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公開番号2024068501
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-05-20
出願番号2022179011
出願日2022-11-08
発明の名称刃物用鋼
出願人武生特殊鋼材株式会社
代理人弁理士法人フェニックス特許事務所
主分類C22C 38/00 20060101AFI20240513BHJP(冶金;鉄または非鉄合金;合金の処理または非鉄金属の処理)
要約【課題】より高硬度で優れた刃付け性を備えながらも、耐食性、靭性、耐摩耗性にも優れた刃物用鋼を提供すること。
【解決手段】質量%で、C:1.30~1.70%、Cr:14.00~18.00%、Mo:2.00~2.80%、V、W、Nbのうち1種以上:合計で2.10~3.60%、残余がFe及び不可避的不純物から成る組成を有する刃物用鋼。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
質量%で、C:1.30~1.70%、Cr:14.00~18.00%、Mo:2.00~2.80%、V、W、Nbのうち1種以上:合計で2.10~3.60%、残余がFe及び不可避的不純物から成る組成を有することを特徴とした刃物用鋼。
続きを表示(約 150 文字)【請求項2】
-1.2%≦Mo%-(V+W+Nb)%≦-0.2%の関係を有することを特徴とした請求項1に記載の刃物用鋼。
【請求項3】
V:1.50~2.10%、W:0.50~1.40%、Nb:0.20~0.60%であることを特徴とした請求項1または請求項2に記載の刃物用鋼。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、マルテンサイト系刃物用鋼に関する。
続きを表示(約 1,900 文字)【背景技術】
【0002】
周知のとおり、ナイフ、包丁、理美容鋏、医療用メス等の刃物類には、鋭い切れ味と、その切れ味の持続性が求められる。従来、これら刃物類の素材として、SUS420J2やSUS440Cなどに代表されるマルテンサイト系ステンレス鋼が使用されているが、この刃物用鋼には、鋭い刃先を形成することができ、その刃先の変形を抑制するための硬度、鋭く研ぎ上げた刃先の刃こぼれを抑制する適度な靭性、鋭い切れ味を維持するための耐摩耗性、そして、刃先の錆びを抑制する耐食性等の諸特性を兼ね備えている必要がある。
【0003】
通常、C(炭素)含有量の多いステンレス鋼ほど、焼入れ焼戻し硬度が高くなる傾向があるが、硬度を更に高めるためにC含有量を増やすと、不働態被膜を形成して耐食性を向上させるCr(クロム)がCと結合してCr炭化物を形成するため、耐食性が低下する副作用が生じる。そこで、従来では、Mo(モリブデン)、V(バナジウム)、W(タングステン)等の他の炭化物形成元素を添加し、その添加量を調整することによって、硬度と耐食性との両立を図り、靭性、耐摩耗性等の他の特性とのバランスを図るようにしている(例えば、下記特許文献1、2等)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
特開2002-212679号公報
特開平10-1703号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、近年、特に高級刃物類において、更に優れた切れ味が要求されており、より鋭い刃付けがなされた刃先角度の刃物類(例えば、小刃角度約16度)も製作されるに至っている。このような鋭利な刃先を形成、維持するためには、より高い硬度と靭性を備えた上で、十分な耐食性と耐摩耗性を有している必要があるが、従来の刃物用鋼では、このような要請に十分に応えることができない問題があった。
【0006】
例えば、図1に示すように、従来の刃物用鋼を用いて製作した刃物1の刃付けを行う際、その小刃角度が約24度の場合(図1(a))には、刃先11を適正に形成することが可能であったとしても、小刃角度が約16度の場合(図1(b))には、刃先11を砥石に当てて研ぎ上げる際に刃先11が砥石の反対側へ塑性変形してしまい、鋭利な刃先11を適正に形成することが困難であった。
【0007】
このように鋭利な刃先を形成、維持するためには、鋭く研がれた刃先でも欠けず、曲がらずといった機械特性が必要であり、そのために、より強化された素地硬度と、耐摩耗性に寄与する、刃付け性を阻害しない程度の微細な金属炭化物の分散が必要であるが、従来の刃物用鋼にあっては、素地強化と金属炭化物分散強化とのバランスが考慮されておらず、過量な炭素や金属元素の添加によって素地硬度や耐食性が犠牲になっていた。
【0008】
本発明は、従来の刃物用鋼に上記のような問題があったことに鑑みて為されたもので、より高硬度で優れた刃付け性を備えながらも、耐食性、靭性、耐摩耗性にも優れた刃物用鋼を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
鋼素地に固溶して耐食性を向上させる元素として重要なCrは、同時にFe(鉄)やCなどと複炭化物(M

C、M



、M
23


等)を形成して硬度や耐摩耗性の向上に寄与する炭化物形成元素でもあるが、このCrは、鋼素地中への固溶濃度に対する複炭化物中への固溶濃度の割合(分配係数)が、Mo、V、W等の他の炭化物形成元素よりも大きい傾向がある。従来では、Cの添加量を抑えることで粗大な複炭化物の形成を抑制し、Crの素地固溶濃度を確保して耐食性を維持していた。ところが、Cの添加量が少ない場合、焼入れ熱処理による素地固溶強化がなされず、高い硬度を得ることができない。
【0010】
そこで、本発明者は、Cr、Mo、V、W、Nb(ニオブ)等の添加元素の炭化物形成傾向に注目し、炭化物形成傾向の比較的に高いV、W、Nbの添加量を調整することによって、粗大な複炭化物の形成を抑制することを着想し、さらに、刃物用鋼としての切断性能を向上させるためには、各種炭化物を含んだ鋼全体の硬度だけでなく、特に鋼素地自体の硬度を向上させる必要があるとの知見を得、鋭意研究を重ねた結果、本発明を完成させるに至った。
(【0011】以降は省略されています)

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