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公開番号
2024145816
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2024-10-15
出願番号
2023058335
出願日
2023-03-31
発明の名称
インバート部構造体
出願人
株式会社奥村組
,
日本コンクリート工業株式会社
代理人
弁理士法人翔和国際特許事務所
主分類
E21D
11/08 20060101AFI20241004BHJP(地中もしくは岩石の削孔;採鉱)
要約
【課題】PCaコンクリートブロックを用いて、多くの手間を要することなく容易に形成されて、インバート部覆工体を構成することのできるインバート部構造体を提供する。
【解決手段】六面体形状の複数のPCaコンクリートブロック20が、隣接する受台部31cや隣接するPCaコンクリートブロック20との間に、隙間21a,21bや間隔部分51を保持した状態で、トンネルの横断方向及び軸方向に連設配置されてインバート部33に設置される。これらの縦横に連設するPCaコンクリートブロック20は、隣接する受台部31cや隣接するPCaコンクリートブロック20との間の隙間21a,21b,間隔部分51、及びこれらの下面部の下方の隙間21cに充填された、充填固化材22を介して一体化されて、インバート部覆工体32を構成するインバート部構造体を形成している。
【選択図】図1
特許請求の範囲
【請求項1】
山岳トンネルのインバート部におけるトンネルの横断方向の全域に設けられて、インバート部覆工体を構成する、PCaコンクリートブロックを用いたインバート部構造体であって、
前記PCaコンクリートブロックは、前記インバート部覆工体の横断面形状に沿った湾曲形状を備えるように、湾曲する上面部及び下面部を有する六面体形状のブロックとして形成されており、
前記トンネルの横断方向の一方の片側領域及び他方の片側領域の各々において、複数の前記PCaコンクリートブロックが、隣接する側壁部覆工体の下端部の受台部との間、及び隣接する前記PCaコンクリートブロックとの間に隙間を保持した状態で、トンネルの横断方向に連設して配置されてインバート部に設置されていると共に、トンネルの軸方向にもまた、隣接する前記PCaコンクリートブロックとの間に隙間を保持した状態で、連設して配置されてインバート部に設置されていることで、一方側ブロック群及び他方側ブロック群が形成されており、
且つトンネルの横断方向の中央部分において、前記一方側ブロック群と前記他方側ブロック群との間には、間隔部分が保持されており、
前記一方側ブロック群及び前記他方側ブロック群において各々縦横に連設して配置された複数の前記PCaコンクリートブロックは、隣接する各々の前記受台部との間の隙間、隣接する前記PCaコンクリートブロックとの間の隙間、前記一方側ブロック群と前記他方側ブロック群との間の間隔部分、及びこれらの隙間や間隔部分と連通する前記六面体形状の下面部の下方の隙間に充填されて硬化した、充填固化材を介して一体化された状態で、前記インバート部覆工体を構成しているインバート部構造体。
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【請求項2】
前記充填固化材が充填された、隣接する前記受台部との間の隙間、及び隣接する前記PCaコンクリートブロックの間の隙間は、15~30mmの間隔幅の隙間となっており、前記一方側ブロック群と前記他方側ブロック群との間の間隔部分は、100~130mmの間隔幅の間隔部分となっている請求項1記載のインバート部構造体。
【請求項3】
前記一方側ブロック群及び前記他方側ブロック群において各々縦横に連設して配置された複数の前記PCaコンクリートブロックは、前記充填固化材が充填された、トンネルの横断方向に隣接する前記PCaコンクリートブロックの間の軸方向に延設する隙間、及びトンネルの軸方向に隣接する前記PCaコンクリートブロックの間の横断方向に延設する隙間が、いずれも直線状に連続しているいも状に配置されて、インバート部に設置されている請求項1又は2記載のインバート部構造体。
【請求項4】
複数の前記PCaコンクリートブロックは、トンネルの横断方向の横幅、トンネルの軸方向の縦幅、及び高さが等しくなった、同様の六面体形状を備えるように形成されている請求項1又は2記載のインバート部構造体。
【請求項5】
前記一方側ブロック群の最も前記中央部分側に位置する前記PCaコンクリートブロックの前記中央部分側の面、及び前記他方側ブロック群の最も前記中央部分側に位置する前記PCaコンクリートブロックの前記中央部分側の面には、前記充填固化材との付着力を向上させる凹凸が形成されている請求項1又は2記載のインバート部構造体。
【請求項6】
前記一方側ブロック群の最も前記中央部分側に位置する前記PCaコンクリートブロックと、前記他方側ブロック群の最も前記中央部分側に位置するPCaコンクリートブロックとは、長尺ボルト部材を介して連結されている請求項1又は2記載のインバート部構造体。
