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公開番号2024071975
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-05-27
出願番号2022182525
出願日2022-11-15
発明の名称結晶粒度特性に優れた真空浸炭用鋼
出願人山陽特殊製鋼株式会社
代理人個人,個人
主分類C22C 38/00 20060101AFI20240520BHJP(冶金;鉄または非鉄合金;合金の処理または非鉄金属の処理)
要約【課題】 結晶粒度特性に優れ、また、靭性及び曲げ疲労に優れる浸炭鋼部品の提供。
【解決手段】 質量%で、C:0.15~0.30%、Si:0.05~2.00%、Mn:0.10~0.50%未満、Cr:1.3~2.5%、Nb:0.020~0.100%、Al:0.020~0.100%、N:0.0040~0.0300%、残部Fe及び不可避的不純物からなり、不可避的不純物におけるP:0.030%以下、S:0.030%以下、Cu:0.30%以下であって、式A:0.12≦3[Al]+4[Nb]≦0.50、式B:0.12<[N]/[Al]<0.70、を満足する、真空浸炭用鋼。
【選択図】 なし
特許請求の範囲【請求項1】
質量%で、
C:0.15~0.30%、
Si:0.05~2.00%、
Mn:0.10~0.50%未満、
Cr:1.3~2.5%、
Nb:0.020~0.100%、
Al:0.020~0.100%、
N:0.0040~0.0300%、
残部Fe及び不可避的不純物からなり、
不可避的不純物におけるP:0.030%以下、S:0.030%以下、Cu:0.30%以下であって、
式A:0.12≦3[Al]+4[Nb]≦0.50、
式B:0.12<[N]/[Al]<0.70、
を満足する、真空浸炭用鋼。
ただし、式A、式Bの[Al][Nb][N]には該当する化学成分の%の値を代入する。
続きを表示(約 1,400 文字)【請求項2】
請求項1に記載の成分に加えて、選択的成分として、質量%で、Ti:0.020~0.200%、B:0.0050%以下、V:0.01~0.50%のいずれか1種または2種以上を含有し、残部Fe及び不可避的不純物からなり、不可避的不純物におけるP:0.030%以下、S:0.030%以下、Cu:0.30%以下であって、
式A:0.12≦3[Al]+4[Nb]≦0.50、
式B:0.12<[N]/[Al]<0.70、
を満足する、真空浸炭用鋼。
ただし、式A、式Bの[Al][Nb][N]には該当する化学成分の%の値を代入する。
【請求項3】
請求項1に記載の成分に加えて、選択的成分として、質量%で、Ni:1.0%以下、Mo:1.0%以下のいずれか1種または2種を含有し、残部Fe及び不可避的不純物からなり、不可避的不純物におけるP:0.030%以下、S:0.030%以下、Cu:0.30%以下であって、
式A:0.12≦3[Al]+4[Nb]≦0.50、
式B:0.12<[N]/[Al]<0.70、
を満足する、真空浸炭用鋼。
ただし、式A、式Bの[Al][Nb][N]には該当する化学成分の%の値を代入する。
【請求項4】
請求項1に記載の成分に加えて、質量%で、選択的成分としてTi:0.020~0.200%、B:0.0050%以下、V:0.01~0.50%のいずれか1種または2種以上を含有し、
さらなる選択的成分として、Ni:1.0%以下、Mo:1.0%以下のいずれか1種または2種を含有し、
残部Fe及び不可避的不純物からなり、不可避的不純物におけるP:0.030%以下、S:0.030%以下、Cu:0.30%以下であって、
式A:0.12≦3[Al]+4[Nb]≦0.50、
式B:0.12<[N]/[Al]<0.70、
を満足する、真空浸炭用鋼。
ただし、式A、式Bの[Al][Nb][N]には該当する化学成分の%の値を代入する。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1項に記載の鋼を用いた浸炭された状態の浸炭鋼部品であって、表面から深さ5.0mmにおける硬度が200~500Hvである浸炭鋼部品。
【請求項6】
請求項1~4のいずれか1項に記載の鋼を用いて1050℃以下で真空浸炭された状態の浸炭鋼部品は、表面から深さ0.05mmにおけるオーステナイト粒径が結晶粒度番号で6番以上である、浸炭鋼部品。
【請求項7】
請求項1~4のいずれか1項に記載の鋼を用いて1050℃以下で真空浸炭された状態の浸炭鋼部品は、表面から深さ0.05mmにおけるオーステナイト粒径が結晶粒度番号で6番以上であって、表面から深さ5.0mmにおけるオーステナイト粒径が結晶粒度番号で6番以上である、浸炭鋼部品。
【請求項8】
