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公開番号2024094924
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-07-10
出願番号2022211848
出願日2022-12-28
発明の名称炭化ケイ素高含有成型品の製造方法、及び、炭化ケイ素高含有成型品を用いた炭化ケイ素単結晶の製造方法
出願人国立大学法人東北大学
代理人弁理士法人クオリオ,個人,個人
主分類C30B 29/36 20060101AFI20240703BHJP(結晶成長)
要約【課題】溶液法によるSiC単結晶の製造において、前記SiC単結晶のC源かつSi源として用いるSiC高含有成型品の製造方法であって、反応性含浸法を適用しながらも、所望の形状で、空隙も抑えた緻密なSiC高含有成型品を得ることができるSiC高含有成型品の製造方法を提供する。
【解決手段】溶液法による炭化ケイ素単結晶の製造において、炭素源かつケイ素源として用いる炭化ケイ素高含有成型品の製造方法であって、前記製造方法は、炭化ケイ素粉末と熱硬化性樹脂とを含む造粒物を加圧成型し、硬化反応してなる成型体の炭化処理物に、溶融ケイ素を含浸させることにより、前記熱硬化性樹脂由来の炭素と前記溶融ケイ素とを反応させて炭化ケイ素を生成することを含む、炭化ケイ素高含有成型品の製造方法。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
溶液法による炭化ケイ素単結晶の製造において、炭素源かつケイ素源として用いる炭化ケイ素高含有成型品の製造方法であって、
前記製造方法は、炭化ケイ素粉末と熱硬化性樹脂とを含む造粒物を加圧成型し、硬化反応してなる成型体の炭化処理物に、溶融ケイ素を含浸させることにより、前記熱硬化性樹脂由来の炭素と前記溶融ケイ素とを反応させて炭化ケイ素を生成することを含む、炭化ケイ素高含有成型品の製造方法。
続きを表示(約 660 文字)【請求項2】
前記熱硬化性樹脂が次の(a)~(f)の少なくとも1種を含む、請求項1に記載の炭化ケイ素高含有成型品の製造方法:
(a)熱硬化性フェノール樹脂
(b)熱硬化性エポキシ樹脂
(c)熱硬化性ウレタン樹脂
(d)熱硬化性尿素樹脂
(e)熱硬化性アクリル樹脂、
(f)熱硬化性アルキド樹脂
【請求項3】
前記熱硬化性樹脂が炭素元素と水素元素と酸素元素で構成される、請求項1又は2に記載の炭化ケイ素高含有成型品の製造方法。
【請求項4】
前記造粒物中の前記炭化ケイ素粉末の含有量を90質量%以下とする、請求項1又は2に記載の炭化ケイ素高含有成型品の製造方法。
【請求項5】
前記炭化処理物の残炭率を15質量%以上とする、請求項1又は2に記載の炭化ケイ素高含有成型品の製造方法。
【請求項6】
前記炭化ケイ素高含有成型品が、前記の溶液法による炭化ケイ素単結晶の製造において、溶液を収容する坩堝として用いられるものである、請求項1又は2に記載の炭化ケイ素高含有成型品の製造方法。
【請求項7】
溶液法による炭化ケイ素単結晶の製造において、請求項1又は2に記載の炭化ケイ素高含有成型品の製造方法により得られた炭化ケイ素高含有成型品を、溶液を収容する坩堝として用いることにより、前記坩堝を前記炭化ケイ素単結晶の炭素源かつケイ素源として機能させることを含む、炭化ケイ素単結晶の製造方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、炭化ケイ素単結晶の製造において、炭素源かつケイ素源として好適な炭化ケイ素高含有成型品の製造方法に関する。また、本発明は、炭化ケイ素高含有成型品を炭素源かつケイ素源として用いる炭化ケイ素単結晶の製造方法に関する。
続きを表示(約 2,800 文字)【背景技術】
【0002】
炭化ケイ素(SiC)は次世代パワー半導体材料として期待されている。例えば、SiCパワーデバイス市場は、世界的にみて年平均成長率30%で拡大することが予想され、特に電気自動車(EV)のモータドライブ等の車載分野では年率100%超の成長率が予想されている。しかし、SiC基板はSi基板に比べて高価であり、また、SiC単結晶基板の欠陥の低減には現状の技術では制約がある。したがって、SiC単結晶基板の高品質化が課題となっている。
【0003】
Si単結晶基板の場合には、Siの融点が常圧下で1414℃であるため、Si融液から、チョクラルスキー法(CZ法)や浮遊帯域溶融法(FZ法)により高品質で大口径の単結晶を得ることができる。これに対し、SiCは常圧下では融解せず、加熱すると2000℃程度の温度で昇華してしまうため、CZ法やFZ法を適用することができない。そのため、SiC単結晶は、主として昇華法により製造されている。昇華法は現時点で、SiC単結晶の量産化の唯一の方法であり、この方法で製造された6インチ径のSiC単結晶基板が市販されている。また、8インチ径のSiC単結晶基板の量産化に向けて開発が進められている。しかし、昇華法は結晶成長速度が遅く、結晶成長環境の精密な温度管理が難しいこともあり、更なる欠陥低減は困難な状況にある。また、RAF法(Repeated A-Face成長法)を適用することにより、原理的には高品質化が可能であるものの、コスト面で制約が生じてしまう。
