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公開番号2024121313
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-09-06
出願番号2023028346
出願日2023-02-27
発明の名称処理装置および処理方法
出願人国立大学法人東海国立大学機構
代理人個人
主分類G06Q 50/06 20240101AFI20240830BHJP(計算;計数)
要約【課題】水道管路被害が地域経済活動に与える経済機会の損失を推定する技術を提供する。
【解決手段】部分地域売上高導出部100は、部分地域売上高を前記部分地域毎に導出する。管網解析部104は、離散的被害推定部102の推定結果を管網解析することによって、断水率を部分地域毎に導出する。電力被害推定部106は、停電率を部分地域毎に推定する。建物被害推定部108は、合計被害率を部分地域毎に推定する。製造業活動可能率導出部110は、断水率と停電率と合計被害率とをもとに製造業活動可能率を部分地域毎に導出する。非製造業活動可能率導出部112は、非製造業活動可能率を部分地域毎に導出する。経済機会損失導出部114は、部分地域売上高と製造業活動可能率と非製造業活動可能率とをもとに導出した値を複数の部分地域にわたって加算することによって、経済機会損失を導出する。
【選択図】図2
特許請求の範囲【請求項1】
対象地域を分割した複数の部分地域のそれぞれに対して、1人あたり売上高と部分地域内の従業員数を乗算することによって、部分地域売上高を前記部分地域毎に導出する部分地域売上高導出部と、
前記対象地域に埋設された複数の水道管のそれぞれに属性が対応づけられており、最大速度と被害率による被害関数を属性グループ毎に取得してから、前記対象地域に埋設された複数の水道管に対して前記被害関数とポアソン分布によるモンテカルロ法を実行することによって、水道管毎の被害を推定する離散的被害推定部と、
前記離散的被害推定部の推定結果を管網解析することによって、しきい値未満の水圧となる取水点を断水状態として、断水状態の取水点の割合が示される断水率を部分地域毎に導出する管網解析部と、
過去の電力復旧曲線をもとに、停電率を部分地域毎に推定する電力被害推定部と、
地震による建築物被害率と津波による建築物被害率とをもとに合計被害率を部分地域毎に推定する建物被害推定部と、
断水率と停電率と合計被害率とをもとに製造業活動可能率を部分地域毎に導出する製造業活動可能率導出部と、
水道、電力、建物が必要と判定された業種の第三次産業活動指数に用いられるウエイトを合計した水道の影響評価点数と電力の影響評価点数と建物の影響評価点数を取得し、水道、電力、建物のそれぞれか使用可能または使用不可能で分類された複数の状況のそれぞれに対して、断水率と停電率と合計被害率とをもとにした状況別割合と、水道の影響評価点数と電力の影響評価点数と建物の影響評価点数をもとにした状況別活動割合とを乗算してから、複数の状況における乗算結果を加算することによって、非製造業活動可能率を部分地域毎に導出する非製造業活動可能率導出部と、
部分地域売上高と製造業活動可能率と非製造業活動可能率とをもとに導出した値を複数の部分地域にわたって加算することによって、経済機会損失を導出する経済機会損失導出部と、
を備える処理装置。
続きを表示(約 1,600 文字)【請求項2】
前記対象地域に埋設された複数の水道管のそれぞれに対応づけられた属性は、管路属性、ハザード属性、地域属性を含む請求項1に記載の処理装置。
【請求項3】
前記管網解析部は、被害を受けた水道管の途中から漏水させる管路漏水と、被害を受けた水道管を除いて残った水道管の端部から漏水させる管路逸脱とを混合して、管網分析を実行する請求項1に記載の処理装置。
【請求項4】
前記建物被害推定部は、延べ床面積データをもとに、木造・非木造・築年別の複数の区分に対して延べ床面積割合を導出し、震度と全半壊率曲線から求めた各区分の被害率を延べ床面積割合で按分することによって、地震による建築物被害率を部分地域毎に推定し、
前記建物被害推定部は、木造・非木造建築物の割合を取得し、津波浸水深に対する全半壊率曲線から木造・非木造建築物それぞれの被害率を導出することによって、津波による建築物被害率を部分地域毎に推定し、
前記建物被害推定部は、津波による建築物被害率+(1-津波による建築物被害率)×地震による建築物被害率の計算を実行することによって、合計被害率を部分地域毎に推定する請求項1に記載の処理装置。
【請求項5】
前記製造業活動可能率導出部は、(1-合計被害率)×(A×(1-断水率)+B×(1-停電率))の計算を実行することによって、製造業活動可能率を部分地域毎に導出する請求項1に記載の処理装置。
【請求項6】
