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公開番号2024126659
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-09-20
出願番号2023035204
出願日2023-03-08
発明の名称因子抽出システム、因子抽出方法、因子抽出プログラム
出願人国立大学法人 東京大学
代理人個人,個人,個人,個人,個人
主分類G16B 15/00 20190101AFI20240912BHJP(特定の用途分野に特に適合した情報通信技術)
要約【課題】結合に対する寄与度を考慮する。
【解決手段】因子抽出システムは、対象タンパク質とペア化合物とが結合したタンパク質複合体の構造情報に基づいて、構造情報が示す構造に含まれる複数の原子の座標を所定の分だけ変化させた複数の初期構造情報を生成する初期構造生成部と、複数の初期構造情報のそれぞれに基づいて計算される、タンパク質複合体を含む系に対するシミュレーションにより至る所定の状態に対応するシミュレーション結果構造情報を取得する結果構造取得部と、シミュレーション結果構造情報に基づいて、対象タンパク質に含まれる対象原子とペア化合物に含まれるペア原子との結合への寄与度を評価する寄与度評価部と、評価される寄与度に基づいて、系に含まれる複数の原子のうち、結合へ寄与する少なくとも1つの原子を含む第1因子を抽出する第1因子抽出部と、を備える。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
対象タンパク質と前記対象タンパク質と結合するペア化合物とが結合したタンパク質複合体の構造に関する構造情報に基づいて、前記構造情報が示す構造に含まれる複数の原子の座標を所定の分だけ変化させた複数の初期構造に関する複数の初期構造情報を生成する初期構造生成部と、
前記複数の初期構造情報のそれぞれに基づいて計算される、前記タンパク質複合体を含む系に対するシミュレーションにより至る所定の状態に対応する前記タンパク質複合体の構造に関するシミュレーション結果構造情報を取得する結果構造取得部と、
前記シミュレーション結果構造情報に基づいて、前記対象タンパク質に含まれる少なくとも1つの対象原子と前記ペア化合物に含まれる少なくとも1つのペア原子との結合への寄与度を評価する寄与度評価部と、
前記評価される寄与度に基づいて、前記系に含まれる複数の原子のうち、前記少なくとも1つの対象原子と前記少なくとも1つのペア原子との結合へ寄与する少なくとも1つの原子を含む第1因子を抽出する第1因子抽出部と、
を備える因子抽出システム。
続きを表示(約 1,700 文字)【請求項2】
前記構造情報及び前記構造情報を初期構造とする前記シミュレーション結果構造情報の少なくともいずれかに基づいて、前記第1因子の前記結合への寄与に関与する少なくとも1つの原子を含む第2因子を抽出する第2因子抽出部をさらに備える、請求項1に記載の因子抽出システム。
【請求項3】
前記初期構造生成部は、前記少なくとも1つの対象原子と前記少なくとも1つのペア原子との距離を所定の距離にした、前記複数の初期構造情報を生成し、
前記シミュレーション結果構造情報は、前記所定の状態における、前記少なくとも1つの対象原子と前記少なくとも1つのペア原子との結合の有無に関する結合有無情報を含み、
前記寄与度評価部は、前記結合有無情報に基づいて、前記寄与度を評価する、
請求項1又は2に記載の因子抽出システム。
【請求項4】
前記第2因子抽出部は、前記構造情報及び前記構造情報を初期構造とする前記シミュレーション結果構造情報の少なくともいずれかが示す前記タンパク質複合体の構造における、前記第1因子、前記少なくとも1つの対象原子、及び前記少なくとも1つのペア原子のそれぞれとの、原子の位置関係及び相互作用の有無の少なくともいずれかにさらに基づいて、前記第2因子を抽出する、
請求項2に記載の因子抽出システム。
【請求項5】
前記第2因子は、前記ペア化合物に含まれる原子である、請求項2又は4に記載の因子抽出システム。
【請求項6】
前記第2因子は、前記構造情報が示す構造において、前記少なくとも1つの対象原子及び前記少なくとも1つのペア原子の少なくともいずれかと結合しない原子である、請求項2又は4に記載の因子抽出システム。
【請求項7】
コンピュータが、
対象タンパク質と前記対象タンパク質と結合するペア化合物とが結合したタンパク質複合体の構造に関する構造情報に基づいて、前記構造情報が示す構造に含まれる複数の原子の座標を所定の分だけ変化させた複数の初期構造に関する複数の初期構造情報を生成し、
前記複数の初期構造情報のそれぞれに基づいて計算される、前記タンパク質複合体を含む系に対するシミュレーションにより至る所定の状態に対応する前記タンパク質複合体の構造に関するシミュレーション結果構造情報を取得し、
前記シミュレーション結果構造情報に基づいて、前記対象タンパク質に含まれる少なくとも1つの対象原子と前記ペア化合物に含まれる少なくとも1つのペア原子との結合への寄与度を評価し、
前記評価される寄与度に基づいて、前記系に含まれる複数の原子のうち、前記少なくとも1つの対象原子と前記少なくとも1つのペア原子との結合へ寄与する少なくとも1つの原子を含む第1因子を抽出する、
因子抽出方法。
【請求項8】
コンピュータに、
対象タンパク質と前記対象タンパク質と結合するペア化合物とが結合したタンパク質複合体の構造に関する構造情報に基づいて、前記構造情報が示す構造に含まれる複数の原子の座標を所定の分だけ変化させた複数の初期構造に関する複数の初期構造情報を生成する初期構造生成部と、
前記複数の初期構造情報のそれぞれに基づいて計算される、前記タンパク質複合体を含む系に対するシミュレーションにより至る所定の状態に対応する前記タンパク質複合体の構造に関するシミュレーション結果構造情報を取得する結果構造取得部と、
前記シミュレーション結果構造情報に基づいて、前記対象タンパク質に含まれる少なくとも1つの対象原子と前記ペア化合物に含まれる少なくとも1つのペア原子との結合への寄与度を評価する寄与度評価部と、
