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公開番号2024093285
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-07-09
出願番号2022209567
出願日2022-12-27
発明の名称改質逆浸透膜の製造方法、及び改質逆浸透膜
出願人国立大学法人神戸大学
代理人個人,個人,個人
主分類B01D 67/00 20060101AFI20240702BHJP(物理的または化学的方法または装置一般)
要約【課題】エタノールなどの低分子量かつ非電解質化合物、又は、アンモニウムイオンなどの低分子量かつ陽イオン化合物の阻止率が高められた、逆浸透膜の製造方法を提供する。
【解決手段】逆浸透膜を加熱処理する加熱工程と、
逆浸透膜を、タンニン酸、ポリエチレンイミン、ポリビニルメチルエーテル、ポリビニルアルコール、ポリアミジン、ポリビニルアミジン及びポリスチレンからなる群より選択される少なくとも1種の処理剤で処理する処理工程と、
を備える、改質逆浸透膜の製造方法。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
逆浸透膜を加熱処理する加熱工程と、
逆浸透膜を、タンニン酸、ポリエチレンイミン、ポリビニルメチルエーテル、ポリビニルアルコール、ポリアミジン、ポリビニルアミジン及びポリスチレンからなる群より選択される少なくとも1種の処理剤で処理する処理工程と、
を備える、改質逆浸透膜の製造方法。
続きを表示(約 2,300 文字)【請求項2】
前記加熱工程の後、前記処理工程を行う、請求項1に記載の改質逆浸透膜の製造方法。
【請求項3】
前記加熱工程は、温度60℃以上の水中で前記逆浸透膜を加熱する工程である、請求項1または2に記載の改質逆浸透膜の製造方法。
【請求項4】
前記逆浸透膜は、複合逆浸透膜である、請求項1または2に記載の改質逆浸透膜の製造方法。
【請求項5】
前記改質逆浸透膜は、以下の方法で測定されるエタノールの阻止率Raが88%以上である、請求項1または2に記載の改質逆浸透膜の製造方法。
(エタノールの阻止率の測定法)
撹拌子を有し、有効膜面積が7cm
2
の逆浸透膜セルに逆浸透膜をセットし、純水を流速10ml/分、背圧65barで1時間送液し、逆浸透膜を透過した水が逆浸透膜セルから排出されることを確認する。次に、純水を1重量%エタノール水溶液に変更し、流速10ml/分、背圧60barで1時間送液した後、さらに1時間同条件で送液を続け、その際に得られた透過液を、重量測定しながら回収する。T時間に透過した水の液量Vと逆浸透膜の面積A(=7cm
2
)から、水の透過流束J(L/m
2
/hr)を以下の式で算出する。また、透過前後の液中のエタノール濃度をガスクロマトグラフを用いて測定する。供給液中のエタノール濃度をBa(重量%)、透過液中のエタノール濃度をCa(重量%)として、エタノールの阻止率Ra(%)を以下の式で算出する。
水の透過流束J=V/(A×T)
エタノールの阻止率Ra=(1-Ca/Ba)×100
【請求項6】
前記改質逆浸透膜は、以下の方法で測定されるアンモニウムイオンの阻止率Rbが99%以上である、請求項1または2に記載の改質逆浸透膜の製造方法。
(アンモニウムイオンの阻止率の測定法)
撹拌子を有し、有効膜面積が7cm
2
の逆浸透膜セルに逆浸透膜をセットし、純水を流速10ml/分、背圧65barで1時間送液し、逆浸透膜を透過した水が逆浸透膜セルから排出されることを確認する。次に、純水を1g/L塩化アンモニウム水溶液に変更し、流速10ml/分、背圧60barで1時間送液した後、さらに1時間同条件で送液を続け、その際に得られた透過液を、重量測定しながら回収する。T時間に透過した水の液量Vと逆浸透膜の面積A(=7cm
2
)から、水の透過流束J(L/m
2
/hr)を以下の式で算出する。また、透過前後の液中のアンモニウムイオン濃度をイオンクロマトグラフを用いて測定する。供給液中のアンモニウムイオン濃度をBb(重量%)、透過液中の濃度をCb(重量%)として、アンモニウムイオンの阻止率Rb(%)を以下の式で算出する。
水の透過流束J=V/(A×T)
アンモニウムイオンの阻止率Rb=(1-Cb/Bb)×100
【請求項7】
以下の方法で測定されるエタノールの阻止率Raが88%以上である、改質逆浸透膜。
(エタノールの阻止率の測定法)
撹拌子を有し、有効膜面積が7cm
2
の逆浸透膜セルに逆浸透膜をセットし、純水を流速10ml/分、背圧65barで1時間送液し、逆浸透膜を透過した水が逆浸透膜セルから排出されることを確認する。次に、純水を1重量%エタノール水溶液に変更し、流速10ml/分、背圧60barで1時間送液した後、さらに1時間同条件で送液を続け、その際に得られた透過液を、重量測定しながら回収する。T時間に透過した水の液量Vと逆浸透膜の面積A(=7cm