【0004】
昇華法に代わるSiC単結晶の結晶成長技術として、溶液法(種付け溶液成長法、TSSG:Top Seeded Solution Growth)が提案されている。溶液法によるSiC単結晶の製造では、黒鉛坩堝内にSi融液を収容し、坩堝からCをSi融液中に溶解せしめ、このSi-C溶液に、SiC種結晶を接触させ、SiC種結晶上への溶液成長によってSiC単結晶を得ている。溶液法では、SiCの結晶成長が熱平衡に近い状態で進行し、昇華法に比べて低欠陥で高品質なSiC単結晶を得ることができる。上記のSi融液へのCの溶解度は1at%程度と極めて小さいため、一般に、Cの溶解量を高めるためにSi融液中に遷移金属などを添加する。添加元素としては、TiやCr,Ni、Feなどの遷移金属などが挙げられる。
【0005】
溶液法は高品質なSiC単結晶の製造技術として有望視されているが、課題もいくつか指摘されている。SiCの単結晶成長につれて、Si-C溶液から徐々にSi成分が失われる一方で、Cは継続的に坩堝から供給される。また、Si-C溶液に含まれる遷移金属などの添加元素量は変動しないため、溶液中のSiの割合は減少してしまう。そのため、Si-C溶液のC溶解度が高まり、経時的にCが過剰に融け込むことになり、溶液中のSi/C組成比が変化してしまう。結果、SiCの単結晶成長を、長時間、安定して継続することは難しくなる。また、Si-C溶液中へのCの過剰な融け込みは、坩堝の内壁に微細なSiC多結晶を生じ、このSiC多結晶がSi-C溶液中を浮遊し、単結晶成長を阻害する問題も指摘されている。
【0006】
溶液法において、上記のようなSi-C溶液の組成変動を抑え、また、坩堝内壁に析出する多結晶の発生も抑える技術が提案されている。例えば特許文献1には、酸素含有量が100ppm以下の、SiCを主成分とする坩堝をSi-C溶液の収容部として用いて、この坩堝を加熱して、前記Si-C溶液と接触する坩堝表面の高温領域から該坩堝の主成分であるSiCを源とするSiとCの両方を前記Si-C溶液中に溶出せしめ、前記坩堝の上部から、前記Si-C溶液にSiC種結晶を接触させて、該SiC種結晶上にSiC単結晶を成長させるSiC単結晶の製造方法が記載されている。特許文献1記載の技術によれば、Si-C溶液の収容部である坩堝がSiとCの両元素の供給源となり、溶液中のSi/C組成比が安定し、SiC単結晶を安定して長時間成長させることができる。また、坩堝の酸素含有量が100ppm以下であるため、Si-C溶液中でのガス発生が抑制され、低欠陥で高品質なSiC単結晶を、長時間に亘って安定的に製造することが可能になるとされる。なお、特許文献1は、SiCを主成分とする坩堝を、必要により、Siを含浸させる熱処理に付しても良いことを記載しているが、含浸させたSiを坩堝内に存在する炭素(C)原料と反応させてSiCを生成させることは記載されていない。
【0007】
SiCを主成分とする成形品の製造に係る技術として、C原料を含む成型体にSi融液を含浸させてSiCを生成する方法(反応性含浸法)が知られている。例えば、非特許文献1には、SiC粉末とC粉末の混合圧粉体にSi融液を含浸させて、SiCを高含有する構造体を得たことが記載されている。また、非特許文献2には、結晶セルロースとフェノール樹脂とを混合し、これを炭化したカーボンプリフォームにSi融液を含浸させてSiCを高含有する構造体を得たことが記載されている。いずれの技術においても、SiCの含有量が80%以上の構造体が得られている。なお、これらの技術において、SiCを除いた残部の大半はSiで構成され、僅かに未反応のCが残存する場合もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
特開2017-31036号公報
【非特許文献】
【0009】
Suyama et al.,Diamond and Related Materials,2003年,第12巻,p.1201-1204
Margiotta et al.,J.Mater.Res.2008年,第23巻,p.1237-1248
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
非特許文献1に記載されるC粉末としては黒鉛を用いることが想定されるが、本発明者らが検討したところ、黒鉛が溶融Siと反応してSiCを生成すると体積膨張が生じ、圧粉体の形状維持が困難となることがわかってきた。
また、非特許文献2記載の技術に関し本発明者らが検討を進めたところ、有機原料を炭化してC原料としているためにC原料のかさ密度を小さくでき、Siと反応してSiCを生じた際に体積膨張を生じにくいこと、他方で、フェノール樹脂の硬化反応(脱水縮合)の際に生じる水分(水蒸気)の影響で、得られる成形品には多数の空隙が生じ、やはり所望の形状を精度高く維持することが難しいことがわかってきた。
(【0011】以降は省略されています)

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