【請求項7】
隣接する前記側壁部覆工体の下端部の受台部との間、及び隣接する前記PCaコンクリートブロックとの間に隙間を保持した状態で、トンネルの横断方向に連設して配置されてインバート部に設置されている各々の前記PCaコンクリートブロックにおける、保持された隙間を挟んで対向する対向面には、前記充填固化材との付着力を向上させる凹凸が形成されている請求項1又は2記載のインバート部構造体。
【請求項8】
隣接する前記PCaコンクリートブロックとの間に隙間を保持した状態で、トンネルの軸方向に連設して配置されてインバート部に設置されている各々の前記PCaコンクリートブロックにおける、保持された隙間を挟んで対向する対向面には、前記充填固化材との付着力を向上させる凹凸が形成されている請求項1又は2記載のインバート部構造体。
【請求項9】
山岳トンネルのインバート部におけるトンネルの横断方向の全域に設けられて、インバート部覆工体を構成する、請求項1又は2に記載のインバート部構造体の施工方法であって、
前記トンネルの横断方向の一方の片側領域において、複数の前記PCaコンクリートブロックを、隣接する側壁部覆工体の下端部の受台部との間、及び隣接する前記PCaコンクリートブロックとの間に隙間を保持した状態で、トンネルの横断方向に連設して配置してインバート部に設置すると共に、トンネルの軸方向にもまた、隣接する前記PCaコンクリートブロックとの間に隙間を保持した状態で、連設して配置してインバート部に設置することで、一方側ブロック群を形成する工程と、
縦横に連設して配置された前記一方側ブロック群の複数の前記PCaコンクリートブロックの、隣接する前記受台部との間の隙間、隣接する前記PCaコンクリートブロックとの間の隙間、及びこれらと連通する前記六面体形状の下面部の下方の隙間に充填固化材を充填して硬化させる工程と、
前記トンネルの横断方向の他方の片側領域において、複数の前記PCaコンクリートブロックを、隣接する側壁部覆工体の下端部の受台部との間、及び隣接する前記PCaコンクリートブロックとの間に隙間を保持した状態で、トンネルの横断方向に連設して配置してインバート部に設置すると共に、トンネルの軸方向にもまた、隣接する前記PCaコンクリートブロックとの間に隙間を保持した状態で、連設して配置してインバート部に設置することで、他方側ブロック群を形成する工程と、
縦横に連設して配置された前記他方側ブロック群の複数の前記PCaコンクリートブロックの、隣接する前記受台部との間の隙間、隣接する前記PCaコンクリートブロックとの間の隙間、及びこれらと連通する前記六面体形状の下面部の下方の隙間に加えて、前記一方側ブロック群と前記他方側ブロック群との間隔部分にも充填固化材を充填して硬化させる工程とを含んで構成されるインバート部構造体の施工方法。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、インバート部構造体及びこれの施工方法に関し、特に、山岳トンネルのインバート部に設けられてインバート部覆工体を構成する、PCaコンクリートブロックを用いたインバート部構造体及びこれの施工方法に関する。
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【背景技術】
【0002】
山岳トンネルは、岩盤等の自立していて比較的安定した地盤を掘削して形成されるトンネルであり、掘削された内壁面は、コンクリートやモルタルによる一次覆工や二次覆工によって覆われるようになっている。すなわち、山岳トンネルの内壁面は、例えば発破等を実施しながらトンネルを掘削した後に、好ましくはモルタルやコンクリートを吹付けて一次覆工を行うことにより防護層を形成してから、形成した一次覆工による防護層の内側に、例えば公知のトンネル覆工型枠を設置して、トンネルの側壁部から上部のアーチ形状部分に、コンクリートによる所定の厚さの覆工体を、二次覆工として形成する。さらに、先行して形成されたトンネルの両側の側壁部から上部のアーチ形状部分に至る覆工体における、一対の側壁部の下端部の受台部の間の部分に、底部のインバート部の覆工体を、トンネルの横断方向にコンクリートを用いて所定の厚さで一体しして形成することにより、山岳トンネルの内壁面の全周を、二次覆工によって連続して覆うようになっている。
【0003】
また、山岳トンネルは、比較的安定した地盤を掘削して形成されるものであることから、例えば数十年以上前に構築されたトンネルは、インバート部の覆工体を省略して、トンネルの側壁部から上部のアーチ形状部分に至る領域にのみ、覆工体を形成して二次覆工を行っているものがある。このようなインバート部の覆工体を省略した山岳トンネルに対しては、例えば将来、底盤部の盤膨れ等による影響が生じないように、インバート部の覆工体を新たに形成することが検討されている。
【0004】
