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公開番号
2024123483
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2024-09-12
出願番号
2023030933
出願日
2023-03-01
発明の名称
メタロ超分子ペプチドゲル形成用配位子、並びにこれを用いたメタロ超分子ペプチドゲルおよび薬物送達システム
出願人
国立大学法人 宮崎大学
代理人
IBC一番町弁理士法人
主分類
C07K
5/097 20060101AFI20240905BHJP(有機化学)
要約
【課題】ペプチドを用いてゲルを形成する技術において、安全性や生体適合性を向上させうる手段を提供する。
【解決手段】下記化学式(1)で表されるペプチドを、メタロ超分子ペプチドゲル形成用配位子として用いる:
His-X
1
-X
2
-X
3
・・・(1)
式中、X
1
は、Leu、Ile、PheおよびTyrからなる群から選択され、X
2
は、任意のアミノ酸であり、X
3
は、不存在であるか、任意のアミノ酸である。
【選択図】図1C
特許請求の範囲
【請求項1】
下記化学式(1)で表されるペプチドからなる、メタロ超分子ペプチドゲル形成用配位子:
His-X
1
-X
2
-X
3
・・・(1)
式中、X
1
は、Leu、Ile、PheおよびTyrからなる群から選択され、X
2
は、任意のアミノ酸であり、X
3
は、不存在であるか、任意のアミノ酸である。
続きを表示(約 720 文字)
【請求項2】
水中で金属イオンに応答してゲルを形成する、請求項1に記載のメタロ超分子ペプチドゲル形成用配位子。
【請求項3】
X
1
がIleである、請求項1または2に記載のメタロ超分子ペプチドゲル形成用配位子。
【請求項4】
前記ペプチドが、HII、HFF、HLL、HIV、HIA、HIL、HID、HIT、HIF、HYY、HIW、HIY、HIIH、およびHIIIからなる群から選択される、請求項1または2に記載のメタロ超分子ペプチドゲル形成用配位子。
【請求項5】
請求項1または2に記載のメタロ超分子ペプチドゲル形成用配位子と、
水を含む溶媒と、
を含み、pHが3を超えて7未満である、メタロ超分子ペプチドゲル形成用ペプチド溶液。
【請求項6】
pHが4~6である、請求項5に記載のメタロ超分子ペプチドゲル形成用ペプチド溶液。
【請求項7】
溶液中の前記メタロ超分子ペプチドゲル形成用配位子の濃度が15mM以上である、請求項5に記載のメタロ超分子ペプチドゲル形成用ペプチド溶液。
【請求項8】
金属イオンをさらに含む、請求項5に記載のメタロ超分子ペプチドゲル形成用ペプチド溶液。
【請求項9】
前記金属イオンが銅(II)イオンである、請求項8に記載のメタロ超分子ペプチドゲル形成用ペプチド溶液。
【請求項10】
溶液中の前記金属イオンの濃度が15mM以上である、請求項8に記載のメタロ超分子ペプチドゲル形成用ペプチド溶液。
(【請求項11】以降は省略されています)
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、メタロ超分子ペプチドゲル形成用配位子、並びにこれを用いたメタロ超分子ペプチドゲルおよび薬物送達システムに関する。
続きを表示(約 2,100 文字)
【背景技術】
【0002】
近年、医薬品開発や化粧品開発等の分野で,投与された物質の効能をより適切に発揮させ、かつ副作用を低減するために、DDS(ドラッグデリバリーシステム)製剤の研究開発が盛んに行われてきた。DDSキャリアには患部に物質を選択的かつ効率的に送達する標的指向性、到達後に物質を速やかに放出する放出制御性といった高度な機能性が求められ、さらにキャリア材料自体は物質の担持容量が大きく、高い生体適合性を持つこと等、多くの条件を満たす必要がある。しかしながら、現時点でこれら全てを同時に満たすDDSキャリアは極めて少ないのが現状である。
【0003】
従来、難水溶性物質の水溶性を改善するための製剤技術として、安全性の高い食用タンパク質酵素分解物(カゼイン消化ペプチド)をDDSキャリアに用い、消化ペプチドとの複合化によって、多くの難水溶性薬物の水溶性や細胞膜透過性が向上することが報告されている(非特許文献1)。しかしながら、その溶解特性は物質種に大きく依存し、中には溶解性がほとんど向上しない物質も存在するという問題があった。これは、消化ペプチドには物質の水溶化に寄与しないペプチドやそのドメインが数多く含まれており、物質との複合体の安定性が低いことや、薬物放出制御性が低いことなどによるものと考えられる。
【0004】
また、ペプチドをベースとした超分子ゲルはその生体適合性,生分解性,多様な配列による調整因子の自由度の高さから極めて重要な研究分野となっており、これまでに水溶液中で自己組織化してゲル化するペプチド誘導体の研究例は数多く報告されている(非特許文献2~非特許文献6)。しかしながら、ほとんどの場合、そのペプチドは末端保護や高疎水性置換基で修飾されたものであるか、高親水性ペプチド(酸性・塩基性アミノ酸を連続して並べた配列をもつペプチド)に脂肪酸やアルキル基などの疎水性置換基を修飾した長鎖両親媒性ペプチド誘導体などを対象とした研究である。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
Inada et al., Colloid. Surf. B, 208, 112062 (2021)
Marchesan et al., Chem. Commun., 48, 2195-2197 (2012)
Ishida et al., Chem. Eur. J. 25, 13523-13530 (2019)
Elsawy et al., Biomacromolecules, 23, 2624-2634 (2022)
Guchhalt et al., Colloids and Surfaces A: Physicochemical and Engineering Aspects, 618, 126483 (2021)
Pappas et al., Mater. Horiz., 2, 198 (2015)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来提案されている、ペプチドを用いてゲルを形成する技術では、形成されたゲルの安全性や生体適合性が低いという問題がある。
【0007】
そこで本発明は、ペプチドを用いてゲルを形成する技術において、安全性や生体適合性を向上させうる手段を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意検討を行った。その過程で、種々のペプチドを配位子として用いて、金属イオンと水溶液中で反応させることを試みた。その結果、驚くべきことに、特定の構造を有する未修飾単鎖ペプチドが水溶液中で金属イオンと錯形成すると均一な超分子ヒドロゲル(メタロ超分子ポリマーが溶媒で膨潤した構造体)を形成することを見出した。そして、物質担体としては報告例の少ないこのようなメタロ超分子ペプチドゲル(MSPG)はDDSキャリアとして利用可能ではないかと着想して、本発明を完成させるに至った。
【0009】
すなわち、本発明の一形態によれば、下記化学式(1)で表されるペプチドからなる、メタロ超分子ペプチドゲル形成用配位子が提供される:
His-X
1
-X
2
-X
3
・・・(1)
式中、X
1
は、Leu、Ile、PheおよびTyrからなる群から選択され、X
2
は、任意のアミノ酸であり、X
3
は、不存在であるか、任意のアミノ酸である。
【0010】
また、本発明の他の形態によれば、上述した本発明の一形態に係るメタロ超分子ペプチドゲル形成用配位子と、水を含む溶媒とを含み、pHが3を超えて7未満である、メタロ超分子ペプチドゲル形成用ペプチド溶液が提供される。
(【0011】以降は省略されています)
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