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公開番号2024121199
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-09-06
出願番号2023028162
出願日2023-02-27
発明の名称セメント製造プロセスから生じる廃棄物の再利用循環方法及びそのシステム
出願人住友大阪セメント株式会社
代理人個人,個人,個人
主分類B09B 5/00 20060101AFI20240830BHJP(固体廃棄物の処理;汚染土壌の再生)
要約【課題】セメント製造プロセスからの廃棄物を循環させて有効利用する方法及び該方法の実施のための有用なシステムの提供。
【解決手段】セメント製造工程からの塩素バイパスダストを水洗して得られた塩化カリウムを含む水溶液を電気透析処理して塩酸水と水酸化カリウムを含む水溶液とを生成し、塩酸水の一部をカルシウム含有廃棄物に添加してCaイオンを含む水溶液を生成し、Caイオンを含有する水溶液のpHを調整して不純物を分離し、電気透析処理により得られた水酸化カリウムを含む水溶液にセメント製造工程からの二酸化炭素を接触させて炭酸カリウムを含む水溶液を生成し、分離工程を経たCaイオンを含む水溶液と炭酸カリウムとを用いて炭酸カルシウムと塩化カリウムを含む水溶液とを生成し、電気透析により得られた塩酸水の一部や生成した炭酸カルシウムを塩化ビニル樹脂等の調製に利用する、セメント製造プロセスからの廃棄物の再利用循環方法である。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
セメント製造プロセスから生じる廃棄物の再利用循環方法であって、
セメントを製造する際に生じる塩素バイパスダストを水洗処理して得られた塩化カリウム含む水溶液を電気透析処理して塩酸水と水酸化カリウムを含む水溶液とを生成する電気透析工程と、
前記電気透析工程で得られた塩酸水の一部を、カルシウム含有廃棄物に添加して、カルシウムを溶解させ、カルシウムイオンを含む水溶液を生成するカルシウム溶解工程と、
前記カルシウムイオンを含有する水溶液の水素イオン濃度指数を調整し、Si、Al、Mg、及び重金属からなる群より選ばれる少なくとも一つを含む成分を該カルシウムイオンを含有する水溶液から分離する分離工程と、
上記電気透析処理により生成された水酸化カリウムを含む水溶液にセメント製造プロセスから排出される二酸化炭素を接触させて炭酸カリウムを含む水溶液を生成する炭酸カリウム生成工程と、
前記分離工程を経たカルシウムイオンを含む水溶液と、前記炭酸カリウムとを用いて炭酸カルシウムと塩化カリウムを含む水溶液とを生成して、炭酸カルシウムを回収する炭酸カルシウム生成・回収工程とを備え、
前記電気透析工程で得られた塩酸水の一部を塩化ビニル樹脂の調製に用いるとともに、更に炭酸カルシウム生成・回収工程で得られた炭酸カルシウムを塩化ビニル樹脂の充填材として利用することを特徴とする、
セメント製造プロセスから生じる廃棄物の再利用循環方法。
続きを表示(約 2,900 文字)【請求項2】
セメント製造プロセスから生じる廃棄物の再利用循環方法であって、
セメントを製造する際に生じる塩素バイパスダストを水洗処理して得られた塩化カリウム含む水溶液を電気透析処理して塩酸水と水酸化カリウムを含む水溶液とを生成する電気透析工程と、
前記電気透析工程で得られた塩酸水の一部を、カルシウム含有廃棄物に添加して、カルシウムを溶解させ、カルシウムイオンを含む水溶液を生成するカルシウム溶解工程と、
前記カルシウムイオンを含有する水溶液の水素イオン濃度指数を調整し、Si、Al、Mg、及び重金属からなる群より選ばれる少なくとも一つを含む成分を該カルシウムイオンを含有する水溶液から分離する分離工程と、
前記分離工程を経たカルシウムイオンを含む水溶液のpHを、上記電気透析処理により生成された水酸化カリウムを用いて調整するpH調整工程と、
前記pH調整工程を経てpH調整されたカルシウムイオンを含む水溶液と、セメント製造プロセスから排出される二酸化炭素とを用いて炭酸カルシウムと塩化カリウムを含む水溶液とを生成して、炭酸カルシウムを回収する炭酸カルシウム生成・回収工程とを備え、
前記電気透析工程で得られた塩酸水の一部を塩化ビニル樹脂の調製に用いるとともに、更に炭酸カルシウム生成・回収工程で得られた炭酸カルシウムを塩化ビニル樹脂の充填材として利用することを特徴とする、
