と酸化剤とを反応させることによって電極反応により電力を出力可能に構成された燃料電池と、
上記燃料電池から外部負荷に電力を出力する通常運転と、外部負荷への出力を停止して放電させることにより上記燃料電池の出力低下を回復するリフレッシュ運転とを切り替える制御装置と、
を備える燃料電池システムであって、
上記燃料電池は、電解質膜と、上記電解質膜の一方の面に順次積層されたアノード触媒層及びアノード側拡散層と、上記電解質膜の他方の面に順次積層されたカソード触媒層及びカソード側拡散層とを備え、
上記制御装置は、
上記アノード側拡散層における空孔体積と同体積の液体燃料から生成可能な電気量である基準電気量が記憶された基準電気量記憶部と、
リフレッシュ運転中の放電により発生した電気量である放電電気量を取得する放電電気量取得部と、
上記放電電気量と上記基準電気量とを比較する比較部と、
上記比較部の比較結果に基づいて、リフレッシュ運転から通常運転に切り替えるか否かを判定する判定部と、
上記判定部の判定結果に基づいて、リフレッシュ運転から通常運転に切り替える運転状態切替部と、を含む、燃料電池システム。
【発明の効果】
【0008】
上記態様の燃料電池システムによれば、リフレッシュ運転開始後、アノード側拡散層に残存する液体燃料が電極反応することによってアノード側拡散層で生じた二酸化炭素はアノード側拡散層の空孔を満たし、さらに液体燃料の供給流路内に放出されるため、アノード側拡散層に液体燃料が入り込むことが規制される。したがって、リフレッシュ運転中にアノード側拡散層に残存する液体燃料を用いた放電で発生する放電電気量は、アノード側拡散層の空孔体積と同体積の液体燃料により生成可能な電気量である基準電気量と等しくなる。そのため、上記燃料電池システムにおいて、リフレッシュ運転中の放電電気量と基準電気量とを比較することで、リフレッシュ運転中にアノード側拡散層の液体燃料が消費され尽くしたタイミングを正確に把握することができ、当該タイミングでリフレッシュ運転から通常運転に切り替えるようにすることができる。
【0009】
その結果、リフレッシュ運転中にアノード側電極を構成するアノード触媒層が腐食されて非可逆的な劣化が生じることを防止することができるとともに、アノード側拡散層の液体燃料が消費され尽くしたタイミングですぐに通常運転に切り替えて燃料電池への液体燃料の供給を再開することで、電解質膜が乾燥して非可逆的なダメージを受けることを抑制することができる。また、リフレッシュ運転時に外部からアノード側拡散層に水等を供給するための構成を要しないため、装置構成の簡素化を図ることができる。
【0010】
以上のごとく、上記態様によれば、簡易な構成でリフレッシュ運転時の燃料電池への非可逆的なダメージや電極劣化を抑制することができる燃料電池システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
(【0011】以降は省略されています)

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