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公開番号2024127804
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-09-20
出願番号2024027775
出願日2024-02-27
発明の名称窒化鋼部品及びその製造方法
出願人愛知製鋼株式会社,株式会社アイシン,DOWAサーモテック株式会社
代理人弁理士法人あいち国際特許事務所
主分類C22C 38/00 20060101AFI20240912BHJP(冶金;鉄または非鉄合金;合金の処理または非鉄金属の処理)
要約【課題】疲労強度を従来よりも高めることができると共に静的強度も兼ね備えた窒化鋼部品及びその製造方法を提供すること。
【解決手段】必須元素として、C:0.05~0.15%、Si:0.05~0.90%、Mn:0.90~1.50%、Cr:1.31~2.00%、Al:0.001~0.080%、V:0.10~0.70%、任意元素として、Mo:0.05~0.30%、N:0.0020~0.0180%を含有し、式1~式4を満足する。フェライト、ベイナイト、パーライトからなり、フェライトの相分率が5%以上50%未満、ベイナイトの相分率が50%以上、パーライトの相分率が5%以下である内部金属組織を有する。表面硬化層は、硬さが513HV以上の硬化深さが0.30mm以上である。γ’相及びε相を含む化合物層が10μm以上の厚みで存在し、γ’相の相分率が80%以上である。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
窒化処理による表面硬化層を有する窒化鋼部品であって、
質量%で、必須元素として、C:0.05~0.15%、Si:0.05~0.90%、Mn:0.90~1.50%、Cr:1.31~2.00%、Al:0.001~0.080%、V:0.10~0.70%、Mo:0.05~0.30%、及びN:0.0020~0.0180%を含有し、
任意元素として、Ca:0.0005~0.0050%、Nb:0.01~0.10%、B:0.0005~0.0050%、及びTi:0.01~0.10%の少なくとも1種を含有し、残部がFe及び不可避的不純物よりなると共に、下記式1~式4を満足する化学成分組成を有し、
フェライト、ベイナイト、及びパーライトからなると共に、フェライトの相分率が5%以上50%未満、ベイナイトの相分率が50%以上、パーライトの相分率が5%以下である内部金属組織を有し、
上記表面硬化層においては、硬さが513HV以上の硬化深さが0.30mm以上であり、γ’相及びε相を含む化合物層が10μm以上の厚みで表面に存在し、かつ、上記化合物層においては、γ’相の相分率が80%以上である、窒化鋼部品。
式1:3Mn+2Cr+10Mo≧7.0、
式2:2.0≦10C+Mn+Si≦3.0、
式3:285V+7800N-0.34V/N+900≦1150、
式4:-2Si+5Cr+6Al+2V+5Mo≦10.0
(ただし、式1~式4における元素記号は、各元素の含有率(質量%)の値を示す。)
続きを表示(約 1,100 文字)【請求項2】
窒化処理による表面硬化層を有する窒化鋼部品であって、
質量%で、必須元素として、C:0.05~0.15%、Si:0.05~0.90%、Mn:0.30~1.50%、Cr:1.31~2.00%、Al:0.001~0.080%、V:0.10~0.70%、N:0.0020~0.0180%、及びB:0.0005~0.0050%を含有し、
任意元素として、Mo:0.00~0.30%、Ca:0.0005~0.0050%、Nb:0.01~0.10%、及びTi:0.01~0.10%の少なくとも1種を含有し、残部がFe及び不可避的不純物よりなると共に、下記式1’~式4を満足する化学成分組成を有し、
フェライト、ベイナイト、及びパーライトからなると共に、フェライトの相分率が5%以上50%未満、ベイナイトの相分率が50%以上、パーライトの相分率が5%以下である内部金属組織を有し、
上記表面硬化層においては、硬さが513HV以上の硬化深さが0.30mm以上であり、γ’相及びε相を含む化合物層が10μm以上の厚みで表面に存在し、かつ、上記化合物層においては、γ’相の相分率が80%以上である、窒化鋼部品。
式1’:3Mn+2Cr+10Mo≧4.0、
式2’:1.0≦10C+Mn+Si≦3.0、
式3:285V+7800N-0.34V/N+900≦1150、
式4:-2Si+5Cr+6Al+2V+5Mo≦10.0
(ただし、式1’~式4における元素記号は、各元素の含有率(質量%)の値を示す。)
【請求項3】
上記化学成分組成は、さらに、下記式5を満足する、請求項1又は2に記載の窒化鋼部品。
式5:Si+10Al≧0.4
(ただし、式5における元素記号は、各元素の含有率(質量%)の値を示す。)
【請求項4】
上記表面硬化層の内方に、ブラウナイト層が存在しない、あるいは10μm以下の厚さで存在する、請求項1又は2に記載の窒化鋼部品。
【請求項5】
請求項1又は2に記載の窒化鋼部品を製造する方法であって、上記化学成分組成を有すると共に所望形状を有する鋼部品を準備し、該鋼部品に窒化処理を施して表面硬化層を設けるにあたり、上記窒化処理は、下記式A及び式Bを満足する条件において行う、窒化鋼部品の製造方法。
式A:-3.04×t+0.00517×T×t≧35、
式B:1.3≦log
10
Kn+0.003×T≦1.6
(ただし、T:窒化処理温度(℃)、t:窒化処理時間(分)、Kn:窒化ポテンシャル(atm
-0.5
))

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、窒化鋼部品及びその製造方法に関する。
続きを表示(約 2,600 文字)【背景技術】
【0002】
