TOP特許意匠商標
特許ウォッチ Twitter
10個以上の画像は省略されています。
公開番号2024099466
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-07-25
出願番号2023087175
出願日2023-05-26
発明の名称圧縮機ユニット
出願人株式会社神戸製鋼所
代理人個人,個人
主分類F04B 49/10 20060101AFI20240718BHJP(液体用容積形機械;液体または圧縮性流体用ポンプ)
要約【課題】液化水素のボイルオフガスの幅広い温度変化からその構成機器を適切に保護することができるレシプロ式の圧縮機ユニットを提供する。
【解決手段】圧縮機ユニット10において、起動時であって中間温度センサ46によって取得された温度TS1が0℃よりも大きい温度閾値T1以上である場合に、後続圧縮ステージ14から吐出された水素ガスが低圧ガス排出路53から低圧需要先D2に排出されるように需要先切替手段CV1を制御する。検出温度TS1が温度閾値T1未満となった場合には、高圧需要先D1に水素ガスが流れるように需要先切替手段CV1を制御する。そして、制御部50は、検出温度TS2が予め定められた温度範囲内となるようにスピルバック弁18bを制御する。前記温度範囲は、空気の液化温度に基づく基準温度よりも高く、0℃未満の範囲で設定されている。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
液体水素貯槽からボイルオフガスである水素ガスを回収し、その少なくとも一部をエンジン、発電設備又はボイラの少なくとも一つを含む高圧需要先(D1)に供給するレシプロ式の圧縮機ユニットであって、
吸込流路から吸入した水素ガスを圧縮する複数の圧縮ステージと、
前記複数の圧縮ステージを駆動するクランク機構と、
前記複数の圧縮ステージの吐出側の吐出流路に吐出された後の水素ガス又は前記複数の圧縮ステージの間の中間流路を流通する水素ガスを前記吸込流路に戻すスピルバック流路、および、前記スピルバック流路においてスピルバック量を調整するスピルバック弁を含むスピルバック部(SB1)と、
前記中間流路、又は、前記吐出流路に設けられた分岐点から分岐して、前記高圧需要先(D1)で要求される水素ガスの圧力よりも低い水素ガスを処理できる低圧需要先(D2)に水素ガスを排出可能な低圧ガス排出路と、
前記低圧ガス排出路または前記分岐点に設けられる需要先切替手段(CV1)と、
前記分岐点よりも下流側に位置する逆止弁と、
前記中間流路又は前記吐出流路において、前記分岐点よりも上流側に配置される第1温度センサと、
前記吸込流路において、前記スピルバック流路の接続部と前記複数の圧縮ステージの内の最前段の第1圧縮ステージとの間に配置される第2温度センサと、
前記需要先切替手段(CV1)および前記スピルバック弁を制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、
起動時であって前記第1温度センサによって取得された温度TS1が0℃より大きい所定の第1温度閾値T1以上である場合に、水素ガスを前記低圧ガス排出路に流通させる第1切替状態となるように前記需要先切替手段(CV1)を制御し、
前記第1温度センサによって取得された温度TS1が前記第1温度閾値T1未満になった場合に、水素ガスを前記高圧需要先(D1)に向けて前記吐出流路に送る第2切替状態となるように前記需要先切替手段(CV1)を制御し、
前記需要先切替手段(CV1)が前記第2切替状態である場合に、前記第2温度センサによって取得された吸込温度TS2を参照し、前記吸込温度TS2が予め定められた温度範囲内になるように、前記スピルバック弁を制御し、
前記予め定められた温度範囲は、空気の液化温度に基づく基準温度よりも高く、かつ、0℃未満の範囲で設定される、圧縮機ユニット。
続きを表示(約 3,300 文字)【請求項2】
前記逆止弁が前記吐出流路に設けられ、
前記分岐点は、前記吐出流路における前記逆止弁よりも上流側の位置に設けられている、請求項1に記載の圧縮機ユニット。
【請求項3】
前記第1圧縮ステージに吸入される前の水素ガスと、前記吐出流路に吐出された後の水素ガスとを熱交換可能なプレヒータと、
前記吐出流路における前記プレヒータの下流に配置される第3温度センサと、