前記評価される寄与度に基づいて、前記系に含まれる複数の原子のうち、前記少なくとも1つの対象原子と前記少なくとも1つのペア原子との結合へ寄与する少なくとも1つの原子を含む第1因子を抽出する第1因子抽出部と、
を実現させるための因子抽出プログラム。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、因子抽出システム、因子抽出方法、因子抽出プログラムに関する。
続きを表示(約 2,300 文字)【背景技術】
【0002】
従来、互いに結合するタンパク質及び化合物において、当該結合に関与する因子を抽出する手法が知られていた。
【0003】
例えば、特許文献1に記載されているタンパク質解析支援装置は、タンパク質とそのタンパク質の近傍に存在する化合物の三次元構造データを記述したデータベースを用いて、指定された化合物と相互作用すると予測される指定されたタンパク質のアミノ酸残基部分の情報を得るための装置である。当該装置は、当該データベースを用いて指定された化合物において指定された種類の各原子と所定距離内に存在する指定されたタンパク質において指定された種類の原子を含むアミノ酸残基を検索する検索手段と、検索結果として得られた各アミノ酸残基を、所定の表記規則に従って、当該指定されたタンパク質を構成するアミノ酸残基の一次配列の順に配列してパターン化した配列パターンを生成する配列パターン生成手段とを有する。当該装置は、この配列パターンを、指定された化合物と相互作用するタンパク質のアミノ酸残基部分を含む部分の一次配列構造を表す情報として得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
特開2000-222421号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載されているタンパク質解析支援装置では、所定距離内にあるアミノ酸残基を因子として抽出するにすぎず、因子の抽出に際して、タンパク質と化合物との結合に対する寄与度を考慮していない。
【0006】
そこで、本発明は、結合に対する寄与度を考慮することが可能な因子抽出システム、因子抽出方法、因子抽出プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様に係る因子抽出システムは、対象タンパク質と対象タンパク質と結合するペア化合物とが結合したタンパク質複合体の構造に関する構造情報に基づいて、構造情報が示す構造に含まれる複数の原子の座標を所定の分だけ変化させた複数の初期構造に関する複数の初期構造情報を生成する初期構造生成部と、複数の初期構造情報のそれぞれに基づいて計算される、タンパク質複合体を含む系に対するシミュレーションにより至る所定の状態に対応するタンパク質複合体の構造に関するシミュレーション結果構造情報を取得する結果構造取得部と、シミュレーション結果構造情報に基づいて、対象タンパク質に含まれる少なくとも1つの対象原子とペア化合物に含まれる少なくとも1つのペア原子との結合への寄与度を評価する寄与度評価部と、評価される寄与度に基づいて、系に含まれる複数の原子のうち、少なくとも1つの対象原子と少なくとも1つのペア原子との結合へ寄与する少なくとも1つの原子を含む第1因子を抽出する第1因子抽出部と、を備える。
【0008】
本発明の一態様に係る因子抽出方法は、コンピュータが、対象タンパク質と対象タンパク質と結合するペア化合物とが結合したタンパク質複合体の構造に関する構造情報に基づいて、構造情報が示す構造に含まれる複数の原子の座標を所定の分だけ変化させた複数の初期構造に関する複数の初期構造情報を生成し、複数の初期構造情報のそれぞれに基づいて計算される、タンパク質複合体を含む系に対するシミュレーションにより至る所定の状態に対応するタンパク質複合体の構造に関するシミュレーション結果構造情報を取得し、シミュレーション結果構造情報に基づいて、対象タンパク質に含まれる少なくとも1つの対象原子とペア化合物に含まれる少なくとも1つのペア原子との結合への寄与度を評価し、評価される寄与度に基づいて、系に含まれる複数の原子のうち、少なくとも1つの対象原子と少なくとも1つのペア原子との結合へ寄与する少なくとも1つの原子を含む第1因子を抽出する。
【0009】
本発明の一態様に係る因子抽出プログラムは、コンピュータに、対象タンパク質と対象タンパク質と結合するペア化合物とが結合したタンパク質複合体の構造に関する構造情報に基づいて、構造情報が示す構造に含まれる複数の原子の座標を所定の分だけ変化させた複数の初期構造に関する複数の初期構造情報を生成する初期構造生成部と、複数の初期構造情報のそれぞれに基づいて計算される、タンパク質複合体を含む系に対するシミュレーションにより至る所定の状態に対応するタンパク質複合体の構造に関するシミュレーション結果構造情報を取得するシミュレーション結果取得部と、シミュレーション結果構造情報に基づいて、対象タンパク質に含まれる少なくとも1つの対象原子とペア化合物に含まれる少なくとも1つのペア原子との結合への寄与度を評価する寄与度評価部と、評価される寄与度に基づいて、系に含まれる複数の原子のうち、少なくとも1つの対象原子と少なくとも1つのペア原子との結合へ寄与する少なくとも1つの原子を含む第1因子を抽出する第1因子抽出部と、を実現させる。
【0010】
なお、本発明において、「部」とは、単に物理的手段を意味するものではなく、その「部」が有する機能をソフトウェアによって実現する場合も含む。また、1つの「部」又は装置が有する機能が2つ以上の物理的手段、装置、又はソフトウェアにより実現されても、2つ以上の「部」又は装置の機能が1つの物理的手段、装置、又はソフトウェアにより実現されてもよい。
【発明の効果】
(【0011】以降は省略されています)

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