管路工事の復旧速度をもとに、前記離散的被害推定部において推定された水道管毎の被害の一部を復旧させる応急復旧処理部をさらに備え、
前記管網解析部、前記電力被害推定部、前記建物被害推定部、前記製造業活動可能率導出部、前記非製造業活動可能率導出部、前記経済機会損失導出部は、被害の一部が復旧された水道管に対して処理を繰り返す請求項1から5のいずれか1項に記載の処理装置。
【請求項7】
対象地域を分割した複数の部分地域のそれぞれに対して、1人あたり売上高と部分地域内の従業員数を乗算することによって、部分地域売上高を前記部分地域毎に導出するステップと、
前記対象地域に埋設された複数の水道管のそれぞれに属性が対応づけられており、最大速度と被害率による被害関数を属性グループ毎に取得してから、前記対象地域に埋設された複数の水道管に対して前記被害関数とポアソン分布によるモンテカルロ法を実行することによって、水道管毎の被害を推定するステップと、
推定結果を管網解析することによって、しきい値未満の水圧となる取水点を断水状態として、断水状態の取水点の割合が示される断水率を部分地域毎に導出するステップと、
過去の電力復旧曲線をもとに、停電率を部分地域毎に推定するステップと、
地震による建築物被害率と津波による建築物被害率とをもとに合計被害率を部分地域毎に推定するステップと、
断水率と停電率と合計被害率とをもとに製造業活動可能率を部分地域毎に導出するステップと、
水道、電力、建物が必要と判定された業種の第三次産業活動指数に用いられるウエイトを合計した水道の影響評価点数と電力の影響評価点数と建物の影響評価点数を取得し、水道、電力、建物のそれぞれか使用可能または使用不可能で分類された複数の状況のそれぞれに対して、断水率と停電率と合計被害率とをもとにした状況別割合と、水道の影響評価点数と電力の影響評価点数と建物の影響評価点数をもとにした状況別活動割合とを乗算してから、複数の状況における乗算結果を加算することによって、非製造業活動可能率を部分地域毎に導出するステップと、
部分地域売上高と製造業活動可能率と非製造業活動可能率とをもとに導出した値を複数の部分地域にわたって加算することによって、経済機会損失を導出するステップと、
を備える処理方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本開示は、処理技術に関し、特に災害による経済機会の損失を推定する処理装置および処理方法に関する。
続きを表示(約 3,000 文字)【背景技術】
【0002】
非特許文献1では、地震工学と経済学の接点を求め、学術的研究の新領域を開くことを目的にその関係をまとめる中で、地震後のフロー損失の算出方法が3つ挙げられている。そのうちの1つでは、震災以前のデータを用いて、産業毎の生産関数を想定し、各部門の資本ストックの毀損による産出高減少分を算出する方法が揚げられている。この方法は、震災以前の情報から行う手法であるので、被災前の被害額のシミュレーションとして用いることができる(例えば、非特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
豊田利久、「地震と経済学:地震工学との接点を求めて」、国民経済雑誌、2001年、第183巻、p.1-12
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
大規模災害が発生した際の経済損失は、直接的な被害による資産(ストック)の損失とその後の経済活動の機会損失に伴う間接的な(フロー)損失に分けられる。そのため、フロー損失を含めた経済機会の損失を推定することが求められる。
【0005】
本開示はこうした状況に鑑みてなされており、その目的とするところの1つは、水道管路被害が地域経済活動に与える経済機会の損失を推定する技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本開示のある態様の処理装置は、対象地域を分割した複数の部分地域のそれぞれに対して、1人あたり売上高と部分地域内の従業員数を乗算することによって、部分地域売上高を部分地域毎に導出する部分地域売上高導出部と、対象地域に埋設された複数の水道管のそれぞれに属性が対応づけられており、最大速度と被害率による被害関数を属性グループ毎に取得してから、対象地域に埋設された複数の水道管に対して被害関数とポアソン分布によるモンテカルロ法を実行することによって、水道管毎の被害を推定する離散的被害推定部と、離散的被害推定部の推定結果を管網解析することによって、しきい値未満の水圧となる取水点を断水状態として、断水状態の取水点の割合が示される断水率を部分地域毎に導出する管網解析部と、過去の電力復旧曲線をもとに、停電率を部分地域毎に推定する電力被害推定部と、地震による建築物被害率と津波による