請求項1~4のいずれか1項に記載の鋼を用いて1050℃以下で真空浸炭された状態の浸炭鋼部品は、表面から深さ0.05mmにおけるオーステナイト粒径が結晶粒度番号で6番以上であって、表面から深さ5.0mmにおけるオーステナイト粒径が結晶粒度番号で7番以上である、浸炭鋼部品。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、真空浸炭に好適な結晶粒度特性の優れた肌焼鋼である真空浸炭用鋼に関する。
続きを表示(約 1,900 文字)【背景技術】
【0002】
鋼材を部品に成形し、浸炭して鋼製部品を得る場合の浸炭方法として、現状の一般法ではガス浸炭が用いられている。加えて、最近では真空浸炭も採用されることがある。真空浸炭とは、鋼を真空中で加熱し、これに浸炭性ガスを導入して浸炭させた後、再び真空中で拡散処理させる手順を含む処理である。
【0003】
現状の一般的方法であるガス浸炭に比して、真空浸炭には以下の利点がある。
1) 真空中で処理を行うため鋼材表面に粒界酸化層がみられず、各種強度の低減を回避することができる。
2) 高温での浸炭処理が可能なため、迅速な浸炭が可能である。
【0004】
もっとも、真空浸炭は上述の効果を有するものの、高温で実施された真空浸炭により製造された浸炭部品では、浸炭層、特に最表面で結晶粒の粗大化が生じやすいものとなる。この粗大粒は靭性及び曲げ疲労強度を低下させることがある。
【0005】
従来から、真空浸炭で浸炭された浸炭部品等として、たとえば以下のような提案がなされている。
【0006】
質量%で、C:0.1~0.3%、Si:0.5~3.0%、Mn:0.3~3.0%、P:0.03%以下、S:0.03%以下、Cu:0.01~1.00%、Ni:0.01~3.00%、Cr:0.3~1.0%、Al:0.20%以下およびN:0.05%以下を含有し、残部が不可避な不純物およびFeからなり、[Si%]+[Ni%]+[Cu%]-[Cr%]>0.5の条件を満たす合金組成を有する浸炭用鋼を部品形状に成形し、真空浸炭により浸炭して得た浸炭部品が提案されている(特許文献1参照。)
【0007】
また、表面から1.5mm以上の深さ領域において、成分組成が、質量%で、C:0.10~0.40%、Si:0.10~3.00%、Mn:0.50~3.00%、Cr:0.30~3.00%、Al:0.010~0.050%、N:0.003~0.030%、S:0.003~0.030%、P:0.030%以下、Mo:0~3.00%、B:0~0.0050%、Nb:0~0.100%、Ti:0~0.100%、V:0~0.30%、Ni:0~0.40%、In:0~0.02%、Cu:0~0.20%、Bi:0~0.300%、Pb:0~0.50%、及びREM:0~0.020%を含有し、残部がFe及び不純物であり、表面から1.5mm深さのビッカース硬さが200~400HVであり、表面から0.10mmまでの深さ領域において、Cの含有量が質量%で、0.60~1.20%、焼入れ組織の分率が面積率で99.00%以上、粒界セメンタイト分率が面積率で0.50%以下、及び不完全焼入れ組織の分率が面積率で0.50%以下である、ことを特徴とする浸炭部品が、提案されている(特許文献2参照。)。
【0008】
また、他にも、C:0.10~0.35%、Si:0.50%以下、Mn:0.30~1.50%、Cr:1.10~2.00%、P:0.02%以下、S:0.05%以下、Al:0.01~0.05%およびN:0.030%以下を含み、残部はFe及び不可避的不純物である成分組成を有し、
表面から深さ0.05mm位置におけるセメンタイト分率が5%以下、表面からの深さ0.05mm位置における硬度がHV600以上、表面からの深さ0.05mm位置におけるオーステナイト粒径が粒度5番以上、および、表面からの深さ0.10mm位置における硬度がHV650以上である浸炭鋼が提案されている(特許文献3参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
特開2007-291486号公報
国際公開WO2020/202406号パンフレット
特開2022-55308号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
もっとも特許文献1、2ではオーステナイトの結晶粒度が規定されていないため、靭性が十分に考慮されておらず、品質にバラツキが生じ十分とはいえなかった。
また、特許文献1ではMnを焼入性向上のために添加しているが、Mnが0.50%以上であると、焼準あるいは焼鈍により現れるフェライト・パーライト組織の結晶粒が15μm未満と小さくなりやすいので、かえって浸炭時に結晶粒の粗大化を招くこととなる。
(【0011】以降は省略されています)

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