前記プレヒータへの水素ガスの流入状態を調整可能な流量調整手段(FCV1)と、
をさらに備え、
前記制御部は、
前記需要先切替手段(CV1)が前記第2切替状態である場合に、
前記プレヒータによる前記吸込流路の水素ガスの加温を前記スピルバック部(SB1)による加温に対して優先して行えるように前記プレヒータへの水素ガスの流入量を増加させつつ、前記第3温度センサによって取得された前記プレヒータの下流側の温度TS3が閾値以下とならないように前記流量調整手段(FCV1)を制御し、
前記吸込温度TS2が前記予め定められた温度範囲よりも低い場合には、当該吸込温度TS2が前記予め定められた温度範囲内になるように、前記流量調整手段(FCV1)および前記スピルバック弁を制御する、請求項2に記載の圧縮機ユニット。
【請求項4】
前記第1圧縮ステージに吸入される前の水素ガスと、前記中間流路を流通する水素ガスとを熱交換可能なプレヒータと、
前記中間流路における前記プレヒータの下流に配置される第3温度センサと、
前記プレヒータへの水素ガスの流入状態を調整可能な流量調整手段(FCV1)と、
をさらに備え、
前記制御部は、
前記需要先切替手段(CV1)が前記第2切替状態である場合に、
前記プレヒータによる前記吸込流路の水素ガスの加温を前記スピルバック部(SB1)による加温に対して優先して行えるように前記プレヒータへの水素ガスの流入量を増加させ、前記第3温度センサによって取得された前記プレヒータの下流側の温度TS3が閾値以下とならないように前記流量調整手段(FCV1)を制御し、
前記吸込温度TS2が前記予め定められた温度範囲よりも低い場合には、当該吸込温度TS2が予め定められた温度範囲内になるように、前記流量調整手段(FCV1)および前記スピルバック弁を制御する、請求項2に記載の圧縮機ユニット。
【請求項5】
前記逆止弁が前記吐出流路に設けられ、
前記分岐点は、前記吐出流路における前記逆止弁よりも上流側に設けられており、
該圧縮機ユニットは、
前記中間流路に設けられた他の分岐点から分岐して、前記高圧需要先(D1)で要求される水素ガスの圧力よりも低い水素ガスを処理できる他の低圧需要先(D3)に水素ガスを排出可能な他の低圧ガス排出路と、
前記他の低圧ガス排出路または前記他の分岐点に設けられる第2需要先切替手段(CV2)と、
をさらに備え、
前記制御部は、
前記需要先切替手段(CV1)が前記第1切替状態である場合に、前記中間流路の水素ガスを前記他の低圧ガス排出路に流通させるように前記第2需要先切替手段(CV2)を制御し、
前記需要先切替手段(CV1)が前記第2切替状態である場合に、水素ガスを前記高圧需要先(D1)に向けて前記吐出流路に送るように前記第2需要先切替手段(CV2)を制御する、請求項1に記載の圧縮機ユニット。
【請求項6】
前記逆止弁が前記吐出流路に設けられ、
前記分岐点は、前記吐出流路における前記逆止弁よりも上流側の位置に設けられており、
該圧縮機ユニットは、
前記中間流路における他の分岐点から分岐して、前記高圧需要先(D1)で要求される水素ガスの圧力よりも低い水素ガスを処理できる他の低圧需要先(D3)に水素ガスを排出可能な他の低圧ガス排出路と、
前記他の低圧ガス排出路または前記他の分岐点に設けられる第2需要先切替手段(CV2)と、
前記複数の圧縮ステージの内の前記第1圧縮ステージを除く後続圧縮ステージによる水素ガスの処理量を調整する調整手段と、
をさらに備え、
前記制御部は、
前記需要先切替手段(CV1)が前記第2切替状態である場合に、
前記他の低圧需要先(D3)の要求量または前記高圧需要先(D1)の要求量の変動分に応じて前記他の低圧ガス排出路に水素ガスが排出されるように前記第2需要先切替手段(CV2)を制御しつつ、前記後続圧縮ステージの処理量が調整されるように前記調整手段を制御する、請求項1に記載の圧縮機ユニット。
【請求項7】
前記スピルバック部(SB1)が、前記吐出流路に吐出された後の水素ガスを前記吸込流路に戻す場合において、
前記調整手段が、
前記スピルバック流路が分岐する前記吐出流路上の分岐部よりも上流側から前記後続圧縮ステージの吸込側に水素ガスを戻す第2スピルバック流路、および、前記第2スピルバック流路においてスピルバック量を調整する第2スピルバック弁を含む第2スピルバック部(SB2)を備え、
前記制御部は、
