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公開番号2024093169
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-07-09
出願番号2022209368
出願日2022-12-27
発明の名称プロトン伝導体、プロトン伝導性電解質膜及びそれらの製造方法並びに燃料電池
出願人国立大学法人広島大学
代理人弁理士法人前田特許事務所
主分類H01M 8/1246 20160101AFI20240702BHJP(基本的電気素子)
要約【課題】200~400℃の中温度領域でプロトン伝導率を向上させ、加熱時の強度を改善したプロトン伝導体を提供する。
【解決手段】
下記一般式(1)で示されるランタノイド含有ルテニウムリン酸水素塩を含むことを特徴とする。
[化1]
HaAbLncRudPeOf (1)
(ここで、Aはアルカリ金属元素、Lnはランタノイド元素、a,b,c,d,eは自然数、fはa+b+3c+3d+5e=2fの電荷中性条件を満たすように規定される値である)
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
下記一般式(1)で示されるランタノイド含有ルテニウムリン酸水素塩を含むことを特徴とするプロトン伝導体。
[化1]




Ln

Ru





(1)
(ここで、Aはアルカリ金属元素、Lnはランタノイド元素、a,b,c,d,eは自然数、fはa+b+3c+3d+5e=2fの電荷中性条件を満たすように規定される値である)
続きを表示(約 1,200 文字)【請求項2】
前記アルカリ金属元素がリチウム又はナトリウムであり、前記ランタノイド元素がランタンであることを特徴とする請求項1に記載のプロトン伝導体。
【請求項3】
ランタンの含有率が、プロトン伝導体全体の重量の2.4~9.2wt%であることを特徴とする請求項2に記載のプロトン伝導体。
【請求項4】
ルテニウムとリンの含有比率が、モル比で1:8~1:13であることを特徴とする請求項1に記載のプロトン伝導体。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項に記載のプロトン伝導体を含有し、膜厚が10~500μmであることを特徴とするプロトン伝導性電解質膜。
【請求項6】
請求項5に記載のプロトン伝導性電解質膜を含む燃料電池。
【請求項7】
下記一般式(1)で示されるランタノイド含有ルテニウムリン酸水素塩を含むプロトン伝導体の製造方法であって、
アルカリ金属原料とルテニウム原料とリン酸とを混合して前駆体を作製する工程と、
前記前駆体とランタノイド原料を混合して混合物を作製する工程と、
前記混合物を加熱する工程と、
を備えることを特徴とするプロトン伝導体の製造方法。
[化2]




Ln

Ru





(1)
(ここで、Aはアルカリ金属元素、Lnはランタノイド元素、a,b,c,d,eは自然数、fはa+b+3c+3d+5e=2fの電荷中性条件を満たすように規定される値である)
【請求項8】
下記一般式(1)で示されるランタノイド含有ルテニウムリン酸水素塩を含むプロトン伝導性電解質膜の製造方法であって、
アルカリ金属原料とルテニウム原料とリン酸とを混合して前駆体を作製する工程と、
前記前駆体とランタノイド原料を混合して混合物を作製する工程と、
前記混合物を加熱する工程と、
加熱した前記混合物を有機薄膜によって挟み込んだ状態で、加熱及び加圧し、プロトン伝導性電解質膜を形成する工程と、
前記有機薄膜から前記プロトン伝導性電解質膜を剥離する工程と、
を備えることを特徴とするプロトン伝導性電解質膜の製造方法。
[化3]




Ln

Ru





(1)
(ここで、Aはアルカリ金属元素、Lnはランタノイド元素、a,b,c,d,eは自然数、fはa+b+3c+3d+5e=2fの電荷中性条件を満たすように規定される値である)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、プロトン伝導体、プロトン伝導性電解質膜及びそれらの製造方法並びに燃料電池に関する。
続きを表示(約 1,800 文字)【背景技術】
【0002】
次世代エネルギー貯蔵システムとしての燃料電池の開発において、安定で高性能な電解質材料の開発が非常に大きな比重を占めている。既にこれまでに500℃以上の高温や、100℃以下の低温で高いプロトン伝導率を有する電解質材料が開発されている。100℃以下の温度で使用される電解質材料としては、固体高分子形燃料電池に使用されるフッ素樹脂系イオン交換膜がよく知られている。500℃以上の高温で使用される固体電解質としては、BaCe
0.8

0.2

3-a
のようなペロブスカイト型金属酸化物が500℃よりも高い温度で高いイオン伝導率を示す。
【0003】
しかしながら、最もエネルギー効率が高く、想定される使用環境に近い200~350℃の中温度領域で高いプロトン伝導率を示す固体電解質材料は、まだ殆どなく、現在、高性能な固体電解質材料の開発が精力的に続けられている。
【0004】
例えば、100℃以上の乾燥雰囲気中においても高いプロトン伝導性を示すプロトン伝導性材料として、ホスホシリケートゲル又はシリカゲルにリン酸金属塩を添加したプロトン伝導性組成物(例えば、特許文献1参照)、結晶性リン酸金属塩をメカニカルミリングにより処理して結晶性の一部を乱すとともにフリーのリン酸を生成させることによってプロトン伝導率を向上させたリン酸金属塩を含有するプロトン伝導性材料(例えば、特許文献2参照)などのリン酸塩系の材料が開発されている。
【0005】
ここで、上記従来の固体電解質においては、構造中にトンネルや層間といったナノ空間を構築し、そこを伝導パスにするという思想で設計された結晶質化合物が主であるが、このような固体電解質は、大きな空間を創生することが困難であるとともに、高温下で合成する必要があるため、多くのエネルギーを必要とし、製造コストが高くなるという問題があった。
【0006】
また、従来のリン酸塩系の固体電解質材料においては、リン酸分が溶出しフレームを腐食させる場合もある。このような状況下において、簡便な製造方法で安価に製造することが可能であり、例えば200~400℃の中温度領域において高いプロトン伝導率を有するプロトン伝導体の開発が待たれている。
【0007】
本願の発明者は、特許文献3において、非晶質又は非晶質を主体とするリン酸ルテニウム系のプロトン伝導体を提案した。特許文献3で得られたプロトン伝導体の前駆体は緻密性に欠けた材料であった。そして、特許文献3で得られたプロトン伝導体は、前駆体がセラミックス製容器内で1週間以上加熱されて塊(バルク)状に形成されたものであり、セラミックス製容器ごと切断した状態で計測されて、200~350℃の中温度領域において高いプロトン伝導率を有していた。
【0008】
ところで、燃料電池の実用化においては、単電池セルを直列に積層したスタックと呼ばれる構造体を構成する必要があり、このようなプロトン伝導体を燃料電池へ適用し、実用化を図るには、このスタック作成が可能となるよう薄膜化することが必須である。しかしながら、本願の発明者が特許文献3で得たプロトン伝導体は、前駆体が緻密性に欠けていたため、前駆体を焼結させたバルク試料において電解質として高い機能を有することが示唆されたのみであり、薄膜化のための知見は得られていなかった。そこで、本願の発明者は、特許文献4において、リン酸ルテニウム系のプロトン伝導体を薄膜化するための新しい製造方法及び扱いやすい組成比を提案するとともに、燃料電池としての性能を開示した。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
特許第3939212号公報
特許第3916139号公報
特許第6998586号公報
特開2022-116575号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、特許文献4で開示されたリン酸ルテニウム系のプロトン伝導性電解質膜は、250℃付近から強度が低下するため、上記中温度領域で動作可能な燃料電池として使用するにはやや懸念があった。また、燃料電池としての出力をより高めることも課題として残されていた。
(【0011】以降は省略されています)

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