セメント製造プロセスから生じる廃棄物の再利用循環方法。
【請求項3】
請求項1又は2記載のセメント製造プロセスから生じる廃棄物の再利用循環方法において、炭酸カルシウム生成・回収工程により得られた塩化カリウムを含む水溶液を、前記電気透析処理工程において電気透析処理するか、又は、前記セメントを製造する際に生じる塩素バイパスダストの水洗処理に用いることを特徴とする、セメント製造プロセスから生じる廃棄物の再利用循環方法。
【請求項4】
請求項1又は2記載のセメント製造プロセスから生じる廃棄物の再利用循環方法において、前記塩化ビニル樹脂を調製する際に発生した廃棄物を、上記セメント製造プロセスにおける原燃料代替物として利用することを特徴とする、セメント製造プロセスから生じる廃棄物の再利用循環方法。
【請求項5】
請求項1又は2記載のセメント製造プロセスから生じる廃棄物の再利用循環方法において、該カルシウム含有廃棄物には、セメント製造設備の脱塩バイパス部分から得られる脱塩ダストを含むことを特徴とする、セメント製造プロセスから生じる廃棄物の再利用循環方法。
【請求項6】
セメント製造プロセスから生じる廃棄物の再利用循環システムであって、
セメントを製造する際に生じる塩素バイパスダストを水洗処理して得られた塩化カリウム含む水溶液を電気透析処理して塩酸水と水酸化カリウムを含む水溶液とを生成する電気透析手段と、
前記電気透析手段で得られた塩酸水の一部を、カルシウム含有廃棄物に添加して、カルシウムを溶解させ、カルシウムイオンを含む水溶液を生成するカルシウム溶解抽出手段と、
前記カルシウムイオンを含有する水溶液の水素イオン濃度指数を調整し、Si、Al、Mg、及び重金属からなる群より選ばれる少なくとも一つを含む成分を該カルシウムイオンを含有する水溶液から分離する分離手段と、
上記電気透析処理により生成された水酸化カリウムを含む水溶液にセメント製造プロセスから排出される二酸化炭素を接触させて炭酸カリウムを含む水溶液を生成する炭酸カリウム生成手段と、
前記分離手段を経たカルシウムイオンを含む水溶液と、前記炭酸カリウムとを用いて炭酸カルシウムと塩化カリウムを含む水溶液とを生成して、炭酸カルシウムを回収する炭酸カルシウム生成・回収手段とを備え、
前記電気透析処理手段で得られた塩酸水の一部を塩化ビニル樹脂の調製に用いるとともに、更に炭酸カルシウム生成・回収手段で得られた炭酸カルシウムを塩化ビニル樹脂の充填材として利用することを特徴とする、
セメント製造プロセスから生じる廃棄物の再利用循環システム。
【請求項7】
セメント製造プロセスから生じる廃棄物の再利用循環システムであって、
セメントを製造する際に生じる塩素バイパスダストを水洗処理して得られた塩化カリウム含む水溶液を電気透析処理して塩酸水と水酸化カリウムを含む水溶液とを生成する電気透析手段と、
前記電気透析手段で得られた塩酸水の一部を、カルシウム含有廃棄物に添加して、カルシウムを溶解させ、カルシウムイオンを含む水溶液を生成するカルシウム溶解抽出手段と、
前記カルシウムイオンを含有する水溶液の水素イオン濃度指数を調整し、Si、Al、Mg、及び重金属からなる群より選ばれる少なくとも一つを含む成分を該カルシウムイオンを含有する水溶液から分離する分離手段と、
前記分離手段を経たカルシウムイオンを含む水溶液のpHを、上記電気透析処理により生成された水酸化カリウムを用いて調整するpH調整手段と、
前記pH調整手段を経てpH調整されたカルシウムイオンを含む水溶液と、セメント製造プロセスから排出される二酸化炭素とを用いて炭酸カルシウムと塩化カリウムを含む水溶液とを生成して、炭酸カルシウムを回収する炭酸カルシウム生成・回収手段とを備え、
前記電気透析手段で得られた塩酸水の一部を塩化ビニル樹脂の調製に用いるとともに、更に炭酸カルシウム生成・回収手段で得られた炭酸カルシウムを塩化ビニル樹脂の充填材として利用することを特徴とする、
セメント製造プロセスから生じる廃棄物の再利用循環システム。
【請求項8】
請求項6又は7記載のセメント製造プロセスから生じる廃棄物の再利用循環システムにおいて、炭酸カルシウム生成・回収手段により得られた塩化カリウムを含む水溶液を、前記電気透析処理手段において電気透析処理するか、又は、前記セメントを製造する際に生じる塩素バイパスダストの水洗処理に用いることを特徴とする、セメント製造プロセスから生じる廃棄物の再利用循環システム。