前記需要先切替手段(CV1)が前記第2切替状態である場合に、前記他の低圧需要先(D3)の前記要求量または前記高圧需要先(D1)の要求量の前記変動分に相当する流量が前記後続圧縮ステージの吸込側に戻されるように前記第2スピルバック弁を制御する、請求項6に記載の圧縮機ユニット。
【請求項8】
前記スピルバック部(SB1)が、前記中間流路を流通する水素ガスを前記吸込流路に戻す場合において、
前記調整手段が、
前記スピルバック流路が分岐する前記中間流路上の分岐部よりも下流側に位置する圧縮ステージから吐出された水素ガスを、前記圧縮ステージよりも上流側に戻す第2スピルバック流路、および、前記第2スピルバック流路においてスピルバック量を調整する第2スピルバック弁を含む第2スピルバック部(SB2)を備え、
前記制御部は、
前記需要先切替手段(CV1)が前記第2切替状態である場合に、前記スピルバック部(SB1)の戻し量に相当する流量が前記圧縮ステージよりも上流側に戻されるように前記第2スピルバック弁を制御する、請求項1に記載の圧縮機ユニット。
【請求項9】
前記調整手段が、
前記後続圧縮ステージのシリンダ部に装着されたオンオフ式の吸込弁アンローダを備え、
前記制御部は、
前記需要先切替手段(CV1)が前記第2切替状態である場合に、前記他の低圧需要先(D3)の前記要求量または前記高圧需要先(D1)の要求量の前記変動分に相当する流量が前記後続圧縮ステージの吸込側に戻されるように前記吸込弁アンローダを制御する、請求項6に記載の圧縮機ユニット。
【請求項10】
前記調整手段が、
前記後続圧縮ステージのシリンダ部に装着された吸込弁アンローダと、
前記吸込弁アンローダを開閉させる油圧式又は電気式の駆動装置と、
からなる無段階の容量調整装置を備え、
前記制御部は、
前記需要先切替手段(CV1)が前記第2切替状態である場合に、前記他の低圧需要先(D3)の前記要求量または前記高圧需要先(D1)の要求量の前記変動分に相当する流量に応じて前記シリンダ部内部から吸込側へと吸入された水素ガスが戻されるように、クランク軸の回転運動に連動させ前記吸込弁アンローダが動作するタイミングを制御することにより、前記後続圧縮ステージの処理量を調整する、請求項6に記載の圧縮機ユニット。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、レシプロ式の圧縮機ユニットに関する。
続きを表示(約 1,900 文字)【背景技術】
【0002】
近年、環境を考慮して、水素を発電や自動車等の燃料として用いることが考えられており、水素の需要が増大している。また、液化天然ガス(LNG)、液体水素(LH2)などの低温のボイルオフガス(BOG)を圧縮機によって回収してエンジン等の需要先に供給することが行われている。特にLH2から発生したボイルオフガスは非常に低温である。このため、圧縮機がそのままボイルオフガスを吸入する構成を採用すると、極低温に適した材料を選択する必要があったり、熱変形量を考慮した設計条件を採用したり、厳重な断熱処理を実施したりする必要がある等の制約がかかる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
特開2020-172870号公報
特許第7085079号公報
特開2001-65795号公報
特開2019-27590号公報
特開平4-12178号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1では次のような問題が指摘されている。「近年、新たなエネルギ源として、水素が注目されている。エネルギ源として水素を利用する場合にも、天然ガスのように、貯蔵および輸送時には、液化した状態とすることが想定されている。しかし、水素は、液化温度が空気の液化温度よりも低いという特性を有する。そのため、天然ガス等を対象とした往復動圧縮機といった設備をそのまま水素に適用すると、極低温の液体水素に起因する不具合が生じる可能性がある。例えば、液体水素が供給される装置の周辺に液化空気を生じさせてしまう。」
【0005】
これに対して、特許文献1では「この往復動圧縮機は、ガスを圧縮する圧縮部が容器部に収容されている。そして、この容器部は、圧縮部の周囲に真空領域を形成する。そうすると、圧縮部は、真空領域によって外部領域から熱的に絶縁される。つまり、圧縮部に極低温のガスが提供された場合にも、往復動圧縮機の周辺領域を過度に冷却することがない。従って、液化空気の発生を抑制できる。」と説明されている。しかしながら、一般的に、運転中の振動を伴う動機械や、点検開口部を通して定期的なメンテナンスを必要とする設備(例えば往復動圧縮機など)等では高性能な断熱が非常に難しい。