例えば自動車用歯車やシャフトのように高い疲労強度を必要とする鋼部品は、表面硬化を目的とした浸炭、高周波熱処理等の処理が施されている。これらの処理は、鋼部品をオーステナイト変態域まで加熱した後、焼入れを行うため、熱又はマルテンサイト変態に起因した歪の発生が問題になる。この歪については、オーステナイト変態温度以下において処理が行われる窒化処理を採用することによって抑制が可能である。
【0003】
しかしながら、窒化処理はその処理温度が低いため、必要な疲労強度を確保するために十分な硬化深さを得ようとすると長時間の処理が必要となり、高い生産性を確保することが困難となる。生産性を向上させるため、長時間処理の代わりに窒化処理温度を可能な範囲で上昇させることによって硬化深さを増加させ、これにより疲労強度向上を図ることも考えられるが、その効果だけではまだ十分とは言えない。
【0004】
なお、本願における「窒化処理」とは、鋼表面から実質的に窒素のみを侵入させて主に窒化物からなる化合物層及び芯部に比べ窒素含有率の高い状態で固溶強化・析出強化させた表面拡散層を形成する処理であり、窒素と共に炭素を侵入させて主に炭窒化物からなる化合物層及び芯部に比べ窒素と炭素含有率の高い状態で固溶強化・析出強化させた表面拡散層を形成する「軟窒化処理」と区別される狭義の窒化処理を意味する。
【0005】
窒化処理を適用した窒化鋼に関する先行技術としては、例えば、特許文献1がある。ここには、窒化処理を3段階で行い、それぞれの窒化処理において窒化ポテンシャルを変化させ、表層の化合物層におけるγ’相の体積割合を向上させ、疲労強度を向上させることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
特開2017-160517号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記特許文献1の技術によれば、ある程度の疲労強度向上を実現できる可能性があるが、芯部硬さ+50HV(かなり低い硬さ基準と考えられる)となる深さと定義されている実用硬化深さが0.24~0.37mm程度となっており、この効果はまだ十分とは言えない。また、窒化処理の手法も複数段異なる条件で行う必要があり、比較的煩雑であるといえる。そのため、窒化処理を煩雑化させることなく、更に窒化処理による疲労強度向上効果を高められる技術が求められていた。また、窒化鋼部品においては、疲労強度だけでなく静的強度も兼ね備えた特性が求められる。
【0008】
本発明は、かかる背景に鑑みてなされたものであり、疲労強度を従来よりも高めることができると共に静的強度も兼ね備えた窒化鋼部品及びその製造方法を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第1の態様は、窒化処理による表面硬化層を有する窒化鋼部品であって、
質量%で、必須元素として、C:0.05~0.15%、Si:0.05~0.90%、Mn:0.90~1.50%、Cr:1.31~2.00%、Al:0.001~0.080%、V:0.10~0.70%、Mo:0.05~0.30%、N:0.0020~0.0180%を含有し、
任意元素として、Ca:0.0005~0.0050%、Nb:0.01~0.10%、B:0.0005~0.0050%、及びTi:0.01~0.10%の少なくとも1種を含有し、残部がFe及び不可避的不純物よりなると共に、下記式1~式4を満足する化学成分組成を有し、
フェライト、ベイナイト、及びパーライトからなると共に、フェライトの相分率が5%以上50%未満、ベイナイトの相分率が50%以上、パーライトの相分率が5%以下である内部金属組織を有し、
上記表面硬化層においては、硬さが513HV以上の硬化深さが0.30mm以上であり、γ’相及びε相を含む化合物層が10μm以上の厚みで表面に存在し、かつ、上記化合物層においては、γ’相の相分率が80%以上である、窒化鋼部品にある。
式1:3Mn+2Cr+10Mo≧7.0、
式2:2.0≦10C+Mn+Si≦3.0、
式3:285V+7800N-0.34V/N+900≦1150、
式4:-2Si+5Cr+6Al+2V+5Mo≦10.0
(ただし、式1~式4における元素記号は、各元素の含有率(質量%)の値を示す。)
【0010】
本発明の第2の態様は、窒化処理による表面硬化層を有する窒化鋼部品であって、
質量%で、必須元素として、C:0.05~0.15%、Si:0.05~0.90%、Mn:0.30~1.50%、Cr:1.31~2.00%、Al:0.001~0.080%、V:0.10~0.70%、N:0.0020~0.0180%、B:0.0005~0.0050%を含有し、
任意元素として、Mo:0.00~0.30%、Ca:0.0005~0.0050%、Nb:0.01~0.10%、及びTi:0.01~0.10%の少なくとも1種を含有し、残部がFe及び不可避的不純物よりなると共に、下記式1’~式4を満足する化学成分組成を有し、
フェライト、ベイナイト、及びパーライトからなると共に、フェライトの相分率が5%以上50%未満、ベイナイトの相分率が50%以上、パーライトの相分率が5%以下である内部金属組織を有し、
上記表面硬化層においては、硬さが513HV以上の硬化深さが0.30mm以上であり、γ’相及びε相を含む化合物層が10μm以上の厚みで表面に存在し、かつ、上記化合物層においては、γ’相の相分率が80%以上である、窒化鋼部品にある。
式1’:3Mn+2Cr+10Mo≧4.0、
式2’:1.0≦10C+Mn+Si≦3.0、
式3:285V+7800N-0.34V/N+900≦1150、
式4:-2Si+5Cr+6Al+2V+5Mo≦10.0
(ただし、式1’~式4における元素記号は、各元素の含有率(質量%)の値を示す。)
(【0011】以降は省略されています)

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