2
)から、水の透過流束J(L/m
2
/hr)を以下の式で算出する。また、透過前後の液中のエタノール濃度をガスクロマトグラフを用いて測定する。供給液中のエタノール濃度をBa(重量%)、透過液中のエタノール濃度をCa(重量%)として、エタノールの阻止率Ra(%)を以下の式で算出する。
水の透過流束J=V/(A×T)
エタノールの阻止率Ra=(1-Ca/Ba)×100
【請求項8】
以下の方法で測定されるアンモニウムイオンの阻止率Rbが99%以上である、改質逆浸透膜。
(アンモニウムイオンの阻止率の測定法)
撹拌子を有し、有効膜面積が7cm
2
の逆浸透膜セルに逆浸透膜をセットし、純水を流速10ml/分、背圧65barで1時間送液し、逆浸透膜を透過した水が逆浸透膜セルから排出されることを確認する。次に、純水を1g/L塩化アンモニウム水溶液に変更し、流速10ml/分、背圧60barで1時間送液した後、さらに1時間同条件で送液を続け、その際に得られた透過液を、重量測定しながら回収する。T時間に透過した水の液量Vと逆浸透膜の面積A(=7cm
2
)から、水の透過流束J(L/m
2
/hr)を以下の式で算出する。また、透過前後の液中のアンモニウムイオン濃度をイオンクロマトグラフを用いて測定する。供給液中のアンモニウムイオン濃度をBb(重量%)、透過液中の濃度をCb(重量%)として、アンモニウムイオンの阻止率Rb(%)を以下の式で算出する。
水の透過流束J=V/(A×T)
アンモニウムイオンの阻止率Rb=(1-Cb/Bb)×100

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本開示は、改質逆浸透膜の製造方法、及び改質逆浸透膜に関する。
続きを表示(約 3,600 文字)【背景技術】
【0002】
従来、海水淡水化、各種溶液の濾過分離や濃縮等に逆浸透(RO)膜が使用されている。逆浸透膜を用いた水処理により、水中の塩類、低分子化合物等を水と分離することができる。
【0003】
逆浸透膜としては、例えば、多孔性支持体の上にポリアミド膜とを含む複合逆浸透膜が広く知られている(特許文献1参照)。また、酢酸セルロース膜を利用した逆浸透膜なども知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
特開2001-259388号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の逆浸透膜は、エタノール(分子量46)、メタノール(分子量32)などのような低分子量かつ非電解質化合物の阻止率が低いという問題がある。
【0006】
また、従来の逆浸透膜は、アンモニウムイオンなどの低分子量かつ陽イオン化合物の阻止率が低いという問題がある。
【0007】
本開示は、エタノールなどの低分子量かつ非電解質化合物、又は、アンモニウムイオンなどの低分子量かつ陽イオン化合物の阻止率が高められた、改質逆浸透膜の製造方法を提供することを主な目的とする。さらには、本開示は、当該阻止率が高められた改質逆浸透膜を提供することも目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の発明者らは、上記のような課題を解決すべく鋭意検討を行った。その結果、逆浸透膜を加熱処理する加熱工程と、逆浸透膜を、タンニン酸、ポリエチレンイミン、ポリビニルメチルエーテル、ポリビニルアルコール、ポリアミジン、ポリビニルアミジン及びポリスチレンからなる群より選択される少なくとも1種の処理剤で処理する処理工程とを併用することにより、それぞれを単独で行って逆浸透膜を改質する場合と比較して、エタノールのような低分子量かつ非電解質化合物の阻止率と、アンモニウムイオンなどの低分子量かつ陽イオン化合物の阻止率とが、予想外に高められることを見出した。
【0009】
さらに、逆浸透膜の加熱処理及び処理剤による処理は、逆浸透膜の水透過流束を低下させることから、両方の処理を併用すると、逆浸透膜の水透過流束が著しく低下する懸念があったが、本開示の発明者らは、予想に反して、前記の加熱処理と処理剤での処理の併用によっても、得られた改質逆浸透膜は、十分に高い水透過流束を備えていることも見出した。
【0010】
本開示は、これらの知見に基づいて、更に検討を重ねることにより完成したものである。即ち、本開示は、下記に掲げる態様の発明を提供する。
項1. 逆浸透膜を加熱処理する加熱工程と、
逆浸透膜を、タンニン酸、ポリエチレンイミン、ポリビニルメチルエーテル、ポリビニルアルコール、ポリアミジン、ポリビニルアミジン及びポリスチレンからなる群より選択される少なくとも1種の処理剤で処理する処理工程と、
を備える、改質逆浸透膜の製造方法。
項2. 前記加熱工程の後、前記処理工程を行う、項1に記載の改質逆浸透膜の製造方法。