建築物被害率とをもとに合計被害率を部分地域毎に推定する建物被害推定部と、断水率と停電率と合計被害率とをもとに製造業活動可能率を部分地域毎に導出する製造業活動可能率導出部と、水道、電力、建物が必要と判定された業種の第三次産業活動指数に用いられるウエイトを合計した水道の影響評価点数と電力の影響評価点数と建物の影響評価点数を取得し、水道、電力、建物のそれぞれか使用可能または使用不可能で分類された複数の状況のそれぞれに対して、断水率と停電率と合計被害率とをもとにした状況別割合と、水道の影響評価点数と電力の影響評価点数と建物の影響評価点数をもとにした状況別活動割合とを乗算してから、複数の状況における乗算結果を加算することによって、非製造業活動可能率を部分地域毎に導出する非製造業活動可能率導出部と、部分地域売上高と製造業活動可能率と非製造業活動可能率とをもとに導出した値を複数の部分地域にわたって加算することによって、経済機会損失を導出する経済機会損失導出部と、を備える。
【0007】
本開示の別の態様は、処理方法である。この方法は、対象地域を分割した複数の部分地域のそれぞれに対して、1人あたり売上高と部分地域内の従業員数を乗算することによって、部分地域売上高を部分地域毎に導出するステップと、対象地域に埋設された複数の水道管のそれぞれに属性が対応づけられており、最大速度と被害率による被害関数を属性グループ毎に取得してから、対象地域に埋設された複数の水道管に対して被害関数とポアソン分布によるモンテカルロ法を実行することによって、水道管毎の被害を推定するステップと、推定結果を管網解析することによって、しきい値未満の水圧となる取水点を断水状態として、断水状態の取水点の割合が示される断水率を部分地域毎に導出するステップと、過去の電力復旧曲線をもとに、停電率を部分地域毎に推定するステップと、地震による建築物被害率と津波による建築物被害率とをもとに合計被害率を部分地域毎に推定するステップと、断水率と停電率と合計被害率とをもとに製造業活動可能率を部分地域毎に導出するステップと、水道、電力、建物が必要と判定された業種の第三次産業活動指数に用いられるウエイトを合計した水道の影響評価点数と電力の影響評価点数と建物の影響評価点数を取得し、水道、電力、建物のそれぞれか使用可能または使用不可能で分類された複数の状況のそれぞれに対して、断水率と停電率と合計被害率とをもとにした状況別割合と、水道の影響評価点数と電力の影響評価点数と建物の影響評価点数をもとにした状況別活動割合とを乗算してから、複数の状況における乗算結果を加算することによって、非製造業活動可能率を部分地域毎に導出するステップと、部分地域売上高と製造業活動可能率と非製造業活動可能率とをもとに導出した値を複数の部分地域にわたって加算することによって、経済機会損失を導出するステップと、を備える。
【0008】
なお、以上の構成要素の任意の組合せ、本開示の表現を方法、装置、システム、記録媒体、コンピュータプログラムなどの間で変換したものもまた、本開示の態様として有効である。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、水道管路被害が地域経済活動に与える経済機会の損失を推定できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
本実施例の対象地域における上水道管網図である。
本実施例に係る処理装置の構成を示す図である。
本実施例に係る市町村別の従業員数と年間売上高との関係を示す散布図である。
図2の管路データベースのデータ構造を示す図である。
図5(a)-(b)は、図2の離散的被害推定部において取得される被害関数を示す図である。
図6(a)-(b)は、図2の離散的被害推定部における処理の概要を示す図である。
図2の離散的被害推定部における推定結果を示す上水道管網図である。
図8(a)-(c)は、図2の管網解析部における処理の概要を示す図である。
図2の過去電力復旧曲線データを示す図である。
図2の建物被害推定部により推定される発災直後の地震および津波による建物被害率分布を示す図である。
図2の非製造業活動可能率導出部において使用される分類を示す図である。
図2の応急復旧処理部において保持されるテーブルのデータ構造を示す図である。
図2の処理装置による断水人口の算出結果を示す図である。
図2の処理装置による消化機能回復過程の算出結果を示す図である。
図15(a)-(b)は、図2の処理装置による経済活動回復過程と経済機会損失の算出結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
(【0011】以降は省略されています)

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