【0006】
特許文献2、3ではスクリュー圧縮機を対象として、プレヒータを利用して吸込みガスの温度を調整する技術が提案されている。また、特許文献4には、レシプロ式の圧縮機が開示されており、圧縮部に吸入される前のボイルオフガスと圧縮部から吐出された後のボイルオフガスとを熱交換させる熱交換器が示されている。しかし、この熱交換器は圧縮部で圧縮された後のボイルオフガスを再液化するためのものであるため、圧縮部の下流に配置されたクーラによって冷却されたボイルオフガスが熱交換器に導入される。
【0007】
一方、特許文献5では次のような問題も指摘されている。「従来、LNG低温貯蔵タンク内で蒸発したBOG(ボイルオフガス)は低温ガス多段圧縮機で圧縮してプラントに供給する場合、BOGの温度はマイナス百数度から常温と広い範囲で変動しやすく、特に多段圧縮機の起動直後は、吸込側温度が常温近くまで昇温しており、これをそのまま圧縮すると吐出温度が許容温度以上となり運転できない。」
【0008】
液化水素では、LNGよりも沸点が低いことから特許文献5で開示された問題はより深刻となり得る。液化水素のボイルオフガスを扱うレシプロ圧縮機では、極低温の状態から常温までの幅広い温度帯域に対応させる必要がある。
【0009】
そこで、本発明は、上記課題を鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、液化水素のボイルオフガスを扱うレシプロ式の圧縮機ユニットについて、ボイルオフガスの幅広い温度変化からその構成機器を適切に保護することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一態様に係る圧縮機ユニットは、液体水素貯槽からボイルオフガスである水素ガスを回収し、その少なくとも一部をエンジン、発電設備又はボイラの少なくとも一つを含む高圧需要先(D1)に供給するレシプロ式の圧縮機ユニットである。本態様に係る圧縮機ユニットは、複数の圧縮ステージと、クランク機構と、スピルバック部(SB1)と、低圧ガス排出路と、需要先切替手段(CV1)と、逆止弁と、第1温度センサと、第2温度センサと、制御部と、を備える。
(【0011】以降は省略されています)

この特許をJ-PlatPatで参照する

関連特許

個人
液体の汲み上げ方法
4日前
ニデック株式会社
ファン
5日前
日機装株式会社
遠心ポンプ
1日前
サンデン株式会社
電動圧縮機
11日前
川崎重工業株式会社
液圧ポンプ
2か月前
川崎重工業株式会社
液圧回転機械
5日前
川崎重工業株式会社
液圧回転機械
2か月前
株式会社ゴールドウイン
ポンプ装置
1か月前
株式会社島津製作所
真空ポンプ
2か月前
三浦工業株式会社
送風機およびボイラ
28日前
シナノケンシ株式会社
電動ポンプ
7日前
シナノケンシ株式会社
電動ポンプ
7日前
株式会社豊田自動織機
遠心圧縮機
2か月前
株式会社豊田自動織機
遠心圧縮機
2か月前
株式会社吉野工業所
吐出器
5日前
株式会社豊田自動織機
遠心圧縮機
1か月前
株式会社豊田自動織機
遠心圧縮機
4日前
株式会社豊田自動織機
遠心圧縮機
2か月前
株式会社豊田自動織機
遠心圧縮機
1か月前
株式会社豊田自動織機
遠心圧縮機
1日前
株式会社ACB
送風装置
1か月前
株式会社神戸製鋼所
圧縮機ユニット
1か月前
株式会社神戸製鋼所
圧縮機ユニット
18日前
株式会社豊田自動織機
ルーツポンプ
5日前
株式会社神戸製鋼所
圧縮機ユニット
14日前
三浦工業株式会社
水封式真空ポンプ
18日前
エドワーズ株式会社
真空ポンプ
1か月前
株式会社川本製作所
ポンプ
1日前
株式会社川本製作所
ポンプ
2か月前
株式会社日立産機システム
圧縮機
1か月前
株式会社豊田自動織機
電動圧縮機
12日前
株式会社丸山製作所
往復動ポンプ
2か月前
サンデン株式会社
電動圧縮機及びその製造方法
1か月前
サンデン株式会社
電動圧縮機
1か月前
シロカ株式会社
送風機
22日前
株式会社荏原製作所
真空ポンプ
19日前
続きを見る