項3. 前記加熱工程は、温度60℃以上の水中で前記逆浸透膜を加熱する工程である、項1または2に記載の改質逆浸透膜の製造方法。
項4. 前記逆浸透膜は、複合逆浸透膜である、項1~3のいずれか1項に記載の改質逆浸透膜の製造方法。
項5. 前記改質逆浸透膜は、以下の方法で測定されるエタノールの阻止率Raが88%以上である、項1~4のいずれか1項に記載の改質逆浸透膜の製造方法。
(エタノールの阻止率の測定法)
撹拌子を有し、有効膜面積が7cm
2
の逆浸透膜セルに逆浸透膜をセットし、純水を流速10ml/分、背圧65barで1時間送液し、逆浸透膜を透過した水が逆浸透膜セルから排出されることを確認する。次に、純水を1重量%エタノール水溶液に変更し、流速10ml/分、背圧60barで1時間送液した後、さらに1時間同条件で送液を続け、その際に得られた透過液を、重量測定しながら回収する。T時間に透過した水の液量Vと逆浸透膜の面積A(=7cm
2
)から、水の透過流束J(L/m
2
/hr)を以下の式で算出する。また、透過前後の液中のエタノール濃度をガスクロマトグラフを用いて測定する。供給液中のエタノール濃度をBa(重量%)、透過液中のエタノール濃度をCa(重量%)として、エタノールの阻止率Ra(%)を以下の式で算出する。
水の透過流束J=V/(A×T)
エタノールの阻止率Ra=(1-Ca/Ba)×100
項6. 前記改質逆浸透膜は、以下の方法で測定されるアンモニウムイオンの阻止率Rbが99%以上である、項1~5のいずれか1項に記載の改質逆浸透膜の製造方法。
(アンモニウムイオンの阻止率の測定法)
撹拌子を有し、有効膜面積が7cm
2
の逆浸透膜セルに逆浸透膜をセットし、純水を流速10ml/分、背圧65barで1時間送液し、逆浸透膜を透過した水が逆浸透膜セルから排出されることを確認する。次に、純水を1g/L塩化アンモニウム水溶液に変更し、流速10ml/分、背圧60barで1時間送液した後、さらに1時間同条件で送液を続け、その際に得られた透過液を、重量測定しながら回収する。T時間に透過した水の液量Vと逆浸透膜の面積A(=7cm
2
)から、水の透過流束J(L/m
2
/hr)を以下の式で算出する。また、透過前後の液中のアンモニウムイオン濃度をイオンクロマトグラフを用いて測定する。供給液中のアンモニウムイオン濃度をBb(重量%)、透過液中の濃度をCb(重量%)として、アンモニウムイオンの阻止率Rb(%)を以下の式で算出する。
水の透過流束J=V/(A×T)
アンモニウムイオンの阻止率Rb=(1-Cb/Bb)×100
項7. 以下の方法で測定されるエタノールの阻止率Raが88%以上である、改質逆浸透膜。
(エタノールの阻止率の測定法)
撹拌子を有し、有効膜面積が7cm
2
の逆浸透膜セルに逆浸透膜をセットし、純水を流速10ml/分、背圧65barで1時間送液し、逆浸透膜を透過した水が逆浸透膜セルから排出されることを確認する。次に、純水を1重量%エタノール水溶液に変更し、流速10ml/分、背圧60barで1時間送液した後、さらに1時間同条件で送液を続け、その際に得られた透過液を、重量測定しながら回収する。T時間に透過した水の液量Vと逆浸透膜の面積A(=7cm
2
)から、水の透過流束J(L/m
2
/hr)を以下の式で算出する。また、透過前後の液中のエタノール濃度をガスクロマトグラフを用いて測定する。供給液中のエタノール濃度をBa(重量%)、透過液中のエタノール濃度をCa(重量%)として、エタノールの阻止率Ra(%)を以下の式で算出する。
水の透過流束J=V/(A×T)
エタノールの阻止率Ra=(1-Ca/Ba)×100
項8. 以下の方法で測定されるアンモニウムイオンの阻止率Rbが99%以上である、改質逆浸透膜。
(アンモニウムイオンの阻止率の測定法)
撹拌子を有し、有効膜面積が7cm
2
の逆浸透膜セルに逆浸透膜をセットし、純水を流速10ml/分、背圧65barで1時間送液し、逆浸透膜を透過した水が逆浸透膜セルから排出されることを確認する。次に、純水を1g/L塩化アンモニウム水溶液に変更し、流速10ml/分、背圧60barで1時間送液した後、さらに1時間同条件で送液を続け、その際に得られた透過液を、重量測定しながら回収する。T時間に透過した水の液量Vと逆浸透膜の面積A(=7cm
2
)から、水の透過流束J(L/m
2
/hr)を以下の式で算出する。また、透過前後の液中のアンモニウムイオン濃度をイオンクロマトグラフを用いて測定する。供給液中のアンモニウムイオン濃度をBb(重量%)、透過液中の濃度をCb(重量%)として、アンモニウムイオンの阻止率Rb(%)を以下の式で算出する。
水の透過流束J=V/(A×T)
アンモニウムイオンの阻止率Rb=(1-Cb/Bb)×100
【発明の効果】
(【0011】以降は省略されています)

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