トンネルの底部に、トンネルの側壁部から上部のアーチ形状部分に先行して設けられた覆工体と連続させて、インバート部の覆工体を形成する方法としては、従来より、現場打ちコンクリートを用いたものが一般的であるが(例えば、特許文献1参照)、インバート部の覆工体は、湾曲した形状となるように上面を仕上げるのに、高度な熟練を要することになる。さらに、現場打ちコンクリートを用いた場合、打設されたコンクリートは、硬化した後に所定の養生期間が経過するまでに、相当の時間を要することから、特にインバート部の覆工体を省略した側壁部から上部のアーチ形状部分の覆工体に、新たにインバート部の覆工体を形成する場合には、長期間、トンネル内の通行を遮断することになるため、より短期間で、工事を終了できるようにすることが望ましい。
【0005】
このようなことから、インバート部の覆工体を、予め工場等において製造された、プレキャストコンクリート製のコンクリート部材を用いて形成することによって、工期の短縮を図ることも検討されている(例えば、特許文献2、特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
特開2020-159060号公報
特開2013-28898号公報
特開2018-123528号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、プレキャストコンクリート製のコンクリート部材を用いた従来の山岳トンネルにおけるインバート部の施工方法によれば、工場等において予め形成されるこれらのコンクリート部材は、インバート部の横断方向の全幅に亘る長さで形成されていたり、インバート部を横断方向に2~3分割した長さで形成されていたりするため、重量や形状が大きなものになると共に、工場等において型枠を組み立てて、ジョイント部等を精度良く形成するのに多くの手間を要することになる。さらに、工事現場での搬入や組付けにも多くの労力を要する他、特に、例えば複数車線の道路トンネルにおいて、他方の車線での通行を維持したまま、各々の車線毎に工事を行う場合には、嵩張る大きさのコンクリート部材を用いることになるため、困難な作業を伴うことになる。
【0008】
本発明は、工場等において製造することが容易な適度な重量及び大きさのプレキャストコンクリート製のブロック(PCaコンクリートブロック)を用いることで、多くの労力を要することなく容易に形成されて、トンネルの側壁部から上部のアーチ形状部分の覆工体と連続して設けられるインバート部覆工体の構成部分として、より迅速に設置することのできるインバート部構造体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、山岳トンネルのインバート部におけるトンネルの横断方向の全域に設けられて、インバート部覆工体を構成する、PCaコンクリートブロックを用いたインバート部構造体であって、前記PCaコンクリートブロックは、前記インバート部覆工体の横断面形状に沿った湾曲形状を備えるように、湾曲する上面部及び下面部を有する六面体形状のブロックとして形成されており、前記トンネルの横断方向の一方の片側領域及び他方の片側領域の各々において、複数の前記PCaコンクリートブロックが、隣接する側壁部覆工体の下端部の受台部との間、及び隣接する前記PCaコンクリートブロックとの間に隙間を保持した状態で、トンネルの横断方向に連設して配置されてインバート部に設置されていると共に、トンネルの軸方向にもまた、隣接する前記PCaコンクリートブロックとの間に隙間を保持した状態で、連設して配置されてインバート部に設置されていることで、一方側ブロック群及び他方側ブロック群が形成されており、且つトンネルの横断方向の中央部分において、前記一方側ブロック群と前記他方側ブロック群との間には、間隔部分が保持されており、前記一方側ブロック群及び前記他方側ブロック群において各々縦横に連設して配置された複数の前記PCaコンクリートブロックは、隣接する各々の前記受台部との間の隙間、隣接する前記PCaコンクリートブロックとの間の隙間、前記一方側ブロック群と前記他方側ブロック群との間の間隔部分、及びこれらの隙間や間隔部分と連通する前記六面体形状の下面部の下方の隙間に充填されて硬化した、充填固化材を介して一体化された状態で、前記インバート部覆工体を構成しているインバート部構造体を提供することにより、上記目的を達成したものである。
【0010】
そして、本発明のインバート部構造体では、前記充填固化材が充填された、隣接する前記受台部との間の隙間、及び隣接する前記PCaコンクリートブロックの間の隙間は、15~30mmの間隔幅の隙間となっており、前記一方側ブロック群と前記他方側ブロック群との間の間隔部分は、100~130mmの間隔幅の間隔部分となっていることが好ましい。
(【0011】以降は省略されています)
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