【請求項9】
請求項6又は7記載のセメント製造プロセスから生じる廃棄物の再利用循環システムにおいて、前記塩化ビニル樹脂を調製する際に発生した廃棄物を、上記セメント製造プロセスにおける原燃料代替物として利用することを特徴とする、セメント製造プロセスから生じる廃棄物の再利用循環システム。
【請求項10】
請求項6又は7記載のセメント製造プロセスから生じる廃棄物の再利用循環システムにおいて、該カルシウム含有廃棄物には、セメント製造設備の脱塩バイパス部分から得られる脱塩ダストを含むことを特徴とする、セメント製造プロセスから生じる廃棄物の再利用循環システム。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、セメント製造プロセスから生じる廃棄物の再利用循環方法及びそのシステムに関し、特にセメント製造プロセスから生じる廃棄物から炭酸カルシウムを生成することができる当該廃棄物の再利用循環方法及び当該方法を有効に実施できるシステムに関するものである。
続きを表示(約 1,400 文字)【背景技術】
【0002】
炭酸カルシウムは、プラスチック、紙、塗料などの充填材、また農薬・肥料などの土壌改良剤、食品添加物や化粧品原料など、幅広い産業分野で利用されている。
炭酸カルシウムは、水酸化カルシウム水溶液に二酸化炭素を吹き込むことで合成したり、塩化カルシウム等のカルシウムイオンを含む水溶液と炭酸ナトリウム水溶液を混合させることで合成される。
【0003】
近年では、特許文献1に示すように、温室効果ガスである二酸化炭素を削減するため、二酸化炭素を固定化するプロセスの中で炭酸カルシウムを生成する場合がある。特許文献1では、大量のカルシウム等を供給するため、廃コンクリートや鉄鋼スラグ等の廃材や岩石などカルシウム含有廃棄物が利用されている。
【0004】
また、特許文献1では、カルシウム含有廃棄物からカルシウムを溶解させる方法として硝酸が利用されるが、この段階でカルシウムのみが溶出されるだけでなくマグネシウムなどの他の元素も水溶液中に溶解する。更に、特許文献1では、硝酸カルシウムや硝酸マグネシウムなどを含む水溶液に、水酸化ナトリウムと二酸化炭素とを接触して生成される炭酸ナトリウムの水溶液を導入し、炭酸カルシウムや炭酸マグネシウムを析出させている。
【0005】
また、特許文献1では、硝酸や水酸化ナトリウムの生成には、炭酸カルシウム等の析出工程で発生する硝酸ナトリウムを利用し、この硝酸ナトリウムをバイポーラ膜電気透析処理を行うことも開示されている。
【0006】
しかしながら、カルシウム含有廃棄物を用いる場合には、廃棄物自体がカルシウム以外の多くの不純物を含んでおり、生成する炭酸カルシウム自体の純度が低くなるという課題がある。
【0007】
また、塩化ビニル製品には、塩素の他に、増量材として炭酸カルシウムが利用されており、プラスチック、例えば塩化ビニル製品を製造する際の充填材として、高い純度の炭酸カルシウムの生産が求められていた。
【0008】
一方、セメント製造プロセスにおいては、カルシウム含有廃棄物、塩素バイパスダスト等の廃棄物や二酸化炭素の排ガスが発生する。
近年の地球環境的な環境負荷低減を図るためには、セメント製造プロセスから排出される廃棄物を有効に再利用することが望まれており、更に、二酸化炭素の大気中への放出量を低減して、地球温暖化を抑制することが望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
特開2012-96975号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明が解決しようとする課題は、上述したような問題を解決し、セメント製造プロセスから排出されるカルシウム含有廃棄物や二酸化炭素を利用して、炭酸カルシウムを生成するとともに、該炭酸カルシウムを調製する際に生成される塩酸をも有効利用して塩化ビニル樹脂や塩化ビニル樹脂製品の原料や充填材として利用する、セメント製造プロセスから排出される廃棄物を循環させて有効利用する方法及び該方法を実施するための有用なシステムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
(【0011】以降は省略されています)

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